幻想小心最強の少年   作:ヌメサビ

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今回はシリアス展開があります。
ご注意ください

注意:作者は東方を熟知していません。
   東方キャラの性格等を間違える可能性があります
その際はご指摘願います。
   一部キャラの崩壊が起きる可能性があります。

それでもよいという方はそのままお進みください。


第5話

 第5話 父の願い

 

『人里』

 

人間の里の大通り、活気溢れる通りに

西崎亭店主の娘、西崎 梨花が調味料を買いに来ていた

 

「よし、大体買ったしあとは……」

 

「おーい、梨花~!」

 

後ろを振り向くと、梨花と同い年の娘二人が声を掛けてきた

二人とはとても仲が良さそうだ。

 

「あ、どうしたの?

また遊びに行ってたの?」

 

梨花の問いに首を横に振り後ろを指差した

 

「さっきまで仕事してたわよ、これから」

 

「茶屋に行くの、梨花も行かない?」

 

「…ごめんね、仕事があるから」

 

「そっかぁ、新しい人入ったから大丈夫だと思ったんだけど…

お父さんの腕まだ良くならない?」

 

「うん、でも回復していってるから

後数日すれば仕事出来ると思う」

 

「分かった、それじゃあね」

 

「あまり無理しないでよ」

 

二人は通りを歩いていった

梨花はそれを少し寂しげに見続けていた…

 

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『西崎亭』

 

人里大通りの端に構える料理店『西崎亭』

広々とした食堂に10以上のテーブル席の机を

手際よく拭く少年がいた

最近幻想郷にやって来た外来人、小野瀬優斗

今日は上下の学ランではなく、藍色の着物を着ている

はたから見れば少し見慣れない人里の人間にしか見えない

 

半分ほど拭き終わった僕は周りを見てみる

見るたびに違和感があった

明らかに収容人数と今の人手が釣り合ってなかった

飲食店って回転率とか気にしないといけないから

料理担当とか接客担当とかを人を雇ったりする

 

けれどここには僕だけしか従業員が居ない

間取りが間違ってるわけでもない

何故なら厨房も人数に合わせて作られているのか

四人くらいの人が調理できる広さで料理の供給も間に合うはず

そんなことを考えていると、買い物袋を持った梨花さんが帰ってきた

 

「あ、梨花さん。お疲れ様です!」

 

「うん、お疲れ様。

掃除終わったら休憩していいからね」

 

「大丈夫ですよ。

それよりも梨花さん、元気が無さそうですけど…」

 

心配そうな顔で梨花さんの顔を覗く

誰からみても元気が無いように見える

 

「本当に大丈夫だから、さあ!

今日もお昼は忙しいから頑張りましょ」

 

「はい、分かりました。」

 

意気込んだ様子で梨花さんは奥に入っていった

本人が大丈夫と言うならと僕も仕事を再開した

 

昼頃になるとお腹を空かせた人々が押し寄せてくる

他にも料理店があるはずがこの西崎亭にかなり集まっている

人里では有名になってきてると噂で聞く

僕の料理が珍しいと評判だったらしい

この店には外で仕事をしていた大工さんが

かなりの割合で入ってきている

 

「おーい、梨花ちゃん

牛丼4個と野菜炒め2個頼むわー」

 

「これは…なんの料理だ?」

 

「こちらはオムライスといって

トマトと玉ねぎと調味料で作ったソースを

お米に絡めてその上に卵でとじたものです

オムライスも新商品ですよ」

 

「へぇー、じゃあこれを頼もうかな」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

席は満席になり外にもなん組かの列が出来上がっていた

梨花さんは次々注文を取っていき、僕はひたすら料理を作る

そして出来た料理を梨花さんが運んでいった

 

僕が作った料理はお客さんの口に合っているのか

満足げに帰っていった

僕の料理で笑顔になってくれるのは料理人冥利に尽きるね

プロというわけじゃないけど……

 

しばらくすると、大和さんが診療所から帰ってきた

それを見たお客さん達が軽く挨拶する

皆大和さんと馴染みらしく。なにかと頼りにされている

と聞いていた

 

「どうも大和の旦那、どうだったんだ?」

 

「ああ、後少しだってよ。

心配かけたな、ありがとよ」

 

「いやぁ、旦那が妖怪に襲われたって聞いたときは

大丈夫だと思ってたんだけどな

まさかやられるとは…」

 

「確か数体もいたんだろ?

しかもあの霧の湖近くの森でよ」

 

なんでも、霧の湖で食材の魚を釣っているところで襲ってきたとか

大和さんは昔自警団に入っていてそこそこ強かったらしい

だから妖怪、特に下級妖怪の相手は慣れていた

けれどそれが数体も現れ、囲まれてしまったという

もしかしたらそのせいで腕を怪我してしまったんだと思う

 

「しかし霧の湖は妖精の溜り場だろ?

妖精が下級妖怪を追っ払ってるはずだし

妖怪だってあの湖には近づかないよなぁ…」

 

「けどよ、妖怪どもは妖怪の山に住んでるはずだ

なんであちこちに移ってんだ?

自警団も何してんだろうな…」

 

時折自警団という名前が聞こえる

確か自警団って人里を守ってる人達で

里に下級妖怪を近寄らせないようにする集団だったと思う

団員の大半が妖怪退治の専門家で武器の扱いに長けた人や簡単な結界を張ったりするらしい

といってもご先祖様のような力は残ってないらしく

かなり弱まってしまっている。

だから下級妖怪や盗賊を主な相手にしていて

それより強い妖怪等は霊夢に依頼することになっている

 

「小野瀬君、オムライス出来てる?」

 

「あ、はーい!どうぞー!」

 

梨花さんに声を掛けられ、スプーンを添えてお出しした。

とりあえず今は仕事に集中しよう

 

 

夕方になり、そろそろ閉店が近付いてきた

今日もたくさんのお客さんが来て大繁盛だった

大和さんも機嫌が良さそうだ

 

「いやぁ、こんなに繁盛したのは初めてじゃねえか?」

 

「そうよね、小野瀬君が来てから変わったわよね♪」

 

上機嫌なのは梨花さんも同じだった

二人ともニマニマしている

僕も表情には出なかったけど嬉しかった

僕の料理が役に立ってることに充実感を得ていたからかも

 

「あとは大丈夫ですから梨花さんも大和さんも休んでいてください。」

 

「そういうわけにはいかないわよ

ただでさえ小野瀬君に頼りっぱなしなのに…」

 

梨花さんは申し訳なさそうにそういった

もうお客さんあまり来ないだろうし大丈夫だと思うけど

それを聞いた大和さんが腕を組み、大きく頷いた

 

「料理も旨く、接客も掃除も得意、気配りも出来るときた

これはますますうちの婿に…」

 

「お父さん!そうはならないからね!?」

 

やっぱりそういう流れになっちゃったか……

大和さんは相変わらず僕をどうやって婿にするか考えているらしく

そのたびに梨花さんに怒られている。

今日も怒ってるよ、顔を赤くして……

梨花さんの怒りには段階があって、まずは普通に怒る

これはいわゆるレベル1

 

「いーや、優斗にはうちの婿になってもらう

これほどの有料物件は中々無いぞ!」

 

「だからって詰め寄らないでよ!

本人が嫌ならダメに決まってるでしょ!?」

 

言い争いみたいになる、そう言いながら台所に行く

これがレベル2、そろそろ始まる

この先なんだよなぁ、大和さんもこれくらいにしたらいいのに…

 

「梨花、お前だって満更でもないだろ?

覚えてるんだぜ?優斗に綺麗って言われたとき……」

 

そしてこれがレベル3、無言で…麺棒を手にし

顰めっつらで大和さんに歩み寄る

この状態の梨花さんに流石の大和さんも顔が青ざめ

なだめ始める

 

「おいおいおい!?獲物は反則だろ!?

な?とりあえずそれは置いて落ち着…」

 

食堂にガツンと音が響き、大和さんが頭を押え

 

「イッテエェェェェ!!!!」

 

そう叫びながらのたうち回る

それを僕は眺めることしか出来ない

1度止めようと思って立ち塞がったけど、あまりの怖さに体が動かず

そのまま通してしまったことがある。

人って怒るととても怖いんだと分かる

 

「お父さん、いい加減にしないと2発目いくよ?」

 

「す、すいません…勘弁してください…」

 

大和さんが正座して謝る

それが最近僕の見る日常…とりあえずこれが平和な象徴としてみている

大和さんが立ちあがり、おほんと咳ばらい

 

「さて、これ以上客が来ないだろうし

ここまででいいだろ、掃除して終わらせよう」

 

「いいの?早くない?」

 

「ああ、今夜は多めに仕込みをしときたいしな

昼はかなり客が来るからやっとかんときつくなる

というわけで優斗、悪いが掃除終わったら仕込み手伝ってくれ」

 

「はい、分かりました。」

 

確かに途中から材料の準備に手間とった時があるから

そうした方がいいと僕も思う

早速掃除を始めようとしたとき…

 

「ほお、まだ粘ってたんだな。西崎亭」

 

突然ガラリと戸が開き一人の男の人が入ってきた

ねずみ色の着物で首には高そうな首飾りを掛けていて

町民というより柄の悪そうな浪人のような風貌だった

どうしよ、お客さんかなぁ

僕が応対しようとする前に大和さんが口を開いた

 

「…何の用だ、平吉…」

 

どうやら知り合いみたいで名前で呼んだ

でも何故か大和さんの顔が突然険しくなった

え…急に怖くなった……

梨花さんを見ると、大和さんと同じ反応で明らかに友好的ではなかった

 

平吉という人はそれに動じることなく近くの椅子に腰掛け僕の方を見た

 

「おい、客が来てんだぞ?

水くらい用意できないのか?」

 

「あ、すみません…今お持ちし…」

 

「優斗、水は要らねえ」

 

大和さんが水を持ってこようとした僕を手で制した

見る限りかなり嫌っているみたいだ

それを見ながら平吉は笑い頬杖を突きながら

 

「酷いじゃないか?未来の夫を前にさぁ?」

 

未来の……夫!?え、じゃあ梨花さんの婚約者!?

じゃな…いよね…あんなに嫌ってるし

どういうこと…?とりあえず

梨花さんに近づいて小声で聞いてみる

 

「あの人誰ですか?」

 

「……佐々木、平吉…人里一の…外道よ」

 

怒り混じりに答えた、つまりは悪い人ってことだよね?

そんな人がなんでここに?

平吉を見ると目があった

え、見られてる!?、しかも…なんか不機嫌そうに

平吉が立ち上がるとゆっくりと僕の前に歩み寄る

僕より少し背が高く見下ろされる形になった

 

「で、あんたが最近幻想郷にやって来た外来人か?」

 

「は、はい…こ、小野瀬優斗です。

え…えっと、よろしくおねがっ……」

 

僕が挨拶する時、平吉の脚が上がり、突然腹部に衝撃が走る、僕は後ろの椅子を薙ぎ倒しながら蹴り飛ばされた

 

「小野瀬君!?」

 

僕の異常に気づいた梨花さんは僕に駆け寄って起こしてくれた

大和さんが何か怒鳴りながら平吉の胸ぐらを掴もうとするが

それより先に大和さんの腕を掴んだ

まだ傷が痛むらしく圧力を掛けられ、大和さんが怯んだ

 

「なんだよ、人里でも注目されてる外来人って

どんな男かと思いきや、こんな弱いガキだったとは

こんなんが婿なんて冗談よしてくれよ」

 

そう言いながら大和さんを見下ろした

この人、確かにとても悪い人だと分かる

梨花さんは立ち上がって、平吉に怒鳴った

初めて見る梨花さんの怒りだった

 

「いい加減にして!あんたのことは嫌いだって言ってるの!

お父さんの腕を放して早く出ていって!!」

 

「………俺に指図すんのか?

相変わらず気が強い女だよなぁ?

ま、そこが気に入ってんだけどよ」

 

大和さんの腕を離すと平吉はニヤニヤしながら

梨花さんに歩み寄る、梨花さんは後ずさるも平吉の

下衆な笑いは止まらない、梨花さんの手首を掴み

 

「こんな料理店で終わる女じゃねえぞ?

俺の女になればもっといい生活できるんだ

ガキが一人入ったところで変わらねえぞ?」

 

梨花さんは振りほどこうとするも

平吉の拘束がほどけなかった

僕は痛みを堪えながら立ち上がった

 

「…っ!…は…放して…下さい…!」

 

「ああ?」

 

平吉に殺気混じりの視線に目が泳いでしまった

でも、僕は平吉を見て言った

 

「り、梨花さんを…放して下さい!

じゃ…じゃないと……じ…自警団の人…よ…呼びます!」

 

出来る限りの声を搾り出しながら言う

暫くの間が出来たところに平吉は舌打ちをした

 

「今回は引いてやるが、次までに答えを考えておけ

どの選択が正しいか、分かってんなら

梨花、俺のとこに来いよ」

 

そう言うと、平吉は店を後にする

それを見届けた後、梨花さんは大和さんに駆け寄って容態を確認した

なんとか、あの人を追い払うことが出来た

そんな安心感からか力が入らなくなってしまった

 

 

 

 

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店の掃除を終えて、僕は梨花さんを見る

明らかに元気がなく、俯いていた

なんて声を掛ければいいかわからなかった

僕が迷っていると、大和さんが先に声を掛けた

 

「梨花、もう休め。

大丈夫だ、心配するな」

 

「……うん」

 

そう返事すると、梨花さんは奥へと上がっていく

僕は仕込みをしようと厨房に入ろうとしたら

大和さんに止められた

 

「優斗、話がある。

座ってくれ…」

 

僕は、静かに大和さんの向かいの席に座る

大和さんはゆっくりと顔をあげ、僕を見る

 

「……腹、大丈夫か?」

 

「はい、大丈夫です。

もう痛みは引きました。」

 

「……そうか、ならいいんだ」

 

すると大和さんはまた何かを考えている

気が引けたけど、大和さんに質問した。

僕のこの店の疑問。

あの男は何者で、何故梨花さんをしつこく言い寄っているのかを

大和さんは黙っていたけど、暫くして話してくれた

 

 

昔、大和さんは自警団団員で妖怪退治の専門家だった

何体もの妖怪を倒し、人里を守ってきた

その後、梨花さんのお母さんと結婚して梨花さんを授かった

それを機に自警団を引退して、飲食店 西崎亭を作り

平和に暮らしていたという、だけどある時。

梨花さんのお母さんは原因不明の病に倒れ、亡くなってしまった。

 

大和さんは梨花さんを寂しい思いをさせないために

一生懸命店を切り盛りし、娘の面倒を見た

その甲斐があってか、梨花さんは元気を取り戻し

店も上手くいき

1年前に西崎亭を改装した、それが今の四人で調理できる厨房に

40人は入る食堂だった。

従業員も入り、軌道に乗っていった、だけど

そこから、狂ってしまった。あの平吉が現れたことで

半年前に平吉が従業員として入った

接客が上手で、同じ接客係の梨花さんと接客を担当することになった

 

だけどある日、平吉が本性を表した

それが、女好きであり邪魔するものは誰一人容赦しない男であった

梨花さんは人里ではかなりの美人で梨花さんを狙う男も多かったようだ

平吉もその一人で彼は梨花さんにお酒を飲ませ、酔い潰し。

自宅に連れ込もうとした、それを知った大和さんは平吉を打ちのめし

店から追い出した。

 

恨み深い平吉は西崎亭の悪評を流し、荒くれものを雇っては店を荒らさせた

そのせいで従業員は全員辞め、大和さんと梨花さんの二人だけになってしまった

そして1週間前には、大和さんが妖怪に襲われ腕を負傷してしまったと

 

これは大和さんの推測ではあるが、これも平吉の仕組んだものではないかと睨んでいるそうだ

襲われる際気になったことがあるらしい

まず、妖精が妖怪を追っ払っていて、滅多に出るはずがない霧の湖に数体が現れること

そして、これが一番気がかりになっていること

下級妖怪の種類がバラバラであったことだ

妖怪でも群れをなすことがあるらしい

 

それ自体は珍しいことではない、けれど違う種類が群れをなして襲ってくることがあり得ないことだった

獲物を取り合うわけでもなく、協力して大和さんを襲った

だけど証拠がない、単なる偶然だ。

自警団もそのような結論に至ってしまっていた

 

「平吉のことは自警団に言わなかったんですか?」

 

「言ったさ、だが無駄だ。

何故なら奴の父親は自警団団長だからな」

 

話によると、女性を襲うことはこれが初めてではないらしい

何度も犯行を繰り返していた

けれど団長である父親の力で揉み消していた

だから今まで一度も捕まることはなかったという

 

(でも……だったら…なんであの時……)

 

僕が黙考していると、大和さんが改まって僕に聞いてきた

 

「優斗、無理してここで働いてくれとは言わない

だから、辞めたかったら言ってくれ

俺は止めない。梨花もそれを望んでいるだろう…」

 

「そんな、じゃあ西崎亭はどうするんですか!?」

 

「……その時は俺が何とかするさ

腕の調子は最近良いからな、いざというときは俺が料理する」

 

そう言って大和さんは自分の腕を見つめる

けれどまだ傷が完全に塞がっていない、さっき平吉に強く握られたせいで包帯が血で滲んでいる

 

「ぼ、僕は…や…辞める…というのは……」

 

二人を放っておけない、力になるならなってあげたい…

でも…本当に大丈夫なのだろうか、僕は正直怖い

あの平吉の邪魔すれば殺すと言わんばかりの殺気の目は思い出すだけでも身震いしてしまう。

 

その時だった、テーブルに1滴、2滴の水滴が落ちるところを

顔をあげると、そこには一筋の涙を流す大和さんがいた

 

「………なんで…こうなっちまったんだろうな…

娘のためにと、ここまでやったはずが…

なんで……逆に苦しめてんだよ……俺は……!」

 

三日四日の短い間であったけれど

決して見せなかった大和さんの弱気が僕の心に伝わっていく

 

「あいつだって…年頃の娘だ…

友達と遊びたいはずなんだ……

なのに…自分の気持ちを押し殺して

出来なくなった俺の代わりに店を切り盛りしてくれて

俺は…情けなくて…情けなくて…嫁の…

恵梨に顔向けできねぇ……」

 

娘のために悔やんで涙する大和さんを見て

ここを去ることなんて…出来るはずがなかった

 

ガタンと椅子を倒す勢いで立ち上がった

大和さんは音に反応して顔をあげた

 

「……僕……辞めませんから…!」

 

「…正気か?、従業員が辞めたのは怖いって理由だけじゃない

実際に怪我を負わされて辞めたやつもいる

お前が怪我をする可能性だってあるんだぞ!?」

 

「……そ…それでも…辞めません!

僕は、大和さんや…梨花さんを助けたいんです!

次平吉が来たら……お…追っ払ってやります!」

 

「……たいしたやつだな…お前……

俺の目に…狂いはなかったな…」

 

大和さんは涙を拭うと立ちあがり、手を差し出した

 

「ありがとうな…優斗。

やはり、お前には婿入りしてもらいたいもんだ」

 

「それはちょっと、僕はまだ結婚とかをする覚悟とかがないので」

 

そして僕は差し出された手を握り握手する

大和さんはそんな言葉にニヤリと笑いながら

 

「今のところは、無理矢理婿入りさせないさ

だがうちの娘も見ておけよ?

あいつもいい妻になるだろうからな」

 

「そうですね、結婚する新郎さんは幸福者になりますよ」

 

握手を交わしていると、大和さんのもう片方の手が僕の肩をガシリと掴んだ………え…?

 

「だがある程度時期が経ったら再開するからな?

覚悟しておけよ……優斗…」

 

「……あの…無理矢理はしないって話じゃ……」

 

「…ああ、【今のところは】…な?」

 

なんか…この人もある意味怖いなぁ……

 

 

 




今回、シリアス展開を出しました。
コメディが未熟なのにシリアスまで出して大丈夫なんだろうか。
そんな不安を胸に次話投稿頑張ります。
それではまた読んでくれたら幸いです。

フランちゃんにプリン御馳走したい(悲願)
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