兵藤一誠は『異常な普通』です   作:しにかけ/あかいひと

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感想、評価ありがとうございます。
マジで震えが止まりません、何が起こってるんだ…?

交換したパーツの1つは、実は章題の時点で伏線を張っていましたので、比較的分かりやすかったですよね。
もう1つのパーツは……まあそういうことで(前回後書き)


その10

【⑧職業病とは言うまいが】

 

 合宿2日目、さあ気合を入れて訓練だ!! という僕の意気込みをコケにするかのように、今日の午前中は勉強の時間となった。レーティングゲームとか関係無く。

 

「ちゃんと公欠扱いで休みをもぎ取った代償よ。あなた達の普段の生活も蔑ろにするわけにもいかないし」

 

 とのこと。そのため各教師から集まった課題が積んだか積んだか。合宿の後、これをちゃんと提出することが公欠扱いの条件らしい。12日間分の量を1日分はこれだけ、とちゃんと勉強する習慣を途切れさせない配慮済み。ちょっと変な先生もいるけど、そこは流石の私立進学校駒王学園。ありがたいやらしんどいやら。

 つーかウチのボスの根回しの手早さ半端ねぇな。え、合宿の為にまず公欠申請で教員達に話を付けて、その上で九頭龍亭でも話付けてるんでしょ? しかも半日やそこらで。やばぁ…。

 

「それだけじゃなくて、僕らの契約業務の委託も済ませてるからね」

 

 とこっそり耳打ちする木場クン。ただのやり手じゃねぇか!! なんで学生やってんのか分かんなくなるぜ部長。

 

 しっかし、まあ……なんというか。勉強は得意じゃないんだよなぁ。何やっても気持ち悪いくらい平均点だし。そう思いながら三角関数と格闘する。加法定理とか覚えんのダルいよぉ……。

 課題自体は参考書や辞書片手に問題を解けるので苦労はしないが、後で復習はきっちりしないとなぁ…と思う。したところで平均点っていう事実は見ない振り。

 

「あー……終わったー」

 

 と一息つき、肩を回す。僕以外はみんな成績の方も優秀らしく、早々に今日の分の課題を終わらせて、まだ日本語に明るくないアーシアの先生をしていたり、自習時間に宛てていたり。最初入部する時も思ったけど、中々場違いが過ぎないか僕ちゃん。気にしちゃ負けだが。

 あーあ、神器使って頭良くなったりしないかな? でもそういうズルは趣味じゃねぇな。もっとこう、誰かの度肝を抜くような………………。

 

「……………ねみぃ」

 

 身体に不調をきたさないのと眠くないのは別の話。結局1時間しか寝てないしね。ショートスリーパーではないし、仕方がない。寝ていいかは別だが。

 

 仕方がないので目覚まし代わりにキッチンに立つ。というか厨房に立たないと落ち着かない。一応ラーメン屋店員なのでチャーハンとか餃子とか得意だけど、女性比率高めの空間で許可なくニンニクの匂い充満させるのは申し訳ないから………お好み焼きでも作るか。

 

 まず冷蔵庫からキャベツを出し、あらみじんにする。ひと玉分切り終えたらボウルに避けておく。芯は捨てずに袋に入れて冷蔵庫にしまう。結構だし取れるからねコイツは。

 次に新しくボウルを用意して、そこに薄力粉と水と、木綿豆腐があったのでそれをレンチンして水を飛ばし、それも入れてダマが無くなるまで練るように混ぜる。混ざったら卵を割入れてさらに混ぜる。

 鰹節……は無いね、じゃあ和風の顆粒だしを生地のボウルの方に入れようか。あとはこれは……山芋っぽい根菜だ。多分誰かが採取してくれたヤツ。こいつもすりおろして入れる。

 先に切っておいたキャベツを生地のボウルに投入、よく混ぜる。

 豚肉……はないから、昨日の余りっぽい牡丹肉を使うか、ちぃとばかし贅沢だが。取り出して適当にカットしていく。

 

 ホットプレートは……無いね、関西じゃないと一般家庭では中々お目にかかれないし仕方がない。デカ目のフライパンを用意し、サラダ油をひいて暖める。

 あったまったところで生地をお玉を使ってフライパンに乗せていく。勿体ないので3枚ずつ焼いていくか。この時牡丹肉ものっけることを忘れずに。

 4,5分焼いたらいい感じに焦げ目が着くので、フライ返しで裏返す。もう4,5分焼いてもう一度裏返せば、ちょいふわお好み焼きの完成である。

 

「よし……あっ」

『『『………』』』

 

 と、ここでキッチンの向こうからの視線に気がついた。めっちゃ皆に見られてた。というか勝手に料理してたの実はやばくない?

 

「えっとその……勝手に料理してすみませんでした」

「……いえ、それは別に問題無いわ。元々料理当番はローテーションで回していく予定だったもの」

 

 ただ、想像以上に手馴れてることに驚いたとのこと。いやねぇ皆々様方、一応これでも飲食業やってますのよ? まあ関係あるの包丁さばきぐらいだけど。

 

「じゃあその………コレ、食べます?」

『『『是非』』』

 

 お好み焼きは概ね好評だったが量が少なかったので、さらに生地を作って焼いていくことになるのだった……。次合宿するようなことあったらホットプレートを買って持ってこよう、そう心に誓った。

 

【オカルト研究部は、お好み焼きの基本的なレシピを学んだ!】

 

 

◆◆◆

 

 

【⑨アーシア先生のパーフェクト悪魔祓い(エクソシスト)教室】

 

 昼食後、ふと疑問に思ったことを口にしてしまった。

 

「同陣営とはいえ敵は悪魔だし、もしやアーシアって悪魔に対する有効的な攻撃方法知ってたりしない?」

 

 と。実際に悪魔祓いっているらしいしね。

 そう言うと、思いの外皆の興味を引いてしまい、急遽アーシア先生による悪魔祓い講座が始まることになってしまった。

 

「で、では…僭越ながら私、アーシア・アルジェントが悪魔祓いの基本をお教えします!」

 

 むん! と気合を入れたアーシアがとても可愛い、癒される。

 

「まずは簡単に、どんな悪魔祓いがあるかを説明します。私が属していたところでは2種類の悪魔祓いがありました」

 

 そう言ってアーシアは、持っていたバックから2つほどものを取り出した。1つは水の入ったビン。もう1つは……『The holy bible』、つまり聖書だ。僕含めて若干皆の身体が後ろに引いた。

 

「1つはテレビや映画などでもよく見る悪魔祓いです。神父様が聖書の一節を読み、聖水を使い、人々の体に入り込んだ悪魔を追い払う『表』のエクソシストです。こちらはどちらかと言うと良くないものを祓う、といった面が強い為、皆さんにとってはそこまで驚異ではありません」

 

 もちろん聖書の一節を聞いたり、聖水に触れちゃうと痛んだりしますけどね……と乾いた笑いを浮かべるアーシア。成程、さてはやったな? まあ僕も清めの塩触ってジュっ! とやったから人のことは言えない。

 

「問題はもう1つ、『裏』の悪魔祓い。基本的に人間社会で日の目を見ない、真の意味でのエクソシストが、悪魔の皆さんにとっての脅威となります」

 

 真の意味でのエクソシスト……普段は柔らかほんわかな雰囲気を振り撒いてるアーシアが顔付きを鋭くさせてる時点で脅威度を察した。警鐘もその通りだ、と軽めにリンゴン鳴ってる。

 

「彼らは、神さまや、堕天使さまに祝福されたことで、その光の力を借ります。そうすることで人並み外れた身体能力を持つ悪魔に迫る程の力と、悪魔を祓う力を得ます」

 

 凄腕のエクソシストになると、下手な下級悪魔なんか相手にならない程の強さなのだとか。ひえぇ、おっかねぇ。

 

「……イッセー、まるで他人事みたいに怯えてるけど、あなたは一歩間違えてたら裏のエクソシストと交戦していた可能性があるのよ?」

「…………へ?」

「アーシアの説明を聞いていたでしょう? 裏のエクソシストが力を借りる相手は神だけではなく堕天使も。もっとも堕天使に力を借りるようなエクソシストなんて、教会から破門された真面とは言えないはぐれエクソシストなのだけど」

 

 え、マジで? とアーシアの方を向くと、神妙に頷かれた。ま、マジかよ……。

 

「はい。……私のように、教会から追放された聖職者が頼る先は、ほとんどの場合堕天使の陣営、『神の子を見張る者(グリゴリ)』です」

 

 だからかぁ、と納得する。あの時アーシアは赴任、と言っていたけれど、堕天使のところに身を寄せようとしていたということだったんだな。あの時の僕、超グッジョブ。神器を抜き取るとか言ってた気もするし、スルーしてたらアーシア殺されてたよねコレ。

 

「………………」

「………………」

 

 と、ここで二人ほど様子がおかしい事に気が付く。副部長は悲しげで何処か複雑な表情をしてるし、木場クンは……目に力が篭っているように思う。あの目を、僕は見たことがある。あれは────

 

「さ! それを踏まえた上でどんな対策をすればいいか、教えてもらえるかしらアーシア?」

 

 空気を変えるように、パン! と部長が手を叩いた。様子のおかしい2人に、辛い過去を思い出したのか暗かった表情のアーシア、それと……堕天使に殺された経験のある僕の意識が戻ってくる。

 

「あ、はい。私たちは裏のエクソシストのように光の力を借りることができませんから、1番使いやすいのは、聖水などの物を使った悪魔対策がいいと思います」

 

 そう言ってアーシアは手袋をはめて、カバンの中からさらに物を取り出す。今度は、十字架だ。見てるだけで若干嫌な気持ちになるのは、悪魔だからだろうなぁ。

 

「こういった一般社会でも扱える聖なる力のこもった物は、大きく分けて3つに分けることができます」

 

 そう言って、アーシアは今取り出したばかりの十字架のネックレスをテーブルの上に置いた。

 

「まずこの十字架のような、形に力がこもるものです。形にしっかりと意味がこもっていれば、そこに力が宿ります。像や宗教画などもそうですね」

 

 次に水の入ったビンを示す。話の流れからして、これは聖水なのだろう。

 

「こちらの聖水は、後から聖なる力をこめたものです。形に意味が無いものでも、特殊な工程を踏むことで聖なる力をこめられるのです」

 

 最後に聖書を示す。

 

「最後に、聖書のように読む、口にする、聴くことによって、そこに力が宿るもの、です。ここに書かれた神さまの言葉に力が宿っている、と言い換えてもいいかもしれません。触ったりなぞったりしても特に何もありませんが、読むなどの行為をすると力が宿るようです」

 

 と、ここまで説明したところで、アーシアは聖水の入ったビンを手のひらの上に乗せた。

 

「恐らく1番効果が見込めて、尚且つこちらの被害がほとんどないものは、聖水だと思います。作ること自体は悪魔の私でもできましたし、触れなければ何も痛みはありません」

 

 今からその作り方をお教えします。そう言って彼女はテーブルの上に何かしらの材料と道具を広げ、実演した。

 

 僕は確信した。この情報は、とても使える。

 

【オカルト研究部は、聖水の作り方を身につけた!】




別に料理ガチ勢じゃないので、お好み焼きのレシピは話半分で流していただけると助かります。
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