就職することが出来る仕事は提督だけでした。   作:狛犬太郎

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はいお疲れ様です、歓迎会この回で終えることが出来ました。

また伸びるんじゃないかとビクビクしながら書いてた。

そしたら8000字超えてた。

5000字ぐらいで収めたいんですがね。

あ、そう言えばこのお話の設定で舞鶴第2鎮守府の全艦娘は70と言いましたが69に変更させていただきます。

ご了承下さい。

そしてお気に入り登録が250を超えました。有難い限りでとても励みになります。読者皆様、どうぞこれからもよろしくお願いします。

就職する前に旅行とか行っとけよ!!あ〜〜ここ行ってみたいな〜とかいう場所あるなら今のうちだ!!
でもとか言わずに行っとけ!!ほんとにな!!!


就活戦争11日目

結局、鈴谷・瑞鶴達の酒は全て飲み切った、というか飲まされた。

 

しかしそれに見合う代償は大きかった。

 

現状を確認しよう。

 

まず1つ、視界がボヤけてきた。

 

2つ、かなり頭が痛い。

 

3つ、まだもう1テーブル残っててかつそこが1番難関だということ。

 

絶望的だ、今俺は少しでも回復を図ろうと間宮が入れてくれた水を飲んで休んでいる。

 

……もう、アイツらの席行かなくてもいいんじゃね?

 

わざわざ激戦区に行かなくても改めて挨拶すればさ、いいんじゃね?ってことよ。

 

という訳で飲み潰れた体でうつ伏せになる。

 

よーし、誰も声掛けてくるなよ?俺はもう潰れてるからな?飲みたくないからな?声かけても反応無いからな?

 

とりあえずこのまま休んで少しでも回復を……

 

まぁ来て欲しくないやつは来て欲しくない時に来るもんで現れたのが…

 

「おーいこうちゃーん!!楽しんでるかーい!?」

 

そう明石(明希姉)だ。

 

神は許しても明石は許さんと申す。

 

頼む向こう行ってくれ…俺はもう死んだんだ!!

 

「んーーー?潰れちゃったかぁ〜。それじゃあ仕方ないなぁ〜。」

 

そうそう、向こうで他の連中と一緒に飲んでこいほら!!

 

「はーーーい!!!提督が酔い潰れてるんで今から提督の昔の恥ずかしい話しまーームグゥ!!」

 

俺は今ある全ての力を使って明石の口を塞ぎ、椅子に座らせた。

 

あはは、なんでもないよ。うんなんでもないからみんなこっち見るな。

 

「こうちゃんやっぱり起きてるじゃない〜。」

 

「飲み疲れたから休んでて何が悪い。」

 

やっぱりこの姉はロクでも無いことばっかやらかすんだから……。というか酒くせぇ!!

 

「いや、休んでていいのよ?こうちゃんの昔話に花を咲かせるだけだからさ!」

 

「ふざけんなこんにゃろう!お前の恥ずかしい昔話暴露すんぞ!!」

 

「ご自由に?私はそこまで気にしないタチだからさ〜」

 

コイツ……酔っ払ってるのと元々の性格が相まって無駄に気が大きくなって余計にめんどくさくなってる。

 

「とりあえず向こうの席行こっか〜!挨拶まだでしょ?」

 

「いや、残りの連中はまたの機会に……。」

正直今日はもう休みたい……。もう疲れたよパトラッシュ……。

 

「ここの提督なんだから挨拶またの機会になんて許されるわけないでしょ〜?それとも……私だけ戻って昔話してきてもいいんだぜぇ〜?」

 

こ、コイツ〜〜!!!うぜぇ〜〜〜!!!もしこのまま帰ったらマジで明石は昔話暴露大会始めるに違いない……。

 

幸い、今の休憩でちょっと回復したし向こうには青葉や飛龍達の知り合いもいる。もしやばかったら助け舟を出してもらおう。

 

「……分かった分かった!!行きますよ!!行きますから!!」

 

「ほいほ〜い!提督さん1名様ご案内〜!!」

 

ズルズルと引きずられながら最も恐れていた飲み席へと連行される俺。

 

あぁ、ドナドナが聞こえてくる。

 

「あら?ようやく提督さんのお出ましね?」

 

「お、遂に来よったな!ウチをどれだけ待たせるんや!はよこっち座りぃや!」

 

あ〜〜〜『勿論飲むよな!?』って連中が勢揃いじゃん。もしくはそいつらに絡まれた犠牲者。

 

分かるのは陸奥、飛龍、蒼龍、青葉の4人だけだ。

 

「隼鷹〜連れてきたよ〜!」

 

「おぉ明石ナーイス!!提督〜やっと来たねぇ〜?私は隼鷹ってんだ!ほら、お猪口持った持った!!パーっと行こうぜパーっとなぁ!!」

 

あぁ、酒くせぇ空間……。座った途端にお猪口持たされてそれに並々……おい、零れてるって!!!

 

「ちょっと隼鷹!零してるわよ!?飲み過ぎだし他の人達にも絡みすぎ!!…すいません提督、このおしぼり使ってください。」

 

「あ、あぁ、ありがとうな…それで君の名前は…?」

 

「あ、すいません!名前は出雲ま…じゃなかった、飛鷹型航空母艦1番艦の飛鷹です!よろしくお願いします提督!」

妹さん随分いい飲みっぷりですね……。

 

おたくも相当姉妹に悩まされてるようで……。

 

自由奔放な家族を持つと誰かが苦労するんだよなぁ。

 

お分かり?明石さんよぉ?

 

「…なんと言うか、お前も苦労してるな飛鷹…まぁなんだ、これからよろしくな。」

 

飛鷹の疲れた苦笑いが今日の苦労を物語っている。

 

きっと俺も似たような顔をしているのだろうな。

 

「なんや飛鷹、しけた顔しよって。酒が足らんとちゃうか?ほら、もっと飲めや!!」

 

「ちょ!龍驤さん!!やめっ!!グホッ!!ゴボゴボ……。」

 

あーーー!!!お客様おやめ下さいお客様ーーー!!!あーーー!!!お客様お客様困ります!!!一升瓶を人の口に突っ込んで飲ませるなんてーーー!!!

 

あ、飛鷹…。一升瓶が口に突っ込まれたまま潰れたか…。お前の事は忘れないぞ、コイツらに酒で記憶飛ばされない限りはな。

 

「ほれ、提督もはよ飲みぃや。お猪口空けてくれんと酒が注げんでぇ?あ、ウチは軽空母龍驤や!よろしゅうな!」

 

この陽気な関西空母が龍驤か。まぁ実際酔ってるからここまで陽気かどうかは分からないけど。

 

……小柄なのによく飲むなぁ。俺は飲めそうに無いから勘弁して貰えませんかねぇ…。とりあえずこの一杯は何とか飲むか。

 

「あぁ、よろしくな龍驤。だが、すまん。俺ももう飲めそうにない…。また次回にお願いするよ。」

 

苦しい言い訳だけどこれぐらいしか言えん。頼むもう無理なんだって!!!

 

「まぁせやなぁ、提督は明日から執務もあるし、もう飲まれへん言うんやったら無理に飲ますのも可哀想やしなぁ……。」

 

お、流石関西人!!分かってるぅ〜!!そうそう無茶に飲ますのは良くないぜ!

 

「…せやけどな、提督。ここに座ってしもた以上選択肢は飲む、飲まへんやないで?」

 

は?何言うてんのこの子?あかんわ、ちょっちピンチ過ぎん?

 

「選択肢は飲むか飲まされるのどっちかや!!さぁ観念してお猪口空けぇや提督!!」

 

「ちょっと待て龍驤!!一旦落ち着け!!とりあえずその右手に持った一升瓶を置くんだ!!」

 

なんだってこんなに気性が荒いんだ!!コイツら禁酒にした方がいいんじゃねぇのもう!!

 

いや、やっぱりやめとこう。禁酒にしたらコイツら暴動起こしそうだわ。

 

「ほっほぉ〜、提督は一人じゃ酒が飲めん言うことか、しゃーないなぁ〜、そんなら今回はウチが特別に口移しで飲ませたるわ!あ、もしくは他の子にやってもらうのでもええで?」

 

思わず椅子から立ち上がり後ずさる俺。この酔っ払いども思考回路がおかしすぎる!!恥ずかしいとかいう概念はないのか!?

 

そ、そうだ!!飛龍や蒼龍に助けを!!

 

「え〜あに〜?さがらひゅんにくちうつしでおさけ飲まへるって〜?はいは〜い!!わらしのやるぅ〜〜!!」

 

「ちょっと〜そうりゅ〜ほれはわらしがやるんだからぁ〜!」

 

うわっ!飛龍と蒼龍!?ダメだコイツらも碌でもないヤツらの仲間入りしてやがる!!

 

あ、扶桑山城!!お前達なら!!!

 

「うえぇぇ〜〜ん!山城ぉぉ〜こんな姉でごめんねぇ〜〜!!」

 

「ヒック!!グスン!!そんな事ありません姉様は山城にとって大切なぁ〜〜!!」

 

こいつらもダメだ!!!まさか泣き上戸だったとはな!!

 

はっ!青葉!!青葉ーーー!!!助けてくれぇぇぇーーー!!!

 

「じゅんよ〜さ〜ん、もう飲めませんってばぁ〜〜。きぬがさ〜たすけてぇ〜!」

 

「あかしさん、わらしももうムリだってぇ〜!あ!ていとくさんたすけて〜!」

 

「何言ってのさ〜2人共まだまだ足りないって顔してるよ〜?」

 

「ほら、衣笠ちゃんもう一杯もう一杯!!」

 

何これ戦場かなにかですか?衛生兵が突撃歩兵に蘇生頼むような状況になってしまったようですね。

 

詰んだな。

「提督、大丈夫?」

 

時雨!?来てくれたのか!!ナイス!!助けてくれ!!

 

やっぱりこういう時に気が利く子は最高だな!!

「時雨、ちょっと助けてくれ。流石に俺ももうキツくて……。」

 

「分かったよ、僕が何とか龍驤さんを説得してくるからそれまで待って…」

 

「お、なんや?時雨が提督に口移しするんか?ええでええで!!ほら酒や、ぐいーっと行ったれ!!」

このバカ!!余計なこと言うな!!!時雨もその酒を机に置くんだ!!

 

「……提督、あと1杯だけだから我慢してよ。その代わり僕が飲ませてあげるからさ……。」

 

「ま、待て時雨!!酔っぱらいの言葉に耳を貸すな!!」

 

ハイライト仕事してぇぇぇーーー!!!クソっ!後ろはもう壁が!!誰か!!誰でもいいからヘルプミー!!!

 

「……ねぇ相良君。」

 

壁際ギリギリまで追い込まれもうダメかと思ったその時時雨が耳打ちしてきた。

 

あれ?ハイライト戻ってる……?というか呼び方が…あぁ、はいそういう事。

 

「…なんだ雨音(あまね)。」

 

「これ、やめてあげようか?」

 

お?賢者タイム?まさか正常に戻った?

 

「そりゃ、やめてくれんならやめてくれた方が……というかお前ら酒飲んでるからにしてもオープンになり過ぎだろ。」

「…艦娘になるとね、ちょっと気が荒くなったり、感情がストレートになっちゃうんだ、ごめんよ。」

 

気が荒くなったり、感情がストレートにねぇ…はぁ〜

 

「…でやめてくれんのか?」

 

「やめてあげてもいいよ、ただ条件があるんだ。」

 

「……なんだ?」

 

「うん、今度僕のお願いを1つ聞いて欲しいんだ。聞いてくれるなら僕が『時雨』の気を抑えておくからさ。」

 

さり気なくいい条件にしようとしてるなコイツ。『お願い』って言葉の幅が広すぎんだよなぁ。

 

「無茶なお願いとかは無理だからな、俺の出来る範囲なら聞いてやる。」

 

「そんなに難しい事は頼まないよ、強いて言うならば、1つ欲しいものがあるんだ。まぁまだどうなるか分からないけど。」

 

欲しいもの……買い物でも付き合ってやればいいのかな?まぁそれぐらいなら大丈夫か。何万もするようなものなら一蹴して終わりだ。最悪、そのような事は聞き覚えないで済まそう。

 

「じゃあ取引成立だね。あ、念の為録音しておいたから聞き覚えないですはなしだからね。」

 

 

……コイツ淀姉さんにやり口まで似てきたな。

 

こうして時雨は足早に去って行った。

 

「なんや?時雨やらんのかいな、まぁそんならウチが…///」

 

はっ!そうだ時雨をどうにかしただけで根本の解決になってねぇじゃん!!

ジリジリと迫り来る酔っぱらいども…飛龍と蒼龍、お前らゾンビみたいで怖いわ。

 

「貴女達やめなさい、みっともない…。」

 

「そうですよ、飲みすぎは身体にも良くないですからね!」

 

「い、いや…赤城は食い過ぎと思うんやけど……。」

 

まさか助けが来るとは思わなかった。

 

あ、あれは誰だー!誰だー!誰なんだー!

 

って!!そんな茶番はどうでもいい!!このままメルヘンデビューしちまう所だった!!

 

この弓道着っぽい2人にはホント感謝!!

「まぁ!龍驤さん、私が食べ過ぎだなんて!!」

 

「いや赤城さん、私が言うのもなんですが、私達かなり食べてますから…。」

 

「と、ともかく!!あんまり提督を困らせるのはいけません!このまま続けるなら今度鳳翔さんが来た時にお話ししておきますからね!」

 

空母勢は鳳翔という言葉を聞くなりびくっと反応し、皆席に戻って行った。

 

なんだなんだ、鳳翔さんってのはそんなに怖い人なのか……?

 

件の鳳翔さんとらやらを想像してみる。

 

……鬼軍曹のような人なのか?それともうちの母親は当てはまらなかったが世間で言うオカンみたいな感じの人とか……?はたまたレスラーの如くムッキムキのひととか?

 

謎が謎を呼ぶがともかく助かったという事だけは事実だ。

 

「助かったよ2人共、ありがとう。…失礼、君達の名前は…?」

 

「一航戦赤城です。大変でしたね提督、彼女達も普段は真面目な方々なんですがお酒が絡むとどうも……。」

 

「私は同じく一航戦の加賀です。けれどハッキリやめろと言わなかった提督もいけません。提督である以上もっと堂々となさって下さい。」

 

すんません、その通りです。

 

「まぁまぁ加賀さん、それは提督の優しさ故言わなかったのでしょう。皆に挨拶回りするのに雰囲気を壊すのは申し訳ないと提督はそうお考えだったはずです。それにこうして私達の所にも来て下さったじゃないですか。」

 

赤城さん優しすぎん?大食いで見境無くすのが玉に瑕だけど……優しすぎるわ。

 

「そうですね赤城さん。提督、失礼しました。よろしければ何か飲みます……いや、お酒はもうやめておきましょう…今お茶を入れてきますね。」

 

加賀が席を立つのと入れ違いに2人の艦娘が横と向かいに座ってきた。

 

「提督も大変だったねぇ!この鎮守府切っての飲兵衛達に絡まれたんだから〜。あ、私は航空戦艦の伊勢って言うんだ、よろしくね提督!」

 

このポニーテールっぽい髪型の子が伊勢ね。なんかあれだな、漫画とかに出てくる酒場だったり居酒屋に出てくる気前の良いお姉さんキャラ。あんな感じ。

 

「2番艦の日向だ。よろしくな。……時に提督、瑞雲に興味はないか?」

 

「よろし……え?瑞雲?」

 

瑞雲ってあれだろ?水上偵察機の……。

 

「あれは素晴らしい機体だ…偵察も攻撃も出来る、そして洗練されたシルエット、あのエンジン音、どれをとっても瑞雲は最高と言えよう。」

 

瑞雲について熱く語っているのが日向ね。なんだろ新興宗教か何かかな?瑞雲教?なんじゃそりゃ。食べりゅ教の他にもあんのか。

 

「おっと、すまない。つい熱くなってしまった。そうだ、お近づきの印にコイツをやろう。」

 

こ、これはっ!?

 

「そう、瑞雲だ。」

 

うん、瑞雲だわ。

 

「そいつを肌身離さず持っておくがいい。きっと瑞雲が提督を守ってくれるはずだ。」

 

瑞雲、御守りかなにかかな?

 

「それは護身用の瑞雲、そしてこれが観賞用と保存用だ。大事にしてくれよ?」

 

いや、多いよ瑞雲。観賞用はともかく保存用ってなんだよ。そもそも護身用の瑞雲ってなんなんだよ。

 

「本来であれば布教用の瑞雲も渡したいところだったんだが、生憎残り1スロットは主砲を積んでてな。また今度渡そう。」

 

布教って言っちゃったよこの人、やっぱりラピュゲフンゲフン…瑞雲教はあったんだ!!

 

その後は加賀の入れてくれたお茶を飲みながら4人と雑談した。特に荒れることも無く…いや、1回荒れたわ。

 

あの後明希姉モードの明石が懲りずにだる絡みを始めたので加賀に言われた通りハッキリと言ってあげた。

 

研究室の使用禁止期限を1週間に延ばした。

 

そしたらもう、暴れるのなんの…。

 

最終的に駄々こねても無駄と分かり泣き落としに作戦変更してきた。

 

「お姉ちゃんの事、嫌いなの……?」とか言いながら涙目で上目遣いとかしてきたけどここで許すと調子に乗るのは長年の経験なので放置した。ガチ泣きしてた。

 

はっきり言えと言われた加賀から「提督…貴方、案外鬼畜ね……。」と若干引かれたので、じゃあ物は試しと1週間は取りやめと言ってみたら速攻で泣き止んで調子に乗り始めたので再び1週間延期した。今度は加賀も賛同してた。満場一致だった。

 

そんなこんなあって、俺の歓迎会は終わりを迎えた。

 

「注目!!そろそろいい時間だ、明日も早いからお開きにしよう!」

 

長門の一声で注目が集まる。

 

「今回の準備は駆逐、軽巡のみんながやってくれた。片付けは軽空母から上の連中のだ。隼鷹逃げるな、川内は早く寝ろ、絶対に騒ぐなよ?」

 

所々から『ちぇ〜』という声が聞こえてた辺り件のヤツらはやる気満々だったわけだ。

 

「最後に提督、一言頼む。」

締めの言葉って苦手なんだよなぁ。

それっぽくすればいいか。

 

「あー、まずはこのような会を開いてくれた事に感謝をしたい。準備をしてくれた皆、美味しい料理を作ってくれた間宮、伊良湖に拍手!」

 

パチパチと鳴り響く拍手、『私達頑張ったもんね!』と笑顔の駆逐艦達が微笑ましい。

 

「片付けは俺と残ったヤツらでやろうな?逃げた奴は明日明石と仲良く工廠の掃除だ。」

 

「いぇーい!!仲間募集中だよ!!皆、私と一緒に工廠の掃除しようぜ!!」

 

「研究室使用禁止1週間に延ばされたからって吹っ切れんな明石!!頼むからちょっと静かにしててくれ!!期限また延ばすぞ!!」

 

 

「ハイッ!!スンマセンッ!!」

 

うるせぇ!!体育会系ばりの元気な返事を返すな明希姉!!

 

「あー、話を戻すぞ。俺はまだまだ新人だ、新人って事に甘えるつもりは無いが皆に迷惑掛ける事もあるかも知れない。未熟な俺かもしれないが早くみんなに頼られるような提督になれるよう頑張るから皆さん、手を貸して下さい!お願いします!以上解散!!」

 

こうして俺の歓迎会は幕を閉じたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

俺はその後、妖精さん達が魔改造した自室に戻り、シャワーを浴びてほっこりしていた所だった。

 

「ふー、さっぱりした〜。温泉は明日の朝にでも入るとするかな。」

 

風呂上がりは牛乳が鉄板だが今はない。しかし水道から出る水が冷たくてとても美味しい。

「結局の所、片付けは残った連中に任しちゃったし、部屋で休めと言われたけど申し訳ねぇな……。」

 

片付けをしようとした所で長門から「主役が片付けしてちゃダメだろう」と帰された。まぁでも疲れたし、お言葉に甘えて今に至る。

 

歯も磨いたし、日向から貰った瑞雲3機は…とりあえず机の上に置いとくか。後はメール確認して寝るだけだな……お、噂をすればなんとやら早速メールが……淀姉さんからだ、なんか怖いな。

 

受信ボックスからメールを開く。

 

えーなになに?

 

『提督生活1日目、お疲れ様です!どうでしたか?舞鶴第2鎮守府は?こうちゃんのお姉さんである明希も実はそこで働いてたんですよ?ビックリしましたか?』

 

いらないビックリ要素ホント勘弁ですわ。

 

『何はともあれ、これから始まる鎮守府生活応援してますからね!分からないことがあったらなんでも聞いてくださいね!』

 

聞いてくださいねって言ったって淀姉さん多忙だろうが。

 

まぁ、加賀や赤城辺りは詳しそうだしその辺にでも聞くか。

 

……ん?まだ文章あったのか、あぁP.S.ね。

 

『P.S. 大本営から舞鶴第2鎮守府へ転勤になりました。明日の朝にはそっちに着くと思います!改めてよろしくねこうちゃん!!』

 

 

…………………………………は?

 

何言うてんのこの人?冗談でしょ?

 

『こうちゃん冗談でしょ?とか言ってるかもしれませんが本当なのでよろしくね!』

 

しかも先読みまでしてくる辺りやべぇわ。

 

え?って事は…………まじ?

 

う、うわあああぁぁぁぁァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!!!

 

こうしちゃいられん!!!こんな所さっさとおさらばしなければ!!!

 

脱出、脱出だ!!緊急脱出!!

 

必要な物をカバンにぶち込み、急いで玄関に向か「そんなに急いでどこに行こうって言うのかしら提督さん?」……。

 

玄関には既に叢雲が立っていた。

 

何故既にコイツが居るんだ!?

 

ま、まぁ落ち着け…たまたま来ただけかもしれない。

 

「い、嫌だなぁ!ちょっと食堂に忘れ物しちゃってな!それを取りに行こうと…」

 

「あらヤダこうちゃん、私片付けしてたけどこうちゃんの忘れ物なんて見当たらなかったけどなぁ〜?」

 

あ、明希姉まで!?

 

クッソこうなりゃ窓から脱出を!!

 

「提督、部屋の中で走ったら危ないじゃないですか、しかもこっちには窓しかありませんよ?ねぇ?北上さん。」

 

「こうちゃんさぁ、まさか……脱走しようとか……考えてないよねぇ?そうだったらあたしも悲しいなぁ。」

 

大井と北上!?他にも退路は……そうだ!勝手口!

 

「提督、君には失望したよ……締めの言葉とても良かったのに。何より……僕のお願いを反故にしようとしたのは見逃せないなぁ。」

こっちには時雨が!!ハイライトオフ!!消えてるじゃあないか!!戻して雨音さん!!早くハイライト戻して!!

 

「下手な嘘はつかなくていいわよ、アンタが脱走しようとしてるのはもう大淀さんから聞いてるから。」

「私としてはこうちゃんが脱走しようって言うなら手を貸すのもやぶさかじゃなかったけど研究室の件もあるし、何よりこうちゃんいた方が面白そうだからさ。」

 

 

「さぁ、明日から早いんですから諦めて布団に入りなさいな。」

 

「こうちゃん、初めて泊まる部屋で寝れないタイプなんでしょ?だったらあたし達、こうちゃんが寝れるまで一緒にいてあげるからさ…。」

 

「なんなら提督、僕が添い寝してあげてもいいよ?」

 

「お、良いねぇ〜!あたしもしてあげようか?」

 

「「ダメよ(です)!!」」

 

クソッ!!コイツらが全員淀姉さんから連絡を受けていたなんて!!あまりにも根回しが早すぎるぞ淀姉さん!!

 

しかし脱出する機会は何か知らんがコイツらが言い争ってる今しかない!!……よし!!

 

うぉぉぉぉぉーーー!!!走れ俺!!!

 

よし!!もうすぐ玄関に……っ!!

 

玄関のドアを開け放ち、俺は一抹の希望を見出していた。

 

このまま走り続ければ鎮守府を出て自由な生活を送れると(シュルルグイッ!!)おぉぉぉぉぉ!!!???

 

なんだこれ!?ロープが足に!!

 

「おーい、みんな〜かかったよ〜。」

 

「全く、アンタってやつは油断も隙も無いわね…。」

 

「クッソ!!解けろ!!俺は自由な生活をするんだ!!淀姉さんやお前らに自由を奪われてたまるか!!」

 

そのまま俺はズルズルと部屋に引き戻され布団の上に4人でガッチリ抑え込まれた。

 

「離せ!!離せっての!!HA☆NA☆SE!!」

 

「じゃー、みんなーそのまま押さえててね〜?こうちゃん、寝付きが良くないならお姉ちゃんが寝かせてあげよう!はい、りらーっくす。」

 

明希姉が何かの布をこちらに近づけてくる。

 

「やめろーーー!!!やめろーーー!!!それ絶対クロロホル( ˘ω˘ ) スヤァ…」

 

 

 




中規模〜鎮守府〜

夜から〜ソワソワ〜

明日は大本営から淀姉さんがやってくる〜よ〜

自室の色んなとこに立つ

眼光するどい艦娘達に

「頼むっ!!見逃してくれ!!後生だ!!」

「諦めて布団に入って寝なさい。」

「逃げようとしても無駄だよ。」


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