THE UNSUNG RECORDーGIRLY AIRFORTHー   作:天羽々矢

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勝利の代価は、余りにも多すぎた・・・

OP:SAVIOR OF SONG/ナノ feat.MY FIRST STORY


ALT07 勝利は良薬より苦し ー攻略戦後会談劇ー

海鳥島のザイ前線基地攻略作戦から小松基地へ帰投した慧達であったが、その気分は沈んでいた。

海鳥島のザイの前線基地を破壊する事には成功したが、所属不明のドーターとオレンジのザイの大編隊の介入により米海軍の第7艦隊残存艦艇はその7割を撃破され、日本側のドーターも2機損傷してしまったのだ。

そのアニマ達は現在メンテナンス中だ。

 

「随分と手痛くやられてきたようだな」

 

室長室で慧は八代通と会話をしているが、やはり雰囲気は重いままだ。

「だが」と八代通は煙草の煙を溜め息と共に吐き出した後に言葉を続ける。

 

「こちらとしても全く予想出来ていなかったからな、責任を追及する事はできん」

 

「八代通さん、あいつら何処の所属なんですか?何の躊躇も無く俺達に攻撃を・・・」

 

慧の言葉を右手を軽く挙げる事で静止させ、八代通はタブレット端末を手に取り画面を操作する。

 

「君の質問だが・・・、奴らは()()()()()()()()()()()

 

「はい?」

 

「正真正銘の所属不明という事だ。それにバイパーゼロ、イーグル、ファントムから送られてきたデータを調べてみたが。君らを襲ってきた奴らに見覚えはあるか?」

 

そう言って八代通は慧にタブレット端末の画面を見せる。それに映っていたのは生き残った米海軍の兵士が写真に収めた所属不明のドーター。

慧はその画面を凝視する中で何かに気づいた。・・・そう、海鳥島攻略作戦以前、ファントムが小松基地に配属になる前。

八代通がアニマ強奪事件の話をした時だ。その時に強奪されたドーター数機の外見的特徴とパーソナルカラーも一致している。

 

主翼と胴体が一体になった流線型のボディ、そして主翼前に着けられたカナードが目を引くクリムゾンレッドの機体、J-15。

 

トレードマークともいえるであろう可変後退翼を持つアイスグリーンの機体、トーネードGR.4A。

 

「ひょっとしてこれ・・・!」

 

「そうだ、強奪にあった廃棄予定だったアニマを運用している。それも完全にリセットし再調整した上でな」

 

それだけでも恐るべき事だが「更に」と八代通は言葉を続ける。

そして次に見せたのは慧とグリペンに1発叩きこんだ機体、F-15SE。

 

「米軍を問いただしたが、軍の何処の部署でもこいつ・・・F-15SEのドーター化はしていない、だそうだ」

 

「それってまさか・・・!!」

 

慧がまさかの予想をした後に八代通は「そのまさかだ」と相槌を打った。つまりは・・・、

 

「・・・戦闘機を盗んだ奴らが独自でドーター化に成功した・・・」

 

「その可能性が極めて高いだろうな」

 

これらの事案から推測するに相手は非常に高い技術力を持っている事は明らかだ。

その上、絶不調で成果を上げられず廃棄が予定されていたアニマ達をリセットし0から調整し直すほどだ。

 

「俺どころか全世界の技術者ですら持ち合わせていない技術を持っているという事だな、連中は。今回は運に助けられたな。もし奴らが燃料不足になっていなければ君とグリペンはあの時の戦闘で花火になっていたぞ」

 

冗談のつもりなのか八代通がほくそ笑むが慧には全く冗談に聞こえなかった。

 

戦況判断も単純な戦闘能力も相手の方がイーグルどころか最古参の類であるファントムよりも上。

おまけにリーダー機であるF-15SE-ANMのアニマはザイを制御下に置く異能とも取れる能力を持っており、そのザイも通常のザイを上回る戦闘能力を持っているのだ。

 

「まぁ、今のままやりあえば100%こちらの負けだな。技量、戦闘能力、全てにおいてこちらのアニマ達を上回っている」

 

「じゃあ・・・どうすればいいんですか・・・」

 

八代通の言葉では今の慧達では所属不明ドーターには絶対に勝てないという。

だが八代通は笑みを崩さなかった。

 

「何、別に撃墜しろとまでは言わんさ。奴らも同じドーターだ、()()()()()()()()。そこで燃料切れまでじゃれ合ってやれ。その間に包囲網を形成し鹵獲を計画する」

 

彼は自身の部隊である“独立混成飛行実験隊”の1部下である慧にそう言った。

 

 

 

 


 

 

 

 

“And it's evrey time, you hurt yourself with kiives"

 

以前放送されていた某可能性の獣のアニメの主題歌を聞きながら拠点へ帰投している4機編隊の内の1機、編隊の先頭、レンのF-15SEの左後方を飛行するアイスグリーンの機体トーネードGR.4Aのアニマ、シャロンだ。

曲に乗っているようで機体を左右に揺らしている。

だが、そのシャロンの右後方、編隊の最後尾を飛ぶSu-30SMのアニマ、ミオは少し鬱陶しげに顔を顰めている。

 

《さっきからうるさいんだけど》

 

《そうですか?人間の娯楽も以外といいですよ。ああ、お子様の貴女には分かりませんか》

 

《誰がお子様よ!?》

 

「お前らうるさいぞ・・・」

 

先頭を飛行するレンはシャロンとミオの口喧嘩に呆れ右手で頭を抑えている。

そして拠点の無人島に着き各々着陸と機体の収容を終えた後に自室に戻り一先ずの休息を取る。

 

だが、休息を取っているレンの自室の扉がノックされレンは来客を出迎えに行く。というよりはこの島には自分達以外はいない為来客と言えど誰かは予想も難しくない。

外にいたのは前髪の1部に赤メッシュの入った金髪ロングヘアの少女、シャロンだ。良く見れば右手にタブレット端末を持っている。

 

「レン君、少し良いですか?」

 

ミオと会話していた時は鬼気迫る表情だったが、今はどことなく真剣だ。レンもこういう時のシャロンは真面目だという事をこれまでの経験から把握していた為無言で部屋に招き入れる。

 

「今度は何処のアニマは廃棄処分される予定なんだ?」

 

レンがシャロンを部屋に招き入れての第一声はそれだ。

するとシャロンは無言で持っていたタブレット端末をレンに渡し、レンはその画面を見る。

 

「予定日は4日後の日曜日にシエラネバダで、だそうです。どうしますか?」

 

シャロンの問い掛けにレンは顔を見合わせ僅かに唇の左端を持ち上げるだけ。その表情でシャロンは理解したのか笑みを浮かべる。

 

「次に備えるぞ、すぐにブリーフィングだ」

 

「はい、レン君」

 

タブレット端末を机に置き部屋を出るレンとそれにつき従うシャロン。

置いて行かれたタブレット端末のその画面の名前欄にはこう表記されていた、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――“F-14D Super(スーパー) Tomcat(トムキャット)




劇中曲:into the sky/SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle

ED:アンチクロックワイズ/After the Rain
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