ガールズ&パンツァー 時空を超えた機械と協力者   作:水岸薫

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第87話『過去の話と今の目標』

 しほと和葉の話が終わり、和葉は部屋から出ると倉庫へと行きみんなに謝ろうとしていた。すると。

 

「みほさん、まほさん」

 

 襖に立って隠れていた彼女たちに和葉は反応し、まほは「勝手に聞いてすまない」と謝る。

 

「お母様があそこまで考えていたのは初めて知った…まさかみほのことまで」

「うん、お母さんはやっぱり私のことも考えていたんだね…小梅さんたちのことも」

 

 まほとみほがそう言うと、和葉は「あ、そう言えば小梅さんって確か」と彼女を思い出すと、まほは「ああ、彼女だ」と答える。

 

「当時の彼女は仲間重いが強いが戦車の指示を出すのがあまり上手ではなかった」

「でも小梅さんはみんなと違って嫌味を言わない、正直に話すことがあるの。私も驚いたよ」

 

 まほとみほはそう言っていると、和葉も「そう言えば」とあの時を思い出す。

 前に一度黒森峰のみんなと一緒にいたとき…。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 黒森峰と一緒にいたとき…それは勇樹の世界で一度高校生専門の居酒屋に寄ったとき。

 

「ここが 居酒屋『high squash』なのね」

 

 黒森峰の副隊長であるエリカはそう言って看板を見ると、まほは「勇樹が言っていた場所がここだとは意外だな」と答える。

 

「高校生専門の居酒屋、ノンアルコールを提供している唯一のお店。マニアで有名なところなのは理解するな」

「そうですね、予約は勇樹がしておいたと聞きましたので入りますか?」

 

 エリカの言葉にまほは「そうだな、少し肌寒いし。みんな」と言うと、生徒らは「はい」と答え、店の中に入る。そして見かけたのは。

 

 

「いらっしゃいませー。お一人様ですか、それとも団体様…あ」

 

 赤いエプロンに白色のハンカチを頭にした少女、和葉はまほを見た瞬間顔を真っ赤にし、「よ、予約した方ですか」と小さな声で言うと、まほは「ああそうだ」と冷静に言う。

 

「初めて来るところで少し早めに来たが、大丈夫でしたか?」

「い、いえ。多少早めに来ても問題はありません…それよりもお席を案内します」

「ああ、そうだったな。団体の場合はどちらに?」

 

 まほの言葉に和葉は「えっと」と近くにあった地図を持ってくると、説明をしだした。

 

「1人、4名までは1階で。団体の人の場合は2階となっております。予約した内容ですと団体なので2階となりますね」

「そうですか、では上に行きましょうか」

 

 まほはそう言うとみんなは「わかりました」と答え、2階へと上がっていく。

 それを見た和葉は「ほっ」と安心し作業に戻ろうとした…すると。

 

 

「あの、少しいいですか?」

「え」

 

 

 後ろから声がしたため彼女は振り向くと、小梅が和葉のそばにやってきていた。

 

「えっと…小梅、さん?」

「はい、黒森峰戦車道をしておりパンターG型の車長をしております」

 

 彼女の言葉に和葉は「あ、そうですか」と答え、作業に戻ろうとするが。店長が出てきて「今日は休め」と言ってきた。

 

「え、でもまだ時間が」

「たまには休め、お前は少し働きすぎだ。心配するな、事情は私が話しておく」

 

 店長はそう言いながらタイムカードに『終』を押すと同時にカードを入れると、カードは17;30と記入された。

 

「あ、それでは…終わります」

「ふふ」

 

 和葉の言葉に小梅は微笑むと、彼女は「それでは」とエプロンを畳むと小梅に「少しお待ちください」と言い、どこかへと行き数分後。彼女は私服へと着替え外に出ようとするが、小梅が「上に行きますよ」と彼女の腕をつかむ。

 

「え、でも私は黒森峰の」

「いえ、隊長から話をしたいらしいので」

「隊長…まほさんから?」

 

 彼女の言葉に小梅は「はい」と答えると、和葉と一緒に上へとかけあげり黒森峰がいる部屋へと入っていく。

 

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「小梅長かったな…その子は確か」

「元黒薔薇の生徒…確か優木和葉ね」

 

 まほとエリカの言葉に和葉は「ど、どうも」と後ろに引いていく。

 それを見た小梅は「下からお休みをいただきましたので」と言うと、彼女は「そうか」と答える。

 

「なら少し食べるか? 小梅が少しミスをしてな」

「え、でも迷惑じゃないですか? 黒森峰のみなさんと一緒なのはちょっと」

「別にいいわよ、たまには一緒に話してみたいし」

「エリカもそう言っているからどうた。もちろん私もだ」

 

 まほとエリカの言葉に和葉は渋々と「わ、わかりました」と言いながら席に着くと、他の生徒から「コップ持ってきて」「飲み物ある?」と声がし、和葉の分を用意していく。

 そして和葉の用意が終わるとまほが「それでは」と立ち上がると同時にあることを言いだす。

 

 

「間はあったが。私たち黒森峰は、勇樹と共に小春田の手掛かりがあると聞きドイツまで行った。しかしそこで彼女たちに襲われてしま危険な目に遭った、しかし勇樹と彼の仲間のおかげで私たちは今がある」

 

 

 まほの言葉に生徒らは頭を上下に動かすと、エリカは「そうですね」と同意するように答える。

 

「そして、彼女は元黒薔薇の生徒の優木和葉。勇樹からは元敵であり今は味方だ」

「あまり責めないでください、彼女も少し心に傷があるので」

 

 小梅のフォローにみんなは「なるほど」「わかったわ」「それなら納得できます」と声がする。

 

「それではみんな、今回は心休まるお食事を行おう。乾杯!」

 

『『『乾杯!!』』』

 

 

 まほの合図にみんなは答え、和葉も怯えるように挨拶をする。

 

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「わずかな瞬間、小梅は和葉のことを知った…意外だった、私が聞く前に知ったのは戦車道大会以来だ」

「私も、小梅さんは他の人と違って優しい所があるから」

 

 まほとみほの言葉に和葉も「そうですね」と納得するように答える。すると。

 

 

 

「優木ちゃん、ちょっといいかな?」

 

 

 後ろから声がしたため何かと振り向くと、珍等師学園高等部の生徒会長の甘井ココアがやってきていた。

 

「会長、どうしたんですか?」

「いま杏会長さんから『西住ちゃんと優木ちゃんを呼んできて』と言われてね、あたしもちょうど呼ぼうと思ってきたんだ」

「私と、和葉さんにですか?」

 

 みほの言葉に彼女は「そうだよ」と簡潔に答えると、まほは「それで話は」と質問する。

 

「話は一体どんな内容ですか?」

「それなんだけど、実は石川ちゃんからのちょっとした伝言用紙があって…倉庫に」

 

 ココアの言葉に何か察知したのか、まほは「そうだな」と言うとみほも「わかりました」と答える。

 和葉は「伝言用紙…中身は一体」と考え込み、そのまま倉庫へと歩いていく。

 

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 倉庫内では他の生徒たちが戦車やメカの修復をしており、それをみほは「あと少しで直るんだね」とつぶやくように言う。

 

「思った以上に激しい衝撃だからけが人は出ましたが、幸い特殊カーボンを使用しているため軽傷で済んだ人がいましたから」

「そうか、戦車や生徒は無事なのはわかったかがメカは?」

「持っている『修復用の部品』ですぐに済みます。少し時間はかかると思いますが」

 

 みほとまほの言葉や質問に和葉は答えていると、ココアが「こっちだよー」と声がしたため彼女たちは急いでココアの後を追うように歩いていく。

 

 

 そしてココアが付いた場所は『会議室』と書かれた部屋で、そこには各隊長たちが揃っていた。

 

「杏ちゃん、呼んできたよー」

「お、ありがとねココアちゃん…さて」

 

 杏はそう言って椅子に腰かけると、どこからか1枚の紙を出してきた。

 

「アンジー、その紙は?」

「この紙なんだけど。実はこの倉庫の中にあった物なんだ」

 

 杏の言葉にみんなはざわつくと、カチューシャは「ちょっと待って」と言いだした。

 

「勝手に持ってきて悪くはないの?! もしそれが黒森峰のだったら」

「あたしも初めはそう思ったんだ。だけど…これを見てほしい」

 

 彼女はそう言いながら丸めた用紙を広げていくと、そこに書かれていたのは…。

 

 

『ラッセルタンカーの設計図 作:石川勇樹』

 

 巨大なラッセル車の図面が描かれており、右上にはメカの名前を設計図を描いた人の名前が書かれていた。

 

「石川勇樹…彼がここに来たのか?!」

「わずかな時間でここまで仕上げた…流石ですわね」

 

 設計図を見たアンチョビは驚き、ダージリンは冷静に答えながら紅茶を飲む。そしてミカも「そのようだね」と答えながらカンテレを鳴らす。

 

「そうなんだ、大きさからすると約20メートル前後、ラッセル車だから車輪はあるけどキャタピラのように動かす構造になっているんだ」

「それにしては結構大きいわね、どうして?」

「うーん、結構時間かかりそうだね…」

 

 杏の言葉にカチューシャとナカジマは図面を見ながら言っていると、みほは「あ」とある事に気づく。

 

「みほどうしたんだ?」

「うん、もし勇樹さんが用意したなら…必ずメカの部品はどこかに隠されているんじゃないかなと…」

 

 みほの言葉にエルヴィンは「それなんだが」とある報告をする。

 

「実はそれを見て私たちは倉庫外を探したんだけど、それらしき入れ物がなくて」

「戦車やメカの中に入れているんじゃないかと確認したわ、でもなかったのよ」

 

 エルヴィンに続いてみどり子も言うと、祭梨は「それじゃあ」と設計図を見ながら答える。

 

「どこかにあるとしたら…一体どこだ?」

「私たちにも分かりません、ですが」

「このような事態は、初めてですわね」

 

 お銀に続いて、エルとダージリンは答えた…その時。

 

 

 

『電話、電話』

 

 

 

 和葉の携帯から着信音が鳴ったため彼女は「す、すみません」と言いながら電話に出る。

 

「はい優木和葉です…え、三日月さん?」

「What? 三日月がどうしたの?」

 

 和葉の声にケイは反応すると、彼女は「はい、三日月さんからですが」と彼女はそう言いながら電話の受信機をスピーカーモードに変えて机に置くと。

 

『和葉、そっちは大丈夫?』

「え、大丈夫ですけど…どうして?」

『実は地面の中を掘ってみたんだけど…あ、もちろんあの薔薇のことが気になってね』

「薔薇…ああ、確か行ったときに生徒の一名が掘っていたわね」

 

 ケイの言葉にナオミも「そう言えばそうだな」と思い出したかのように反応する。

 

「それで三日月、地面を掘って何かわかったの?」

『それが…何もないのよ』

 

 三日月の言葉にココアは「意外だねぇ」と反応をする。

 

「何もないってことは、偽物を用意したのかしら?」

『可能性はあるわ、生徒からは『囮として掘っていけ、来たれ逃げろ』と上からの命令でやっていたようよ』

「なるほど、今までの行動は私たちを騙すための行動で。本当は」

『軍隊流派にしまっていた例の資料を奪うってことね…それともう一つ情報が』

 

 三日月が言った『情報』にダージリンは「なにかしら、その情報は」と言うと、彼女はこう答える。

 

『これは軍隊流派からの知らせなんだけど。どうやら彼女、顔だけ整形していたという話を手に入れたわ』

「あ! もしかして!」

「そうか…声も真似していたか?」

 

 まほの質問に三日月は「そうね…その連絡もあったわ」と真剣に答える。

 

『続きはそっちに行きたいけど、もしかして彼が言っていた例の』

「ああ、時空間の異常。今は熊本にいるが私たちの世界のだ」

『あちゃー、それもそっか…仕方ないね。こっちも来るようにできる限りやるから、後は出来る?』

 

 三日月はそう言うとケイは「わかったわ」と答えると、電話越しから『じゃあね、バァイ』と同時に電話は切れる。

 

「ふむ、まさかここまでやるとはな…みほ」

「うん、粟口田さんの目的がわかってきたかも」

 

 まほとみほはそう言うと、杏は「それじゃあ最後は」と和葉に向けると、彼女は「え、ええ?!」と慌てだす。

 

「優木ちゃんの力が必要なんだ」

「そうね、和葉」

「あなたの力が必要ですわ」

 

 杏に続き、ケイとダージリンもそう言うと彼女は「え、でも…」と戸惑い始める。

 

「わ、私はどうやっても無理だと思いますし…それに」

「自信を無くさないで」

 

 みほの言葉に和葉は「え」と驚くと、彼女はそのまま話していく。

 

「あなたは、私たちと一緒にいてどうたった? 楽しかった?」

「えっと…たのし、かったです」

「うん、そうだね。私たちも楽しかったよ」

「え…みほさんも楽しかった?」

 

 みほの言葉に彼女は「うん」と答え、ポエットから1枚の写真を取り出す。

 

「私と優花里さん、沙織さんに華さん、麻子さんと和葉さんと一緒にいて私は思ったんだ」

「思った?」

「うん、私は一人じゃない。みんなといるから私は今がある。和葉さんもそうだよね」

 

 みほの言葉に和葉は「あ」と気付いた。

 

 

 華と一緒に射的をしたり、優花里と一緒に写真を撮ったり、麻子と一緒にご飯を食べ、沙織と一緒に服を選んだり。そしてみほと一緒にボコと話をしたこと…。

 それを思い出した彼女は何かに気づき、みほに向けると彼女も「気づいたんだね」とほほ笑む。

 

「私、一人じゃないんだね…」

「うん、私たちがいるからあなたがいる…そうだよ」

 

 みほの言葉に彼女は「そうですね…」と言うと立ち上がり、各隊長たちに向けてこう言った。

 

 

「みなさん。今回は迷惑をかけると思いますが…よろしいですか?」

 

 

 和葉はそう言って頭を下げると、杏は「そうだねぇ」とほほ笑みながら答える。

 

 

「そんじゃあ、少しやるか」

「大変そうですが、同意しますわ」

「そうね! 私も賛成よ!」

「万が一おなかがすいても、私たちに任せろ!!」

「カチューシャの団結力も舐めないでね!」

「私たちもだ、機械系は得意ではないが出来る限り手伝ってやろう」

「我々もです! 和葉さんのためならたとえ火の中水の中!」

「出来る限りこっちもやる、どうかな?」

「私たちも行くか…後でお礼を」

「細かいことも任してね、安藤と押田の力でできるかも」

「美はともかく、見た目を木を付けるのも重要ね!」

 

 

 各隊長はそう言うと、和葉は「ありがとう…ございます!」と再度頭を下げる。

 

「あはは! そう言われるとさらにガンバちゃいそう!」

「ええ、本当にそうね」

「それじゃあ始めるか、優木ちゃん」

 

 

 杏はそう言うと、和葉は「はい!」と元気よく答える。

番外編を作ったほうが良いでしょうか?

  • 構いません
  • そこは自由で
  • いいじゃないですか?
  • どうでもいい
  • 普通
  • 微妙
  • アウト
  • NG
  • もう少し先でいいかな?

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