大変お待たせして申し訳ありませんでした。
職場にて[コンプラ]だったり[コンプラ]だったり、現住所に帰れなくなったりしてますが、何とか私は元気です。
「やり過ぎだ、バカ……と、言ってやれりゃあ良かったんだがなぁ……」
シトリーさんちとは良い勝負にしよう、と火花を散らした後途中で別れ、グレモリー一行も領地へと帰還していた。そんでまぁ、諸々の報告と明日から修行始めるよと言われて解散。解散……だったのだが、僕はちょいちょいと何故かいたアザゼル先生に呼び止められたのだった。
「それで、共犯のリアスは?」
「現在部長のお母様にドナドナされてますね。いや自分から釈明に行ってますケド。まあ釈明っつーか、これからの戦略練りにって感じではありますが……」
「実情は推してしかるべし、か。よくもまあ思い切ったことをしたもんだ」
「ココしかない、って感じでもありました。衆目がある状態で、不正を匂わせる。そしたらほら、魔王様はそれにメスを入れるしかなくなる。不敬かもしれませんが、退路を断たせてもらいました」
これで手を出さなければ大王派からは舐められるし、現魔王派からは不満が出る。何とか勢力内での融和を目指してるっぽいサーゼクス様には悪いけど、事態は結構きびしィからねぇ。
「サーゼクス・ルシファーは根っからクリーンだ。仮にそうじゃなかったとしても、悪魔基準ではケチも付けようもない立派な象徴、綺麗な象徴。あの魔王様が粛清なんぞ内面的にも外面的にもできようはずもないのなら、外付け悪性回路で誘導するしかない……ってね」
「なんだ、黒幕志望か? ある程度の英才教育ならやってられるが」
「自分が堕天使の親玉だってこと分かってて言ってんだろうからタチが悪いぜ」
それに別に黒幕志望じゃないですゥ〜。ただちょっとお願いが多いだけの小市民ですゥ〜。
「それで、僕を呼んだワケはそっちじゃねェでしょう? わざわざ悪魔の内政に干渉するほど興味を持ってなさそうですし」
「ポーズはするぜ、変な方向に舵を切られて沈没されると色々困るからよ。……いやしかし、本当に察しがいいな」
本気で仕込んでやろうか……? などと面倒な事を呟き始めたので慌てて先を促す。悪いけど現状であっぷあっぷだから適性はないと思うのだ、うん。
「単純に修行のカリキュラムを組むための事前調査だよ。薄々感づいてはいるだろうが、お前が1番悩ましくてな」
「……やはり?」
育成が得意そうなアザゼル先生に言われると、ちょっとまずいなって気がしてくる。大凡の見当はついている…………僕の場合、伸びしろがない、ってことだ。
「きっちり自己認識が歪んでやがるな。断言しよう、同じ状況の他人がいたら『工夫次第で伸び代なんていくらでも捏造できる!』 ……なんて励ますんじゃないのか?」
「解像度がまあまあ高いのなんなんすか」
そして解像度がまあまあ高いということは、僕の手のうちをそこそこ理解しているということでもある。……んまァ、カウンセリングと称されて粗方語れるところは語ったしなァ。
「そもそも俺が悩んでるのは強化の方策が思いつかないって話じゃない。地力を伸ばす、手札を増やす。それだけでお前はこれから先も順当に強くなるさ」
「ではなぜ?」
「面白みがないから」
「おい」
ヒトの将来……はあんまり掛かってないか。別にレーティングゲームで活躍するのを目指してるわけじゃねぇしウチの上司。かと言って真剣に勝負をしよう! って時に遊び心を持ち込まれると、ちょっともにょる。
「かーっ、真面目だなお前は。心の余裕は長く生きていくのに必要だぞ」
実際メンタルやられて反転しただろ? と言われると返す言葉もない。その節は本当にご迷惑を……いや原因あなたの弟子っぽい白いのなんですが!!
「真面目な話、神器の使い方に関してお前にだけは助言はできない。細かな調整、という点では協力もできるだろうが……」
「えぇ……天下の神器専門家が?」
「最早指導対象を飛び越えて研究対象なんだよお前。ただでさえ分からないことの多い神滅具、赤龍帝の籠手なのに、輪をかけて変な進化してるじゃねぇか」
「あぁ……」
ずっと(変なアプローチしてんなぁ)とは自覚してたけど、やっぱ変なアプローチだったか。
「使いこなせてないなら未だしも、お前はドライグと対話を繰り返して巧く神器を使ってるよ。それなら自分の思う様に使った方がいい。その方が良い進化をするだろうし、こっちとしてもいいデータが取れる」
「おぉ……第一人者のお墨付き」
「だからこそ悩むわけだ。強くするだけなら、あのおっかない眼帯の悪魔に投げればいい。……正直なんで在野に紛れていたのかは見当も付かないが、あれは
「不思議な縁があったんですよ……具体的には先代の赤いの白いのがアレに殺されてます。人間時代の話ですって」
「…………??????」
そうなるよね、分かる。
ともあれそういうことならアザゼル先生が悩むのもよく分かる。和平を締結させた直後の、大事な交流っていう政治的目的に含まれてるだろうからね、彼が僕達の訓練をつけてくれるのも。だから悪魔内で訓練が完結されてしまうと、ちょっと体裁が悪いワケだ……特に三大勢力が注視せざるを得ない僕に対しては。
「あとは詫びも入ってたり?」
「馬鹿野郎、それは分かってても言わねぇもんだぞ。…………やはり、手を入れるならそこになるのか?」
「……?」
なんのこっちゃと首を傾げるが、アザゼル先生は悩ましげに何度も頷くばかり。嫌な感じは……しないな。警鐘がどこか嬉しげにリンゴン鳴ってるのは気になるけれど。自己主張の激しいアラームですね。
「イッセー、お前の勘の良さ……お前が警鐘と呼んでるその第六感はオーフィス由来ということで間違いないか?」
「ええ、まぁ、はい。出処が出処なんであまり大っぴらには言えねぇのですが」
なんせ敵の首魁だからネ! 反天使のやらかしも併せると、僕自身が禍の団のスパイと疑われても仕方がねぇ。
「警鐘を封印した方がいい……というわけじゃないですよね、流れ的に」
「ああ、素養の確認だ。完全性……全知全能との接続ルート、時空間操作への適性、そして無限に限りなく近い魔力。全く、ある種の運命を感じざるをえんなこれは」
な、なんというか……『ここまでお膳立てされたら、もうやるしかないよな』的な投げやりアトモスフィアを感じるんだが……でも警鐘的にはいいことだ、という…………。いやこれ絶対
「して、僕は何をすれば?」
「身構えなくていい、むしろ俺達の本職だ。大舟に乗ったつもりで任せろ。イッセー……お前、占星術を極めてみないか?」
……………………What’s?
◆◆◆
占星術とは、太陽や月、惑星などの天体配置が人間や社会に影響を与えると捉え、運勢や性格、相性などを占う経験的な技術のこと。古代バビロニアに起源を持ち、主に西洋占星術やインド占星術、東洋占星術に大別される……と。(AIによる概要)
「……いやぁ、占い師の素養があるとは言われたことがありましたが。よりにもよって、よりにもよってそれを堕天使に言われましたかァ」
実際どの占星術を……にも寄るとは思うが、堕天使が人類に齎した知恵の中に占星術もあったような気がする。そりゃあ本職と豪語するわけだ。
「というか、人間に占星術を教えたのはバラキエルのヤツだ。豪語どころかただの事実なのさ」
「ここに来て朱乃サンのパパ上が出てくるの……?」
ある種の運命を、なんて先生が言う気持ちが何となく分かってくる。ちぃとばかし変な巡り合わせじゃないかコレ。
「しかし、流石に朱乃サンの心情を鑑みるにバラキエルさんに教えを乞うのは難しそうですね……。他の専門家とかいないんですか?」
「都合が着けばサハリエルのヤツは引っ張ってこれるな。アイツの専門は月そのものと、それに類する術式全般。もちろん天体と密接に掛かってくるから占星術も研究対象の内だ」
「ふむふむ」
「あとは……あー、天体の兆しを人間に教えたヤツもいたんだが……なぁ?」
わざとらしく、悩ましげかつ愉悦を湛えて首を振る先生。な、なんだよぅ、僕何かしたっけかァ? 若干こちらを責めるような感情も乗ってくるもんだから、居心地が急に悪い。
「お前がズタ袋にしたコカビエルのことだよ」
「……………………あー」
最早笑うことすらできない。自分の首を絞めてるとは欠片も思わないけど、色んな因縁が絡み付き過ぎててそっちの方が自分を搾ってる気がする。血しか出んよ僕は(白目)。
「……そも、レーティングゲーム前の訓練として占星術、占いってどうなんです? 確かに支取会長との腹の探り合いには使えそうですし、僕に足りない戦略を補うものではあると思うのですが……いささかピンポイント過ぎません?」
「一般的な感覚ならそう思うよな。人間社会の間でなら所詮疑似科学、ちょっと未来を覗くだけのオカルトでしかない」
だが、と実に悪そうな顔で先生は続ける。
「占星術は、天体の配置と現実世界を結びつける学問。
「……うっそーん」
今言ったのは極論ではあるのだと思う。思う……のだが、この堕天使の総督が素養の確認の際に何やら妙なことを口走ってたのが気になる。全知全能への接続、時空間操作の適性、無限に限りなく近い魔力。もしかして、もしかしてだけど……。
「惑星含めた空の模様を弄って現実に干渉しろってェことです……???」
「流石にそこまでは無理だろ。せいぜい偽物の空を構築して、置換系の魔術を行使するぐらいじゃないか? あるいは、俺みたいに天体のモチーフに使われてる存在を利用しての儀式魔術もいけるか。ともかく、空そのものを操作できなくても、閉じた空間の空に絵を描くぐらいなら、割と現実的な案だとは思うわけだ」
「…………! レーティングゲームの舞台は、異空間!」
「正解、及第点をくれてやる」
もちろん空間への干渉は難しいし、それって僕と言うよりはガン子の管轄だとは思うけれど、才能の欠片自体は僕の手のひらの中にある。
「空の模様、ひいては全知から情報を引き出す土台は既にできている。修めるべきは、空を描く術、宙の解釈をするための知識。その上で、多少の結界術を覚えておけば、レーティングゲーム以外にも使えるだろう。どうだ、乗ってみないか?」
「乗った!」
これはもう、乗るしかないこのビッグウェーブに! というヤツでしょう! 警鐘がノリノリなのは気に掛かるけれど、この場では『それはそれ』というヤツでしょう!
「よーしそうか、乗ってくれるか。じゃあこれ」
「おっと!!?」
ドスン! と重そうな音と共に抱えさせられたのは、自分の身長と半分くらいの本の束!! というかあなた方人外って何も無いところから色んなものを出しがちよね!?
「最低限覚えておかないといけない基礎知識を、削れるだけ削ってこれだ。まあ百科事典サイズを何百冊も読みふけるよりはマシだろ」
「いやそれにしたってこの間まで普通の学生だった人間に求める量でも……いやあるか」
今まさに乗ると言った口でそれを翻すのはかっこ悪いし、やる気自体は多分にある。精神的にやられるよりガリ勉してた方が楽だし……。
「そういうことだから前半はお前の教官に任せるわ。それまでにその内容抑えておけよ! じゃあなイッセー、生きて帰れよ!」
「……教官? 生きて帰れ?」
そそくさと、逃げるようにアザゼル先生は部屋を後にする。……どうしよう、今猛烈に嫌な予感しかしない。
「流石に占星術は触れてこなかったな、なにせ戦闘への活かし方が分からん。されどアザゼル、人間に武具の作り方を教えた堕天使。やはり只者では無い」
「……あの先生はそれが本職だったのねぇ。神器研究者やってるのも納得ですわ」
最早何故前触れもなく現れたのかは突っ込む気にもなれない。この戦闘狂はそういう現象、イッセーくん覚えた。
「…………で、訓練前半戦の教官はあなたというですか、ウォーカー氏」
「如何にも、宣言通りに。本当ならば徹頭徹尾、期間中は扱いてやるつもりだったが、神の子を見張る者の総督に口出しされれば流石の俺も退かざるをえん。2/3で俺の担当でも良かったのではないか? とは今も思っているが」
「どうせなら全部請け負ってくれてもよかったのに!」
腹は括ったけれど、それはそれとしてこの戦闘狂は怖いからさァ! さっきまで喜んでた警鐘も一気に本来の役割に戻ってヴィンヴィン鳴ってるもん!
「ともあれ、万事俺に任せろ。方向性はアザゼルが示した、ならば俺はそれを実践できるように調整するだけだ。なぁに、今までも弟子に合わせた戦い方を一緒に身につけてきた。二人三脚で頑張ろうではないか」
「ひぃーん!!!」
頼もし過ぎるけれど、やっぱ出る作品間違ってないかなァ!?
Q:何故に占星術?
A:火力目的
感想等ありがとうございます。とても励みになります。
仕事の方が色々と立て込んでおり、中々趣味に割く時間がありませんが、ぼちぼちとやっていければと考えております。