六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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今回は紗夜編・前編をお送りします。
時はまだRoseliaが結成して間もない頃。まだ奏がマネージャーではない時です。


第二十四話 気持ちの変化 前編

 私には、気になる人がいます。

 名前は内田奏さん。私達Roseliaのマネージャーです。

 初めは何の感情もありませんでした。湊さんが執着してまでマネージャーに誘い、Roseliaに入れようとした事が理解出来ませんでした。マネージャーなんて必要ない、そう考えてました。

 ですが、ある日を境に考えは変わりました。それは、私と日菜の間にまだ(わだかま)りがあった時でした。大事なライブを次の日に控えているのにも関わらず、その日の練習を休まされ、ファミリーレストランに連れて行かれました。何事かと思った時、彼は開口一番にこう言いました。

 

「お前は、何に怯えている」

 

 その時、心臓が何者かに掴まれた感覚が襲いました。

 

 ──怯えてる? この私が……? 

 

 私の色は無色透明とも言われました。そして、一番出して欲しくない人の名前も。

 

「妹である、氷川日菜の存在だ」

 

 この時私は思いました。この人は何でも知ってると。

 最初は何でも真似する、ただの可愛い妹だと思っていた。でも、その真似事は何時も私を越してしまう。運動、成績、習い事、何もかも。そんな日菜が、いつからか憎くなった。何で姉というだけで、こんな思いをしなければならないのだろう。そう思うようになってしまった。そして劣等感も抱くようになってしまった。

 そんな心を、奏さんは見抜いていた。音楽の才能では無く、人の心を読み解く才能もあった。

 

「何で日菜なんですか……! どうして私がしてきた事を奪っていくんですか! どうして私が、こんな思いを……」

 

 気付いたら私の心の内を(さら)け出していた。

 

「私にはもう、ギター(これ)しかないんです……。これを奪われたら、私は……」

 

 自分自身も驚いた。まさか、涙を流しているなんて。

 すると奏さんはこう言いました。

 

「何も無くなると? 笑わせんな」

 

 その言葉に、頭がきました。この人は何でも出来る。言わば日菜と同じ存在。そんな彼に、私は言いました。

 

「あなたに何が分かるんですか! あなたは何でも楽器を弾けるんですよね!? 要はあなたも日菜と同じ天才じゃないですか!」

「お前、中学の時からギター弾いてんだろ? センスはあるのに、まだまだド素人だな」

「天才のあなたからしたら凡人の私なんてまだまだド素人ですよ!!」

「そんな事を言っているから、ド素人なんだよ」

 

 そして奏さんは教えてくれた。人それぞれに個性があるように、音楽にも個性があると。その個性は絶対に被ることはないと。

 

「氷川紗夜は、氷川紗夜の音楽を貫き通せばいい。お前の音楽に、日菜は関係ないだろ? なら、追い越されるとか、そんな事思ってんじゃねぇよ。思っている暇があるなら、ひたすら自分を磨いて、Roseliaを頂点に導け。Roseliaのギターは、お前しかいないんだから」

 

 その言葉に、救われた気がしました。

 その日の夜。

 

「日菜。ちょっと良いかしら?」

 

 私は日菜の部屋をノックする。中から声が聞こえたので、中に入った。

 

「どうしたの? おねーちゃん」

「日菜。今までごめんなさい」

 

 私は頭を下げる。その行動に、日菜は驚いていた。

 

「ど、どうしたのおねーちゃん! 急に頭を下げるなんて!」

「日菜。今まであなたにキツく当たってしまってごめんなさい」

「とりあえず顔を上げて! そこに座ってゆっくり話そう?」

 

 日菜のベッドに腰をかける。隣に日菜が座り、私の話を聞いてくれた。

 

「私はね、日菜。あなたが憎かった。何でも真似をして、すぐに私を越して……そんなあなたが憎かった。いつも比べられ、何でも日菜が一番だった。もう比べられるのはうんざり。そう思って私はあなたと違う学校に行ったわ」

「うん……そうだね」

「そしてあなたは、また私の真似事をした。アイドルバンドを組んで、私と同じギターをやるようになった。また比べられのか、そう思った」

 

 でも──と言葉を続ける。

 

「内田さんが教えてくれた。私は私。日菜は日菜。私は私の音楽を貫き通せば良いって」

「かー君が?」

「その時思ったわ。私が今まで抱いて来た感情は、物凄く些細なものだって。そして日菜を恨むなんて、お門違いだって。あなたはただ私を真似しただけ。それがたまたま、私より才能があっただけ。それだけだったのよ」

「おねーちゃん……」

「だから日菜、ごめんなさい」

「ううん。あたしの方こそごめんなさい。おねーちゃんの気持ちも知らないで……」

「──ねぇ、日菜?」

「なぁに?」

 

 私は、一番聞きたかったことを聞いた。

 

「こんな私だけど、私の妹でいてくれる?」

 

 すると日菜は笑顔で言った。

 

「もっちろん!」

 

 この日、あの日から生まれた蟠りが無くなった気がした。

 そして、奏さんに心から感謝をした。私達を救ってくれてありがとう、と。




いつもと変わらないはずだった……
なのに離れていく客。

「Roseliaに、クッキーはいらない」

バラバラになる私達の心。
何でこうなってしまったんだろう。
私はただ、Roseliaの音を取り戻したいだけなのに……!

六人目の青薔薇

Neo-Aspect編

「俺、Roseliaを辞めるよ」

coming soon…





なんか映画の予告風に作ってみましたw
次回予告とかあったほうがいいかな? もし要望があるなら、ネオアスから書こうかな。
感想と評価お待ちしております!

次回予告いる?

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