六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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第二話 再会

「……奏?」

 

 その声に俺は立ち止まり、振り向く。

 

「やっぱり! 奏だよね! ひさしぶり~いつ帰って来たの?」

 

 いきなりのマシンガントークにたじろぐ俺。俺の名前を呼んだギャルは俺の前まで来て、手をとると顔を近づける。って言うか、近い……

 

「リサ、落ち着きなさい。奏が困ってるでしょ」

「あ、アハハ~……ごめんごめん。つい嬉しくって」

 

 銀髪の子に注意されるギャルは苦笑いして俺から離れる。

 

「……久しぶりだな、リサ、友希那」

「久しぶり!」

「えぇ。久しぶりね。いつ帰って来たの?」

「今さっきだよ。親父の部署がまたここに戻ったから、帰って来たんだ。そんで今は街を散策中」

 

 俺はふと友希那を見る。友希那の表情は、幼い頃とは違い、何かが抜けていた。

 まるで、ぶっきらぼうになったかのように。

 

「それで、奏はどこに転入するの? この辺で共学って、無くない?」

「あぁ。俺の転入先は恐らく、お前達と同じだよ」

「同じって、羽丘かしら?」

「でも羽丘って、女子校だよね。まさか奏、女装して――」

「する訳ねぇだろ。お前ら何も知らねえのか?」

 

 二人の反応を見る限り、知らなさそうだ。リサは首を傾げている。

 

「羽丘は今年から、共学に変わったんだよ。といっても、一年からだけどな。それに校舎も男子と女子で分けられるらしい」

「そうだったんだ……。でも奏は二年じゃん。一年と同じ授業するの?」

 

 そう。問題なのはその先だった。別に羽丘に転入する分には構わない。男子と女子で()()()くれるなら。

 

「俺もその方が良かったんだけどよ……。実は俺のお袋と羽丘の理事長が仲良いらしくてな。お袋が俺をここに転入させたいと言ったらしい。そしたら何て言ってきたと思う?」

 

 俺は落胆した表情で言った。

 

「女子と同じクラスという条件なら良いですよ、だって。そしたらお袋は俺の意見も聞かず、二つ返事で返しやがった」

「あ、アハハ。奏のおばさん、相変わらずだね……」

 

 リサが苦笑いして答える。

 

「そう言えばお前らは? 今帰り?」

 

 俺が言うと、友希那は何かを思いだしたのか、スマホを見た。

 

「私、もう時間だから行くわ。リサ、奏、また」

 

 そう言ってそそくさと俺達を置いていき、友希那は歩いて行った。

 

 ――あの方向は、ライブハウス……?

 

 ふと隣のリサの様子を見ると、何処か寂しそうな、辛そうな表情をしていた。

 

「……リサ」

「ん? どうしたの?」

 

 俺が呼ぶと、何事も無かったかのように返事する。その顔は、無理をしている笑顔だった。

 

「……ちょっと話さないか。近くの公園で」

「う、うん」

 

 いきなり言われたせいか、少し戸惑い気味だったが、俺達は止めた足を再び動かし、公園へと向かった。

 道中、二人共無言だった。俺はその時、一つの仮説を立てていた。友希那がああなってしまった理由。そして友希那が向かった先。

 公園に着くと近くのベンチに座り、俺は缶コーヒーを渡す。

 

「微糖で良かったか?」

「うん、ありがと」

 

 リサは俺から缶コーヒーを受け取ると、俺は隣に座る。

 そこからは無言が続く。だが、いつまでもこうしてはいられない。

 俺はゆっくりと、その口を開いた。

 

「……友希那がああなってしまったのは、やっぱりおじさんの事か?」

内田奏(主人公)を他のバンドと絡ませる?

  • 絡ませる
  • 数名だけ絡ませる
  • Roseliaだけで良い

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