SMSが終わって数日。初めてRoseliaが練習する日が来た。
「よし。それじゃ始めてくれ」
そしてRoseliaが演奏を始めた。俺はその様子を見ていた。
「──っ!」
俺は言葉が出なかった。
──色が……見えない……?
五人の音から感じる輝く色が見られなかったのだ。それだけではない。SMS前に比べて、音の聴き分けが出来なくなっていた。
──どうなってやがる……なぜ聴き分けが出来ない……!
「──で、奏!」
「はっ! わ、悪い」
「あなた、顔色悪いわよ。体調でも優れないのかしら」
俺はスタジオの鏡を見る。確かに、顔が真っ青になっていた。変な汗も出る。
──何だ……この感覚…………
「あなた、今日は休んだら? 幸いここは自分の家なんだし、ゆっくりしてなさい」
「あ、あぁ……」
友希那にそう言われ、俺はスタジオを出て行く。
友希那の言う通り、きっと体調が優れないのだろう。俺は部屋に戻り、ゆっくりと寝息を立てた。
☆☆★☆☆
SMSが終了して、私は家で何がダメか考えていた。
──演奏は以前よりも良くなっている筈。なのに、何がいけなかったと言うの……?
気になったのは、スタッフの一言。
『もしかして緊張してました? なんかいつもと印象が違ったので』
──印象が、違う……
その答えが分からぬまま、練習の日を迎えた。
「よし。それじゃ始めてくれ」
奏の一言で、私達は演奏を始めた。
歌っている時、奏の顔が見えた。すると、奏は目を見開いて固まってしまった。そして、顔色もだんだんと悪くなる。
演奏が終わり、リサが声を掛ける。それに驚く奏。やはり、何かあったに違いない。
そんな奏を見かねた私は、奏に休むよう催促する。するとゆっくりと立ち上がり、スタジオを出て行った。
「奏さん、大丈夫でしょうか……」
「奏がいないのは痛いけど、私達は練習を続けるわよ。さっきの二つ前から」
「……」
「あこ? カウントをお願い」
「あ、は、はい……!」
私達は音を取り戻さないといけない。だから、練習してその答えを見出すしかない。
暫く練習をしていると、終わりの時間が近付いていた。
「……そろそろ終わりの時間ですね」
「それぞれ躓いた所を次までに必ず潰しておくこと。それじゃあ、今日はここまで。各自片付けましょう」
私が言うと、労いの言葉を各々にかける。
──メンバーで合わせてみても分からないわ……何故、SMSの演奏は受け入れられなかったのか。
その時、もう一人のメンバーの顔が浮かぶ。
──奏なら、何か分かると思ったのだけれど……
「ゆーきな! クッキー食べる?」
考え込んでいると、リサが声を掛けてきた。
「今井さん、一緒にクッキーを作る約束をしていたのに……一人で作ってしまったの?」
そして紗夜が、リサに話しかける。
「あはは~ごめんごめん。なんかほら、これは別って言うか? SMSではちょっと……うまくいかなかったけどさ、アタシ達もまだまだなんだなって改めて分かったし! これからも頑張って行こー! 的な?」
その時のみんなの姿を見て、どこか以前と違う所が見えた。
──もしかして……
他のメンバーが話している中、私は一つの答えを出した。
「リサ」
「ん? どうしたの?」
「……もう、クッキーは作って来なくていい。必要ないわ」
私の言葉に、全員が驚く。
「それじゃ、私はこれで」
そう言ってスタジオを出る。奏のおばさんに挨拶をして、家に帰る。
──私達は、取り戻さなくてはならない……私達の歌を。私達の、張り詰めた思いを──。
次回予告
調子を取り戻すため、一週間練習を休んだ俺。だが、力が戻ってくることは無かった。さらに気になったのは、メンバーの雰囲気だった。
次回、六人目の青薔薇 Neo-Aspect編
第四話「狂った歯車」
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