ソードアート・オンライン ―― 隻眼の喰種――   作:クロノヒメ

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更新するのがら3ヶ月ぶり。

・・・ごめんなさいっ!(土下座)


第七話

 

 

 

「カネキッ!」

 

はっ、と体を強ばらせながら顔を上げる。

さっきまで動いていた足も、斬りかかろうとした手も、止まっていた。

 

原因は明らかに、あの人の声。

 

頭の中では自分がやるべきことが分かってる。

体を動かし、ボスの所まで行って――

 

でも、体が動かない。

 

まるで、ボスよりも目の前で起こってる・・・あの人の声の方を解き明かそうするような。

 

左手で自分の頬を叩く。

 

痛いわけでも、何かある訳でもない。

 

だけど、一瞬出来た無意識を無理やりボスの方へ向け、再認識させる。

 

大きく息を吸い、刀を握りしめて走り出す。

 

――。

 

・・・まただ。声が聞こえる。

 

でも、もう構ってられない。

 

速く、速く、速く速く速くはやくはやくはやく――

 

 

そして、後悔する。

 

 

あの人の方に意識を向けすぎたせいで、僕はボスのちょっとした、些細なことを見逃していた。

 

致命的なミスを、犯してしまっていたのだ。

 

――、――――!

 

また、聞こえる。

あれ?でもこの声は――。

 

いや、気にするな。前を向け、速く、速く――。

 

うずくまっているボスを視界に入れた時、違和感を感じた。

 

違和感の正体は、背中・・・というより腰に少しの亀裂、そして――

 

 

 

 

――グサッ

 

 

 

 

「ゔッ・・・・・・!」

 

自分の体の中から聞こえる、生々しい音。

見ると、何かが僕のみぞおちを貫いている。

 

「「カネキッーーーー!!!!!」」

 

響き渡る、トーカちゃんとキリト君の声。

 

あの人の声では無かった、と。

最後に聞こえてなかった声は、トーカちゃんの声だと。

遅く、遅く。あまりにも遅い時に気づいた。

 

絶叫がこの間に反響し、反射的にこの場の全員の脳内に危険信号を鳴らす。

 

それに対しボスは、口元を歪ませた―ような―顔で僕を見ていた。

 

 

「あ・・・がッ、っツ」

 

その何かは一瞬しなり、その反動を使い僕の体を紙切れのように吹っ飛ばす。

 

ドゴォォォォンッッッ!!!

 

「ガハッ!」

 

壁に投げつけられた衝撃で、肺にあった空気が外に吐き出される。

 

「ゔっ・・・ぐぁはっ・・・」

 

見ると、HPは半分を下回っており、赤に侵入している。

赤のゲージどんどん減り続けて、残り1割といったところで止まる。

どうして、なにが・・・と言う思考を無理矢理変える。

 

彼我の距離約20m。蹲っていた所に、そいつはいた。

 

先程と変わらぬ体、しかし、背中・・・いや、腰から伸びたうねる赤いムチのような、触手のようなもの。

 

間違い無い、瞬間的にカネキは察した。

 

あの触手が僕を吹き飛ばし――尚且つ、ここまでな致命傷になるような強さなのだと。

 

咄嗟の判断でポーチに入ってるポーションに手を掛け、栓を外し中身を飲み干す。

 

どうする?このまま突っ込んでも行動パターンが・・・。

守った方がいい。まず、色々と確認した方が――。

 

ゾワッ

 

カネキが感じた予感。

虫の知らせと言えば良いのだろうか。

 

何かがダメなような気がし、その一方どうしても振り切れないような――

 

 

「グゥゥゥゥ・・・」

 

 

――絶望が。

 

 

ダンッッッッ!!!!

 

 

「う、うぁぁッッッ!?」

 

ボスが地面を蹴り、脅威のスピードを出しながら、先程カネキより前にいた剣士に迫る。

 

しかし、流石攻略部隊のアタッカー。

咄嗟の判断で持っていた片手剣を構え、悲鳴を上げつつも斬りつける。

 

ボスの体に傷が刻まれ、HPが少し減少するも、ボスの勢いは止まらない。

 

そのままアタッカーの左肩と頭頂部を鷲掴みにする。

 

「くそ!話やがれッ!」

 

しかし、ボスの握力から我が身を離すことが出来ず。

 

今度こそ、ボスが嗤った。

 

最大まで歪められた口を、見せつけるようにした確かに存在する、少しばかり鋭利な自分の歯を――

 

「っ!?誰かッ!助け」

 

左首に当て、グチャッ、ボギャ、と耳を塞ぎたくなるような不快な音を立てて。

 

ガチンッ、と。

 

頑丈そうな男の首を、軽々と喰いちぎり、そのまま咀嚼を始める。

 

その顔は甘美に満ちており、見るものを恐怖のどん底に陥れた。

 

グチャ・・・グチャ・・・。

 

あまりのグロさに目を離したカネキに、予想しないものが飛び込んで来た。

 

ごく少々・・・だが、少しずつ、本当に少しずつだか、ボスのHPが回復しているのである。

 

さらに――

 

パシャァァン・・・

 

結晶が砕けるような音が、この沈黙の中、大きく響いた。

 

耳につんざくような、誰かの悲鳴が上がる。

 

たった一撃。それで、さっきのアタッカーの人は死んでしまった。

 

「そん・・・な」

 

自分の口から、驚くくらいにか細い声が出る。

 

もう、ダメだ・・・・・・。

 

 

 

 

 

「全員、聞けッッッ!!!」

 

 

 

 

レイドリーダーの声が響く。

皆の目が希望に縋る目でリーダーを見つめる。

 

「3班は全員横一列に並び、盾を構え迎撃!

4班は盾の隙間から長物で攻撃し、1班は3班が危なくなった時のヘイト稼ぎ、2班は1班と同じでやりつつ、危なくなったらスイッチ(交代)、その他は後ろから遊撃ッッ!!」

 

戦闘続行。

 

皆の目はやる気を出すどころか、目に力がなくなっていく。

 

「ボスが強い。回復する。でも、それがどうした!」

 

別の所から声が聞こえる。

ふと、そこに顔を移すと、必死な形相を浮かべたキリト君がいた。

 

「そんなもの、今までと同じだろ!そして、それを乗り越えるのも!勝ち進むのも!俺たちは、今までそうやって、ここまで生きて来たんだろッッ!」

 

 

全員が全員、各自の思いに馳せる。

今まで見たことが無い敵を。

初見でパニックになったギミックも。

どんな状況だろうと、

乗り越えて来た。

 

仲間たちと、共に。

 

「そうだな・・・そうだよなぁッッ!!」

 

1人がそう叫ぶ。

 

1人、また1人。

 

心に決意の炎を灯し、前に進む。

 

 

 

 

「みんな――勝とうぜッッッ!!!」

 

 

 

 

「「「「「おうッッッ!!!」」」」」

 

 

 

 

「カネキッ!さっきの傷、大丈夫か!?」

 

トーカがカネキを心配して寄ってくる。

 

「うん、大丈夫だよ。ポーションのおかげて回復したし・・・ねぇ、トーカちゃん」

 

「なんだよ、カネキ!こんな時に」

 

そこで僕の表情から真面目な話だと読み取り、僕に発言を促す。

 

「この戦い、絶対に勝とう」

 

そう呟くと、トーカちゃんはキョトンとした顔を浮かべるも、直ぐにその顔をいつもの大胆不敵な顔に変える。

 

「当たり前だろ、カネキッ!」

 

心強い声を聞き、余裕が生まれる。

大丈夫、きっと。大丈夫。

 

「行こう、トーカちゃんッ!」

 

「ああッ!死ぬなよ、カネキッッ!」

 

確かな決意を胸に抱え。

 

カネキとトーカは目の前の死地へ躍り出た。

 

 

 

 

 

 




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