「はぁ……」
「どうしたんだあこ? 溜め息なんてついて」
あこが溜め息をついていると、おねーちゃんが声を掛けてきた。
「そう言えば最近練習も行ってないみたいだし……何かあったのか?」
「うん……実はね──」
あこはこの間Roseliaに起きた事をおねーちゃんに話した。
「成程な~」
「あこ、どうしたらいいか分かんなくて……このままじゃRoseliaがRoseliaじゃ無くなっちゃう気がして……」
「あこはさ、Roseliaは好きか?」
すると、おねーちゃんが当たり前な事を聞いて来た。
「当たり前じゃん! 友希那さんも、紗夜さんも、リサ姉も、りんりんも、奏さんもみんな大好きだよ!」
「そっか。その気持ちを形にすればいいんじゃないか?」
「形に?」
「多分今のRoseliaは、目指すものは一緒でも、気持ちがバラバラなんだと思う。ウチらもそうだった。でも、みんながそれぞれバンドが大切に思ってて、自分達の大切な居場所だって言いあえたら、きっと自然にバンドは元に戻るって」
「そう言うもんかな……」
「そう言うもんさ」
「そっか……ありがとおねーちゃん! 少しは気が楽になったよ!」
「そりゃ良かった! 元に戻ると良いな」
「うん!」
──頑張ってRoseliaを元に戻すんだ!
そう意気込んで、あこはりんりんに連絡を入れた。
☆☆★☆☆
わたしは一人、部屋で衣装を眺めていた。
──練習していなくても、Roseliaの事……考えてる。
その時、衣装にほつれがあるのが目に入った。
──衣装がほつれてる……直しておこうかな……
衣装を手に取り、今までのRoseliaを振り返った。
──最初はあこちゃんに言われて、奏さんに会ったんだっけ……
あこちゃんはNFOの事って言ってたけど、実際は違った。奏さんはわたしの事を全部知ってた。それを知ったうえで、Roseliaに誘ってきた。最初はこんなわたしがって思っていたけど、奏さんに言われて、わたしは決意した。バンドがしたい。そしてわたしはRoseliaに入った。
──そして、初めて作った衣装……。
FWFに向けたコンテスト様に作った衣装。わたし達がRoseliaでいられる、とても大切な衣装。
──また、着たいな……
すると、あこちゃんからメッセージが来た。
『りんりん! Roseliaを取り戻そう!』
──あ、もしかして……
『あこちゃん。わたし、あこちゃんと同じこと考えてるよ』
するとあこちゃんから着信が入る。わたしはすぐ電話に出た。
「りんりん! あこも一緒に衣装考えてもいい?」
「うん……良いよ。こんなのどうかな……?」
わたしは以前より考えていた衣装のモチーフをあこちゃんに見せる。
「う~ん……なんか可愛すぎない? ちょっとリサ姉みたいにカッコいい感じには似合わないかも……」
「ふふっ……」
「どうしたの?」
「ううん。いつもあこちゃん、Roseliaの事カッコいいって言ってるなって思って……」
「Roseliaはカッコいいよ! こう……バーンっ! ドカーンっ! みたいな感じで!」
「そうだね。あこちゃん」
「ん?」
「Roselia……取り戻そうね……!」
「……うん!」
こうしてわたし達は衣装の話に花を咲かせた。
☆☆★☆☆
アタシと紗夜はスタジオでひたすら練習していた。けど、こうして練習しているだけで良いのか、本当は分からない。
「紗夜~……ホントに練習しているだけで良いのかなあ?」
「宇田川さん達や湊さん、そして奏さんが練習に来ない以上、私達でRoseliaの音を守らなければならないでしょう。今、誰もRoseliaの楽曲を練習しなくなったら、それこそ崩壊してしまう気がして……」
「紗夜、ホント変わったね。やっぱり、ヒナとの約束があるから?」
「まあ、そうね。だから私個人がここで立ち止まる訳にはいかないのよ」
「私個人が……ねぇ……ん? わかった!! Roseliaの取り戻し方!」
アタシは思いついた事を紗夜に話す。
「成程……つまり私達はRoseliaというバンドをやっていながら、個に囚われていた、と……」
「うん。そうすればあの時燐子が言った、『誰も音を聞いていない』って言うのが説明つくんだよね。アタシ達は同じものを目指してきたけど、ホントに目指せていたのか。ゴールは一緒でも、道はバラバラなんじゃないかってね……」
「宇田川さんも言ってました。『六人で出す音は超カッコいい』と。一番Roseliaを見ていたのは、白金さんと宇田川さんみたいですね」
「でも、ちょっと腑に落ちないんだよね。そういうのに気付くのって、大体奏じゃん? 何で今回は気付かなかったんだろう……」
「もしかしたら、音が聞き取れない事とかに関係しているかもしれませんね……奏さん自身も、何か気持ちの変化があったとか?」
気持ちの変化、か……いつも音楽に一生懸命で、Roseliaの事を考えている奏なのに……
「取り敢えず、Roseliaを取り戻すには、宇田川さんと白金さんの力が必要みたいね」
「そうだね。早速行こうか。二人の所に」
アタシ達はスタジオを出て、まずはあこの家に行った。すると巴が出てきて、あこは最近、燐子の家で衣装を作っているとの事。それを聞いたアタシ達は、燐子の家に向かうのだった。
☆☆★☆☆
「また来たよ、先生……」
次回予告
第二の故郷に戻って来た奏。その心の内に秘めているのは何か。そして嘗てのバンド仲間と再会する。そこで語られるのは何か。
次回、六人目の青薔薇 Neo-Aspect編
第九話「どんな気持ちで~奏side~」
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