六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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第二十一話 熱色スターマイン

「え~ではRoselia対Poppin'Party、始め~」

 

 何故、何故こうなった……

 時は数分前に遡る。俺達三人の下に、戸山と山吹がやって来た。

 

「友希那先輩~リサ先輩~奏先輩~」

「あなた……」

「戸山香澄です! 焼きそばご馳走様です」

 

 そう言って二人は頭を下げてきた。

 

「ま、後輩に奢るのは先輩の役目だからな。良いって事よ」

「で、良かったら……」

「みんなでビーチバレーしませんか?」

 

 その一言で、俺達はビーチバレーに参戦することになった。

 最初は紗夜が反対していたんだが、リサが上手く丸め込んだ。なんという会話術。

 こうして紗夜以外水着姿となった。実に良い。素晴らしい。

 俺は男なので、審判をすることになった。ルールは五対五、だけだ。

 

 ──まぁ、こうしてみんなの水着姿を拝めるだけで、眼福眼ぷkウオラッ!! 

 

 すると、何処からともなくボールが飛んできて、俺の顔面にヒットした。どゆこと? 

 

「奏、今変な事考えていたでしょ」

「か、考えてなんか──」

「みんなの水着が可愛いとか、そんな事思ってたんだよね~」

 

 するとポピパの全員が自ずと肩を抱く。

 

「奏先輩って、エッチだったんですね!」

「ふ、風評だ……」

 

 まあでも、みんなの水着が可愛かったことは認めます。

 

「じゃあ試合続けるぞ~」

 

 何とか誤解も解け、試合を続行することにした。

 ボールはポピパから。戸山がサーブを上げる。が、それは届かず山吹にトスをした感じになった。

 俺はサーブミスとして、Roseliaに一点を上げようとしたが、何故か試合は続けられた。

 

 ──こいつ等、ビーチバレーどころかバレーボールのルールすら知らねぇな……

 

 地面に着いたら一点。それだけのルールになってしまった。

 次はRoseliaサーブとなった。あこは燐子に何か聞いている。どうせろくでもない事だろう。

 

「ふっふっふ……童のこの龍の右手に宿りし闇の力を解き放とう! 喰らうがいい! 大魔姫究極技!」

 

 するとあこがフィギュアスケート待ったなしのスピンを見せつける。そしてボールを高く上げた後、あこも高く飛ぶ。というか、飛びすぎ。

 だが虚しく空ぶってしまう。あこは顔面から落下した。

 

「うわぁ~ん口の中じゃりじゃりするぅ~」

 

 自業自得です。

 

「くっ! なんて過酷なスポーツなの……」

「えぇ。油断は禁物の様ね」

「何言ってんだあいつ等……」

 

 紗夜と友希那が何か勘違いをしている。見ていて面白い。

 すると今度は紗夜が奮闘していた。だが虚しく全部空回り。

 

「……着替えてきます」

 

 そしてついには、紗夜も水着となって出てきた。

 

 ──素晴らしい……! 

 

 俺は心の中で涙を流した。

 

「奏、また変な事考えてる」

「い、良いから試合続けるぞ!」

 

 こうして試合は続けられ、いつの間にか日が暮れていた。

 

「で? 結局どっちが勝ったの?」

「知らん。途中で数えるの諦めたわ」

 

 俺の言葉に全員苦笑いする。

 俺達は海辺に座っている。戸山は寝転がっているが。

 すると、友希那も仰向けになった。

 

「あなた達のテンポに巻き込まれて……なんだか、セッションしたみたい」

「はい! 楽しかったです!」

 

 すると戸山は起き上がる。

 

「またみんなで遊びませんか?」

「私達はRoseliaよ。完璧な演奏をするために、遊んでる暇は──」

「じゃあみんなでバンド!」

 

 戸山がとんでもないことを言い出した。十人でバンドって、スカ○ラじゃねぇんだぞ……

 

「Roselia Party……略してロゼパ?」

「ロゼパ良いねぇ」

 

 こうしてポピパとRoseliaの談笑は続いていく。こういうのも悪くないだろう。

 友希那達は服に着替える。すると、ポピパが海の家で一曲披露することになった。今回ドラムがないため、山吹もボーカルに回る。

 

「八月のif」

 

 夏を感じさせる歌。俺達は奥の方で聞いていた。

 歌が終わると、彼女達の周りにギャラリーが集まっていた。感想を言うと、彼女等らしい曲だった。

 

「行くわよ」

「友希那?」

「合宿の続きよ。いいフレーズが出来そうなの」

「私も弾きたくなってきたところです」

「あこもバンバン叩きたい!」

「わたしも、いっぱい弾きたいです」

 

 全員、いい笑顔になった。いい感じに息抜きはできたようだ。

 

「じゃ、早速帰って練習だな」

 

 こうして俺たちは別荘に戻り、練習を始めた。

 次の日、友希那の新曲が完成した。全員、それを聞く。

 

「とてもいい曲ですね」

「これ弾くのすっごく楽しそう!」

「童の闇の力をとくと見るがいい!!」

「友希那さん、曲名は……?」

「曲名、そうね……」

 

 友希那は顎に手を添え、考える。

 

「熱色スターマイン、というのはどうかしら?」

「熱色スターマイン、ね。いい名前じゃねぇか」

 

 こうして新曲、熱色スターマインが誕生した。

 夏は、まだまだ始まったばかり。


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