そんな衝撃の為にかなり遅くなってしまいました、申し訳ありません……。
げっそり……と言った惨状が近いだろう、今の僕は。同好の士でも見つけたかのようにあれやこれやとぶつけられても、広く浅くしか文化に触れてないこちらにとっては荷が重過ぎる相手だったぜシーグヴァイラさんはよォ……!
しかし、結果的にいい面もあった。というかふたつの点でいいことがあった。
一つは、シーグヴァイラさんから『アガレス家は全面的に支援します』という言質を取ったことだ。これで金に糸目をつけずに……は言い過ぎだけれど、かなり強力な後ろ盾を得たことになる。いくら一部分でだけの話とは言え、これを切っ掛けに……なんていうのは多分お互いの望むところだろうからね。。
二つ目は、『実物を建造しよう』ということになったこと。いや本当になんでこうなった? と思わないでもないが。特撮でもないのに。……いやしかし、あのコンセプトでロボを作ったらどうなるのかっていうのは僕も気になる。非常に気になる。なので全力で乗っかりたい所存。…………後で祐斗クンにも声を掛けておこう。アニメがポシャった時の二の矢は彼の力がないとダメなのだ。
まあそんなこんなで大広間の修復も終わり、見慣れたシトリーさん家も合流し、各家の次期当主達が挨拶を交わす。
バアル家次期当主、サイラオーグ・バアル。
アガレス家次期当主、シーグヴァイラ・アガレス。
グレモリー家次期当主、リアス・グレモリー。
シトリー家次期当主、ソーナ・シトリー。
アスタロト家次期当主、ディオドラ・アスタロト。
(この場にゃいないけど)グラシャラボラス家次期当主、ゼファードル・グラシャラボラス。
いやはや、錚々たるメンツである。大王家に大公家、後の四家は現魔王を排出した家……。なるほどラベル的には冥界の未来を背負って立つ有望な若者と言えよう。
……もっとも、
『(怪しいのがいる、ということか)』
そういうこと……と心の中で頷きつつ、一人の次期当主にこっそりと視線を向ける。……ディオドラ・アスタロト。例のビジネスの『顧客』と思わしき男。思わしき……と言っても9割9分9厘確定してるんだけれどね。優しげな顔してすごいことやるなぁ。後ろのフードを被っている連中の気配から僕の中では100コイツは顧客だと確信したが。イリナちゃんに言わせるなら『信仰の気配がする』だ。
うぅん、この場で指摘できないのが悩ましい。どっちかと言うと顧客よりも店側を抑えたいので、今迂闊に手を出して店側に逃げられるので手が出せない。突っ込むにしても秘密裏に、人目の無いところなのがベストか。
まあアレだ。アーシアを嵌めやがった張本人でもなけりゃ僕が本気で手を出すこともな…………
『(鳴ってるな、警鐘)』
……鳴ってんね、警鐘。
気配を更に薄くしてヤツの視線を追えば、あからさまにはならない程度に、ウチの妹分をチラチラ見てやがる。あーもうこれ数え役満ですわねふざけんな!!! よりにもよって平麺さんの血縁なのが頭痛い! ……頼んだらぶっ殺す許可降りないだろうか? それで妙な難題吹っ掛けられても困るから、サーゼクス様へのお願い券を切る方がいいかもしれん。面倒なことしてくれやがって……!!(順当な殺意)
胃痛と怒りで腹がフツフツと沸き立つのを感じながら、どうウチの上司殿に話を持っていこうか悩んでいると、横から腹をどつかれた。
「……あにすんだよ」
「バカ、それはこっちのセリフだ。なに縮こまって悪い顔してるんだ」
下手人は匙クン。部長に挨拶するんでシトリー様達寄ってきたから近くにいたんだわな。
「縮こまりもするでしょうがこの豪華メンツの中じゃ。こちとら根は小市民なんだよ。
「お前、鏡見る時だけ目が腐ってそうだよな……。ともかくその顔はやめろ、闇討ちを決行しそうな表情してるぞ」
「どういう表情だよ……」
言われたからにゃ、ペタペタと顔を触れる。……確かにあまり良くない表情筋の使い方をしている。毎度思うけれど僕は本当に内心が表情に出やすいなぁ。
「全く……兵藤はコソコソする必要なんてないだろ、赤龍帝なんだから。もうちょっと胸張れよ」
「いやいや、何も成し遂げてないのに胸張るとかなくない? ここで見せるべきは闘志だと思うんだけど」
「は?」
いやいや、僕の事をおかしな目で見とりますけどねキミぃ。
「僕が思うに、ここにいる連中は上級悪魔から下級悪魔、持った肩書き関係なく、これからよーいドンでパカラってく馬でしかないんだ。持った資質と調教の差はあるけれどね。持って生まれた物は誇れても、それがこれから役立たずじゃお話になんねぇ」
「いや分かるけどお前言い方……」
「だから必要なのは胸を張るんじゃなくて『コイツら全員出し抜いてやる』という闘志だろ。その点だけは僕は誰にも負けないね、協力できない連中は全員部長の踏み台にしてやるぐらいの気持ちでいるからな!」
「しーっ! しーっ! おまえ、不敬にも程があるって!」
馬鹿野郎、こんなことを大胆にも宣言することになったの、お前が僕に注目集めたからだからな!? 見られた顔に理由を付けないとただただ僕が危ない悪魔みたいになるし! ……いやまぁ、表情がアレな時点でどこかで軌道修正しなきゃいけなかったのはそうなんだけど。
部長も頭痛そうにしてはいるけれど……まあ納得の目線で返してきたからお咎めはなさそうだ。やったぜ。……あとでディオドラ・アスタロトの数え厄満(誤字にあらず)については相談しよう。
「それに必要あったらこのぐらいお前でもするだろ。じゃなきゃ不良相手に殴り合いなんざしねぇだろ」
「……兵藤、お前」
分かってる。半ば茶化すように空気の方向転換をしたけれど。コイツが嫉妬でちょっと当たってきたのは分かる。だけれども、ハートが強いのは中学の時に確認済みなのだ。なら焚き付けてやった方が面白……げふんげふん、タメになるって話よ。
「それはそれとして踏み台宣言はどうかと思う」
「困った、何ひとつとして言い返せねぇ」
◆◆◆
そいでまぁ……準備ができたとか、ゼファードル・グラシャラボラス様の治療が終わったとかで更に奥に案内されたのだが。偉いヒトが目白押しにも関わらずキャパオーバーにならず(いっちゃん偉い魔王4人の内3人は面識あり)、開幕嫌味を飛ばされたせいで機嫌が急降下。
……話はちゃんと聞いてるぜ? 各々は将来有望で家柄もいい悪魔だからレーティングゲームして鍛えてね! って話だ。その後サイラオーグ様が『それは我々を禍の団との戦に投入するためか?』ってぶっ込んだのは内心でゲラゲラ笑うしかなかった。良くも悪くも虚言を使えない実直なヒトなのが透けて見える。そりゃ警鐘も鳴らんワケだ、悪辣さが無くて敵になりえないし、敵にしたいような事をする性根でもない。
「(いやいや、そりゃあ次なる
『(表立ってはそれをせんだろうがな。不運でも願って敵の現れるところに配置でもするんだろう)』
実際僕らを値踏みするかのような見下した視線が答えってもんよ。かーっ、やってらんねぇなコレ? ……まあ、それを踏まえて気になることっちゅーか。
『(サイラオーグとやらが、ソレを織り込み済みで質問したことか?)』
おん、ソレソレ。なんというか……利用されてるのは理解して、その上でそれを超えてやろうっていう感じの闘志を感じるっていうか。見ろよあの自信に満ちた面ァ。何となくだけど才能があるってわけじゃない。なんならこの場にいる上役の連中から評価はされてても侮られてる感じの視線向けられてるところ見るに、バアル家の次期当主としては不適格みたいな話なんだろうぜ。その上で肌で感じられる程の負い目の無さ。こんなこと今更言うのもなんだけどさ、あーゆーのが本来籠手の持ち主に相応しかったンじゃないの?
『(無難な所有者にはなったろうがな。今の俺としてはちと面白みに欠ける)』
贅沢なやっちゃな〜。誰だこのクソトカゲにゲテモノ食わせたの。僕か? 僕か。
まあ今のところはこんなもの。あとは上司殿達が行うレーティングゲームの大まかなルールとかを嫌味たっぷり添加されて聞かされてる程度なので、やはり脳内に録音する程度に留めておいた方がいい。変に怒りゲージ溜めるとイッセーくん裏返りそう(ガチ)。
『(次そうなったら……そうさな、世界征服を目指してみるか?)』
いいねそれ、全力で反抗勢力潰してその先で死のうぜ! そんな心の余裕があっちの僕にあればの話だけど……。僕の方にもない? それもそう。
「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私たちは若いキミ達に私達なりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい。キミ達は冥界の宝なのだ」
そんな感じでサーゼクス様が締めて、恐らくお偉方のお話パートは終わった。……悲しいなぁ、サーゼクス様が本気で僕らのことを案じてるのが分かるだけに、ねじれ国会よりも酷い有様なことと、若手の中に不穏分子紛れてることが本当に悲しい。これはもう一発かますべきではありませんかね部長!? ……アッハイ、既に一発かました後でしたね。今もグラシャラボラス様がこちらを睨んでますものね? おーこわ()。
「最後にそれぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」
…………来ましたわね、本日のメインイベント。部長が物議を醸す予定の。
流石にココでイモ引くことはしないまでも、あんまりにもあんまりなビックマウスかます予定だからちょっとばかり胃がキリキリと痛み出す。それを顔に出すことはしないけれどね。……僕、ちゃんと悪い顔できてるかなドライグ?
『(ああ問題無いとも我が相棒、いつも以上に物騒な笑顔を貼り付けられてるさ。いい塩梅で緊張に慣れてきたんじゃあないか?)』
そうかそうか、それならいいんだ。くふふ……ようやっと武者震いってヤツを理解できた気がするよ。
さて、そう心構えをしたものの。部長は最後にドカンとぶつけたい模様、口火を切るのは遠慮したいご様子。さあ、誰が切り込むのか……という視線バトルが始まる、と思いきや。
「俺は魔王になるのが夢です」
『『『ほう…!』』』
サイラオーグ様が、そう言い切った。なんの躊躇いもなく、後ろめたさもなく。お偉方から感嘆の声が漏れるのも仕方の無いことだろう。それだけかっこよかったのだ。……部長、これしくったんとちゃいます?
「(私達の場合、宣戦布告になるでしょう? それなら結局最後の方がいいわよ。時間をたくさん使えるし)」
……わざわざ
「大王家から魔王が出るとしたら、前代未聞だな」
「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」
……うぅむ、それに関しちゃあその通りというか。冷静になれば『大王家が魔王を目指すのか』という疑問が浮かんできた。
一応現冥界は四大魔王様が治めているということになっちゃいるが、政治的には魔王派と大王派で二分してる。つまり大王家のトップが、実質冥界ツートップの1つと考えてもいいはず。次期当主である彼がいずれ大王になるのだから……この場で宣言してまで魔王になる、と宣言したならそれ相応の理由があるはずだ。
大王家が魔王すらも手中に収めて、冥界の全てを手に入れる? ……いや、それは無いな。そういう感じの欲望はサイラオーグ様からは見えてこないし、警鐘もその方向性ではないと言っている。……この場合、何かしらの理由で『実はサイラオーグ様が大王家の当主になれないor就かせたくない』ってのがしっくりくるんだが…………え、マジ? 当たり? なんか闇が深そう&部長が敵対応してなかった裏付けになってきたなコイツぁ。
そんなことをつらつらと考えながら他の面々の将来の展望、宣言は続いていく。……シーグヴァイラさん? シーグヴァイラさん??? 覇権を取るはこの場で語っていい類の話ですか??? 僕に載せられる期待の圧がすごいんでちゃんとしたシナリオライター雇ってくださいね……???
なんか別のところで胃がキリキリし始めたところで、今度はシトリー会長に手番がまわる。さて、会長はどんな展望なのでっしゃろ?
「私の目標は、冥界にレーティングゲームの学校を建てることです」
ほーん? 流石は会長、理知的な見た目に違わぬ素晴らしい着眼点だなぁ。そうかそうか、レーティングゲームにメスを入れるならそっち方面もアリなのか、考えてもみなかったな。
などと感心していたのだけれど、お偉方にとってはそうではなかった模様。
「レーティングゲームを学ぶ場所ならば、既にあるはずだが。シトリーの領地にもな」
「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔にのみ通うことを許された学校だけです。私が建てたいのは、下級悪魔や転生悪魔も通える分け隔てのない学び舎です」
……うーわ、言った。言っちゃったよこのヒト。コレ、暗に今のレーティングゲーム運営をバカにしてるってことなんだけれど。チラリと会場の上の方に座する常連客を見れば、表情こそ涼しげな真顔だが面白いものを見たような目をしてら。
だが、その、なんだ。仮にも僕より身分が上の面々をこう評するのも気が引けるんだけれど。少々鈍感でいらっしゃるというか。……おかしいな、この手のヤツってメンツを潰されたらブチ切れるかネチネチと別方向から攻めてくるかをするもんだと思うんだが、
『『『ハハハハハハハハハハハハハハッ!!!』』』
間違っても、嘲笑って方向にはならないと思うんだ。……馬鹿にされてるって気がついていらっしゃらない???
「それは無理だ!」
「これは傑作だ!」
「なるほど、夢見る乙女というワケですな! 実に可愛らしい!」
「いやはや、若さに目が焼ける思いだ! しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。ここがデビュー前の顔合わせであったことを、君は感謝しなければならない」
嘲笑。嘲笑に次ぐ嘲笑。……ちょっとこれは、どうなんだろう? ふと部長の方に視線をやれば、笑顔がどんどん深まっていく様子が見て取れた。……ド、怒りモードである。
今度は部長の様子に胃がキリキリしながらも、会長と上級悪魔のお偉方とのやり取りを耳で追う。……まあやり取りと言うよりは、本気を表明する会長を、寄って集っていじめてる構図でしかないんだが。なんか
だったら話は早い、この場をご破算にするように、この使命感を以て全てをブチ撒け────
『(落ち着け兵藤一誠。機を見誤るな)』
差し込まれた声に、思考が冷えた。……っぶねぇ、脚がどっぷり影に浸かっていた。舌打ちと共に退いていく影に冷や汗が吹き出てしまう。
しかしドライグの止め方が妙だ。聞きようによっては『タイミングが合えばOK』とも取れるが……。その真意を訊ねようとドライグに声を掛けようとして、
「黙って聞いてれば、なんでそんなに会長の────ソーナさまの夢をバカにするんスか!? こんなのおかしいっスよ! 叶えられないなんて決まったことじゃないじゃないですか! 俺たちは本気なんスよ!」
匙クンが、キレた。
あー、そういうことねと左腕の相棒の意図を理解する。言ってしまえば部外者の僕の怒りより、眷属である匙クンの怒りの方が正当性がある。……そうだよな、さっき僕が発破掛けたんだから、頑張るに決まってんだよな。ちょっと対応間違ったかもしれん。
「口を慎め、転生悪魔の若者よ。ソーナ殿、下僕の躾がなってませんな?」
今、だよな? ドライグ、今だよな? 部長、GOサインは……マジか、出たか!? よっしゃ、本当に発進しますよいいんですね!?
意識が加速する、会長が口を開き、喉を振るわせようとする前に。僕は満面の笑みを浮かべて、言った。
「申しわけ────」
「お前が言うな、とはこのことッスね。寄って集って淑女一人を詰り笑う。とても冥界を支える上級悪魔の皆々様にはそぐわない振る舞いだと思うのですが、どうか?」
凍りつく空気。驚く者に、怒りに目を吊り上げる者。……何故か待ってましたとばかりに破顔する者。いろんな感情のうねりと共に、自分に視線が突き刺さるのを感じる。
「無れ──」
「無礼者であることは百も承知。自分の友人が窘められてるのを隣で聞いていましたからね。……魔王サーゼクス・ルシファー様、あの時保留にしていたお願いと、この場の無礼を相殺とさせていただいてもよろしいでしょうか?」
今切れる中で、一番弱い札を切る。いつまでも死蔵させておくわけにもいかないので、ちょっと笑顔が引き攣ってるサーゼクス様には申し訳ないけれど頑張ってもらおう。
「……いいだろう。魔王である私が前言を撤回するなどあってはならないことだからね。タイミングを定めていなかった私の落ち度もあるだろう。それで、君が願うものは『この場での発言権』ということかな?」
「
「貴様、言わせておけば…ッ!」
「……ハッ」
今にもこちらに襲いかからんと怒気を剥き出しにされるが、敵にこんなんされてもなーんも怖くないからね。鼻で笑って切り捨てる。
「その、本当にいいのかな? 君も、思うところがあったから口を挟んだのでは」
「いいえ、いいえ。思うところはあれど僕はどこまでも部外者でしょう。何せこの場は『若手上級悪魔』が主役の、今後のご活躍を願って開かれた集いなのでしょう? 転生したばかりで身の程知らずの下級の木っ端悪魔が口を挟んでいい場所ではないでしょう。レーティングゲームの未来を語るシトリー様に対して、
『『『……ッ』』』
ははーん、引っかかったな? 引っかかったな? そうだよな、こんな思わせぶりなことを言えば『知ってるのか?』ってなるわなァ? 揃いも揃って口を噤んだところを見ると、テメェらまとめて有罪だわクソッタレめが。
「進行の邪魔をして申し訳ありませんでした。この場で首を切るというなら、そうしてください。僕は如何様な罰でも受ける所存です」
ここまでいけば、一段落。次は僕に声を投げてくるのが誰かで対応を変えればあとはイージーゲーム。
上級悪魔のお偉方……いや、大王派の悪魔が責め立てて来るようならば例の爆弾を公開すればいい。向こうもその可能性をひしひしと感じているだろうから何も言い出せないに違いないし、キレて何か動けば色々更地になるけど決着は早い。
サーゼクス様がなんならかの沙汰を下すなら、それに粛々と従おう。反天使周りの事情を知ってる彼なら悪いようにはしないだろうし、大王派の悪魔が押し黙るに至った僕の匂わせについて話を聞いてくるだろう。コトがコトだ、あまりの弱みにしばらくは大王派も満足な政争ができなくなるだろう。
若干オロオロとしているセラフォルー様が僕に意見を求めてきた時は……そうだな、部長に手番を流すか。一部被る話もあるだろうし、その辺はアドリブでどうにかならァ。今もリアスさんは僕の思考を読んでるだろうしね。面識のないファルビウム・アスモデウス様にも同様の対応でいいだろう。……彼の方から何かはなさそうだな。面倒臭がりの気配がする。
しかし、しかしだ。どう転んでもイージーゲームだがパーフェクトゲームを狙うならこれらの選択肢には転がって欲しくない。大本命は…………
「そうか、それは困ったな。俺はキミの『思うところ』というのを聞いてみたかったのだが」
「べ、ベルゼブブ様! 相手は下級悪魔ですぞ!?」
「俺の友人の、な」
『『『ッ!』』』
手応えアリ。この場で、明確にコネのある滅茶苦茶偉いヒト。ご存知
「ああ、たかが一悪魔に肩入れを、なんて野暮なことは言わないでおくれよ。キミらがあまりにもサイラオーグ・バアルくんにご執心なものだから、俺もつい肩入れをしたくなってしまった。だってそうだろう? 事情を知らなければ、大王家の次期当主が魔王を目指すだなんて夢物語を通り越してありえない。無論、俺は彼の目標を尊重し、応援するが」
あ、やっぱ普通はありえん話なんだね? そしてそれを分からぬ大王派の悪魔なのにそれを指摘せずに会長だけ悪し様に罵るのは道理に合ってないということ。うぇへへへ、ナイスアシスト〜! 次来店した時はトッピング豪華にしちゃう!
「それで、イッセーくん。俺はこの場で、キミの思うところというのを聞いてみたい。ソーナ・シトリーくんの夢に対して。それを笑った上級悪魔のお歴々に対して。なに、レーティングゲームの製作者として気になってしまってね」
「……ですが、僕はこれ以上立場を踏み越えた振る舞いをするつもりはありません。もっとも、『命令』というならば、この掃いて捨てる程度の考えを披露しますが」
よし、よォし!! ここまで持ってきた、ここまで持っていけた!! 流石にこの場で『王の駒』について披露するのはせっかくのパーフェクトゲームのチャンスをふいにすることになるからNG、だがここまで来りゃあ的外れなことを言わん限りだいたいいい流れに持っていける! あとは部長の将来の夢に絡めた方向で話を振れば……パーフェクト! いいじゃん、過去最高に悪巧みが決まってる気がするぜ! ……出たとこ勝負? 否定はできん!
しかし、いつまで経っても『命令』が来ない。おかしい、平麺サンがレシーブしてくれて、僕がちゃんとトスを上げたのだから、ここは華麗にアタックを決めるところだと思う。思う……んだが。平麺サンは思わせぶりな笑顔を浮かべてながら、何かを悩んでいる様子である。……不敬だった? いや不敬なのは今更なんだけれど、あのヒトがそれを今突くタチではないと思うし……。
「困ったな、大いに困った。生憎、俺は友人にたいして命令なんて不粋なことをしたくはないんだ。これはどうしたものか……」
「あ、あの……ベルゼブブ様? ベルゼブブ様???」
「どうしたんだい店長、いつもの様に平麺サンと呼んでくれてもいいんだが?」
「いやあの、今そういう場面じゃない。今そういう場面じゃないんです」
おかしい、流れがおかしい。具体的に言うと、自分が玩具にされる予兆をひしひしと感じている。アジュカ様の近くにいるサーゼクス様も何かを感じたのか、青い顔が赤を経由してお腹が痛そうな表情になっている。
「つまり、こういうことか。キミは、『この場で話すに足る立場』があれば、話してくれるんだな?」
「はい、そういうことなんですけれど……待ってください今すっげぇ嫌な予感がしてます!!」
警鐘が面白おかしくガンガン鳴るので、飛び上がってでも直接その口塞いだらァ! いや待て、足裏が床に縫い付けられたかのように動けん…ッ!
「ならばこうしよう。イッセーくん、キミの後見人として俺がこの名を貸そう。今キミが抱えている問題の1つはリアス・グレモリーくんとの身分差だろう? これで結構な後押しになると思うんだが、どうだろう?」
や、ややや、や…………!
「やりやがったな、この魔王!!!!?」
まだジャブ(本題ではない)
感想ありがとうございます、励みになります!