六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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週一投稿目指して頑張ります。


第十話 青薔薇の誇り

 あことりんりんは衣装を作っていた。りんりんの家に泊って、寝る間も惜しんで作った。そして──

 

「衣装……」

「できたーっ!」

 

 遂に衣装が完成したのだ。

 

「手伝ってくれてありがとね、あこちゃん……」

「ううん! この衣装作ってるとき、Roseliaが好きだーって改めて思えたもん! 早くみんなに来てほしいな!」

「そうだね……わたしも、みんなに来てほしいかな……」

 

 その時、りんりんの家のベルが鳴った。誰か来たみたいだ。

 りんりんがドアを開けると、そこにいたのはリサ姉と紗夜さんだった。

 

「お邪魔します」

「お邪魔しま~す!」

「リサ姉に、紗夜さん!? どうしたんですか?」

「巴さんから、二人が最近、白金さんのお家で衣装を作っていると聞いたもので」

「そ、そうだったんですね……」

「でも、どうしてここに……」

 

 りんりんが声を震わせて聞く。もしかして、怒りに来たのかな……

 

「二人が練習を飛び出しちゃった理由が分かったの」

「だからこそ、お二人に力を貸してほしい」

「どういうことですか?」

 

 紗夜さんとリサ姉が説明してくれた。あこ達は同じ目標を持っていながら、同じ方向を見ていなかったと。個に囚われていた、と。でも、あことりんりんだけが、集団を意識していたと説明してくれた。

 

「アタシ達がもう一度Roseliaを取り戻すには、みんな全員、Roseliaである事をもう一回意識しないといけないかなって思って……」

「わたし達も、同じ事、考えてました……」

「ホントッ!?」

「うん。あこ達もどうやったらRoseliaが戻るかなって……そう思って衣装を作ってたんだ。あこ、Roseliaが大好きだから!」

「その気持ち、これからのRoseliaにとって、とても大切なものになると思うわ。その気持ちは、Roseliaに誇りを持っているという事だから」

「勿論です! あこはRoseliaに誇りを持っています! でも……」

 

 ふと思った。確かにRoseliaの中で集団を意識していたのは、あことりんりんかもしれない。けど、それ以上に意識している人がいる筈だ。

 

「でも、何ですか?」

「一番集団を意識していたのは、奏さんじゃないんですか? いつもあこ達の事を考えてくれているから、てっきりそうなのかと……」

「奏さんは……どうしたんですか……?」

 

 あことりんりんが聞くと、リサ姉と紗夜さんが先程とは違う表情をする。何か隠している様な、そんな感じ。

 

「紗夜さん、リサ姉?」

「紗夜、どうする?」

「言った方が良いでしょう。彼もRoseliaの一員です」

「なにか、あったんですか……?」

「実は──」

 

 紗夜さんが話してくれた。奏さんが音楽の才能、というより絶対音感を失ったと。そして、Roseliaを辞めると言った事も。

 

「じゃああの時、奏さんが練習に来なかったのは……」

「自分なりに答えを見つけようとしてたみたい。でも、結果は空振りに終わっちゃったって……」

「そんな、あこ……奏さんに酷いことを……」

 

 あこは奏さんの事を知らずに、練習に来ないで何やってたんだと言ってしまった。奏さんは、苦しんでいたのに……

 

「あ、あこ!?」

 

 気が付いたら大粒の涙を流していた。

 

「いつもRoseliaの事を考えてくれていたのに……奏さんが苦しんでいる時に力になれなかった……」

「あこちゃん……」

 

 ──あこ、ここはもう少し落ち着いて叩いた方がいいぞ。

 ──あこ、今の所早かったな。もっと周りの音を聞け。

 ──よくやった。凄いぞあこ。

 

「あこやだよ! 奏さんがRoselia辞めちゃうの!」

 

 奏さんがRoseliaを辞める。考えただけで胸が苦しい。

 

「お兄ちゃんの様に慕ってたもんね、あこ」

 

 お兄ちゃん……確かに奏さんはあこの事を妹の様に接してくれてる。でも、それじゃ嫌なんだ。だってあこ、奏さんが好きなんだもん。いつからかは分からない。音楽に直向きになっている奏さんがカッコよくて、それで……

 

「気付いたら奏さんが好きになってた」

「そっか……」

「まさか宇田川さんまで……」

「もしかして、リサ姉達も?」

「そうだよ。アタシと友希那は勿論、紗夜も」

「ええ!? 紗夜さんも!?」

「私が異性を好きになってはおかしいですか!?」

「いや、そうは言ってませんが……」

「奏さんの熱心な指導に、気が付いたら心を奪われてしまいました。だからこそ、奏さんを戻したいのです」

「奏がいない今、アタシ達がやらないと。そして、Roseliaを取り戻して、奏も元に戻す!」

「頑張らないとね! りんりん!」

「そう、だね……」

 

 何とかして奏さんを元に戻す。その為にはRoseliaを取り戻さないと。Roseliaに誇りを持って。

 

「そう言えばりんりんは奏さんの事好きなの?」

「私は、まだわからないかな……そう言った感情は……」

「そっか。もしりんりんが奏さんの事好きになっても、負けないからね!」

「う、うん……」

 

 奏さん。いつかこの気持ち、伝えますからねっ!




 次回予告

 燐子とあこが練習に戻り、あとは友希那のみとなった。紗夜は友希那に接触し、何を語るのか。そして、友希那の答えは……

 次回、六人目の青薔薇 Neo-Aspect編

 第十一話「Roseliaの……」
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