最後適当すぎて、ごめんなさい……
「じゃあ、今日の練習はここまでだな」
それから奏さんはRoseliaのマネージャーとして入ってくれました。奏さんの指示はとても的確で、そして教え方がとても上手です。
「奏さん」
「ん? どうした?」
「今日も居残り、良いですか?」
私は時々、居残り練習をしている。Roseliaのギタリストとして恥じない様に。
「じゃあおさらいな。さっきのフレーズなんだが──」
他の皆さんが帰ると、私達は二人きりで居残り練習が始まる。まずは奏さんがお手本を見せる。そして今度は私の演奏を真似する。そうすることで、違いを分かりやすく教えてくれる。
「ていう感じだ。ちょっとやってみ」
「はい」
そして奏さんが教えてくれた通り、演奏をする。が、最初は上手く出来ない。
それでも、奏さんは優しく教えてくれた。優しく教えてくれる奏さんを見て、心拍数が上がっているのが分かる。
──何なのかしら、コレ……
「紗夜? 大丈夫か?」
「えっ!? あ、はい。大丈夫です」
「そうか? じゃあもっかいやってみ」
こうして私の居残り練習は続く。
「あ、もう時間だな。今日はここまでにするぞ」
「ハァハァ……はい。ありがとうございました」
「おう。帰り送って行こうか?」
「いえ、大丈夫です。それでは、おやすみなさい」
「そっか。おやすみ」
私は奏さんの家を出て、自分の家に帰る。
翌日、今井さんに相談してみた。奏さんと一緒に居るだけで心拍数が上がるこの症状はなんなのか、知りたかった。一応、奏さんの名前は伏せておいた。
「あ~紗夜。それ多分恋だよ」
「恋……ですか?」
「うん。一緒に居るだけでドキドキするんでしょ? だったらそれは恋だって!」
「私が恋……信じられません」
「そっか。じゃあ、目瞑ってみてよ」
「何ですか? いきなり」
「良いから良いから☆」
私は今井さんの言う通り、目を閉じた。
「じゃあまず、その人の事想像してみて」
私は奏さんを想像する。
「じゃあ、その人と一緒に居る姿を思い浮かべて」
私と奏さんが一緒に居る。ギターを教えてくれて、とても優しい。
「じゃあ、その人が辛い顔をしている姿を想像してみて」
奏さんが辛い顔……なんだか私も辛くなってくる。
「じゃあ、その人の隣に、別の人がいる所を想像してみて」
奏さんの隣に、私以外の人……なんだか切ない気持ちになってきました。
「どう? 何か気持ちの変化はあった?」
「その人の隣に別の人がいると考えただけで、とても苦しいです……」
「それが恋だよ。紗夜。その人といるだけで楽しくなって、別の人がいると悲しくなる。それが恋なんだ」
「これが、恋……」
「っていうか、相手は奏でしょ?」
「ふぇ!? ///」
「やっぱり~。最近紗夜、奏と一緒に居ると楽しそうだもん。アタシから見ても分かるよ」
「そ、そうでしょうか……」
今井さんにバレてしまった……とても恥ずかしい……
「って事は、アタシ達ライバルだね」
「ライバルって……今井さんも?」
「アタシと友希那は昔から好きだったんだ。奏の事。だから、アタシ達はライバル!」
「湊さんも……」
私は思ってしまった。果たしてこの二人に勝てるのか、と。
「さ~よ! 一緒にクッキー作ろっか!」
「クッキー、ですか?」
「そ! メンバーに渡す口実に、奏にも渡すの。そうすれば、奏も少しは意識してくれると思うよ?」
「そう、でしょうか……」
「そうそう☆ だから、一緒に奏を攻略しよっ☆」
「攻略って……でも、そうですね」
──奏さん。いつかあなたにこの気持ちを伝えます。だから、これからもあなたの指導を受けさせてください。
第二章 完
次回予告
いつも通りの日常に、突如やって来た。
「私、SWEET MUSIC SHOWERという音楽イベントの運営事務局の者です」
「SWEET MUSIC SHOWERってあの?」
次回、六人目の青薔薇 Neo-Aspect編
第一話「SWEET MUSIC SHOWER」