六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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この話で、SEASON1が終了します。
最後適当すぎて、ごめんなさい……


第二十五話 気持ちの変化 後編

「じゃあ、今日の練習はここまでだな」

 

 それから奏さんはRoseliaのマネージャーとして入ってくれました。奏さんの指示はとても的確で、そして教え方がとても上手です。

 

「奏さん」

「ん? どうした?」

「今日も居残り、良いですか?」

 

 私は時々、居残り練習をしている。Roseliaのギタリストとして恥じない様に。

 

「じゃあおさらいな。さっきのフレーズなんだが──」

 

 他の皆さんが帰ると、私達は二人きりで居残り練習が始まる。まずは奏さんがお手本を見せる。そして今度は私の演奏を真似する。そうすることで、違いを分かりやすく教えてくれる。

 

「ていう感じだ。ちょっとやってみ」

「はい」

 

 そして奏さんが教えてくれた通り、演奏をする。が、最初は上手く出来ない。

 それでも、奏さんは優しく教えてくれた。優しく教えてくれる奏さんを見て、心拍数が上がっているのが分かる。

 

 ──何なのかしら、コレ……

 

「紗夜? 大丈夫か?」

「えっ!? あ、はい。大丈夫です」

「そうか? じゃあもっかいやってみ」

 

 こうして私の居残り練習は続く。

 

「あ、もう時間だな。今日はここまでにするぞ」

「ハァハァ……はい。ありがとうございました」

「おう。帰り送って行こうか?」

「いえ、大丈夫です。それでは、おやすみなさい」

「そっか。おやすみ」

 

 私は奏さんの家を出て、自分の家に帰る。

 翌日、今井さんに相談してみた。奏さんと一緒に居るだけで心拍数が上がるこの症状はなんなのか、知りたかった。一応、奏さんの名前は伏せておいた。

 

「あ~紗夜。それ多分恋だよ」

「恋……ですか?」

「うん。一緒に居るだけでドキドキするんでしょ? だったらそれは恋だって!」

「私が恋……信じられません」

「そっか。じゃあ、目瞑ってみてよ」

「何ですか? いきなり」

「良いから良いから☆」

 

 私は今井さんの言う通り、目を閉じた。

 

「じゃあまず、その人の事想像してみて」

 

 私は奏さんを想像する。

 

「じゃあ、その人と一緒に居る姿を思い浮かべて」

 

 私と奏さんが一緒に居る。ギターを教えてくれて、とても優しい。

 

「じゃあ、その人が辛い顔をしている姿を想像してみて」

 

 奏さんが辛い顔……なんだか私も辛くなってくる。

 

「じゃあ、その人の隣に、別の人がいる所を想像してみて」

 

 奏さんの隣に、私以外の人……なんだか切ない気持ちになってきました。

 

「どう? 何か気持ちの変化はあった?」

「その人の隣に別の人がいると考えただけで、とても苦しいです……」

「それが恋だよ。紗夜。その人といるだけで楽しくなって、別の人がいると悲しくなる。それが恋なんだ」

「これが、恋……」

「っていうか、相手は奏でしょ?」

「ふぇ!? ///」

「やっぱり~。最近紗夜、奏と一緒に居ると楽しそうだもん。アタシから見ても分かるよ」

「そ、そうでしょうか……」

 

 今井さんにバレてしまった……とても恥ずかしい……

 

「って事は、アタシ達ライバルだね」

「ライバルって……今井さんも?」

「アタシと友希那は昔から好きだったんだ。奏の事。だから、アタシ達はライバル!」

「湊さんも……」

 

 私は思ってしまった。果たしてこの二人に勝てるのか、と。

 

「さ~よ! 一緒にクッキー作ろっか!」

「クッキー、ですか?」

「そ! メンバーに渡す口実に、奏にも渡すの。そうすれば、奏も少しは意識してくれると思うよ?」

「そう、でしょうか……」

「そうそう☆ だから、一緒に奏を攻略しよっ☆」

「攻略って……でも、そうですね」

 

 ──奏さん。いつかあなたにこの気持ちを伝えます。だから、これからもあなたの指導を受けさせてください。

 

 

 第二章 完




次回予告

いつも通りの日常に、突如やって来た。

「私、SWEET MUSIC SHOWERという音楽イベントの運営事務局の者です」
「SWEET MUSIC SHOWERってあの?」

次回、六人目の青薔薇 Neo-Aspect編

第一話「SWEET MUSIC SHOWER」

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