4月は入れ替わりの時期なので何かと忙しいですね。
そんな4月も半分すぎたので早いような気もしてきます。「慣れてきたなぁ〜」と思っているそこの貴方、こんな時だからこそ気を抜いていると怪我したり、風邪引いたりするのでお気をつけて。
「あったけーなーこんな時は仕事したくねーなー」
なんて言ってると鬼の形相をした淀姉さんがサボリはいねがーと突撃してくるので。
あーあー、相良提督は仕事サボるから……。
おぉーこれが噂の千本鳥居かぁ……すげぇなぁ、何が凄いって千本鳥居もそうなんだけど、観光客の量ね。
「あはは……毎度の事ながらここは凄いわね。これでもマシな方って言うんだから。」
皆さん、自撮り棒やスマホを駆使して写真や動画撮影に勤しんでいらっしゃるようで……どう通ったもんかねこれ。
「写真撮ってる人が少ないうちに横から通るわよ!ここで遠慮してると永遠に先に進めないから。」
「お、おう。」
叢雲よ……逞しくなっちゃって……。
観光客達を迂回し、人の壁の隙間から鳥居の中へと入り込む。これだけでも結構一苦労だ。
「入口も写真撮る人で混むけど、この先の方が混むのよねぇ……。」
「うげぇ、これより混むのかよ……。」
「まぁでも分からなくもないわ。そこからがメインでこれぞ千本鳥居って感じなのよ。まるで朱色のトンネルみたいで、夕方になるとカーブの先は異世界に繋がってるんじゃないかってぐらい幻想的なのよ!」
おぉ、あの叢雲がよく喋る事……。よっぽどここが好きなのかな?でも確かに幻想的というかなんというか。
「そうそう、伏見稲荷大社のお祭りも凄いのよ?宵宮祭と本宮祭って言うんだけど境内の至る所に赤い提灯をぶら下げるんだけど夜になると凄く綺麗で幻想的なのよ!ちょっと待ちなさい……ほら、これが写真!」
叢雲はスマホのファイルから写真を選択し、俺に見せてきた。
……ほー、コイツはすげぇなぁ。叢雲じゃなくても幻想的って言葉が当てはまる写真だと思う。
夜の暗闇に朱色が映えること映えること。
イン〇タ映え間違いないと思うぜこれは。
イ〇スタしてないから分からんけど。
「これはすげぇなぁ……。確かに叢雲が行きたくなるのも分かるわ。」
「でしょでしょ!鎮守府のみんなにも見て欲しいわ!絶対これは見た方が良い!!あ、7月の20日か21日のどっちかは休むわよ?絶対ね!」
おーおー、まだ4月なのに気合入ってますねぇ。
「分かった分かった、休暇申請を事前に出してくれれば休めるようにするから。」
最も、俺がその時期までこの鎮守府にいるとは思わんがな!!
「勿論、アンタも行くんだからちゃんと休み取っておきなさいよ?その為には仕事を溜めない事!私が秘書艦の時はサボらせないから!!分かったわね!!」
「わーったわーった。そん時は来れるヤツら誘ってみんなで来ような。」
「(……私はまたアンタと2人で回る気だったんだけど……。)」
「んぁ?なんか言ったか?」
「……別に!!なんでもないわ!!ほら、この先で写真撮るんだから早く行くわよ!!」
「おわっ!?だから引っ張るなって!!」
今日コイツよくボソボソ喋るから分からんのよね。
いつもみたいにハッキリ言ってくれれば楽なんだけどな。
……まぁ楽しそうだし、いいか。
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「うにゃー!!人混みで前に進めないにゃー!!」
「うげぇ、アタシ人混み苦手ぇ〜……。」
「北上さん、こっちに!!」
うーん、やはり京都の観光名所は伊達じゃないクマ。
提督達を追ってきたはいいものの、丁度団体観光客とかち合ったらしく人の壁に阻まれてしまったクマ。
「球磨姉さん、どうするよ!?これじゃあ提督達を見失っちまうぜ!」
「分かってる、今考えてるクマ。」
と言ったけど、この観光客達は写真を撮りまくるからしばらくは動かない……どうしたものかクマ……。
「お困りのようですね。手を貸しましょうか?」
耳元で聞き覚えのある声が聞こえた。振り向くと瑞雲に乗った妖精が頭の上辺りで飛んでいた。
どうやって瑞雲でホバリングしているのか構造が気になるところだが今それはどうでもいい。
「お前は提督と一緒によく居る妖精さんクマ?」
「あら、覚えていただいて光栄です。よろしくお願いします球磨さん。」
「あぁ、よろしクマ……ってなんで妖精さんがこんな所にいるクマ?提督ならこの先クマよ?」
「後ろで艦娘の気配がしたので面白そゲフンゲフン。
気になってこっちに来てみました。」
今コイツ面白そうって言いかけたクマ。やっぱり妖精さんはイタズラ好きってのは本当クマね。まぁ私達もイタズラ、出歯亀精神でこんな事してるから人の事言えないクマ。
「提督達は球磨達に気付いているクマか?」
「いや、2人共気付いていないみたいですよ。私は提督達を他の方々に任せてこっちに来ただけですので御安心を。」
とりあえずそれが分かっただけでも一安心だ。
今バレてしまったら妹達に起こる面白展開もパーになってしまう。まだ溜めの時間だ。
「手を貸してくれると言ってたクマね?」
「えぇ、我々も面白い展開は大好きなので勿論手を貸しますよ。」
「今この人混みで先に進めそうにないクマ。どうにかしたいクマ。」
妖精さんと会話していると妹達も気がついたのかこちらに集まってきた。
「やっぱり駄目にゃ〜、とても全員では抜けられそうにないにゃ〜。」
「ふむふむ、やはり1人ぐらいなら通れると思いますが5人全員となると難しいですね。分かりました。では1人ここの道を通る人を選んで下さい。残りの4人は私が迂回路に先導します。」
4人か……。
「多摩、北上、大井、お前達は球磨と一緒にこの妖精さんについて行くクマ。」
「アタシはこの人混みの中突っ切らなければなんでもいいや。」
「あぁ、人混みで北上さんと抱き合う状態で幸せだった……。」
「大井〜戻ってくるにゃ〜提督と叢雲を追わなきゃいけないにゃ〜。」
「木曾、お前は変装してこの団体の端を何とか掻き分けて提督達を追うクマ。」
「マジかよ、また俺かよ。というかこの人混みの中進むのかぁ、もう疲れたぜ……。」
やはりこの中で1番フィジカルが強くて人混みに耐えられそうなのは木曾だろう。
いや、決して面倒そうだから木曾に押し付けた訳じゃないクマよ?ちゃんと適性で判断したクマ。
「決まりましたね、では回れ右して付いてきてください。」
妖精さんの乗った瑞雲はぐるっと旋回すると結構な速さで飛び始めた。
「逆に戻ってるけど大丈夫なの!?」
大井の疑問もご最もだ。
「大丈夫です、このままぐるっと回って納札所から迂回していきます。……まぁ実際逆走なのであまりよろしくありませんがちょっと行くだけなので。」
この妖精さん、目的達成の為には手段を選ばないタイプクマね……けど嫌いじゃないクマよ。
「!……今無線で仲間達から連絡が来ました。もうすぐ千本鳥居を抜けて奥社奉拝所に到着するとの事です。」
「奥社なんたらってのは何処なのさ〜!」
「おもかる石のある所クマ、時間を考えればそこで引き返すだろうからみんな急ぐクマ〜!!」
4人の少女達は人を避けながら鳥居の中を駆ける………一方木曾はと言うと……
「Could you take a photo for us?」
「えぁ!?お、俺英語分かんな……写真?あぁ、オーケーオーケー……これ、どうやって通ろうかな……。え!?俺も入るの!?」
この後ジェスチャーやらなんやら使って説明したら通してもらえたとか。
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「やっぱり千本鳥居は写真撮るのには最高のポイントね!」
「……そいつぁ良かったですわ……。」
千本鳥居、確かに幻想的だった。光が差し込んできて風もそよそよと吹いてくる。
ただ、人の多い事多い事。叢雲に写真頼まれて撮ったり撮られたりただでさえ少ない体力を持っていかれる。
元気だねぇ、この子も。
そして、千本鳥居を抜けると少し開けた場所に出た。
「あ、アンタもこっち来なさい!ほら、この列並んで!」
叢雲に腕を引かれるまま列に並ぶ。
「この列はなんの列なのさ?」
「修学旅行とかでおもかる石って聞いたことあるでしょ?あれよ。」
あーあの、石を持ち上げて軽いと思ったら願いが叶うってやつね。まぁ軽いと感じるしかない。願うのは勿論、鎮守府脱出、自己防衛だよね?
5分程並ぶと俺らの順番が回ってきた。
「アンタからいいわよ、私もこれやった事ないからどんぐらいの重さか私に教えてよね。」
俺は実験台か……。まぁそんなに重くないはずだ、行くぞっ!!
「あ、重ぃ………全っ然重くないわぁ〜〜!!めっちゃ軽いわぁ〜〜!!」
「……アンタ、今絶対重いって言ってたわよね?」
「言ってないですぅ〜!軽かったですぅ〜!!」
言ってないです。ほんとに言ってないです。
伏見稲荷の神様、セーフですよねこれ?(セーフだよ!裏声)
ほら、神様もセーフって言ってるからセーフ。異論は認めない。
「分かった分かった、軽かったんですねー凄いですねー。」
めっちゃ適当に流された……なんか虚しいわ。
「まぁ、思ったよりは重いって思っておいた方が良さそうね……じゃあ次は私の番ね。」
スタスタとおもかる石に近づく叢雲、ふふふ……地味に重いと感じるおもかる石の重みを知るがいい!!
そして『あ、やっちゃった!』みたいな感じになれや!!ガハハ!!
「いっせーのっ!!」
持ち上げる時一瞬艤装を展開する叢雲
⬇
軽々と持ち上がるおもかる石
⬇
こちらに満面の笑み+ドヤ顔の叢雲
何そのドヤ顔、腹立つわぁ〜〜!!!というかそれは反則だろ!?
「あ〜本当に軽いわぁ〜!アンタ、これが重いって思うようじゃお願いは叶いそうに無いわねぇ。」
むきーーー!!!違反勝ちして楽しいかコンチキショー!!!
「まぁ帰って筋トレでもする事ね!」
「うるせーー!!心無い奴だぜ!!だから胸も無いんだろうが!!!」
「あ”?」
「きょ、今日という今日はお前の眼力に屈しないぞ!!そんな顔しても無駄だ!!」
精一杯の虚勢だが、いっつも負けっぱなしなんだ!!今日こそは負ける訳にはいかない!!
「へぇ〜ほぉ〜、良い根性してるわねアンタ……。それだけ威勢のいい啖呵を切るわけなんだからそれなりの覚悟があるわけね……。」
心で負けるな心で負けるな心で負けるな心で負けるな心で負けるな心で負けるな心で負けるな心で負けるな心で負けるな……。
「どんな事されても俺は屈しないぞ!!それだけの侮辱を受けたんだ!!」
「アンタのプライドなんて深海棲艦にでも食わせておきなさい!!この私を侮辱したんだから覚悟なさい!!」
「はーー、なんの覚悟すればいいですかねぇ!?」
「大淀さんにアンタからセクハラされたって言うわ。」
「調子乗ってすんませんした、それだけは勘弁してください。」
一瞬で土下座に移行した。やっぱり叢雲に勝てなかったよ……。
コイツの言ってる覚悟ってのは命の覚悟だ。
俺はまだ死にたくない……。
誰得だよ、俺の即堕ち二コマ漫画。
「とりあえず列の邪魔になるから社務所裏ね。」
「……はい。」
30秒後、スッパァァァーーーン!!!というビンタの音が境内に響いたという。
やっぱり人が嫌だと思ってる事は言っちゃ駄目だね!
お兄さんとの約束だよ!!
命が幾つあっても足りないからね!!
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境内を駆ける4人と団体観光客から道を譲ってもらい提督達を追いかける1人の少女達、何故彼女達は境内を走るのか……。
1人は本人も気付いていない嫉妬と照れ隠しから。
1人は自らの淡い想いに気付きつつ、事情を知ってしまった以上ジッとしていられなくなったから。
1人は妹達の雰囲気を察し、甘い、面白い展開を見てウマウマしたい、けど妹の幸せも祈り、かつ心配しているから。
1人は姉と同様出歯亀精神旺盛で面倒事になったら末っ子に丸投げするかにゃ〜と呑気だけど奥底ではやっぱり心配してるから。
1人はただひたすらに、完全に無関係でいれたのに姉達の好奇心のせいで巻き込まれてしまったから。本人もずーっと俺はなんでこんなことしてるんだろう……。と思い続けている。
そんな彼女達はひたすら走る、前を飛ぶ妖精さんを追いかけ走る。
「もう少しです。そこのカーブを曲がれば後は一本道です。」
「もうちょいで着くクマ!お前ら、間違っても飛び出すなクマ!!」
「えぇ!!」
「はいよー!!」
「にゃー!!」
「もうそろそろ着きそうだな。姉さん達はもう着いてるか?」
5人の到着はほぼ同時、そして5人が見たものとは……っ!!
「うるせーー!!心無い奴だぜ!!だから胸も無いんだろうが!!!」
「あ”?」
「きょ、今日という今日はお前の眼力に屈しないぞ!!そんな顔しても無駄だ!!」
「へぇ〜ほぉ〜、良い根性してるわねアンタ……。それだけ威勢のいい啖呵を切るわけなんだからそれなりの覚悟があるわけね……。」
「どんな事されても俺は屈しないぞ!!それだけの侮辱を受けたんだ!!」
「アンタのプライドなんて深海棲艦にでも食わせておきなさい!!この私を侮辱したんだから覚悟なさい!!」
「はーー、なんの覚悟すればいいですかねぇ!?」
「大淀さんにアンタからセクハラされたって言うわ。」
「調子乗ってすんませんした、それだけは勘弁してください。」
「とりあえず列の邪魔になるから社務所裏ね。」
「……はい。」
目標である提督がもう1人の目標である叢雲に啖呵を切って最終的に土下座し、社務所裏に連れてかれるシーンだった。
状況が飲み込めない5人はただ呆然と見つめるしか無かった。
そしてその30秒後、スッパァァァーーーン!!!というビンタの音が聞こえてきたそうな。
めでたしめでたし。
めでたしで済めば良かったのですが……。
「うぉ!?ちょっ!!押さないでくれ!!」
先程、木曾が苦戦していた後続団体観光客がここまでやって来ていたのだ。
変装グッズのウィッグやサングラスが取れてしまい木曾だということが丸わかりになってしまった。
「これに懲りたら変な事言わない事ね。」
「……ふぁい、ふいまへんへひた。(はい、すいませんでした。)」
頬に大きな紅葉付けた提督と少しスッキリした顔の叢雲が社務所裏から出てきた。
団体観光客に押し出された木曾と提督達が……。
「あ、まずいクマ!!木曾が!!」
「にゃー!!」
倒れた木曾を起こそうと提督が近寄ってきてしまった。
「大丈夫ですか?………あれ?」
「あぁ、大丈夫……あ、やべ……。」
目と目が逢う〜瞬間〜お互い誰だか気付いた〜。
……終わったな。
肌を焦がすような〜
南風が吹いた〜
ほんの少しサボり過ぎた〜
さぁ始めようお仕〜事〜
真っ白な書類に覆われた〜
テーブルの上に残る決済書〜
脳裏に淀姉さんの怒る顔映す〜
廊下を踏み歩く淀姉さん〜
それが運命の足音なのなら〜
煽るような〜ノック音は〜
Heart beat!!
「こうちゃ〜ん?あれだけサボってたのですからもうそろそろお仕事片付きますよねぇ〜?」
「も、ももももう時期終わりますのでもうしばらくお待ちください!!!」
魂削ることでしか〜
終わらない仕事だってある〜
千の文字よりも確かに刻まれて行くんだ〜
淀姉さんのハイライトの無い視線!!