六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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第五話 るんっ♪ て来た

「何か、るんっ♪ てくるね!」

「――――はぁ?」

 

 突然理解不な言葉を言われた。なんだよるん♪って。

 

「ねぇねぇかー君!」

「か、かーくん!?」

 

 なんかもう、処理が追い付かない。いきなりか―君なんて言われる始末。

 

「そう! "かなで"だから"かー君"。良いでしょ?」

「ま、まぁ……」

 

 ――リサ、どうにかしてくれ!

 

 そう言う意味を込めた目でリサを見る。するとリサもお手上げなのか、首を横に振る。マジかよ……

 

「どうしてかー君は女子科なの? もしかして変態さん?」

 

 ――変人に言われたくねぇよ!

 

 そう思いつつ、俺は日菜と呼ばれた子の質問に答える。その時、クラスの人が耳をこちらの話に耳を傾けている様にも感じた。

 

「二年で男子は俺だけだから、男子科で一人でやらせるより、女子科で一緒に勉強するといいとありがたくもない事を理事長から言われたんだよ」

「ふ~ん。なんかるんっ♪ て来た!」

 

 そう言って顔をまた近づける。

 

「ねぇ、そのるんっ♪ てなに?」

「ん? るんっ♪ はるんっ♪ だよ?」

 

 ダメだこいつ……話が通じない……

 

「まぁまぁ日菜も落ち着いて。日菜、時々分からない事言うけど、全然悪い子じゃないから、仲良くしてあげて?」

「別に良いけどさ……。日菜、さん? そろそろ離れてくれない? 近いんだけど……」

 

 限界を感じた俺は離れるよう催促する。すると膨れた顔で離れてくれた。少し可愛いと思ってしまった。

 すると始業の鐘が鳴り、担任が入ってくる。

 

「よ~し、これからHRはじめるぞ~。その前に内田、前へ」

 

 先生から名指しされ、俺は前に行く。

 

「え~、今年からこの高校に転入した内田奏だ。訳あって内田は男子科ではなく女子科で勉強させる。安心しろ。体育は男子科の一年と一緒にやらせるから。それにこいつは頭良いから、明日行われる学園統一試験に向けて教えてもらうと良い。では内田、自己紹介を」

 

 殆ど先生が言ったせいで、言うことないんですけど……

 

「えっと……ご紹介に上がりました内田奏です。父の仕事の都合で、転校してきました。女子科にたった一人の男子で狭苦しいし、皆さんも何かしら警戒していると思いますが、特にこちらから行動を起こす気はないので安心して下さい。このクラスで一年間、宜しくお願いします」

 

 俺がお辞儀すると、教室内では拍手が起きる。何とか受け入れてもらったようだ。

 その後自分の席に戻り、今後の予定や明日の試験の事などの説明を聞き、下校という事だった。始業式? 理事長の話が長かったとだけ言っておこう。あと周りが女子、女子、女子。他のクラスの女子の視線もめっちゃ感じた。

 

「奏~、一緒に帰ろ~」

「おう」

 

 下校準備をしている時、リサが荷物を持って俺の席に来た。

 

「友希那は?」

「友希那はもう帰っちゃったみたい……今日もライブハウスかな」

「そっか」

 

 リサは寂しそうな表情をする。リサと友希那の壁は、今だに開いたままだ。

 

「ま、お前が思いつめることはないさ。それより、今日俺んちにきて飯作ってくれないか? 親父とお袋両方いないからさ」

「良いけど……奏は料理できないの?」

「メンドクサイ」

 

 俺の発言に、リサは苦笑いをする。そこに、例の女の子がやって来た。

 

「なになに? これからリサちー、かー君の家に行くの?」

「う、うん」

 

 リサも戸惑っている様子。すると日菜さんも何か思ったのか、目を光らせてこう言った。

 

「ねぇ、私もかー君の家に行っていい? 何かるんっ♪ てきそう!」

「は、はぁ!?」

「ひ、ひひひひひひ日菜!? どうしたの急に!?」

 

 リサがもの凄くテンパっているのが分かる。何回"ひ"を連呼してたんだよ。

 

「別にいいじゃん! 一回男子の家に行ってみたかったし、リサちーのご飯も食べてみたいし! 今考えただけでもるんっ♪ てくるね!」

 

 ――いや、るんっ♪ てこなくて良いから!

 

「じゃあそういう訳で、レッツゴー!」

 

 そう言って日菜さんは俺の手を取り、そそくさと先を歩くのだった。そして俺は日菜さんに引っ張られる形となり、リサはその俺の後ろを付いて行く形となった。

 

「そう言えば、私の事は呼び捨てで良いよ!」

 

 ……どうやら心も読めるようだ。この先が思いやられる、そう思った俺だった。

内田奏(主人公)を他のバンドと絡ませる?

  • 絡ませる
  • 数名だけ絡ませる
  • Roseliaだけで良い

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