五等分の花嫁 〜Story With The Death Strawberry〜 作:鵺鵠とも
では、第2話をどうぞ!
「中野五月です。どうぞよろしくお願いします」
「女子だ」「普通に可愛い…」「あの制服って黒薔薇女子じゃない?」「マジかよ超金持ちじゃん」「おいおい何者だよ」とクラスメイトがコソコソとざわつき出した。
たまたま偶然同じ中野さんかなと少しは思っていたがクラスの一反応により確信を得た。コイツだ。俺はコイツの家庭教師をやらなきゃいけねぇんだ。
自己紹介が終わり、担任が指定した俺の後ろの席へと中野が向かう時、こっちに気付いたのか少し驚いた表情を見せたのちに笑顔で軽く会釈してきた。
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翌日、また学食で中野と出会った。
「あ、黒崎君!また会いましたね」
「おう」
「あ!今日はラーメンですか…美味しそうですね!」
「そういうお前はカツ丼の大盛りにプリンか。…昨日も思ったけどよ、よくそんな食べれるな」
「い、いいじゃないですか…。勉強したらお腹空きますし…ご飯美味しいですし…」
「あー…まぁ、それもそうだな」
少し不貞腐れたかのように見えたが、余程昼ご飯が楽しみなのかすぐに笑顔に戻った。本当に井上みたいだ。
「おーい!五月ー!こっちだよー!」
はやくはやく!と前方から中野を呼んでいる声が聞こえてくる。よく見ると声の主以外に三人座っている。友達か?
そう思って隣の中野を見ると、俺とリボン頭を交互に見ながらおろおろしている。優しいやつだな。
「俺の方は気にすんな。行ってこい」
「す、すいません…」
転校してもう友達出来たのか。良かった良かった。麺も伸びるし早く席見つけて食べようと先に進もうとしたが突然呼び止められた。
「あれ?行っちゃうの?」
中野と顔のよく似たショートカットの女子がニヤニヤしながらやってくる。
「席探してるんでしょ?一緒に食べようよ。だめ?」
「いや、別にいい」
「えー?美少女に囲まれてご飯食べたくないの?」
うっざ。グイグイくるなコイツ。
「もしかして五月ちゃん狙ってるの?」
「ちげーよバカ」
「照れてる?」
人の話聞かねぇやつだな。聞けよバカ。
「もういいか?早く食わねぇと麺が伸びる」
「いいけど、もうどこも席空いてないみたいだよ?」
「は?」
ほら、と周りを見るように促されて見てみると本当に全部埋まっていた。
「だからさ、私たちと一緒に食べよ?」
厄介なのに絡まれてしまった…。そう思いながら渋々中野達の座っている席に座った。
『……………』
「あ、あの!せっかくですし自己紹介しましょうよ!」
無言に耐えられなくなったのか、リボン頭が口を開いた。ショートカットはまたニヤニヤし始めたし、黒揚羽の髪飾りはやたら俺をチラチラ見てくる。ヘッドホンは音楽でも聞いてんのか?中野は…幸せそうに飯食ってるわ。
「じゃあ私から自己紹介しますね!私は中野四葉といいます!運動するのが大好きです!」
ん?
「私は中野一花だよ。なんかあったらお姉さんに相談するんだぞ♪」
んん?
「…中野三玖。よろしく」
………。
「中野二乃よ」
。。。
「じゃあ改めて中野五月です。よろしくお願いします」
あー…なるほどな。うん。なるほどなるほど。全員中野さんね。
「ちょっと待てよ…お前ら何年生だ」
『二年生』
って事は…
「お前ら…五つ子?」
全員が一斉に頷いた。そうか、五つ子か。はぁ…。
「では、最後ですよ!自己紹介お願いします!」
「あ、あぁ…黒崎一護だ。よろしくな」
その後少しずつ会話が行われるようになった。主に四葉を中心にして一花と五月がそれに反応して一護がツッコミを入れるという感じだった。三玖は内気そうなイメージだったから会話にあまり参加しないのは予想してたけど、二乃が極端に会話に参加しなかった。ただひたすら一護と携帯を行ったり来たり見ている。
「あ!そういえば今日から家庭教師の人が家に来るんだよね!」
「そうでしたね」
「どんな人か五月ちゃん聞いてないの?」
「それが分からないんです…端的にしか連絡を受けていないので…」
「それ俺だわ」
『え?』
視線が一瞬で集まった。
「だからその家庭教師、俺だって言ってんだよ」
「え、く、黒崎さんはこっち側の人間だと思っていたのに…」
「勝手にお前と同じにすんじゃねーよバカリボン」
なんですとー!!と叫んでいるが基本無視。話が進まん。
「でも俺もあんまし詳しい話は聞いてねぇんだ。そろそろ時間もあれだし放課後いいか?」
そうして昼休みが終わった。
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放課後、六人一緒に下校している。途中、五月がコンビニで肉まんを二つ買って食べていた。それを見た二乃が五月のお腹をつまみ、肉まんおばけと皮肉っていたりといかにも仲のいい姉妹に見えた。
「そういえば、なんとなく予想はつくけど、誰の家庭教師すればいいんだ?」
「すみません…私たち全員です…」
やっぱりそうか。ぶっちゃけめちゃくちゃめんどくせぇ。でもやるしかねぇよな。
「でもいいじゃんこんな美少女たちに勉強教えられるなんて役得じゃん?ね、三玖」
「一花、オジサンみたい…」
「え…オジ、オジサン…?」
オバサンじゃなくてオジサン?いや、オバサンも嫌だけどオジサン?とかなんとか言いながら三玖に絡みだした。そういとこだぞたぶん。
「おい、バカリボン」
「なんですか黒崎さん、ってバカリボンじゃありません!四葉ですってば!」
「んで、お前らの学力ってどんなもんなんだ?」
不満気な表情から困った表情へと変わった。そしてえーと…それは…っと言いづらそうに一瞬詰まったが、
「みんな全教科赤点レベルなんです」
と言った。
あ、終わったかもしんねぇ。
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そんなこんなあってコイツらの家の前まで着いたんだが…凄いでっけぇマンションだな。そのまま部屋の前まで案内されたんだが、最上階か…。クラスの奴らの言う通り相当な金持ちだなこりゃ。
そして部屋の中に入って再び驚く。
「うわ…ひっろ…」
何よりもマンションの一室に二階があることに開いた口が塞がらなくなってしまった。
驚き呆れていると、二乃を除く四人が一護の方へと振り向いた。
「じゃあ、イチゴ君これからよろしくね♪」
「…よろしく」
「よろしくおねがいします!!」
「大変だと思いますが、よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく」
そして一護は二階の方を見た。
「なに関係ねぇってツラしてんだ。お前もよろしくな、二乃」
突然名前を呼ばれて足を止めるも自室の前へ行き、
「家庭教師なんて、いらないわ」
と部屋に入っていった。
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その後、今から始めるとしても、もう遅くなるから今日はこれでお開きにしようか。という一花の提案により解散となった。
家に帰り、これからの大変さを予想しながら一護は眠りに落ちた。