「え~ではRoselia対Poppin'Party、始め~」
何故、何故こうなった……
時は数分前に遡る。俺達三人の下に、戸山と山吹がやって来た。
「友希那先輩~リサ先輩~奏先輩~」
「あなた……」
「戸山香澄です! 焼きそばご馳走様です」
そう言って二人は頭を下げてきた。
「ま、後輩に奢るのは先輩の役目だからな。良いって事よ」
「で、良かったら……」
「みんなでビーチバレーしませんか?」
その一言で、俺達はビーチバレーに参戦することになった。
最初は紗夜が反対していたんだが、リサが上手く丸め込んだ。なんという会話術。
こうして紗夜以外水着姿となった。実に良い。素晴らしい。
俺は男なので、審判をすることになった。ルールは五対五、だけだ。
──まぁ、こうしてみんなの水着姿を拝めるだけで、眼福眼ぷkウオラッ!!
すると、何処からともなくボールが飛んできて、俺の顔面にヒットした。どゆこと?
「奏、今変な事考えていたでしょ」
「か、考えてなんか──」
「みんなの水着が可愛いとか、そんな事思ってたんだよね~」
するとポピパの全員が自ずと肩を抱く。
「奏先輩って、エッチだったんですね!」
「ふ、風評だ……」
まあでも、みんなの水着が可愛かったことは認めます。
「じゃあ試合続けるぞ~」
何とか誤解も解け、試合を続行することにした。
ボールはポピパから。戸山がサーブを上げる。が、それは届かず山吹にトスをした感じになった。
俺はサーブミスとして、Roseliaに一点を上げようとしたが、何故か試合は続けられた。
──こいつ等、ビーチバレーどころかバレーボールのルールすら知らねぇな……
地面に着いたら一点。それだけのルールになってしまった。
次はRoseliaサーブとなった。あこは燐子に何か聞いている。どうせろくでもない事だろう。
「ふっふっふ……童のこの龍の右手に宿りし闇の力を解き放とう! 喰らうがいい! 大魔姫究極技!」
するとあこがフィギュアスケート待ったなしのスピンを見せつける。そしてボールを高く上げた後、あこも高く飛ぶ。というか、飛びすぎ。
だが虚しく空ぶってしまう。あこは顔面から落下した。
「うわぁ~ん口の中じゃりじゃりするぅ~」
自業自得です。
「くっ! なんて過酷なスポーツなの……」
「えぇ。油断は禁物の様ね」
「何言ってんだあいつ等……」
紗夜と友希那が何か勘違いをしている。見ていて面白い。
すると今度は紗夜が奮闘していた。だが虚しく全部空回り。
「……着替えてきます」
そしてついには、紗夜も水着となって出てきた。
──素晴らしい……!
俺は心の中で涙を流した。
「奏、また変な事考えてる」
「い、良いから試合続けるぞ!」
こうして試合は続けられ、いつの間にか日が暮れていた。
「で? 結局どっちが勝ったの?」
「知らん。途中で数えるの諦めたわ」
俺の言葉に全員苦笑いする。
俺達は海辺に座っている。戸山は寝転がっているが。
すると、友希那も仰向けになった。
「あなた達のテンポに巻き込まれて……なんだか、セッションしたみたい」
「はい! 楽しかったです!」
すると戸山は起き上がる。
「またみんなで遊びませんか?」
「私達はRoseliaよ。完璧な演奏をするために、遊んでる暇は──」
「じゃあみんなでバンド!」
戸山がとんでもないことを言い出した。十人でバンドって、スカ○ラじゃねぇんだぞ……
「Roselia Party……略してロゼパ?」
「ロゼパ良いねぇ」
こうしてポピパとRoseliaの談笑は続いていく。こういうのも悪くないだろう。
友希那達は服に着替える。すると、ポピパが海の家で一曲披露することになった。今回ドラムがないため、山吹もボーカルに回る。
「八月のif」
夏を感じさせる歌。俺達は奥の方で聞いていた。
歌が終わると、彼女達の周りにギャラリーが集まっていた。感想を言うと、彼女等らしい曲だった。
「行くわよ」
「友希那?」
「合宿の続きよ。いいフレーズが出来そうなの」
「私も弾きたくなってきたところです」
「あこもバンバン叩きたい!」
「わたしも、いっぱい弾きたいです」
全員、いい笑顔になった。いい感じに息抜きはできたようだ。
「じゃ、早速帰って練習だな」
こうして俺たちは別荘に戻り、練習を始めた。
次の日、友希那の新曲が完成した。全員、それを聞く。
「とてもいい曲ですね」
「これ弾くのすっごく楽しそう!」
「童の闇の力をとくと見るがいい!!」
「友希那さん、曲名は……?」
「曲名、そうね……」
友希那は顎に手を添え、考える。
「熱色スターマイン、というのはどうかしら?」
「熱色スターマイン、ね。いい名前じゃねぇか」
こうして新曲、熱色スターマインが誕生した。
夏は、まだまだ始まったばかり。