兵藤一誠は『異常な普通』です   作:しにかけ/あかいひと

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これにて4章終了。


その22

 

「…………。すまない、リアス・グレモリー。俺は」

「喋るな」

 

 全てが終わったあと。影から浮かんだイッセーを抱きしめていると、無粋な声がかけられた。

 

「私は今。それどころではないから。あなたのことをひとまず置いているだけなの。分かるかしら、ヴァーリ・ルシファー」

「…………」

「日本には『万死に値する』という言葉があるの。死んで詫びるだけじゃ足りない時に使う表現なんですって。私が今のあなたに投げかけるに相応しい、いい言葉だわ」

 

 本当に、何度殺したって飽きたらない。この男は。この男だけは。

 旧魔王の血族で、その上でハーフということで、その生い立ちについていくつかの推測は立つ。その上で、私はこの男は絶対に赦せない。

 

「私は今、この子を安心させるだけで精一杯なの。だから貴方がこの場を離れようが何しようが、対応する余裕なんて無いの。……だからすぐに失せろ。次、私達の前に現れた時。それはあなたが死ぬ時よ。肝に銘じておくことね」

「…………ああ」

 

 静かに、その光翼を広げ去っていくその背中を睨む。…………ああ、嫌になるわ。どうせこの子のことだ、あれこれ理由をつけてあの男を許すのが目に見える。イッセーは少し、他人に対して甘いところがあるわ。どうにかして、天使の方のイッセーと協力できないかしら? ……まあ無理ね。私、相当恨まれているでしょうから。白龍皇対策はおいおい考えましょう、いくつか思いついたこともあるわけだし。

 

「…………ぐー」

「…………」

 

 なんだか、呑気に寝てるのを見ると腹が立ってきた。こっちの気も知らないで。全く、もう。本当に。

 

「うぐぐぐ…………泥濘、おも…………殺すぞ……ガン子…………」

 

 いや、呑気ではないわね。多分そこそこ酷い悪夢見てる様子。……あの子のあだ名、それでいいのかしら。というか今更だけど、あの子の見た目が元カノ堕天使なのどういうことなのかしら。事と次第によっては少しお話した方がいいような気もしてくる。

 

「…………」

 

 それにしても。彼女の正体は一体なんだったのかしら。恐らく、解離性同一性障害が酷く悪化したものだと思うのだけど。それにしては気になる言動をしていた。……時折、普通に話しているのにノイズが走る様な幻聴も聴こえたのも気になるポイントだわ。

 

「グレートレッド、オーフィス…………」

 

 双方共に、二天龍をも超える最強のドラゴンとして広く名を知られる存在だ。特にオーフィスの方は敵の首魁であることと、どうやらイッセーと密接に関わっているらしいから、特に気を付ける必要があるわ。

 

「…………どうしたら、私はあなたを守れるのかしらね」

 

 抱きしめる力を、少しあげる。……鼓動が、ちゃんと聞こえる。本当に良かった。この子が死ななくて、本当に、本当に…………。

 

「その前に、リーアたんは私に謝ることがあると思うのだが」

「……………………げっ」

 

 声のした方を向くと、笑顔のお兄様とお義姉様がこちらを見下ろすように立っていた。

 

「あ、あの……お兄様。結果的に何も無かったから、良かった良かったで話を終わらせてもいいんじゃないでしょうか?」

「ああ、その通りだ。リーアたんも、イッセーくんも無事で本当に良かったと思うよ。この話はこれでおしまいだ。だが、」

「サーゼクス様。段取り、つつがなく」

「ありがとうグレイフィア。ではリアス、次の話だ。家で父上と母上が首を長くしてお待ちだそうだ。色々、話を聞かせてもらえるね?」

「………………はい」

 

 ……私に詰められるイッセーってこんな感じだったのかしら? そう思いながら私は兄にドナドナされて冥界へと向かうことになったのだった。

 

 

◆◆◆

 

 

 …………目が覚めると、そこは病室だった。

 

「……知らない天井だ」

 

 いやマジで知らない天井だったので、ここはどこだと身体を起こす。えらく豪奢な病室だなぁ。こういうの、VIPとかが使う場所じゃあないんだろうか? 特に管がついてるわけじゃないが、電極みたいなのは貼られてるな。ピッピピッピ音鳴ってるし、なんかを計測してるのだろう、多分。

 

「実際、君はVIPと言って差し支えないからね」

「あ、平麺さん。どうも」

 

 ガラガラと扉を開けて入ってきたのは、魔王アジュカ・ベルゼブブ様だった。いやなんで?

 

「メッセンジャーを買ってでたのさ。君にとっては不幸なことに、愛しのリアス嬢はご実家でこってり絞られてる最中でね。相当な無茶をしたようだ」

「…………そうですか」

 

 薄らぼんやりとだが、記憶がある。あろうことに部長は、僕の裏……反天使ヴォーティガンを名乗った女に抱きついて心中しようとしていた。他人のことは口が裂けても言えないが、とんだグラヴィティラヴである。そりゃあ親御さんに怒られても仕方なし。当事者じゃなけりゃ僕だってキレる。なんて危ないことしてるんだってね。…………僕のせいなんだよなァ!!

 

「さて。現在地を教えてもいいのだが、先に一番気になっているであろう、君の沙汰について伝えよう」

「…………どう、なるんですか?」

 

 今までならば。死んでばっちこいと、はぐれ悪魔万歳と言えていただろうが。死んで逃げないと誓った以上、それは困る。非常に困る。けれど僕の裏、ヴォーティガン…………名前長ぇな。ガン子でいいか。ガン子がやらかそうとしたことが、あまりにも重すぎる。ぶっちゃけ僕がテロリストとして極刑に処されてもおかしくないレベルだ。アイツマジでなにやってんの。僕のためとかいう免罪符は効かんからなあのクソ天使。

 

「ああ、そう固くならなくてもいい。結論から言うとお咎め無し。どころか『禍の団』へ寝返った旧魔王派のカテレア・レヴィアタンの討伐と、白龍皇ヴァーリ・ルシファーへの対処を評価されている」

「あの、そいつはちょっとメルヘン過ぎる着地ではないでしょうか……?」

 

 逆に都合が良すぎて震えて来たんですケド……いやいいことなんだけどね!? いいことなんだけどね!?(大事な事なので2回言う)

 

「まあ、ちょっとした思惑はあるのさ。同情している部分もある。報復を恐れている部分もある。だが一番の要因になったのは『リアス・グレモリーによってコントロールが効く存在』だというのが周知されたのが大きい。とのことだ」

「は、はぁ……」

 

 まあ、確かに。ガン子の詰めの甘さもあった部分はあったけれど、一応外からはそういう風に見えたってことか。部長は狙って……はないだろうな、うん。

 

「それにこれからは禍の団への対応も増えることだろう、使える戦力を自ら切り捨てるのもおかしな話だ。そういった理由でお咎めの類はなし。対外的には『やぶれかぶれの覇龍で暴走しつつもテロリストに対処、最終的にリアス・グレモリーの愛の言葉で鎮静』……ということになっている。実際、キミによるこちら側の損害というと、駒王学園の敷地を酷くボロボロにしたぐらいだからな。戦闘の余波ということで片付けられるレベルだ」

「……そのぐらいで済んで本当に良かったですよ」

 

 ともかく。一応僕は悪魔社会から追われることは無くなったというワケだ。万歳、万歳!

 

「そしてここは『セラフォルー記念病院』。冥界の……まあ、一番の病院と言っていいところだな」

「おい、余計にあなたが来た理由が分からんぞ平麺さん」

「はははは。言ってしまえば俺はサボりだ。とはいえ現四大魔王の顔とも言えるサーゼクスと外交担当のセラフォルーは今が一番忙しいからな、俺が担当しなければという部分もあるにはある。……ファルビウムは面倒くさがって嫌がるだろうからな、渡りに船とはこういうことかな」

「もしかして魔王様方って、曲者しかいない感じなんです?????」

 

 僕の心の中の厨二的なハートで抱いていた幻想がめっためたに崩されていってるんですが…………いやまぁウチの店のラーメン啜りに来る魔王がいる時点で今更か。がっでむ。

 

「さて…………うん。俺の目で見たところ。逆に恐ろしいぐらいに身体の方に異常はないな。問題は精神の方だが……ふむ、以前見た時と比べ、格段に落ち着いていると見える」

「そうですか、良かった……」

「だが、『反天使:ヴォーティガン』は依然としてキミの中に残っている。いや、定着してしまったと言うべきか。察しているとは思うが、既に彼女はキミの精神疾患の枠組みを越え、一つの存在として確立した。反目するにせよ、和解するにせよ。いずれ彼女と向き合う必要がある、と門外漢ながら助言しておくよ」

「……はい。僕も彼女を放置するつもりはありません」

 

 これから部長の眷属として長い生を過ごす中で絶対避けては通れぬ大問題だ。まあ、ある意味で僕の妹のようなものだから、できるなら手を組みたいところだけれど。まあ無理だろうな……だってアレ、僕のこと嫌いだろうから。僕もアイツ嫌い。

 

「……うん。メッセンジャーとしての仕事はこんなものか。流石にこれ以上ダラダラしていると怒られてしまう。ともあれイッセー君。キミが無事で本当に良かった。キミが居ないと味が落ちる、とまではいかないが、張り合いがないからね。ちなみに今日は15秒背脂の炊き込みが短かった」

「……ええ、ありがとうございます平麺さん。変わらずに接してくれてかなり気が楽になりました」

 

 そう言って、見送ろうとして。ふと脳裏に過ぎったものがあった。恐らく、僕が悪魔として生きていく上で着けなければいけないケジメがあることに、思い至ったのだ。

 

「平麺さん…………いえ、魔王アジュカ・ベルゼブブ様。お願いがあるのですが、聞いてもらえたりしますか?」

「ん? まあ他ならぬキミの頼みだ。多少のことなら対応するが」

「……本当は。僕が直接帰って説明するべきなんでしょうけれど…………僕って暫くは此処に居ないとダメなんですよね?」

「ああ。身体的に問題がなくとも、検査の類は必要だからね」

「だったら、お願いします。僕の両親に来てもらうことは可能でしょうか?」

「……………………なん、だって?」

 

 

◆◆◆

 

 

「…………まぁ、というわけで。ごめん。僕、悪魔になったんだ」

 

 困惑はされながらも僕のお願いは平麺さんに聞き届けられ、そして日を置かずに父さんと母さんは冥界のこの病院にやってきた。

 一応大怪我をして病院に運ばれ、面会禁止で押し通していたらしく。本来いい感じのタイミングで悪魔の息がかかった病院に移送して辻褄合わせ……との事だったらしい。全部僕がご破算にしたわけだが。

 

 ……で、僕は内心でビクビクと怯えながら、簡単な経緯と悪魔になってしまった事実を語り、今に至る。

 

「…………」

「…………」

 

 二人は、困ったように笑っていた。それは多分、恐らく。

 

「……悪魔になった、というのは知らなかったが。お前がいつ頃からか、余計に怯えてたのは、分かってたよ」

「やっぱりか……もしかして僕って分かりやすい?」

「バカね、私達はあなたの親よ。どんな些細なサインも見逃さないものなの」

「凄いな、人の親…………僕もう悪魔だけど」

「イッセー。次自虐をしたら、俺の息子を貶したとしてゲンコツを落とす」

「息子本人なんだよなァ!?」

 

 ……いつもの、馬鹿みたいなやり取りだ。いつもの、普通(いつも)の。

 

「正直なところ、悪魔がどうとか、ドラゴンがどうとか、俺にはよく分からん。ぶっちゃけるとこの状況を正直飲み込めていないまである」

「本当、心臓に悪かったわぁ……。急に『息子さんがお呼びです』なんて案内されて。お母さん、生まれて初めてよ、魔方陣でワープしたの」

「いやマジでごめん。本当なら帰ってから話そうかとも思ったんだけど……心配掛けてると思ったから」

「馬鹿野郎。第一お前は、親に対しても遠慮をし過ぎなんだ。少なくとも、俺は補導で呼ばれたぐらいしか記憶がない。…………いや、よくよく考えると補導の常習ってどうなんだイッセー。ヤンチャは程々にしておいた方がいいぞ」

「お隣の紫藤さんが引っ越したとき、少しは落ち着くと思っていたら、まっっったく変わらなかったものね」

「…………うん、なんか方向性の違う問題児でごめん」

 

 一応その、正義側というか。僕は悪くないので大目に見て欲しい。ダメ? ダメかー。

 

「それにな、イッセー。謝るのは俺達の方だ。分かっていたのに、苦しんでいたのに力になってやれなかったのは俺達の方だ。お前が歯を食いしばってがんばる姿を確かに見ていたはずなのに」

「すぐにでも話を聞けばよかったと、後悔してるわ。自分が何者にもなれないんじゃないかって苦しんでいる時も。私達に後ろめさを覚えて怯えている時も。……イッセーが普段と違うことをされるのを嫌がるのに、甘えてしまっていたのね」

「…………それは違うよ。母さんの言う通りで、そう求めたのは、僕だから。踏み込めなかったのは、踏み込ませなかったのは、僕だ」

 

 ガン子は『誰も彼も私を助けてくれやしない』と言ったが。それは欺瞞にも程がある。…………誰にも助けさせなかったのは、僕自身だ。自分が異常であることを認めたくなくて、変わった対応をされるってことは僕がおかしいってことだから。ソレを頑なに嫌がっただけの……単に自分の問題だ。

 

「ンで、堂々巡りになると思うので、可能ならお互い様ということで決着つけたいデス。話進まないので」

「「異議なし」」

 

 流石僕の両親、話が早いか、僕のことをよく分かってくれてるか。……どっちもだな、こりゃ。

 

「多分、多分なんだけど。これ聞いたらまた『息子をバカにするな』って息子本人に怒るトンチキが発生するだろうから、形式的なもので聞くんだけどね。…………悪魔の僕が息子で、本当にいいの?」

「「()の息子をバカにするなよ、恐るぞ」」

「言った!! 前置きしたのに言った!! 形式的なものって言ったじゃん!!」

「盛大な前フリなのかと。なぁ母さん?」

「まったくよね、父さん」

「仲良し家族だなホントに!!!」

 

 なんかもう、本当に!! 悩んでたのが馬鹿みたいじゃん本当に!! 涙と一緒に呆れ笑いしか出てこんよ僕は!! …………僕って、本当に馬鹿だよ。

 

「それに、何よりもなイッセー。生まれ変わってでも。俺達の子でいてくれたんだろう? ……なら、こんなに嬉しいことはない」

「ええ。悪魔になってでも帰ってきてくれたのだもの。……私達には、それで十分よ。ええホント、これを機に悪魔崇拝始めちゃおうかしら?」

「大っぴらにはやめといた方がいいぞ母さん。イッセーの安産祈願に色んな神様に頭下げたからな」

「あー……いやぁ、どうなんだろ。これからの悪魔の身の振り方で変わると思うけれど……でも悪魔崇拝はやめれ、ろくなことにならん」

 

 なんだかちょっと、締まらない感じにはなったけど。

 

「…………ともあれ。()()()()、二人とも」

「「おかえり、イッセー」」

 

 迷いに迷った末に僕は。三ヶ月ぶりに、家に帰ることができたのだった。

 

 

◆◆◆

 

 

「…………やあ、兵藤一誠」

「この場合ナースコール押すべきか? 通報すべきか?」

 

 ということがあった翌日の深夜。そろそろ寝るかーと明かりを消して目を閉じようとした時に、そいつは現れた。怨敵、白龍皇ヴァーリ・ルシファーである。神器とはうって変わって黒いシャツを着こなしたイケメンフェイス。マジで全てを持ってるやつじゃん、死ね!(呪詛)

 

「まったく……この病院がザル警備とは思わんから、単にお前の潜入能力が凄いってことなんだろうな。才能マン本当嫌い」

「その、だな。…………兵藤一誠、」

()()()

 

 ピシャリ、と僕は言い放つ。……困ったような、泣きそうな顔になっても無駄だぞ。

 

「…………悪いことをしたら謝る、ぐらいの常識は教えられてたか。誰がお前の情操教育やったのか知らないけど、文句つけたくあるな。…………俺はお前を許せんよ、ヴァーリ・ルシファー。よりにもよって僕の目の前で、両親の殺害宣告されたんだ。キレて然るべき…………というかキレるって分かってたろ僕のこと調べてたんだから」

 

 というか、だな。

 

「お前、自分の発言が僕の神経を逆撫でしたことは分かってても、()()()()()()()()()()()()()()()()()? 正直に言え、どう答えたってお前への印象は変わらん」

「…………ああ。俺には分からない。死んで、悲しむ様な親はいないからな」

「……チッ、そういうことかよ。だからって何も変わらんが」

 

 だが、そういうことならば。…………心底赦せはしないけれど。猶予の一つはあった方がいいのかもしれない。コイツの為に。何より、僕のために。

 

「正直なところ、今お前を殺す手段がないわけじゃないんだよ。正確にはお前と殺し合いになったら恐らく、僕の裏側が出張って来るだろうからな。…………だけど、それじゃああまりにやるせがない。何も分からないのに、何も理解しないまま死なれても、僕の感情の置き所が無いんだよ」

 

 だから、そうだな。いい折り合い所としては……。

 

「いつか。いつかこの先の未来で。お前は僕が怒った理由を知ることになると思う。その瞬間、僕はお前を殺そうと思う。そうしたら、僕もスッキリできると思うんだよ」

「…………」

「それまでは、まぁ。見て見ぬフリをしてやるさ。僕の仲間に迷惑の掛からない範囲で、二天龍の因縁ってのに付き合ってもいい。あとウチの店に客として来る分にも、うん。あの時の解説、結構参考なったし」

 

 恐らくだが。図体こそ青年って感じだが。情緒の方はまともな育て方をされてこなかったのだろうと思う。免罪符にゃならんけど…………同情は、しちまうからな。殺すためにも、ある程度の交流をして情操教育していった方がいいな、と思う次第だ。

 

「……兵藤一誠。キミは多分、凄く優しいのだと思う。だが……とても残酷だな」

「生憎と、罰するのは僕の方じゃないからね。反天使になった時にでも来な」

 

 シッシッ! と手を振って合図する。これから寝ようかって所を邪魔されたせいで酷く眠い。

 居なくなったのを確認して、嫌なことを忘れるように夢の世界へ逃避する。…………このことは、部長には口が裂けても言えんなぁ。

 

 

◆◆◆

 

 

 それで、まあ。大本命の部長は次の朝にやってきた。

 

「えらくげっそりしてますね部長。無茶なことするからですよ」

「それをよりにもよって貴方が言うのかしら……?」

「このぐらいのは愚痴として受け止めてくださいよ」

 

 それにいつも僕が味わってるドナドナを部長も体験したのだと思うと色々溜飲下がってスッキリもする。やーいざまぁ!

 

「この……随分と生意気に…………いえ、慇懃無礼方面での生意気さは元からあったわね。貴方、そういうところでガス抜きしていたってことね?」

「今にして思えば恐らく。あとは…………告白の返事を伸ばして伸ばして振り回すのも、一応?」

「性格、本当に悪いわね」

「それが貴方が好きになった男ですよ」

 

 そう返してやると、望むところと言わんばかりに返されて嫌になる。……いや、嫌になるのとは違うんだけど。溜め込まないように悪感情も口にする様にしたのにいつもの態度と変わらないのが、なんだか自分が子供な気がしてってヤツだ。

 

 ともあれお互いの近況報告。部長はこってりご家族に絞られたそうだが、転んでもただでは起きぬと言わんばかりに、例の根回しを完遂させたのだとか。僕もうアンタのその執念が怖いよ。……その重さが心地好いって思う辺り、もしかしたら破れ鍋に綴じ蓋ってやつなのかもだが。

 

「で、どうする? 結婚する?」

「明日の天気を聞くような気軽さでする質問じゃねーんですよ。怖ぇよ」

「でも、それが貴方の好きになった女だけれど」

「おおう、見事なブーメラン。突き刺さって傷ついたのでイッセー君仮眠しようと思います」

「今夜は寝かせないわよ」

「話がある、という意味ですよね? そうですよね? こっち見ろ上司」

 

 そして、こんなやり取りが。どうしようもなく普通(あたりまえ)に思ってしまったものだから。

 

「……ねぇ、リアスさん」

「なぁに、イッセー」

「多分、貴女となら。僕はどんな悪夢だって生きていけます。だから────」

 

 

◆◆◆

 

 

 …………というわけで今回の顛末(オチ)、というか敗北宣言。

 

 僕に、彼女ができました。

 

 

◆◆◆

 

 

CHAPTER4: Advent×Angel

 

The End.

 




感想、評価、誤字報告等本当にありがとうございます。
非常に難航していたのですが、何とかこの作品の大きな区切りまで書き進めることができました。

いくつか補足

A×A:このイッセーの『夢幻』寄り形態。ガワとか性能は大きく違いますが、総合評価的に原作のアポカリュプス・アンサーアームズと大差ありません。つまりこの時点で出てくるには非常に過剰戦力です。なんで出てきた反天使。

反天使ヴォーティガン:見た目もCVもレイナーレ。なんでそんなことになったのかと言うと、1章で彼女の喉笛噛みちぎった時にデータを入手していたから。ここのイッセーは拗らせてますが、拗らせてレイナーレのガワになったわけではない。名乗りは完全にアルビオンを煽るためだったので当人は後悔している。おい表、なんだその教育番組の人形劇で出てきそうなそのあだ名。

オーフィス:願われたので願いを叶えた。少々自分の思惑も入ってるのでアフターケア気分で覗いたりおまじないあげたりしてる。なんなら可愛い可愛い⬛︎⬛︎⬛︎。……手を加えたのが彼女だけなら、兵藤一誠はもっとバグになってた。つまり…………

両親へのカミングアウト:これでもう彼の抱える後ろめたさはなくなった。精神的な枷が無くなったので、次の次ぐらいから本格的に暴れて容赦がなくなる。頑張れ冥界の皆様、この子は狂犬です。
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