数日後、勇樹たちは戦車道をしていると。みほが誰かを探しているかのように心配そうな表情をしていた。
「ここのところ、西住さんなんだか暗いですね」
「暗いは余計だ、しかしなんだか浮かない表情をしているのは事実だな」
それを見た百合子と小森は言うと、勇樹が「ちょっと聞いてみる」と言い、彼女に駆け寄って聞いてみた。
数秒後……。
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「秋山さんがいない?」
百合子は驚くかのように言うと、勇樹が「そうなんだ」と答える。
「そう言えば、優花里だけでなく。幹子もいないな」
「そうだな」
伊江の言葉に、アンコウチームの冷泉麻子は適度に答えると。小森が「一体何をしてんだか」と言いながら空を見上げる。
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「えっと確か……あ、あった」
放課後、勇樹たちは会長に秋山優花里の実家の住所を聞き、みほたちと一緒に歩いていると。『秋山理髪店』を見つけた。
「あれ、秋山さん家床屋さんだったんだ」
「いや、床屋というより理髪店じゃねえか?」
沙織の言葉に伊江が言うと冷泉は「気にするところはそこか?」と突っ込む。
そう言いながらも、みんなは理髪店へと入る。
「ん?」
「あ、いらっしゃいませ」
ここの店の方だろうか、男性と女性がいた。
「あ、すみません優花里さんはいますか?」
「突然入ってすみません」
みほと小梅が言うと、男性は「あんたたちは?」と質問してきた。すると沙織が「友達です」と答える。
「友達……とと、友達!?」
「友達」という言葉に男性は驚くと、小森は「ん、どうしたんだ」とジト目で見る。
「お父さん落ち着いて」
「だ、だって。優花里の友達だぞ!?」
それを見た勇樹は「あ、なるほど」と何かに気づいたのか、頭のアホ毛がまっすぐに伸びた。
「いつも優花里がお世話になっております」
「お、お世話になっています!」
突然の行動にみほは「あ、あの」と戸惑っている。
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「へぇ、ここが優花里の部屋かぁ」
伊江は感心するかのように優花里の部屋を見渡している。
よっぽど戦車が好きだろうか。プラモデルに砲弾のレプリカ、サイン色紙にラジオなどが置かれていた。
みほたちもそれを見ていると、扉がカチャッと開き。優花里の母、秋山好子が人数分の菓子を持ってきた。
「どうぞ、食べて頂戴」
彼女の言葉に小森は「んじゃ、遠慮なく」と手を伸ばすと百合子が「少し落ち着いてください」とジト目で小森を見る。
すると優花里の父、秋山淳五郎が「あのー、よかったら待っている間に散髪しましょうか」と言ってきた。
それを聞いた伊江は「そう言えば」と自分の髪をいじる。ここのところツインテールにしているが、夏が近づいてきたのか最近暑くなってきたのか、頭が少し蒸し暑くなったような気がしている。
「それだったら、オレ―」
散髪しようというが、好子が「お父さんはいいから」と言われると、淳五郎はしょんぼりと退室する。伊江は「あう、せっかくの散髪が」とうなだれるのであった。
「すみません、優花里のお友達がうちに来たのが初めてなもんで」
それを聞いたみほたちは「ああ、なるほど」と納得する。
「何しろ、ずっと戦車戦車で。気の合うお友達がなかなかできなかった見たいで。戦車道のお友達が出来て、ずいぶん喜んでいたんですよ」
みほは安心したかのように微笑むと、勇樹は「へぇ、なるほど」と納得する。
「じゃあ、ごゆっくり」
好子はそう言いなgら部屋から出ると、みんなは頭を下げて「ありがとうございます」とあらわすかのように動く。
「いいご両親ですね」
「そうだな、俺はお袋しかいないからわからねえなぁ」
華と伊江がそう言うと、麻子は棚に置かれている優花里のご両親と本人が写真立てを見つける。
わずかだが、彼女は少し悲しい表情をした。
すると。
ドシッ!!
「「「ん?」」」
突然、扉の前に現れた鳥居の姿をしたドア型の道具『鳥居ドア』が出てきた。
それに気づいたみんなは、鳥居ドアを見て「なんだろう?」と頭を傾げていると、扉が開いてある人物が現れた。それは。
「「よっと」」
その人物は、コンビニの制服を着た秋山優花里と美樹幹子であった。
その姿を見た沙織は「ゆかりん!?」と驚き、勇樹も「美樹姉っ!?」と驚く。
「あれ、あれ、みなさんどうしたんですか?」
「小梅君に勇樹君たちまで、どうしてここに?」
優花里と幹子はそう言っていると、勇樹が「ドア、しまったらどう?」と言うと、幹子は「おっと、失礼」と吸い込み口が付いた銃でドアに向けて引き金を引くと。ドアは銃に吸い込まれる。
「それでですが。秋山さんと美樹さん、連絡がないので心配して」
華がそう言うと優花里が「すみません」と謝る。
「電源を切ってました」
それを聞いた伊江は「どういう意味?」と傾げると。沙織が「つか、なんで玄関から入ってこないのよ」と言うと優花里が再び説明し始める。
「こんな格好だと父が心配すると思って」
「ちょっと遠い所からこのドアで移動したってわけ」
それを聞いた勇樹は「それはいいけど、なんで道具を?」と言うと優花里が「でも、ちょうどよかったです」とある物を西住に渡した。
「ぜひ、見ていただきたいものがあるんです!」
それは黒色のUSB、どうやらこのUSBには何か隠しているようだ。
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『実録! 突撃!!サンダース大付属高校』
渡されたUSBをテレビにつなげてみると、そこにはノンフィクションドラマのように堂々と文字が書かれていた。
「こんな映像があるんですね」
「どこで手に入れたの?」
「気になる」
華、沙織、小森はそう言うと。優花里は「ふふん」と自信気に反応する。それを見た小梅は「もしかして」とある手段を思い浮かべる。
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映像に映っていたのは、サンダース大付属高校の学園艦なのか。非常に長い艦隊が映し出されている。
かと思えば、今度は校門。サンダース大のエンブレムも写っていた。
『わたくしは今、サンダース大学付属高校へ来ています』
優花里の声がすると同時になぜか画面が上下に揺れながら前に動いている。これはどうやらカメラで撮っているようだ。
そして視点が上に向くと、幹子と優花里の姿が。
『では、潜入します。美樹殿』
『OK、優花里君!』
それを見たみほは、「これ、どうしたの?」と優花里に質問する。彼女は「帰る途中、自分で軽く編集してきました」と照れながら答える。
「テロップもまだ仮なんですけど」
「急いでいたからね」
幹子はそう言うと沙織が「いや、そうじゃなくて」と軽く突っ込む。
そして次に映し出されたのは厠(今でいうとお手洗い)の個室で、そこには2人がやっと入るのが限度なのか、優花里と美樹が写っている。
『では、無事潜入できましたので。サンダースの制服に着替えたいと思いま……あっ』
すると、秋山はカメラがあることに気づき。急いでカメラの電源を一時落とした。その時美樹は上半身を脱いでいる途中だが。
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『これで、どこから見てもサンダース校の生徒です』
『そうだね、しかしスカートはちょっと』
美樹はそう言いながらスカートを抑えている、よく見ると顔が少し赤い。スカートは吐きなれていないのか?
『ハーイッ』
優花里がサンダースの生徒にあいさつすると、彼女たちは『ハーイ』と答えるのであった。
『みんなフレンドリーです』
『心が広いんだね、それにばれていないね』
それを見た沙織は「つか、最初にコンビニの制服を着ていたのはなんで?」と質問すると、優花里は「それはですね」と解説する。
「コンビニの定期便に乗り込んで学園艦にもぐりこんだんです」
「そっちのほうが、スパイだとしてもばれないからね」
それを聞いた沙織は「なるほど」と納得する。
『すごいです、シャーマンフライがずらり。あれはM4A1型…あっちはM4V印、ああっ! わずか75両しか作らなかったA6があります!!』
『す、すごいね』
優花里の興奮に、幹子は若干引いているのがよくわかる。
すると、サンダースの生徒は2人がいることに気づいたのか、声がしたほうに向いた。
『ああっ、一回戦がんばって下さーい!!』
『まったく、まぁ、がんばるんだよ!』
優花里と美樹の応援に、彼女たちはグッジョブするのであった。
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次に映し出されたのは、多目的ホールなのか。非常に広い所に多くの生徒がいた。
その中に優花里と美樹は、そこ隠れるかのように座っている。
『全体ブリーフィングが始まるようです』
するとサンダースの生徒であろうか、茶髪のツインテールと金色のロングヘアーに灰色に近いショートヘアーをした少女が映っている。
『では一回戦出場車両を発表する』
ツインテールの少女はそう言うと同時に、後ろの画面に戦車が映し出される。
『ファイアフライ1両、シャーマンA1・76m搭載1両、75m搭載8両』
それを見た優花里は『容赦ないようです』と小さく答える。
『じゃあ次はフラッグ者を決めるよ!」
リーダであろうか、金色のロングヘアーの少女はそう言うと、『オーケイ?』と言うと生徒らは『イエ―!』と元気よく答える。
『づいぶんとノリが良いですね、こんなところまでアメリカ式です』
優花里はそう言うと『オオー!』と声がした。
『どうやら、フラッグ車が決まったようだ』
美樹はそう言うと、『何か質問は?』と言ったため優花里が『はい』と質問をする。
『正体編成はどうしますか?』
すると彼女は『オゥ―、いい質問ね』とすぐに答える。
『今回は完全な2個小隊は組めないから、3両で1小隊、1個中隊にするわ』
『フラッグ車のディフェンスは?』
美樹はそう言うと彼女は『ナッシング』と答える。
『敵には3突がいると思うんですけど』
優花里の質問に彼女は『大丈夫、1両でも全滅させるわ』と自信満々に答える。
これはいい情報だと2人は思っていた……だが。
『見慣れない顔ね』
突然灰色に近いショートヘアーの少女に2人は『ふぇっ!?』と目を丸くするかのように驚く。
そしてサンダースの生徒も、2人を凝視するかのように見つめる。
『所属と階級は?』
ツインテールの少女の質問に、2人は戸惑っている。だが。
『第6機甲師団のオッドボール3等軍曹であります!!』
『同じく、モリリアーティ1等兵です!!』
優花里と美樹の意外な名前に会場は数秒止まるが、ロングヘアーの少女はどこかにツボったのか失笑している。
代わりにショートヘアーの少女は『偽物だ!!』というと2人は『うわわっ!』と逃げる。
『美樹殿、何かありますか!?』
『ま、任せて!! こんな時にあろうかと……あった!』
美樹は銃を前に向けて放つと、黄色の輪っかに緑と赤色のスイッチが付いた道具が出てきた。
『早くこっちに!!』
美樹はそれを壁につけて緑のスイッチを押すと、壁に黒色の空間が出来て2人はその中に入る。
『有力な情報を手に入れました! これでレポートを終わります!』
そう言うと同時に、画面は真っ黒になるとスタッフロールが写るのであった。
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「なんという無茶を」
「無理やりだな」
麻子と小森はそう言うと優花里は「頑張りました」と答える。
すると百合子は「でもいいのかな、こんなことをして?」と心配そうに言う。
「試合前の偵察行為は承認されています」
「今でいうとホワイトゾーンだよ」
優花里と美樹の言葉に納得すると、優花里は「西住殿」とUSBを渡した。
「オフラインレベルの仮編集ですが、参考になさってください」
するとみほは「ありがとう」とほめる。
「秋山さんのおかげでフラッグ車もわかったし、がんばって戦術立ててみる」
「無事でよかったよゆかりん」
「今はケガがない事だけ、安心しました」
「そうだな」
「ドキドキしました」
みほ、沙織、小梅、麻子、華はそう言うと優花里は「心配していただいて恐縮です」と照れる。
「わざわざ家まで来てもらって」
「そうだね」
優花里と美樹はそう言うと、華は「いいえ」と顔を左右に揺らす。
「おかげで秋山さんの部屋も見れましたし」
「そう言えばそうだね」
華と百合子は言うと、優花里は意外なカミングアウトをする。
「あの、部屋に来てくれたのは皆さんが初めてです。私、ずっと戦車が友達だったので」
「ほんとだ、アルバムの中ほとんど戦車ばっかし」
「あ、本当ですね」
優花里のアルバムであろう本を沙織は開くと、そこには戦車に乗ったボーイッシュの子供が写っていた。
「なんでパンチパーマ?」
沙織の質問に優花里は「くせ毛が嫌だったし、父がしているのを見て格好いいと思って」と答える。
「中学からはパーマ禁止だったんで元に戻したんですけど」
「いや、友達出来なかったの、戦車じゃなくて。この髪型のせいじゃ?」
沙織の言葉に、優花里は「え?」と反応すると。百合子は「鈍感ですね」とほほ笑む。
「どうにせよ、1回戦を突破せねば」
「それ、ボクもさんせーい」
「頑張りましょう」
「賛成だ、五十鈴!」
麻子、小森、華、伊江がそう言うと沙織が「1番頑張んなきゃいけないのは麻子でしょ」と突っ込む。
麻子は「なんで?」と言うと沙織が「明日から、朝練始まるよ」と答えて数秒後、彼女は「え?」と反応するのであった。
それを見た小森は「忘れてたな」と小さくつぶやくのであった。
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そして、戦車道当日。太田たちは観客として専用の席にいる。
「いよいよ勇樹君と伊江たちが出るんだね!!」
「これは早速の大チャンスッス!!」
「大洗の歴史に僕たちの隊長が写るんですね」
「これはいいものじゃん」
太田たちは張り切っているのか、真剣な目つきで専用の大型画面をじっと見つめる。
「それにしても、先輩が調べたあの資料で。何かわかったことあるっすか?」
霊華は、勇樹が調べていた例の資料の話を言うと、太田は「そうだね」と言える範囲で答えた。
「黒百合学園は、どうやら北海道にある学園は分かったが。そのどこの場所にあるかは詳細不明なんだ」
「そうっすか」
それを聞いた霊華は少し落ち込むかのように言うと、連華が「だが、わかったのはこれだけじゃない」とお茶を飲む。
「何すか連華!? そのわかったのはこれじゃないっというのは!?」
「……ふむ、それは。相手が私たちと同じ未来から来たものではないかということだ」
そう言った瞬間、霊華は「ええっ!!」と驚く。だが。
「それって、どういう意味すか?」
あまりのバカさに、みんなはずっこけるのであった。