艦これ小説初になります。ちょくちょく更新出来たらなと思ってます。
あんがいボロが出てたりすることもありますがお付き合い願えたら幸いです。
風が運んでくる磯の香り、聞こえるのはウミネコの鳴き声……をかき消す砲撃の音。
頑丈な門の先に見えるは立派な赤煉瓦の建物。
なぜこんな所にいるのかって?
それはこれから俺がここで働くから……いや、働く事になってしまったからである。
「いや、まだ大丈夫…。引き返して電車乗って、家に帰って、辞表書いたら郵送して……来年第二新卒としてどっかの企業に就職すればいいじゃん!!よっしゃ帰ろウボァー」
唐突に首根っこを捕まれ持ち上げられる。この圧倒的なプレッシャー……まさかっ!?
「帰れると思いますか?ここに印の押された契約書もありますし、茜(あかね)さんと藤太郎(とうたろう)さんの承諾も得てますから帰ってもまた連れてこられるだけですよ。諦めて下さい。て・い・と・く。」
誰かな?仲良くお手手を掴んでくる子は〜?……
「淀姉さん!?待って待って!!淀姉さんがいるなんて聞いてないよ!?オーケイオーケイ、分かった話し合いましょう。その握った手に力を込める前に!!」
軽巡『大淀』彼女の艦娘としての名前であり実名は淀川恵、通称淀姉さんである。
それにしても…親父と母さん……信じてたのに!!既に淀姉さんの手が回っていたか!!
圧倒的……っ!圧倒的制圧力……っ!!
全くもう…。と離してくれたがそもそも俺はこんな所に来る気なんて
「何処か具合が悪そうですが如何致しましたか提督?」
「滅相も御座いません。本官は至って健康体であります。」
焦りすぎて候補生時代の教官との話し方になってる。具合?悪いよそりゃ。だって……。
「あ、いたいた。提督、大淀さん。」
「こーちゃんだ!!楽しそうっぽい!!夕立も交ぜて交ぜて〜!!」
「おぉーこうちゃん、ここの配属になったんだ。これから楽しみだねぇ〜。」
「北上さーん!待ってよぉ〜!……げ。」
「アンタ達、ほんとに騒がしいわねぇ……。もう少し静かになさいよ。ほら、退いた退いた。不本意だけど私が初期艦らしいからアイツの提督姿を拝んでやろうじゃない。」
こんな風に他の連中も居るんだもんなぁ。
はぁぁ〜揃いも揃ってぞろぞろと……。
時雨、夕立、北上、大井、叢雲とは海軍学校高等部の知り合いだったりする。因みに淀姉さんもお家がお隣で高校の先輩でした。まさか他にも知り合いが……
「ちなみに知り合いの方々は結構ここに居ますよ?私の方で色々手配しましたから。」
淀姉さん心を読まないでほんと怖いから
「では、皆さんをご存知かと思いますが提督、自己紹介の方を」
あぁ、助かった。このままだとメンタルが崩壊する所だったよ。なんだっけ?自己紹介?そうだなぁ……
「えぇ〜本日付けでここを辞めることになった相良航希(さがらこうき)です。短い間でしたがありがとうございました。これからの皆さんのご活躍を心より願っています。…そして私の右腕が持っていかれないことも願っていますぅぅぅがぁぁぁぁ!!!」
「禁忌に触れたもの、求めすぎるものにはそれ相応の対価が必要になりますので今回は右腕を頂いていきます。」
俺は自己紹介するだけで人体錬成を行っていた可能性が微レ存……?
右腕を持って行かれると履歴書を左手で書かなきゃいけなくなるから困る…早いとこどうにかしなければ…。
「本当にアンタも懲りないわねぇ……。大淀さん、もういいでしょ。とりあえずコイツを執務室に連れていかないと始まらないし。」
叢雲ぉぉぉ〜〜〜!!!良い奴になったなぁ〜〜!!ちょっと目付きが悪いな〜とか回し蹴りが強烈だなぁ〜とかお尻が3つになりそうだった〜とか色々あったけどやっぱり成長してるんだね!!
「でも胸は……。あ、やべ」
いや、まだ間に合う、フォロー出来るはず。俺は数々の企業で数々の面接を受けてきた就活エキスパートだぞこれぐらいの事「釈明の余地は無いわ。合否通知の代わりに酸素魚雷食らわせてやるわ。有難く受け取りなさい!!!」
爆音が響く。死んだと思ったけどどうやら演習弾だったかぁ。ささやかな優しさを感じるけどそれならもう少し手心加えて欲しかったなぁ。いのちはだいじに。
空はこんなにも青いのに…いや、今日結構曇ってたわ。俺の気分はこんなにも青いのに……。
俺はただ、色んな世界が見たかっただけなのに
普通ってものを満喫したかっただけなんだけどなぁ。
どうしてこうなった俺の人生………。
極力早く次書きます。