六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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大変お待たせいたしました。
今回より、Neo-Aspect編が始まります。


Neo-Aspect編
第一話 SWEET MUSIC SHOWER


「うっし、今日の練習はここまでだな」

 

 CiRCLEのスタジオで練習していた俺達。スタジオを出る時間が来たため、俺達は練習を終えた。

 

「みんなおっつかれー! ね、今日はちょっと早く終わったし、外のカフェに寄ってこーよ」

「さんせーさんせー!」

 

 リサがそう提案すると、あこは嬉しそうに賛成する。

 

「……まぁ良いわ。紗夜と燐子は?」

「少しなら……」

「わたしも……大丈夫です」

 

 友希那が紗夜と燐子に聞く。Roseliaは最初と比べて、だいぶ良い雰囲気になってきた。

 

「奏も行くでしょ? てか、行くよね?」

「俺は強制ですか……まぁ良いけどよ」

 

 こうして俺達は外のカフェでお茶をすることになった。

 それぞれ注文したものが届き、俺達は一息入れる。

 

「今日の練習も楽しかったーっ! ね、りんりん!」

「うん……良い練習ができたね……」

「オリジナルの曲もだいぶ良くなってきたし、そろそろ新曲を考えても良いかもな」

「新曲!? やったー!」

 

 俺が新曲を提案すると、あこはとても嬉しそうにはしゃぐ。

 

「そう言えば紗夜、来週一緒にクッキー作るって話してた件だけどさ……」

 

 リサの発言に、あこと俺は驚いた。

 

「えっ! 紗夜さんとリサ姉、一緒にクッキー作るの!?」

「珍しいな、紗夜がクッキーを作るなんて。なんか気持ちの変化でもあったのか?」

「い、今井さん……! その話はあまり大きな声でしてほしくないと言った筈です! それに奏さん! 私がクッキーを作ってたらおかしいですか!?」

「いや、別にそうは言ってないけど……」

 

 顔を真っ赤にして言ってくる紗夜に、少したじろぐ俺。

 

「さ~よ。そんな事言っちゃダメでしょ? 仮にも渡す相手は──」

「今井さん!」

 

 更に顔を赤らめる紗夜。リサの奴、何て言おうとしたんだ? 

 

「あなた達の作るクッキーにはRoseliaの練習パフォーマンスをアップする効果がある気がするの。楽しみにしているわ」

「……それ、ただ単にお前がクッキー食べたいだけじゃ──」

「フン!」

「痛っ!」

 

 友希那に足を踏まれた。かなり痛い……。と言うか、図星かよ。

 

「余計なことを言わないでくれる?」

「は、はい……すみません……」

「すみません、Roseliaの皆さんですか?」

 

 すると背後から、声を掛けてきた女性が来た。

 

「はい、そうですが……」

「私、SWEET MUSIC SHOWERという音楽イベントの運営事務局の者です」

「SWEET MUSIC SHOWERって、あの?」

「奏、知ってるの?」

「あぁ。実際に見た事は無いが、聞いた事がある。確かFUTURE WORLD FES.に出た事があるバンドも多く出演しているイベントだとか」

 

 その一言に、一同は驚いていた。

 

「それで、その事務局の方がどうして」

「はい。今日はみなさんに、このイベントに出演していただきたく、こちらに伺いました」

「出演ですか……」

「はい。ジュニア枠という形で出演する形になりますが、いかがでしょうか?」

 

 ジュニア枠。それはプロのバンドの前に演奏する枠。いわゆる、前座のようなものだ。

 

「奏。あなたが決めて頂戴」

「え?」

「あなたはRoseliaのマネージャーよ。決定権はあなたにあるわ」

 

 友希那が真剣な表情で言ってくる。他のメンバーを見ると、俺をみて頷いていた。確かに、こんなチャンス滅多に無い。

 

「分かりました。そのお話し、お受けします」

「本当ですか! ありがとうございます。それではこちらが詳細になりますので、良く読んでおいてください。それでは失礼します」

 

 書類を渡され、その場を去った。

 

「っつーことだ。本番まで数日。気合入れてかないとな」

「そうね。FUTURE WORLD FES.に繋げられるような演奏をしましょう」

「今井さん。クッキー作りはSMSが終わってからにしましょう」

「まー、しょうがないよね。りょーかい! 終わってからゆっくりやろう♪」

「さて、SMSに合わせて練習量を増やさないといけない訳だが……」

「そうですね……本番で、良い演奏が出来るように……頑張りましょう……」

 

 こうしてRoseliaのSMS出演が決まった。

 だが、この時気付かなかった。少しづつ、歯車が狂い始めている事に……

 そして、俺自身の異変に……




次回予告

遂に始まったSMS。メンバーの調子は好調。その筈だったのに……

次回、六人目の青薔薇 Neo-Aspect編

第二話「去り行く客」

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