六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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第十七話 失敗を通して

 遂にこの日がやって来た。今日はGlitter*Greenとジョイントライブを行う日だ。

 始まるのは十九時から。それまで俺ん家で軽く練習し、SPACEに向かう。

 中に入ると、既にGlitter*Greenと、何故かPoppin'Partyがいた。

 

「Roseliaです」

「よろしく願いします」

 

 友希那と紗夜が言う。

 

「Roseliaちゃ~ん!」

 

 すると二十騎先輩が迫って来た。

 

「ハウス!」

 

 鵜沢先輩が言うと大人しく帰って行った。そして頭を撫でられる。

 すると猫耳、戸山香澄が来た。

 

「こんにちは! ポピパです。宜しくお願いします!」

「「「「よ、宜しくお願いします」」」」

「宜しく」

「宜しく~♪」

 

 友希那とリサは返事を返す。

 

「始めるよ」

 

 するとオーナーから声が掛かった。リハを始めるらしい。

 

「あの!」

「ん?」

 

 俺も準備しようとすると、戸山が声を掛けてきた。

 

「私、戸山香澄って言います! どうして皆さんと一緒に行かないんですか?」

 

 戸山は恐らく、他の五人がステージに向かったのに一緒に行かなかった俺が気になったのだろう。

 

「俺は表舞台には立たないんだ。影であいつらを支える。つまりマネージャーだ」

「マネージャー……」

「それにしても、文化祭見たぜ。Poppin'Party」

「わ、私達を知っているんですか?!」

「ギターボーカルの戸山香澄、リードギターの花園たえ、ベースの牛込りみ、キーボードの市ヶ谷有咲、ドラムの山吹沙綾」

「凄い、私達の名前まで……」

「もしかして、ストーカーさん?」

 

 花園がとんでもないことを言い出した。

 

「ちげーよ。俺は一度見たものはすぐに覚えられんだ。俺は内田奏。羽丘の二年だ」

「内田。アンタも手伝いな」

「了解っす。じゃあ行くわ」

 

 オーナーから呼び出しを受けたため、俺はステージに向かう。

 

「そう言えば、彼女達ってここで働いてるんですか?」

 

 俺は気になった事をオーナーに聞いた。

 

「ここで働いているのは花園だけだよ。残りの四人は今日だけのヘルプさ」

「他のスタッフが見当たらないと思ったけど、まさか……」

「あぁ。インフルエンザだって。全員アウトだよ」

「だからか」

「それより、PA頼むよ」

 

 PA。Public Adressといって、音響機器の事をさす。

 

「俺がやって良いんですか?」

「アンタが適任だろう。やっていいよ」

 

 そう言ってオーナーと場所を変わる。

 

「Roseliaです。宜しくお願いします」

 

 友希那がマイクに向かって言う。そこから、俺達は音を合わせていくのだった。

 

「内田先輩、PAも出来るんですね」

「音楽全般に関しては、何でも出来る。それより、今日はよろしくな」

「「「「「はいっ!」」」」」

 

 こうして、俺達のジョイントライブが幕を開けた。

 そしてRoseliaの番。最初はBLACK SHOUTだった。出だしは順調。このまま行けば大丈夫だと思った。

 だが──

 

 ──やっちまったな……

 

 リサがここ一番でミスをしてしまった。周りの反応は少しざわつく。それでも友希那達は気にせずに歌い続けた。

 そして、ライブが終わった。

 

「グスッ……ヒグッ……」

 

 リサはライブが終わり、控室に戻ると泣いてしまった。

 友希那はリサの背中をさすり、慰める。

 俺はそれを外で見ていた。すると、戸山と市ヶ谷が来た。

 

「内田先輩……」

「ここ一番でミスをするっていうのは、バンドマンにとってかなりの痛手だ。それに俺達は先週、大事なコンテストに落ちている。そう簡単にミスは許されなかった」

「コンテストに落ちた……」

「それがプレッシャーになったんだろうな。いつもミスをしない所でミスをしてしまった。それが悔しいんだろう。あそこまで泣くっていうのは」

 

 すると、中から声が聞終えた。

 

「いつまでも泣いてんじゃないよ」

 

 オーナーが声を掛ける。

 

「ライブってのは、完璧な演奏が百点な訳じゃない」

 

 その言葉に、リサは顔を上げる。

 

「客は、どうしてわざわざライブハウスに歌を聞きに来てると思う?」

「それは……」

「今この瞬間、目の前のアンタ達がどんなステージをやり切ってくれるか、それを楽しみにしてるんだ」

 

 全員、オーナーを見る。

 

「やり切ったんだろ」

「……はい」

「胸を張って帰りな」

 

 そう言われると、リサは涙を拭く。

 

「はい……!」

 

 そして全員立ち上がり、オーナーにお礼を言った。

 するとオーナーは控室から出て来る。

 

「ありがとうございました。オーナー」

「アンタがコンテストを終えてすぐここに来たのは、完璧な演奏だけが大事じゃない。そう伝えたかったんだろ?」

「えぇ。まさにオーナーの言った通りです」

「苦労を掛けさせるね全く」

「面目ない」

 

 俺は頭を下げる。

 

「また、宜しくお願いします」

 

 オーナーは何も言わず、その場を去っていった。

 いつものファミレス──。

 

「完璧な演奏が百点じゃない、か……」

「あこ、何か分かった気がします」

「私達がいかにそのライブをやり切るか」

「そして……お客さんは、わたし達のやり切る姿を……楽しみに、してる……」

「奏。あなたが言ってた『大切なことを教えてくれる』って言うのは、この事だったのね」

「俺達は完璧を求めすぎた。そのせいで、ライブで何が大切なのか見失ってた。だから、あの人に会わせたんだ」

「そうだったのね。これからライブに対する姿勢を変えないと」

「俺達はまだ始まったばっかりだ。焦らずゆっくり、来年のコンテストに向けて頑張ろう」

 

 全員頷く。

 だが、俺はまだ知らなかった。これから面倒事に絡まれる事になるとは……

 数日後。

 

「内田先輩! 私達の演奏を見てください!」

「……はぁ?」

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