六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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第八話 Roseliaを取り戻すために

「はぁ……」

「どうしたんだあこ? 溜め息なんてついて」

 

 あこが溜め息をついていると、おねーちゃんが声を掛けてきた。

 

「そう言えば最近練習も行ってないみたいだし……何かあったのか?」

「うん……実はね──」

 

 あこはこの間Roseliaに起きた事をおねーちゃんに話した。

 

「成程な~」

「あこ、どうしたらいいか分かんなくて……このままじゃRoseliaがRoseliaじゃ無くなっちゃう気がして……」

「あこはさ、Roseliaは好きか?」

 

 すると、おねーちゃんが当たり前な事を聞いて来た。

 

「当たり前じゃん! 友希那さんも、紗夜さんも、リサ姉も、りんりんも、奏さんもみんな大好きだよ!」

「そっか。その気持ちを形にすればいいんじゃないか?」

「形に?」

「多分今のRoseliaは、目指すものは一緒でも、気持ちがバラバラなんだと思う。ウチらもそうだった。でも、みんながそれぞれバンドが大切に思ってて、自分達の大切な居場所だって言いあえたら、きっと自然にバンドは元に戻るって」

「そう言うもんかな……」

「そう言うもんさ」

「そっか……ありがとおねーちゃん! 少しは気が楽になったよ!」

「そりゃ良かった! 元に戻ると良いな」

「うん!」

 

 ──頑張ってRoseliaを元に戻すんだ! 

 

 そう意気込んで、あこはりんりんに連絡を入れた。

 

 ☆☆★☆☆

 

 わたしは一人、部屋で衣装を眺めていた。

 

 ──練習していなくても、Roseliaの事……考えてる。

 

 その時、衣装にほつれがあるのが目に入った。

 

 ──衣装がほつれてる……直しておこうかな……

 

 衣装を手に取り、今までのRoseliaを振り返った。

 

 ──最初はあこちゃんに言われて、奏さんに会ったんだっけ……

 

 あこちゃんはNFOの事って言ってたけど、実際は違った。奏さんはわたしの事を全部知ってた。それを知ったうえで、Roseliaに誘ってきた。最初はこんなわたしがって思っていたけど、奏さんに言われて、わたしは決意した。バンドがしたい。そしてわたしはRoseliaに入った。

 

 ──そして、初めて作った衣装……。

 

 FWFに向けたコンテスト様に作った衣装。わたし達がRoseliaでいられる、とても大切な衣装。

 

 ──また、着たいな……

 

 すると、あこちゃんからメッセージが来た。

 

『りんりん! Roseliaを取り戻そう!』

 

 ──あ、もしかして……

 

『あこちゃん。わたし、あこちゃんと同じこと考えてるよ』

 

 するとあこちゃんから着信が入る。わたしはすぐ電話に出た。

 

「りんりん! あこも一緒に衣装考えてもいい?」

「うん……良いよ。こんなのどうかな……?」

 

 わたしは以前より考えていた衣装のモチーフをあこちゃんに見せる。

 

「う~ん……なんか可愛すぎない? ちょっとリサ姉みたいにカッコいい感じには似合わないかも……」

「ふふっ……」

「どうしたの?」

「ううん。いつもあこちゃん、Roseliaの事カッコいいって言ってるなって思って……」

「Roseliaはカッコいいよ! こう……バーンっ! ドカーンっ! みたいな感じで!」

「そうだね。あこちゃん」

「ん?」

「Roselia……取り戻そうね……!」

「……うん!」

 

 こうしてわたし達は衣装の話に花を咲かせた。

 

 ☆☆★☆☆

 

 アタシと紗夜はスタジオでひたすら練習していた。けど、こうして練習しているだけで良いのか、本当は分からない。

 

「紗夜~……ホントに練習しているだけで良いのかなあ?」

「宇田川さん達や湊さん、そして奏さんが練習に来ない以上、私達でRoseliaの音を守らなければならないでしょう。今、誰もRoseliaの楽曲を練習しなくなったら、それこそ崩壊してしまう気がして……」

「紗夜、ホント変わったね。やっぱり、ヒナとの約束があるから?」

「まあ、そうね。だから私個人がここで立ち止まる訳にはいかないのよ」

「私個人が……ねぇ……ん? わかった!! Roseliaの取り戻し方!」

 

 アタシは思いついた事を紗夜に話す。

 

「成程……つまり私達はRoseliaというバンドをやっていながら、個に囚われていた、と……」

「うん。そうすればあの時燐子が言った、『誰も音を聞いていない』って言うのが説明つくんだよね。アタシ達は同じものを目指してきたけど、ホントに目指せていたのか。ゴールは一緒でも、道はバラバラなんじゃないかってね……」

「宇田川さんも言ってました。『六人で出す音は超カッコいい』と。一番Roseliaを見ていたのは、白金さんと宇田川さんみたいですね」

「でも、ちょっと腑に落ちないんだよね。そういうのに気付くのって、大体奏じゃん? 何で今回は気付かなかったんだろう……」

「もしかしたら、音が聞き取れない事とかに関係しているかもしれませんね……奏さん自身も、何か気持ちの変化があったとか?」

 

 気持ちの変化、か……いつも音楽に一生懸命で、Roseliaの事を考えている奏なのに……

 

「取り敢えず、Roseliaを取り戻すには、宇田川さんと白金さんの力が必要みたいね」

「そうだね。早速行こうか。二人の所に」

 

 アタシ達はスタジオを出て、まずはあこの家に行った。すると巴が出てきて、あこは最近、燐子の家で衣装を作っているとの事。それを聞いたアタシ達は、燐子の家に向かうのだった。

 

 ☆☆★☆☆

 

「また来たよ、先生……」




 次回予告

 第二の故郷に戻って来た奏。その心の内に秘めているのは何か。そして嘗てのバンド仲間と再会する。そこで語られるのは何か。

 次回、六人目の青薔薇 Neo-Aspect編

第九話「どんな気持ちで~奏side~」



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