六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

62 / 62
週一投稿目指して頑張ります。


第十話 青薔薇の誇り

 あことりんりんは衣装を作っていた。りんりんの家に泊って、寝る間も惜しんで作った。そして──

 

「衣装……」

「できたーっ!」

 

 遂に衣装が完成したのだ。

 

「手伝ってくれてありがとね、あこちゃん……」

「ううん! この衣装作ってるとき、Roseliaが好きだーって改めて思えたもん! 早くみんなに来てほしいな!」

「そうだね……わたしも、みんなに来てほしいかな……」

 

 その時、りんりんの家のベルが鳴った。誰か来たみたいだ。

 りんりんがドアを開けると、そこにいたのはリサ姉と紗夜さんだった。

 

「お邪魔します」

「お邪魔しま~す!」

「リサ姉に、紗夜さん!? どうしたんですか?」

「巴さんから、二人が最近、白金さんのお家で衣装を作っていると聞いたもので」

「そ、そうだったんですね……」

「でも、どうしてここに……」

 

 りんりんが声を震わせて聞く。もしかして、怒りに来たのかな……

 

「二人が練習を飛び出しちゃった理由が分かったの」

「だからこそ、お二人に力を貸してほしい」

「どういうことですか?」

 

 紗夜さんとリサ姉が説明してくれた。あこ達は同じ目標を持っていながら、同じ方向を見ていなかったと。個に囚われていた、と。でも、あことりんりんだけが、集団を意識していたと説明してくれた。

 

「アタシ達がもう一度Roseliaを取り戻すには、みんな全員、Roseliaである事をもう一回意識しないといけないかなって思って……」

「わたし達も、同じ事、考えてました……」

「ホントッ!?」

「うん。あこ達もどうやったらRoseliaが戻るかなって……そう思って衣装を作ってたんだ。あこ、Roseliaが大好きだから!」

「その気持ち、これからのRoseliaにとって、とても大切なものになると思うわ。その気持ちは、Roseliaに誇りを持っているという事だから」

「勿論です! あこはRoseliaに誇りを持っています! でも……」

 

 ふと思った。確かにRoseliaの中で集団を意識していたのは、あことりんりんかもしれない。けど、それ以上に意識している人がいる筈だ。

 

「でも、何ですか?」

「一番集団を意識していたのは、奏さんじゃないんですか? いつもあこ達の事を考えてくれているから、てっきりそうなのかと……」

「奏さんは……どうしたんですか……?」

 

 あことりんりんが聞くと、リサ姉と紗夜さんが先程とは違う表情をする。何か隠している様な、そんな感じ。

 

「紗夜さん、リサ姉?」

「紗夜、どうする?」

「言った方が良いでしょう。彼もRoseliaの一員です」

「なにか、あったんですか……?」

「実は──」

 

 紗夜さんが話してくれた。奏さんが音楽の才能、というより絶対音感を失ったと。そして、Roseliaを辞めると言った事も。

 

「じゃああの時、奏さんが練習に来なかったのは……」

「自分なりに答えを見つけようとしてたみたい。でも、結果は空振りに終わっちゃったって……」

「そんな、あこ……奏さんに酷いことを……」

 

 あこは奏さんの事を知らずに、練習に来ないで何やってたんだと言ってしまった。奏さんは、苦しんでいたのに……

 

「あ、あこ!?」

 

 気が付いたら大粒の涙を流していた。

 

「いつもRoseliaの事を考えてくれていたのに……奏さんが苦しんでいる時に力になれなかった……」

「あこちゃん……」

 

 ──あこ、ここはもう少し落ち着いて叩いた方がいいぞ。

 ──あこ、今の所早かったな。もっと周りの音を聞け。

 ──よくやった。凄いぞあこ。

 

「あこやだよ! 奏さんがRoselia辞めちゃうの!」

 

 奏さんがRoseliaを辞める。考えただけで胸が苦しい。

 

「お兄ちゃんの様に慕ってたもんね、あこ」

 

 お兄ちゃん……確かに奏さんはあこの事を妹の様に接してくれてる。でも、それじゃ嫌なんだ。だってあこ、奏さんが好きなんだもん。いつからかは分からない。音楽に直向きになっている奏さんがカッコよくて、それで……

 

「気付いたら奏さんが好きになってた」

「そっか……」

「まさか宇田川さんまで……」

「もしかして、リサ姉達も?」

「そうだよ。アタシと友希那は勿論、紗夜も」

「ええ!? 紗夜さんも!?」

「私が異性を好きになってはおかしいですか!?」

「いや、そうは言ってませんが……」

「奏さんの熱心な指導に、気が付いたら心を奪われてしまいました。だからこそ、奏さんを戻したいのです」

「奏がいない今、アタシ達がやらないと。そして、Roseliaを取り戻して、奏も元に戻す!」

「頑張らないとね! りんりん!」

「そう、だね……」

 

 何とかして奏さんを元に戻す。その為にはRoseliaを取り戻さないと。Roseliaに誇りを持って。

 

「そう言えばりんりんは奏さんの事好きなの?」

「私は、まだわからないかな……そう言った感情は……」

「そっか。もしりんりんが奏さんの事好きになっても、負けないからね!」

「う、うん……」

 

 奏さん。いつかこの気持ち、伝えますからねっ!




 次回予告

 燐子とあこが練習に戻り、あとは友希那のみとなった。紗夜は友希那に接触し、何を語るのか。そして、友希那の答えは……

 次回、六人目の青薔薇 Neo-Aspect編

 第十一話「Roseliaの……」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

のんびり口調の可愛い妹(作者:ブリザード)(原作:BanG Dream!)

マイペースでのんびりとした口調の妹とその兄と妹の幼馴染の日常的なお話。


総合評価:2232/評価:8.35/連載:38話/更新日時:2023年04月06日(木) 10:00 小説情報

「立希さんが可愛いすぎる」「えっ?」(作者:Tmouris_)(原作:BanG Dream!)

最近、妙に気になる子がいる。▼黒髪で、口が悪くて、燈さんのことになるとちょっと面倒くさい。▼「それ、りっきーみたいだね」▼「え、そうだよ。立希さんのことだもん」▼椎名立希が可愛すぎる。ただそれだけのお話。


総合評価:176/評価:7.88/短編:9話/更新日時:2026年09月25日(金) 11:39 小説情報

千早愛音は恋愛弱者である(作者:腸煮えくり返り丸抜刀)(原作:BanG Dream!)

千早ってオリ主と殴り合うのは似合うけど付き合うのは解釈不一致かもしれない。


総合評価:341/評価:8.08/連載:5話/更新日時:2026年09月16日(水) 18:20 小説情報

帆羽くれあヤンデレ概念(作者:あわわぜ)(原作:名探偵プリキュア!)

▼普段は清楚で大人びたお姉さんキャラが、好きな人にだけちょっと重めの愛を向けてくれる。そういうのってなんかいいよねって話。▼普通に一発ネタです。


総合評価:1330/評価:9.08/連載:12話/更新日時:2026年09月12日(土) 00:45 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>