仕事休みにして……。
なんて事は許してくれない会社、どうも狛犬太郎と申します。
そろそろ夏休みの話もでてき始めた頃でしょう。
相良君は遂に五連休を貰えたらしいのでどこか行くらしいです。
そして今回は新たな艦娘適正者が見つかる!?
あれは誰だー!?誰だー!?誰なんだー!?
人気投票1位の方では無いのであしからず。
それでは本編どうぞ。
時は7月後半……気温はぐんぐん上がり連日真夏日が観測されるようになった。
俺は明石から貰った大本営実印付きの休暇届でとある場所に来ていた。
え?そんな5日も休んでて良いのかって?大本営から各鎮守府交代で休めってお達しが来てんのよ。
だから今は舞鶴第1鎮守府と第3鎮守府が俺らの担当区域もこの5日間担当してくれてんのさ。
同様に艦娘達も5日間の休暇が与えられた。実家に帰った奴、仲のいい仲間と旅行に行く奴、そのまま鎮守府に残って過ごす奴とそれぞれだ。
だが俺の場合行先は既に指定されている。まぁ明石……もとい明希姉の仕業だろう。休暇なんだから好きな所に行かせろと言いたいのは山々だけど、休暇届の行先欄に書かれていたのは俺の爺ちゃん婆ちゃんが運営する小さな旅館。
まず京都まで電車で移動、そこから新幹線で東京まで、そこからまた電車に乗り換えて2時間ほどそこから更にバスで移動……距離的に結構移動しなきゃ行けないのが大変である……。
そんなんだから昼頃出たらもう夕方ってに笑っちゃう。
この行先を見る前までは正直どっか出かけないで部屋で寝たいと言う感情が脳内円グラフで八割を占めていたが、よくよく考えたら鎮守府で寝ようとしたところで誰かが俺の部屋に突入してきてどっか行きたいだ、何かしようと引きずり回されるのは確定……それならば、明石が用意した爺ちゃん婆ちゃんの旅館でゆっくりするのがありだろう、そう考えたのだ。
だから行先指定だったが全然嫌じゃなかった。
俺は親が色々ハッピーな方々だから爺ちゃん子、婆ちゃん子だったし、それに爺ちゃん達が元気かどうかも気になる所だしな。
何より嬉しいのは艦娘達が居ないという事、めっちゃ気楽だ。
いつもなら世間が思うオカン並みにオカンしてる初期艦様や最近風邪でダウンしてて、後日お見舞いに行ったら「僕だけ除け者にして楽しそうなことしてたらしいじゃない…?」とハイライトオフにしてる奴とか、いつ参加してたのかお願い券を持って「こーちゃんに何お願いしようかな〜!」とぽいぽい言ってる奴とか、ドロ刑終盤で乱入してきた重雷装艦2人組とか特にヤバいのは大本営からおいでになったダークホースでもある元帥の娘さんとかエトセトラエトセトラ……。
そんな奴らが居ないと思うだけであぁ^〜心がぴょんぴょんするんじゃあぁ^〜。
……ん?これって、脱走のチャンスじゃありませんこと?
艦娘は誰も居ない、俺一人の旅館、お金も着替えもまぁまぁある…………行けるやんけ!?
まぁ待て落ち着け俺よ、まだ焦る段階じゃない。まずはゆっくり温泉に浸かって疲れを癒し、最終日鎮守府に帰らずそのままドロンすればいい……。
流石俺!最高かよ!
てな訳で久しぶりの爺ちゃん達だ。元気にしてっかな〜?
「爺ちゃ〜ん婆ちゃ〜ん、久しぶり〜航希だよ〜。」
入口の引き戸をガラリと開け中に入るとそこには……
「あ、遅かったですねこうちゃん、皆さんもう到着してますよ?」
………え?何故淀姉さん?Why?
「鎮守府の外でお泊まりなんて久しぶりっぽ〜い!」
「夕立、宿で騒いじゃダメだよ。」
「ここにアイツのお爺さん達が……。」
「ん?大井っち、何そわそわしてるの?」
「き、ききき北上さん!?な、なんのことですか!?」
いつもの面子もいらっしゃるんですがそれは……。
「お?こうちゃ……フフフ、よくぞここまでたどり着いたな我が弟よ……。どうやら四天王の1人を倒してきたようだな?奴は四天王の中でも最弱、四天」
「長いしくどいし面倒くさいわ!!!どうしてこうなってるのか説明しろや馬鹿姉!!!」
ギャグ漫画〇和は良いんだよ!!面白かったけど!!
「よよよ……こうちゃんに馬鹿って……。」
「早くしないとまた研究所の鍵没収するぞ。」
「はいっ!!順を追って話していきますと!!」
切り替えはえーな。
・五連休だってさ〜。
⬇
・皆どこか行く?
⬇
・うーん、特に無いわね……。実家は来月帰るし……。
⬇
・そう言えばこーちゃんはこの連休どーするとかみんな聞いてないっぽい?
⬇
・あー、聞いてないね、そう言えば……。
⬇
・はいはーい!こうちゃんのスケジュールならこの明石にお任せ!!こうちゃんはこの5連休なんと、私達のお爺ちゃんが運営する旅館に泊まることになってま〜す!
⬇
・うわびっくりした!明石さん、急に出てこないでよ……。
⬇
・それなら夕立もこーちゃんに付いて行くっぽい!お願い券持ってて良かった〜!!2人でご飯食べて向こうで遊ぶっぽい!
⬇
・っ!?!?!?!?!?!?
⬇
・ゆ、夕立?ぼ、僕も一緒に付いて行っていいかい?ほら、夕立の荷物とか準備する時手伝って上げられるしさ!
⬇
・ま、待ちなさい!夕立、私も行って良いかしら?ほら、間宮券上げるから……?
⬇
・ちょ、ちょちょちょっと待ってくださいよ!?
⬇
・皆さん集まって何してるんです?
⬇
・あー、大淀さん、実はかくかくしかじかでねー。
⬇
・あれ?皆さんは行かれないんですか?私はこうちゃんが絶対脱走を試みるから監視するため今から私達も連絡して部屋を予約して置こうと思ったのですが……もし、行く方がいらっしゃるなら一緒に予約しておきましょうか?
⬇
・「「「お願いします!!!」」」
ってのが真実ですけどそれを言うのは野暮なので、工作艦明石、端折ります!!
・5連休だってさ〜。
⬇
・皆どこか行く?
⬇
うーん、特に無いわね……。実家は来月帰るし……。
⬇
・そう言えばこーちゃんはこの連休どーするとかみんな聞いてないっぽい?
⬇
・あー、聞いてないね、そう言えば……。
⬇
・はいはーい!こうちゃんのスケジュールならこの明石にお任せ!!こうちゃんはこの連休なんと、私達のお爺ちゃんが運営する旅館で2泊3日にの旅行に行くことになってま〜す!
⬇
・あれ?皆さんは行かれないんですか?私はこうちゃんが絶対脱走を試みるから監視するため今から私達も連絡して部屋を予約して置こうと思ったのですが……もし、行く方がいらっしゃるなら一緒に予約しておきましょうか?
⬇
・「「「お願いします!!!」」」
「って感じでしたね!」
この事が明石によって端折られた真実だとは思っていないようです。
「嘘だドンドコドーンーーー!!!」
ざっけんな!!みんな好きな所に行ってきてくれよ!?
しかも淀姉さんめっちゃ警戒してるじゃん!!
……まぁそのまま脱走しようと考えてたけどさ。何でそんなに勘がいいの?怖いよもう。
てか淀姉さんには偽の情報を流してた筈なんだけどな……。まぁ大体こんなの流した奴なんて……明石からダイレクトか、青葉経由だろうな。むしろこのぐらいの奴しかしない。
やっぱ帰っ
「あ、因みにもう駅まで行くバスが無いんで帰れないですよ?」
は?まだ17時30分だぞ?一応人が住んでるエリアだろ?1本ぐらいあんだろ1本ぐらい。とりあえず調べりゃ1発よ……?
ハーイ、ナビじかーん!!
「うわ……マジで無いわ。」
「言ったじゃない、無いって。」
ウソ、私の爺ちゃん家、田舎すぎ……?ここで暮らしていくなら子供は自転車、大人はバイクか車必須じゃん。
実際田舎、本当に田舎。
すると奥から爺ちゃん婆ちゃんが現れた。
「おぉ、明希に航希、それに恵ちゃんもよく来たの。ほら上がった上がった。」
「皆様も遠い所ようこそお越しくださいました。長旅でお疲れでしょう?さぁさぁ、中へどうぞ。」
仲居さん達がササッと現れ、荷物を持つと部屋に運んで行った。
上がるとロビーに通され、お茶を出してもらいそのまま宿泊手続。
「にしても本当に久しぶりだねぇ……前に来た時は明希が艦娘になる前だったっけね?」
「そうそう!3年前だっけね!暫く来れなくなるからーってね。でもこうちゃんは来なかったんだっけ?」
「あぁ、1年はひたすら艦隊運用の筆記と実技に追われてた。」
「かーっ!すっかり大きくなっちまってよ!ちょっと前まで二人ともこーんなちっちゃかったのに。」
爺ちゃん婆ちゃんは小柄で笑顔の素敵な老人って感じの二人だ。例えるなら七福神に居そうな感じ。
「恵ちゃんもすっかり美人になってねぇ〜!」
「あはは、ありがとうございます源蔵さん、初枝さん。お二人共お変わりないようで。」
「あっはっは!まだまだ現役じゃよ!」
「航希も提督さんになったんだってね〜!って事は皆さん艦娘さんって事かしら?別嬪さん揃いね〜!」
「そうそう、口うるさゲシッ……く俺を支えてくれる優秀な部下達だよ。」
口うるさい連中って言おうとした瞬間に俺の後ろにいた叢雲に足を蹴られたのと淀姉さんからヤバめのオーラを感じ取ったので慌てて路線変更。
「それはそれは、いつも孫の明希と航希がお世話になっております。これからもよろしくお願いしますね?」
挨拶1番を取ったのは白露、は居ないが姉妹艦である時雨が1番になった。
「こちらこそ!僕は時崎雨音、艦娘では駆逐艦時雨と言うんだ。今日からお世話になります。」
まぁコイツ、普通にしてれば真面目なんだよなぁ……普通にしてれば。
「わ、私は南雲凜香です。艦娘としては駆逐艦叢雲、一応コイツの秘書艦をやってます。よ、よろしくお願いします!」
ん?叢雲さん噛み噛みじゃないっすか?あれれ〜?もしかして緊張しちゃってまゲシッ………何で分かったんだよ。
「はいはーい!私は立川夕香!艦娘としては駆逐艦夕立っぽい!!よろしくお願いしますっぽい!!」
こんな時も元気わんわんお夕立さん。
「……提督にはお世話になっております。大川井乃(おおかわめぐの)です。艦娘では重雷装巡洋艦大井と言います。どうぞよろしくお願いします。」
そう言えばこいつの本名そんな名前だったな……。と言うかこいつもちょっとソワソワしてる?
「こんにちはー、アタシは北見佳穂(きたみかほ)。艦娘ではアタシも大井っちと同じ重雷装巡洋艦の北上です〜、よろしくお願いします〜。」
お前はほんとブレないって言うかなんて言うか……。
まぁコイツの強みだよな。
「あらあら、ご丁寧にありがとうございます。さ、手続きも済みましたしお部屋にご案内致しますね。お部屋は2部屋でご用意してますので4人1部屋、3人1部屋でごさいます。」
「お?こうちゃん入れれば丁度4:4になるじゃない?
って事で…部屋割り決めね!!このくじ引きで勝負が決まる!!」
「決まらねーよ!!」
明石からくじを奪い取りデコピン。
「あだっ!?」とか言いながらうずくまる姉、やめろ見苦しい。
てか何お前らくじ引こうとしてんだよ!?これは没収したもの!!淀姉さんも落ち着いて!?くじ引きしないから!!
「大丈夫よ〜こうちゃん、小さい頃女の子の格好とかしたじゃな〜い?また女装、する?」
復活してくんな!!そして俺のトラウマを抉るな!!
そもそもアンタが無理やり着せたんだろうが!!
再びデコピンに沈む明石、コイツの生命力はG並みだわほんと。
この後、明石によって俺の小さい頃の写真がコイツらに公開され、いいように遊ばれたのは言うまでもない。
噂の女装させられた時の写真がこの場に無いのが唯一の救いだった。
「お、部屋一緒にするかい?一応出来るけど?」
「爺ちゃんも乗らんでいいから!!俺も部屋行くから部屋教えて!!」
「わかったわかった。まぁ予約順でみんな隣の部屋だけどね。……ところで航希、どの娘狙いじゃ?」
……………何言ってるんですこの人?
「は?」
「惚けんでもええわい、こんな別嬪さん達連れてきて何も無いってことはないじゃろう?」
「いや、ないです。」
「恥ずかしがりおって……恵ちゃんか?それとも最初に自己紹介した娘か?」
やめろやめろ!アイツらはそういう話に敏感なんだ!血の匂いを嗅いだサメの如くすぐ来るんだから!
「あのね爺ちゃん、一応アイツらは俺の部下、そう言うのは」
あれ?爺ちゃん居ないし。
ふと、後ろを振り返ると淀姉さん達に何か話しかけている。
「そう言えば皆さん丁度いい時期に来ましたのー!明日、地元の祭りの日なんじゃよ?もし、皆さんお時間があれば行ってみるのもありじゃと思いますよ?」
爺ちゃんが指さす先には壁に貼り付けられたポスターには夏祭り、花火大会と書かれている。
その言葉とポスターを見た瞬間皆の目の色が変わったのが分かった…。
「こーちゃんこーちゃん!!明日夕立と回るっぽい!!」
「さ、相良くん!僕と一緒に……。」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!アンタがどうしてもって言うなら私も……。」
「おー、お祭りねぇ〜、こうちゃんアタシ綿あめ食べたーい。」
「き、北上さんが行きたいって言ってますから仕方ないですけど付いてってあげます!」
「勿論私と、ですよね?」
「おぉー、これが修羅場って奴ですね!こうちゃん明日は頑張ってね〜!!」
あぁ、面倒くさい事になった……。
後、明石はっ倒す。
その後、全員部屋に通された。俺は勿論一人部屋、だがさっき抵抗しなかったら四人部屋に通される所だった。部屋で寛いでたら隣の部屋から『こうちゃ〜ん、こっちの部屋においでよこうちゃ〜ん』という不気味な声(明石)が。
他の客にも迷惑になるからやめろ。
なので静かな場所で、奴らが居ない風呂に行こうとしたがそこで1人になれるとは言ってない。
「なーんで君らまで付いてきちゃうかなー?」
「提督さんが、中々構ってくれないからですよ。」
なんだよ構ってちゃんかよ?
現れたのはいつもの妖精さん達。前までは日向から貰った瑞雲(護身用)をみんなでシェアして乗っていたが、遂に全員分の瑞雲を揃えたらしい。
とりあえず話しかけてきた構ってちゃん妖精のほっぺをぷにぷにする。めっちゃ柔らかい。
「お風呂に行くのもいいけどさー、ちょっと外を散歩してからにしようよ!」
「良いですね探照灯妖精さん。」
……コイツも当たり前の様に付いてくるようになったよなぁ。
とりあえず大型探照灯を持ち歩くのはやめろ、せめて普通の探照灯にしろ。
「まぁでも散歩か……。久しぶりにこの辺り歩くのも良いか……。」
そもそもここに来たのが何年前だったかな……?
まぁいい、早くしないとすぐ暗くなっちまうし、辺りでブンブン飛び回ってるコイツらが喧しくて敵わん。
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聞こえるのはセミの鳴き声、カエルの鳴き声、なんかよくわからん虫の鳴き声と様々だ。見せつけてくれるね田舎。
夕暮れの田んぼ道を行くのは俺と回りを飛び回る妖精さん達だけ。
何もない。けど何もないのが田舎のいいところだろう。
「そう言えば源爺が風奏ちゃんが会いたがってたとか言ってたな……。今家に居るかな?」
「お?風奏ちゃんとは?」
「……確か従姉妹の方でしたったけ?」
妖精さん達が瑞雲をブンブン言わせながら尋ねてくる。
正直蚊や蝿と間違えて叩き落としそうになるから耳元で飛ばないで欲しい。
「あー、君はその時から居たんだっけか。そうそう、従姉妹の山屋風奏(やまやふうか)ちゃん。前あった時は……あの子が7歳とかだったから7年ぐらい前って所か……?」
俺も14だか15だかぐらいの歳だったはず。
「ってかもう7年も前なのか……そう考えると7年って早いもんだよなぁ。」
「提督さん提督さん、発言が年寄りですよ?」
「そろそろ育毛剤も考えてみては……?」
「これ見えます?」
探照灯妖精さんが腕をCの字にしてみせるけど見えるからそんぐらい。え?てか俺老けて見える?
「「………。」」
え?何で目逸らすの?え?そんな事ないよね?…マジ?
ま、まぁいい。今は風奏ちゃんだ。叔母さん、叔父さん、風奏ちゃんに挨拶していこう。家はすぐそこだ。
さらに歩くこと3分、目的地である山屋宅に到着。
呼び鈴こそあるものの、田舎では呼び鈴どころか日中、誰も居ないが鍵を掛けてない所もままあるのが現実。
なので軽くノックしてから名前を告げて戸を開ける。
「こんちわー!相良茜の息子の航希ですー!ちょっとご挨拶「…お兄ちゃんっ!!」ぐぇふっ!?」
バタバタと家の中から足音がして扉を開けた瞬間、緑のモフモフが突っ込んできた。
何とか受け止めたものの、鳩尾にダイレクトアタックされたので中々のダメージを食らった……っ!!
「…お、おう、元気みたいだな風奏ちゃん……。」
「…うん、お兄ちゃんがこっち来るって聞いてたから元気にしてた。」
俺来なかったら元気にしてないみたいな言い回しやめたげて。
その風奏ちゃんはそのまま俺の腰にがっちり掴まって離してくれない。無理に振りほどくのも気が引けるし、まぁいいか。
続いて出てきたのは叔母の奏恵(かなえ)さん。この人は俺の母、茜の妹に当たる人だ。
「あら、こっちに着いてたのね、いらっしゃい航希君。……にしても、立派な大人になったわねぇ〜!前会った時は中学生ぐらいだったかしら?」
「多分そのぐらいだったと思いますね〜。」
「お、来たか!おぉ〜航希君、立派になったじゃないか!今は海軍で提督やってるんだってねぇ〜!」
「あ、あはは〜、いや、そんな大したものでも……。」
早く辞めたいとか言いづらい。この人は叔父の和一(かずひと)さん。結構テンション高めだけど凄い優しい人だったのを覚えてる。
「なーに言ってるんだ、この国の平和を守ってるんだ、立派だよ!物腰もしっかりしてるし、これならこれからの日本も安泰だな!……航希君ならうちの風奏をやってもいいよ?」
「あはは……ありがとうございます。でも和一さん、風奏ちゃんに後で怒られますよ〜?勝手に決めないでって。」
「…大丈夫、私はお兄ちゃんと結婚するから。」
そうそう、大丈夫大丈夫…………!?!?!?!?
「ふ、風奏ちゃん!?ちょ、何言って!?」
「…ところでお兄ちゃん、お兄ちゃん回りを飛び回ってるのは何なの?」
「お?私達の事が見えるのですか?」
「…わっ、しゃべった……。」
ちょいちょいちょい待ち!色々一気に起こりすぎて訳分からなくなってきた、とりあえず……
「風奏ちゃんさ、この飛び回ってるのが見えるの?」
「…うん、見えるし、私達の事が見えるのか?って言ってたし……。」
あちゃー、こりゃ艦娘適性有りって事かよ……。どうしたもんか……。
「……風奏ちゃん、落ち着いて聞いてね、風奏ちゃんが見ているのは妖精さん。それで俺たち海軍ではこの妖精さんが見える人達を艦娘候補って呼ぶんだよ。」
「…つまり、私に艦娘の適性があるって事?」
「そういう事、前の適性検査では何も無かったの?」
「…特に何も無かった。」
うーん、本当に妖精さんってのは謎なんだよなぁ………この適性も何かきっかけがあって出るのかはたまた別の理由なのか……。
ともかく適性者を見つけて何もせず放置すると処罰を受けるんで聞くことは聞いておこうね。
「一応職務上こういう場面に出くわしたら確認しなきゃ行けないことがあってね、風奏ちゃん、艦娘になる気はある?」
「…うん。」
「即答っ!?いやいやいや、もうちょっとよく考えてから……。」
「…お兄ちゃんと一緒に居られるなら、構わない。」
和一さんも奏恵さんもヒューヒューじゃないですって!!
山屋風奏、後に駆逐艦山風となる人物である。
有給〜なんてララ〜ララ〜
信じない方がいい〜
実際に有給が取れるなら〜
どんな嘘でもつこう〜
五連休に魅せられた〜
僕のこの心〜
なお実際、「ちょっとこうちゃん聴いてます〜?」
「あぁっ!?夕立!そこでドロー4だなんて!?」
「フッフッフ……この勝負、夕立が貰ったっぽい!!そしてこーちゃんの膝の上に」
「ほら、そんなアンタにドロー4よ。」
「ぽい〜〜〜っ!?!?」
騒がしい連中の身悶えながら
淀姉さんentry!!
「あの〜皆さん、宿では静かにしてください。」
「「「………はい。」」」
「ちょっとこうちゃ〜ん、だから私はぁ〜」
それはまさに現実さ、お気の毒さま。
頼むから全員部屋に帰ってくれ……。