兵藤一誠は『異常な普通』です   作:FGMe/あかいひと

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間章です、今回特に物語全体に掛かって来るようなことはしない予定なので3~5話ぐらいで済ませたい感じです。


Sub CHAPTER4:ウェイクアップ・アーマード・ドラゴン
その1


 

 駒王町の病院からこんにちは。こちら兵藤一誠、相も変わらず検査入院ってことで個室で暇な毎日を過ごしております。流石に大まかかつ重要な検査は終わったとのことで、シトリー領のセラフォルー記念病院から転院して人間界、地元駒王町の病院でダラダラと過ごしております。…………一応学校の課題はやっているのだけどね?

 

 そして今、僕の部屋にやってきたのはアザゼル総督。なんでも僕に相談があるとかでやってきてたのだった。意外と暇なのかねこのヒト。

 

「案外そうでもない。この度めでたく駒王学園高等部に教師として就任。ついでにオカルト研究部の顧問となった。よろしくなイッセー」

「えぇ…………いや、まあ納得と言えば納得なんですけど」

 

 十中八九、僕の監視が目的だろうなと思う。何せ僕の中には劇毒あるからな。めんどくせぇよ反天使。

 

「それも無くはないが、俺はそこまで心配してないさ。原因が明白な以上、対策をしておけばコードネーム『A×A』は出てこないと見ていい。どちらかといえば『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』が消えてしまったことで起こる神器の不具合の方を危惧している」

「あぁ……噂の」

 

 これに関してはドライグはあまり語りたがらなかったので、又聞きの情報にはなるのだが。どうも伝説の生物を封印した系の神器には、その生物の力を強引に引き出す外法があるのだという。ドラゴン系神器の場合、それを『覇龍』と呼ぶ。らしい。だいたいこれを使うことで歴代使用者は闇堕ちして暴走、後に死亡するのであまり好ましいことではないらしい。

 

 …………のだが、あろうことかこの僕。怒りのあまり過去の残留思念を自分で吸い取ってしまったので、覇龍に至る取っ掛りが消えてしまったらしい。なんでさ。

 

「俺の見立てでは、吸収された残留思念はコードネーム『A×A』が操っていた影の腕に転用されている。怨念を使役して暴れるなんて、ふてぇ天使がいたもんだな」

「僕に言われても困るンですが。僕だけど僕じゃないんですよソイツ」

 

 後で映像見たけど凄かったなぁアレ。影の拳で板○サーカスできるんじゃないだろうか?

 

「他にもグレモリー眷属のところは謎の多い神器に危険な神器、それと特殊な事情のある面子が揃い踏みだ。お前も含めた全員を指導して危険から身を守る術を身につけさせるのが俺の役目だ。ま、気軽にイケオジ先生とでも呼んでくれ」

「りょーかいですアザ公」

「話聞いてたかお前???」

 

 いやぁ、うん。このヒトを素直に先生呼びするの、なぁ? 確かに教師には向いてるんだろうけど、それはそれとして僕ちょっと怒ってるからね。

 

「ヴァーリの反旗を防げなかったことか?」

「うんにゃ、あの野郎の情操教育をきっちりしてなかったコトについて。一応保護者役だったんだろ、アンタ」

「……………………」

 

 ……あ、なんかこのヒトの柔らかいところをつついたかもしれん。やめだやめだ、話を軌道修正しよう。

 

「まあそれはともかく。総督、何か用事があったのでは?」

「ああ。まあちょっとした取引というか、お前にある技術を提供してもらいたい」

「…………あの、僕を誰かと勘違いしていませんか? 僕ってそういう技術屋やってたりはしないのですが」

「ま、だろうな。長引かせるのもアレなんで簡単に言うが、お前の『最善手(インヴェンション)』ってヤツのデータが欲しいんだ」

「ああ、ドライグと作ったでっち上げ作品の」

 

 なんだかんだで便利に使わせてもらってますです、はい。小腹が空いた時にカロリーバーの複製とかで。はい。

 

「しかし、言ってはなんですがアレ、マイナーチェンジと言いますか……本質は僕が籠手を扱いきれないから、扱いきれる規模になるまで無理矢理弱くしてると言うか。…………あーでも、徐々に枷を外していったから籠手規模の出力でも使えるようにはなってたか。ともあれ、テロ対策の強化案としてはそんなに効果の見込めるものでは無いと思うんですよ、他の神器で再現できたとしても」

「そう、そこだ」

 

 そう言って総督はどこからか紙の束を取り出す。察するに何らかの、めいびー僕に関しての資料だ。

 

「冥界の方で神器のデータを取るために色々させられたのは覚えているか?」

「ええ。偽装状態の『決殺の手』、そのまま『九頭龍の積層装甲』。『赤龍帝の籠手』、そこから『赤龍帝の積層装甲』。計4パターンの神器の動きを……という事でしたが」

「ああ。それで、これがその計測結果になる」

 

 手に取って読み、ふんふん……と頷くけれど、専門家じゃ無いからざっくりとしか分からない。……けれど、凄く気になることがある。

 

「…………両方の積層装甲形態が、異様に身体的負担が少なくないですか? 普通こんなものです?」

「いいや、異常と言っていい。ドライグという超級のドラゴンを宿しているにも関わらず、身体に掛かる総合的な負荷が通常の神器と比べても低い数値を叩き出している。悪魔の駒と癒着していることを加味しても…………いや、悪魔の駒という異物があってもこの結果だ。無かった場合性能や出力が大幅に落ちていたとは思うが、これは凄いことなんだよ」

 

 ふむ……なるほど。もしかしたら身体的な問題がこれといって無かったのは『最善手』に拠るものだったかもしれないわけだ。一応ガン子も神器起点の存在だしな。

 しかし尚更分からない。仮に『最善手』のテンプレみたいなものがあったとしよう。それを広めたところで誰が使うという話よ。身体的負荷が少なくなることで継戦能力は上がるかもしれないが、それで能力や出力が弱くなるなら他の方法を考えた方がいいと思う。

 そして僕みたいに転生悪魔の神器保持者が使う場合……正確には神器と悪魔の駒とを癒着させる場合、性能を落とさずに自身の負担をかなり軽減できる。しかしプロモーションが使えなくなるというかなり重めのデメリットを孕むわけだ。このことを平麺さんに話したら大爆笑していた。うん、アンタはそういうヒトだよね。

 まあそんなワケで、戦力増加という観点では少し扱いが難しいものだと思う。暴走しがちな神器を落ち着かせるにはいいものかもしれないが…………つまり。

 

「強化目的、ではない?」

「ああ。…………俗称で『神器症』と呼ばれるものが存在する」

 

 そこから続く総督の説明をざっくり纏めると、以下のようになる。

 

・神器所有者の中には、神器に対しての抵抗力が著しく弱い者が存在する。先天性心疾患のようなもの。

・コレを患ってると、神器のちょっとした作用や変質、そもそも所持してるだけで身体に多大な負荷が掛かり、異常をきたす。大体の場合短命で命を落とすことになる。

・そんな状態なので迂闊に摘出手術もできない。所持者側の生命力が手術に耐えられない。

・この症状は聖書の神が死亡した後に増大した。恐らくシステム内の神器関連の部分に何か異常がある。現状熾天使達でも対応できないとのこと。

 

「起きてたらドライグぶっ殺すところでしたよ」

「変わらず応答がない状態なのか?」

「はい」

 

 反天使状態からドライグの意識はずっと神器の奥の方にあるようだ。感覚的な話だが。多分問題はない、というか僕と同様そんなに負荷は掛かってないはずなので、それ以外のところに問題があるのかもしれない。ガン子が使ってた『いつえきのえんか』? ってのが関係あるのかもしれないが、本当のところは分からない。……警鐘が言うに身体がデカい分、影の泥濘から這い出るのに時間がかかってるだけらしいんだが。

 

「ともあれ事情はわかりました。そういうことならいくらでも情報提供しますよ。……それに、僕の心象を良くするのにも必要なんでしょ?」

「そういうことだ。まあお前が俺達に協力的なのは分かっているが、実績があるとより安心だ程度の話だ。ということで、コレを着けろ」

 

 そう言われて差し出されたのは、ツルリとした質感の、シンプルな腕輪だった。とりあえず受け取ったその手で左腕に着ける。

 

「それを着けた状態で、この検査入院中例の『最善手』を維持した状態で過ごしてくれ。軽い神器行使や、能力開発なんかもやってもいい」

「分かりました、じゃあ『最適化』」

『Upgrade:Frame Gear Booster』

 

 身体の中にある装甲板の本体がドプリ、と奥に沈んでいく感覚。一応装甲は纏わなくてもいいので、これで生活するって感じになるだろう。

 

 というわけで、今回は暇を持て余した病院生活でのお話。ドライグの目が覚めるまでのちょっとした出来事の話だ。

 

 

◆◆◆

 

 

「そんなわけで、しばらくは神器の習熟訓練でもしながら軟禁状態なんですけど。なんか仕事あります?」

「将来を誓った彼女が見舞いに来て言うセリフがソレ?」

 

 いやだって、自分の認識では別に身体が不調なわけでも(今は)メンタルやられてるわけでもないし…………?

 

「それに今思うと、何を話せばいいのやら…………え、ここまで僕と部長って何話してましたっけ?」

「…………仕事の話以外は、かなりしょうもない言葉のドッジボールしていたわね」

 

 うーんこの彼氏としての落第感。これで本当に僕が相手で大丈夫ですかとか言ったら怒られそうだけど。

 

「怒りはしないわ。うるさい口を塞ぐだけよ」

「怒ってんじゃないですか、あと躙り寄るのやめて」

「未だに私の呼び方が『部長』な罰よ」

「僕の性癖的に、大事な場面で名前で呼んだ方が特別感ありません? って理由で許してください、顔から火が出てしゃあないんですよ」

 

 まあそもそも経験も何も無いんだから落第なのは仕方のないコト。なのでこれからのイッセーくんの成長に期待ということで。

 

「……そもそも、せっかく骨を休められるのになんでわざわざ仕事を求めるのよイッセー。いたたまれなさ?」

「そうなんスよ! ちゃんとした理由あって学校休んでますけど、ズル休みしてる気分になるんですよ!」

 

 なお普通に病欠の時も後ろめたさ感じる系男子であった。布団で横になってる時に見るテレビの後ろめたさ半端じゃなくない?

 

「うーん……かと言って何かあるわけじゃ……。あっ、ギャスパーの特撮デビューの件があったわね」

「なんて??????」

 

 特撮デビュー? ギャスパーが? 特撮???

 

「ええ。先日のギャスパーのあの姿がとても魔王様達に刺さったみたいで。だから今、冥界ニチ○サ計画が進行中なの」

「なんでよ!!?」

 

 いいのかソレ、アリなのかソレ!? ギャスパー…………は乗るよな、その話!! だって好きだもんな仮面騎士!! 昨日の放送分も感想投げあったもんな!!!

 

「既に女の子枠に『魔王少女マジカル☆レヴィアたん』があるから、あとは戦隊モノと変身ヒーローモノね、ということになったのよ。戦隊モノの方は……なんだかお兄様が張り切ってたからおまかせするとして、変身ヒーロー枠にギャスパーをどうか、という話よ」

「えぇ……『仮面戦士ヴラディ』とかそんなノリぃ?」

 

 んで、だ。その話を僕に振るということは。

 

「主人公はギャスパーとイッセーのW体制よ」

「僕も特撮デビューすることになってんじゃん!!?」

 

 二人で一人の仮面騎士、じゃねぇんだよ。いやギャスパーのあの姿は僕の虚飾のによるものだけども!

 

「まぁ、あなた達も学生だから撮影にずっと参加できるわけじゃない。だから基本的には演劇専門のシェイプシフター達にお願いすることになるとは思うわ」

「あぁ……そういうのもいるんだ。とってもファンタジー」

 

 しかし、ふむ。となると…………。

 

「そもそも冥界にもテレビがあって、放送局と番組があって…………。上司殿、ちょっちお願いがあるのですが」

「?」

「冥界のテレビ、この部屋で観れるようにすること、可能ですか?」

「なるほど、そういう事ね。分かったわ、直ぐに手配をしましょう」

 

 ふふふ、これでちょっとは気が紛れるし、仕事にもなるんじゃないか? ……なーんて思っていた僕は、この時の判断をすぐに後悔することになる。

 




原作からの変更点
・リュディガーさんの息子くん死亡フラグ消失
・おっぱいドラゴンは消えた、もう居ない!!

感想、評価、誤字報告等本当にありがとうございます。
なんか日間18位だそうで……ドウシテ(困惑)
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