THE UNSUNG RECORDーGIRLY AIRFORTHー   作:天羽々矢

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生まれた命を無下にする権利など、無い・・・

Side.B OP:KODO/nonoc


ALT03 Side.B story 生まれし命への協奏曲 -廃棄アニマ強奪作戦-

小松基地でアニマ強奪の件が話されていた時とほぼ同時刻、ロシア連邦領内カムチャッカ半島。

 

酷い吹雪の中を厚手のコートを着ている1人の少年が歩いている。

特徴的なのは黒曜石のような艶のある黒髪と濃青色の瞳

その少年は高い山の上に立つと、懐から双眼鏡を取り出し眼下にある施設を見やる。

 

管制塔や滑走路がある点では普通の飛行場と同じだが、異彩を放っているのは別の物。

滑走路近くのエプロンに備えられているのは航空機を空襲から守る為の掩体壕、更にSAM(地対空ミサイル)や自走式対空砲が配備されており警備が厳重だ。

そしてそこに向かう2台のトレーラー。後ろのトレーラーの荷台にはシートが被せられた何かではあるが、所々シートからはみ出して中身が僅かに見えている。

その物体の特徴は、胴体と両翼が一体化したように滑らかに流れている流線型のボディと、その両翼の前に更に小さな翼、カナードがある。

 

それを確認した少年は唇の右端を僅かに持ち上げ、その後山を滑り降りる。

その向かう先は・・・飛行場。

 

 

 

 


 

 

 

 

トレーラーのコンテナの中で倒れているウェーブが掛かった苺色のツインテールと頭長で飛び出ているアホ毛の少女、その少女は拘束されていた状態で倒れていた。

ただ動作が一定せずまともな成果が残せないと判断されただけでこの仕打ちである。

 

日付が変わる頃には自分は廃棄されこの世から消えてなくなるだろう。

 

(イヤだ・・・)

 

少女は本心ではそんな事を望むはずもない。だが自分は人間に歯向かえない。

“人類を守る”、それが彼女に与えられた()()()()だからである。

 

(私、消えちゃうの・・・?)

 

抵抗もできず、少女の目尻から涙が零れた。

だがそれに目を向ける者などいるはずもない。

 

 

そしてトレーラーが施設に到着し少女は別の場所に隔離される。

当然拘束されたままであり室内には照明すら無い。

 

少女はもう何も考える事ができなかった。このまま処分されるのを待つだけであろうか・・・。

 

その時、外が何か一瞬騒がしくなったがすぐ静かになる。

そして少女が幽閉されている部屋に1つの影が入る。

影は頭に手と口の口元のスカーフに手をかけそれを取っていく。そして露わになったのは、漆黒の髪と濃青色の瞳の少年。

少年は片膝をつき少女を見つめる。

 

「あなたは・・・?」

 

「俺はレン。・・・()()()だ」

 

「・・・今は違うの・・・?」

 

「・・・そうだな、今は違う。でもだからこそ今できる事があるんだ」

 

少年・・・レンの言葉に少女は首を僅かに傾げる。

するとレンは集中するように両目を閉じ、そして再度見開く。

その目の虹彩輪郭は赤く発光しており、左目には銀色の鳥のような紋様が浮かんでいる。

 

「・・・凰舞(おうま) (れん)の名において、汝に新名を与え枷から解き放つ。・・・君の新たなな名前は・・・30(み・オー)、ミオだ」

 

「・・・ミオ・・・、私が・・・ミオ・・・」

 

「そう、君は今から変われる。けどそれを受け入れるかは君次第だ」

 

レンが呟くように唱え、少女はレンが新名と言った名前を呟く。

そしてレンの目から視線を外せなくなり、その目を見つめ続けると自分の深層で何かが割れ砕け散ったような音が聞こえたような気がした。

 

そしてレンは再び立ち上がるとそのまま部屋を出て行こうとする。

 

「ま、待って!・・・あなたも置いていくの・・・?」

 

少女の言葉にレンは立ち止まり、そして振り返り僅かに微笑む。

 

「大丈夫、夜になったら迎えに来るから。その時に答えを聞かせてくれ」

 

レンは最後に少女にそう言い残し立ち去っていった。

 

 

 

 


 

 

 

 

深夜、ついにミオの廃棄処分が始まろうとしている。

幽閉されている部屋に入ってくるのは白衣の男達。恐らくはロシア軍の関係者なのだろう。

 

「最後に言い残したい事はあるか、“Su-30SM”?」

 

その男の内の1人が少女・・・Su-30SMのアニマに問い掛ける。

 

「・・・一言言っていい?」

 

少女は静かに、しかし確かにそう言い、そしてその男を憎々しげに睨み付けながら言葉を放つ。

 

「・・・()()にはちゃんとミオって名前があるのよ、覚えておきなさいよド畜生!!」

 

少女、ミオがそう怒鳴りつけたその瞬間、

 

 

ドオォーン!!

 

 

爆発音と共に基地内に激しい振動が襲う。

そして基地内に空襲警報が鳴り響く。

 

[警報!当基地に複数のザイが接近、至急迎撃態勢!!]

 

基地内放送で管制官の怒号が響き渡り、男達はミオの服の胸倉をつかみ上げる。

 

「ちょうどいい、最後の仕事だ。ザイを墜としてこい!」

 

「お断りよ」

 

男の指示をミオはあっさりと蹴った。

 

「何だと!?」

 

「大体使えないからってミオを廃棄処分しようとしておいて、いざザイに襲われたら戦えなんて自分勝手にも程があるわよ!」

 

「こいつっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女の言う通りだ。勝手が過ぎるんじゃないか?」

 

 

「なっ!?」

 

背後で何か少年のような声が聞こえたと思った瞬間、男の意識は途切れた。

周囲の兵も既に頭から血を流して倒れている。

そして部屋に入ってきたのは。黒曜石のような黒髪と濃青色の瞳を持った1人の少年。

その少年の右手にはサイレンサーとスコープの付いた拳銃、ワルサーPPK/Sが握られている。

 

「レン!」

 

「約束通り、迎えにきたぞ」

 

少年、レンの登場にミオが歓喜の声を上げながらレンに抱き着き、その頭をレンは優しくなでる。

 

「それじゃミオ、君の答えを聞かせてくれ」

 

レンは一先ずミオを自分の身体から離し問いかける。

それにミオは足元に倒れている男の死体を一瞥した後にレンに向き直る。

 

「・・・ミオを作っておいて使えないから廃棄する、けどいざザイに襲われたら戦えなんて都合の良い連中の為に戦うなんて冗談じゃないわ!だったらいっそ、こんなところ抜け出してやるわよ!」

 

心を決めたミオにレンは微笑み、

 

「それじゃ早いとこ、こんなとこから抜け出すぞ!」

 

そう言ってミオの手を取って引き、ミオを部屋の外へ連れ出す。

 

 

 

 


 

 

 

 

建物の外ではロシア軍の地上部隊が上空のザイに向け迎撃を行っていた。だがザイの高機動性に弾丸はその殆どが回避され対空砲やSAMが次々と破壊されていく。

しかしそのザイは何処か普通のザイとは違っていた。

それは通常のザイは透き通る青いガラスのような物だが、基地を空襲しているザイはガラス質なのは同じだが色が炎のようなオレンジ色に変色している。

 

レンとミオは外に出た後に一先ずミオの機体があるハンガーに向かう。

胴体から主翼へ滑らかに変化させたボディに主翼前縁の付け根からコクピット下部まで伸びたストレーキ、更に所要前方にある小さな翼、カナードを備えたそのパールホワイトの機体は・・・

 

“Su-30SM-ANM フランカーF2”

 

予め燃料はレンが燃料ポンプ車を見つけ出し給油を済ませている。

そしてレンは基地の敷地外へ。その近くに廃棄されていたバンカーの奥に予め隠しておいたのだ。

 

ミオは自機のSu-30SM-ANMにA乗り込みコクピットの操縦系統、NFIに接続する。

 

「不思議・・・前は飛んでるだけでも辛かったのに・・・」

 

不思議と今のミオに意識の混濁は無い。

前まではノイズが酷く接続してせいぜい意識を保つのが限界であった。

今では何の異常も無く正常に接続できる。

 

空では既にロシア軍の戦闘機、Mig-29がザイの迎撃に当たっているが既存の戦闘機がザイに敵うはずもなく次々と撃墜されていく。

 

「ちょっと、上にザイがいるけど上がって大丈夫なの!?」

 

滑走路へタキシングしつつ空の状況を見たミオがレンに悲鳴混じりの問いを投げかける。

するとレンは、

 

《・・・全機、これより離陸する機をフォローしろ。機体はSu-30》

 

無線機で意味不明な発言をする。

すると上空のザイ達の機体が一瞬発光し、離陸しかけているミオのSu-30SM-ANMを止めようとするMig-29を優先して撃墜していく。

その光景にミオは言葉を失った。

 

《ミオ、上空が空いてる間に上がるんだ!》

 

「っ!?わ、分かったわ!!」

 

レンに催促されミオはそのまま滑走路へタキシング。

離陸開始位置に付くと同時にスロットルを全開にし加速。そして速度が時速250kmを超えると機首が持ち上がりゆっくりと空へ昇っていく。そしてランディングギアを格納し水平尾翼と推力偏向エンジンノズルを上に向け更に高度を上げる。

 

そしてそれに次ぎバンカーからも戦闘機が速度が乗った状態で出て来た。

そいぶし銀の下地に両主翼と水平尾翼の翼端がオレンジ色、垂直尾翼には3本の爪痕。

レンが駆るF-15SE-ANMだ。

レンは外の車道で十分加速した後に離陸、そのまま急上昇しミオのSu-30SM-ANMに追いつき前に着く。

そしてそれを確認したのかオレンジ色のザイ達も戦闘行為を止め基地上空から離脱、レンとミオの後方に着いた。

 

その異様な光景にミオは何て言葉をかければよいか分からないでいる中、レンから無線が入る。

 

《今の光景に難て言えばいいか分からないだろ?ザイに命令を出してるなんてさ。・・・俺の事嫌いになったか?》

 

無線からそう聞こえたレンの言葉にミオは首を横に振り、今の自分ができる精一杯の笑顔を見せる。

 

 

 

 

 

「冗談!どんな奴であってもレンはミオを助けてくれた王子様なのよ!ついて行くに決まってるじゃない!」

 

ミオのその言葉にレンは笑みを浮かべ、オレンジ色のザイ達を従えながらミオと共にロシア領空から離れていく。




ED:アンチクロックワイズ/After the Rain

ホント、ライノの立位置どうするかな・・・
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