「……奏?」
その声に俺は立ち止まり、振り向く。
「やっぱり! 奏だよね! ひさしぶり~いつ帰って来たの?」
いきなりのマシンガントークにたじろぐ俺。俺の名前を呼んだギャルは俺の前まで来て、手をとると顔を近づける。って言うか、近い……
「リサ、落ち着きなさい。奏が困ってるでしょ」
「あ、アハハ~……ごめんごめん。つい嬉しくって」
銀髪の子に注意されるギャルは苦笑いして俺から離れる。
「……久しぶりだな、リサ、友希那」
「久しぶり!」
「えぇ。久しぶりね。いつ帰って来たの?」
「今さっきだよ。親父の部署がまたここに戻ったから、帰って来たんだ。そんで今は街を散策中」
俺はふと友希那を見る。友希那の表情は、幼い頃とは違い、何かが抜けていた。
まるで、ぶっきらぼうになったかのように。
「それで、奏はどこに転入するの? この辺で共学って、無くない?」
「あぁ。俺の転入先は恐らく、お前達と同じだよ」
「同じって、羽丘かしら?」
「でも羽丘って、女子校だよね。まさか奏、女装して――」
「する訳ねぇだろ。お前ら何も知らねえのか?」
二人の反応を見る限り、知らなさそうだ。リサは首を傾げている。
「羽丘は今年から、共学に変わったんだよ。といっても、一年からだけどな。それに校舎も男子と女子で分けられるらしい」
「そうだったんだ……。でも奏は二年じゃん。一年と同じ授業するの?」
そう。問題なのはその先だった。別に羽丘に転入する分には構わない。男子と女子で
「俺もその方が良かったんだけどよ……。実は俺のお袋と羽丘の理事長が仲良いらしくてな。お袋が俺をここに転入させたいと言ったらしい。そしたら何て言ってきたと思う?」
俺は落胆した表情で言った。
「女子と同じクラスという条件なら良いですよ、だって。そしたらお袋は俺の意見も聞かず、二つ返事で返しやがった」
「あ、アハハ。奏のおばさん、相変わらずだね……」
リサが苦笑いして答える。
「そう言えばお前らは? 今帰り?」
俺が言うと、友希那は何かを思いだしたのか、スマホを見た。
「私、もう時間だから行くわ。リサ、奏、また」
そう言ってそそくさと俺達を置いていき、友希那は歩いて行った。
――あの方向は、ライブハウス……?
ふと隣のリサの様子を見ると、何処か寂しそうな、辛そうな表情をしていた。
「……リサ」
「ん? どうしたの?」
俺が呼ぶと、何事も無かったかのように返事する。その顔は、無理をしている笑顔だった。
「……ちょっと話さないか。近くの公園で」
「う、うん」
いきなり言われたせいか、少し戸惑い気味だったが、俺達は止めた足を再び動かし、公園へと向かった。
道中、二人共無言だった。俺はその時、一つの仮説を立てていた。友希那がああなってしまった理由。そして友希那が向かった先。
公園に着くと近くのベンチに座り、俺は缶コーヒーを渡す。
「微糖で良かったか?」
「うん、ありがと」
リサは俺から缶コーヒーを受け取ると、俺は隣に座る。
そこからは無言が続く。だが、いつまでもこうしてはいられない。
俺はゆっくりと、その口を開いた。
「……友希那がああなってしまったのは、やっぱりおじさんの事か?」
内田奏(主人公)を他のバンドと絡ませる?
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絡ませる
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数名だけ絡ませる
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Roseliaだけで良い