六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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お久しぶりです!
お待たせして申し訳ございませんm(_ _)m

ってかリサ姉、弟いたの!?
今後出そうか迷ってます。アンケートとるので、ご協力をお願いします!


第六話 Poppin'Party誕生

 翌週。紗夜と燐子と約束していた花女の文化祭が始まった。

 リサと友希那は二人で用事があるとかで、今日は一緒ではない。

 

「それにしても、花女も結構広いな」

 

 紗夜の件で一度花女の前まで来たことあるが、中には入った事なかったため、意外な広さに驚いていた。

 

「さてと、紗夜達のクラスに行くか」

 

 紗夜と燐子は同じクラスの為、探す手間が省ける。

 昇降口で各クラスの出店が書かれているチラシを受け取り、紗夜達のクラスへ行く。

 

「紗夜達のクラスは……コスプレ喫茶!?」

 

 ──マジかよ……あの紗夜と燐子がコスプレか……

 

 見てみたいと思っている自分がいた。

 

「ここか」

 

 2-Bと書かれた教室に着く。そこには確かに、『コスプレ喫茶』と書かれていた。

 ゴクリ……と喉の奥がなる。恐る恐る入ろうとすると、後ろから声が聞こえた。

 

「か、奏君!?」

 

 そこには丸山がいた。()()()の恰好をして。

 

「丸山、お前……そんな趣味あったのか」

「違うよ!!」

 

 俺が言うと、丸山は顔を赤くして否定した。

 

「良いんだぞ丸山、恥ずかしがらなくて。あれだ、人の趣味は色々あるからな、うん」

「だから違うんだって!///」

「何の騒ぎですか?」

 

 すると今度は教室の方から声が聞こえた。

 やって来たのは紗夜だ。

 

「か、奏さん!?///」

「紗夜……お前、()()()()だったのか……」

「ち、違うんです! これはくじで決まって……!///」

 

 赤面しながら言う紗夜。普段のギャップと激しいため、とてつもなく可愛いと思ってしまう。

 

「丸山が小学生、紗夜が魔法少女……燐子は?」

 

 そう言って俺は中を覗く。するとそこには……

 

「あまり、見ないでください……」

 

 ミニスカポリスの燐子がいた。それを見た俺は……

 

「奏君! 鼻血鼻血!」

「破廉恥です奏さん!」

「う、うぅぅ……///」

 

 酷い言われようだが、これはこれでありだと思う。

 

 ──ごちそうさまです。

 

 心の中でそう思った。

 

「へぇ。ここでもライブあるんだ」

 

 暫く落ち着いた頃、花女で行われるライブの話になった。

 

「はい。今年も色々なバンドが出場する予定です」

「で、お前はその警備に当たる、と」

「はい。風紀委員なので仕方がありませんが……」

「じゃあ燐子。一緒にライブ見ようぜ」

「う、うん。良いよ……」

「じゃあ私は時間なのでこれで」

「おう。仕事頑張れよ~」

 

 そう言って俺達と別れる紗夜。もし紗夜が魔法少女の恰好で校内うろついたら……考えるのは止めとこう。

 

「じゃあ行こうぜ燐子」

「うん」

 

 俺と燐子は二人で校内を回る。途中で「え? 白金さんって付き合ってるの?」とか聞こえるが、気にしない。

 ほら見ろ、隣の燐子顔真っ赤だぞ。激おこぷんぷん丸だよ。

 

「あの、私気にしてないから……」

「そ、そうか」

 

 少し気まずくなったが、気にせず体育館へ向かう。

 体育館に到着すると、既に人が溢れかえっていた。

 

「凄いな……」

「何でも、今年の一年生は見ごたえがあるみたいなんだ」

 

 そう言う燐子から出場者リストを貰う。

 

「何々……CHiSPA、Poppin'Party、その他諸々……燐子はどのバンドが気になるんだ?」

「私は、特にこれといったバンドは……」

「ま、一年だしな。温かい目で見守るしかないか」

 

 そう言っていると、会場が暗くなった。ライブの始まりである。

 どのバンドもまぁまぁな感想だった。悪くはないが、これといって良くもない。俺達Roseliaと違って、楽しいだけでやっているバンドが殆どだ。

 

「あ、今音外れた……」

 

 すると、燐子がふと呟く。

 

「……お前、今の分かったのか?」

「う、うん……何となくだけど……」

 

 先程のバンドのミスは、サビに入る前に触れる弦を間違えたのか、音を外したのだ。だが、周りの人は気付かない程の、極僅かな小さなミス。それを燐子は聞き取ったのだ。

 

 ──もしかして……後でちょっと試してみるか。

 

 もし先程の燐子の感覚が他の人にもあるなら、Roseliaはもっと良くなる。俺は一つの可能性を感じた。

 そう思っていると、次のバンドがやって来た。CHiSPAである。

 

「ほ~、中々いいじゃん」

「珍しいね……奏君が褒めるなんて……」

「お前は俺を何だと思ってる。俺だって褒める時は褒めるさ」

 

 今日のバンドの中で、一番良いと言っても過言ではない。一つ一つの音がしっかりと絡み合って良いハーモニーが繰り広げられている。

 CHiSPAが終わり、ラスト一組となった。そう、Poppin'Partyである。

 四人が登場した時、何か違和感を感じた。

 

「……何つうか、表情が暗いな」

「え?」

「とてもバンドを演奏するような表情ではない。何か欠けている様な、そんな感じがするんだ」

 

 会場も何か異変を感じたのか、少しざわつく。

 すると、いつぞやの猫耳がマイクに向かって話し始めた。どうやら、Poppin'Partyのリーダーの様だ。

 

『文化祭、盛り上がってますかー!』

 

 その声で、会場のボルテージは上がる。

 

『最初の曲、行きます! 【私の心はチョココロネ】』

 

 そう言って演奏が始まる。

 

 ──ドラム不在の中、ここまで演奏できるとは……

 

 俺は感心していた。リズム隊で重要なドラムを抜きにここまで良い演奏が出来ている事に。

 だが、やはり音が足りない。いまいち欠けているのだ。

 演奏が終わり、会場のボルテージもMAX状態だ。

 

『次の曲は、この日の為に作った曲です。今日は一人いないけど、いつか、一緒に歌おうと約束しました』

 

 ──成程な。そのドラムの子は訳ありか。

 

 その後も猫耳は自分の思いを告げる。

 

『そんな気持ちを込めて歌います。聞いてください──』

 

 その時、体育館のドアが開いた。一人の女子生徒が、息を切らして入って来た。

 その少女はドラムスティック片手に、ステージに上がる。Poppin'Party、最後の一人の様だ。

 少女はセッティングし、軽くアップする。その時、俺は何かを感じ取った。

 

「……燐子」

「どうしたの……?」

「このバンド、化けるぞ」

「えっ……?」

 

 すると準備が整い、猫耳が言った。

 

『それでは聞いてください。【STAR BEAT! ~ホシノコドウ~】』

 

 その時、奇跡が起きた。足りなかったドラムというネジが見事にはまり、歯車が綺麗に回る。

 

「恐らくドラムの奴、一回もメンバーと音合わせしてないぞ」

「わ、分かるの?」

「何となくな。でも、いきなりここまで合わせられるんだ。大したもんだよ」

 

 Poppin'Partyのメンバー、戸山香澄、花園たえ、牛込りみ、市ヶ谷有咲、山吹沙綾。今後関わってきそうな気がする。覚えておくか。

 こうして新たなバンド、Poppin'Partyが誕生した。


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