ソードアート・オンライン ―― 隻眼の喰種―― 作:クロノヒメ
追記:「……」のときが言葉を選んだりと悩んでいるときで、「…」は言い直しや短く考えたときです。
分かりにくかったようなので、ここに記しておきます。
第一話
二○二二年 五月。
これはゲーム業界に、文字通り革命が起こった時である。
これまでのゲームは2Dでコントローラーを握るしろものだった。
最初のころは盛り上がっていたものの、時間がたつにつれどんどん熱は冷めていき、ゲーム業界の人気が下がっていた時だった。
新しいプレーヤーは増えず、古参の人達がどんどん止めていく。
だが、そんな時に革命が起こった。
人々は常に新しい物を求め続ける。
しかし、変わらないものを求めた者もいた。
あぁ、もし自分が、コントローラーなどではなく、
誰もが一度は心からそう思ったもの。
しかし、それは妄想だ、空想だと。
誰もが現実を受け入れていた。
しかしそれを覆えし、世界の常識が変わることが起こる。
――これは、そんな世界で生きる少年のお話である
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二○二五年 十一月 五日 土曜日
「んで、その女子がさ……って、聞いてるか、金木?」
「っあ、ごめん、ヒデ。ちょっとボーッとしてた」
僕の名前は
「くぅーー、まぁ、仕方ないか。なんたって、彼女との待ち合わせなんだからなぁ?緊張するよなー?」
彼の名は
僕の幼馴染であり、たった一人の親友だ。って
「ハァー。……ヒデ、何度も言ってるけどそんな関係じゃないからね?」
「本当か~?……は~あ、俺も彼女がいたらな~……あ、あの子とか可愛くね?」
そういう彼の視線の先には、今僕たちのいるカフェ……あんていくという名のだが……の従業員がいる。
彼女の名は
染めているかは分からないけど、綺麗な青のショートカット。キリッとした佇まいに可憐な笑みを浮かべており、このカフェで一番可愛いと評判がいい人だ。
だが、彼女は女であることを忘れてはいけない。
美しいバラには刺があるのだ。
……あと、僕の先輩にあたる人だ。
言い忘れていたが、僕はここで働いている。
大学に入りたてのころやることがなく、ずっとここでコーヒー片手に本を読んでいた時に店長からここで働いてみないか?、と誘われたのがきっかけである。
店長曰く、「若い世代が珈琲を飲まなくなってきているなか、君のような珈琲が好きな人がいるとありがたい」とのこと。断る理由がなかったので、すぐにオーケーを出した。
僕がボーッとしてると、ヒデが突然トーカちゃんに話しかけた。
「あの、付き合ってますか!恋人は!?」
「……!?」
急に言われてビックリしたのだろう。
何も言わずにそそくさと奥の方にいった。
「ふっふ、愛らしい……」
「ヒデ、止めてよね!?トーカちゃんは怒ると怖いんだから!?」
「はは、いーだろこれくらい?」
とか言ってくる。
そうして、二人で他愛ない話をしていると――
カランカラン
「あっ……」
「おっ、あの人か?……可愛い、と言うよりも美しいな人だな~」
「…そっか、ヒデは見るのが初めてだもんね」
彼女……
『あの……本、好きなんですか?』
初めてあったときのあの言葉は忘れられない。
そのあともちょくちょくここで会い本のことを話していて、今では読書仲間として本のことを語り合ってる。
「だがな、金木」
そういうと、ヒデはため息をつきながら言ってくる。
「諦めろ。あれはちょっと、いや、かなり高値の花だぜ?」
「だから……ふん、もうしーらない」
少しムスッとしたので怒ると、ヒデが笑いながら慌てて謝ってきた。
「あはは、悪りい悪りい。ちょっといじりたくなったんだよ」
「……まったく、ヒデはもうちょっと限度を知りなよ」
「いーんだよ、俺はこれで……あっ、見ろよ金木」
「ん?どうかしたの?」
「アレだよ、あれ」
そういい、ヒデがテレビを指差す。
テレビには――
「ソードアート・オンライン、あす正式サービス開始!」
の文字があった。
ヒデが目を瞑り、腕を組ながら言ってくる。
「いやーにしても、現代の科学?技術ってすげーな」
「そうだね……こんなことが出来るなんて……」
ソードアート・オンライン、通称SAO。
これまでのゲームとは圧倒的に違う、新ジャンルのゲームだ。
何故なら
ナーヴギアと呼ばれる、バイクに乗る時に使うヘルメットのような見た目なのだが、これが現実の視覚、聴覚、嗅覚、味覚、感覚の全てを遮断し、ユーザーの脳に直接アクセスするのだ。
開始コマンドである、「リンク・スタート」のひと言を唱えた瞬間、視界が暗闇に染まり、次に明るくなったら、既に自分はデジタルで構築された別世界にいる……と、テレビで有名な人が言っていたのを覚えている。
だが。
「けど人気がすご過ぎてすぐ完売、ってやってたよね」
「だよな。それにあんな機械、俺らみてぇな学生が買えるわけないよなー」
ヒデの言うとおりである。
値段を見たときは、ついつい丸が一桁、二桁違うんじゃないか?と思ったレベルである。
「っと、もうこんな時間かよ」
ヒデが自分の腕時計を見て、焦りながら言う。
「わりぃ金木。俺今からバイト行かなきゃいけねぇから、また後でな」
そういい、彼は自分が飲んだコーヒー分のお金を机の上に置いた。
「バイト、頑張ってね」
「あいよー。じゃあな」
カランカラン
バダンッ
……さて、どうするか。
今日やることはもう他にはないし、このまま本を読んでいるか、それとも家に帰るか…
そう悩んでいたとき、僕に声をかける人がいた。
「あの、金木さん?今暇ですか?」
いつの間にか下げていた顔を上げると、そこにはリゼさんがいた。
「こんにちは、リゼさん。たった今暇になりました」
「そうですか…なら、失礼します」
そういい、リゼさんが椅子にすわる。
いつものように、本のことを語り合う…と思っているとき違和感を覚えた。
彼女はいつも、小さいバックを持っており、その中に本を持ち歩いている。
だが、今は少し大きめな袋を持っており、その袋は見たことがない。
「あの、リゼさん。その袋は……?」
「あぁ、これですか?実は、金木さんにプレゼントがあるのです」
「え?」
プレゼント?誕生日はまだまだ遠いし、そもそも教えた記記憶がない。
「正確に言うと、プレゼントではないのですが、もったいないので金木さんに渡そうと思いまして…」
「そ、そうですか…」
「どうぞ、中身を見てください」
そういわれたので、袋の中を見てみ――
「えーー!?」
シーーン……
「えっ、あっ、その、ごめんなさい!」
店内から笑い声が聞こえる。
だが、とっくに僕の頭の中は目の前のことでいっぱいになった。
「リゼさん……これ……」
「ふふふ、驚きましたか?」
「それはそうですよ!なんで――」
袋の中を再度見ながら言う。
「――ナーヴギアとSAOが入ってるんですか……?」
そう。
ナーヴギアとSAOが入っていたのだ。
「実は――」
リゼさんが話したことをまとめると、元々はリゼさんがお父さんに買ってもらったのだが、明日からどうしても外せない用事があるのだと言う。
なら、明後日からやったらいいじゃないか?と聞いたが、どうもそこは田舎らしく、Wi-Fiなどが繋がっていない環境に数週間身を置くらしい。
それに、ゲームはそんなに好きじゃないそうだ。
「ですので、金木さんに私の代わりにやって欲しいのです」
「いいんですか?こんなすごいものを……」
リゼさんは柔らかい笑みをうかべ、僕に言う。
「いつもお世話になっていますので、恩を返すことも必要だと思いますの。ぜひ、楽しんで下さい」
「リゼさん……」
僕はとても嬉しかった。
今まで何かをもらったことが少なく、お母さんやヒデにしかもらったことがないからだ。
だから、この時僕は気付けなかった。
リゼさんの笑みの意味が、違うことに。
「それでは金木さん。楽しんでくださいね?」
「はい!本当にありがとうございます!」
「ふふふ……では、また来週会いましょう?」
「はい!」
そういい僕は席を立ち、お店の奥に向かった。
そのまま早足で店長がいる部屋に向かう。
コンコンッ
「どうぞ」
「失礼します」
キイッ
「はは、金木君じゃないか。どうかしたのかい?」
「はい。あの、明日お休みをもらっても良いでしょうか?」
「うん、良いよ。…もしかして、今有名なアレでかい?」
「さすが店長、よく分かりましたね」
驚いた。
正直、店長がこういうのを知っているとは思わなかった。
「いや、さっきトーカ君もそれで明日休みが欲しいって言ってきたんだよ」
「トーカちゃんが?」
もっと驚いた。本当に以外だ。
「まぁ、楽しい青春を過ごしない。後悔がないように」
「はい、ありがとうございます!……失礼しました」
部屋から出る。出る直前、店長が何か言っていたような気がしたが、上手く聞こえなかった。
そのままあんていくを出て、家に向かう。
さあ、明日は忙しくなるぞ!
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キイッ
バタンッ
……ハァーー。
ため息をつく。
まったく、急に二人もいなくなるのはお店としてきついが、限りある時間なのだ。若い人には楽しんで生きて欲しい。
ふと、あの子のことを思い出した。
……今、どうやって過ごしているんだろか……?
過去のあやまちは正せない。
部屋のすみに置いてある、一羽の鳥を見る。
見たとき、ついあの子に似ていて買ってしまったのだ。
そんな感傷に浸っている私を、その鳥――
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二○二五年 十一月 六日 日曜日
現時刻 十二時五十五分
待ちに待った瞬間まで、あと五分である。
心臓がうるさい。
昨日家についたあと、トーカちゃんにLI○Eをして待ち合わせの場所を決めた。
トーカちゃんに「金木も持ってたの?」と聞かれ、貰ったんだと答えておいた。
ヒデにも連絡しようとしたが、繋がらなかったので、一回SAOをやって自慢しようと考えていた。
(ご飯は食べた、トイレにいった、仕事を休むって言ったし、他には…)
いろんなことを考え、独りで時間がくるまで待つ。
カチッ
ふと気づくとサービス開始まで残り三十秒。時間が経つのが早く感じる。
急いでベットに横になり、ナーヴギアを被る。
深呼吸して、体を落ち着かせる。
そして、ついにその時がきた。
カチッ
ピピピピピピピピピピピピピ
電子時計が昼の十二時を指し、音が出た瞬間に唱える。
「リンク・スタート」
――今思えば、ここが僕の分岐点だったのだろう。
このときの僕は知らなかった。
まさか、あんなことが起きるなんて。
そんな、これから始まる僕の人生を一言で表すならこうだろう。
――『悲劇』だ。
捕捉ですが、トーカちゃんの好感度は原作と違い中の上辺りです。
どうでしたか?感想・批評などをお待ちしております。