俺の人理修復はなにか間違っている   作:BATTU

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初めての英霊召喚

人理継続保障機関フィニス・カルデア

 

時計塔の12人のロードにして、天体科を牛耳るアニムスフィア家が管理する国連承認機関

 

人類の未来を語る資料館。地球環境モデル「カルデアス」を観測することによって未来の人類社会の存続を世界に保障する保険機関のようなもの

 

らしい

 

 

 

俺はそんな大層な場所で人理修復の宿命を背負った同い歳くらいの青年、藤丸立香くんと同じようにサーヴァントという過去の英雄、有名人を使役できるマスターとやらをやっている

 

だが、俺の立場は藤丸立香くんのレインシフト先での補佐役

何せ魔術師適正は藤丸立香くんよりちょい差での下であり、まだ多くのマスターたちが居た時は俺なんざほぼ居ないもの扱いさ

 

さらにはロマニー・アーキマン通称「Dr.ロマン」とカルデアに召喚された技術局特別名誉顧問の「レオナルド・ダ・ヴィンチ」この二人の調べによるとなにやら俺は藤丸立香くんと違って特殊すぎるらしい

 

俺自身が特殊なのか、それとも偶然英霊召喚システムのバグによるものなのか、俺の初めての英霊召喚には皆が唖然としたのを未だに忘れていない

 

 

最初に召喚を試みた藤丸立香くんはなんとしょっぱちでサーヴァントの中で優秀なクラス「セイバー」を引き当てその後は「アサシン」と「ライダー」だった

 

優秀クラスであるセイバーはかの聖剣エクスカリバーの使い手であるアーサー王こと「アルトリア・ペンドラゴン」 

 

アサシンは宮本武蔵と決闘を挑んだ剣豪「佐々木小次郎」

 

ライダーは魔眼使いの化け物として有名な「メデューサ」

 

 

現在藤丸立香くんが使役しているサーヴァントは新しく来た3人を追加して5人となった

 

1人は元々カルデアにいた少女、その肉体にサーヴァントの霊気を宿した通称「デミサーヴァント」と言われるマシュ・キリエライト

 

もう1人は最初のレインシフト先で出会ったキャスター、魔槍ゲイボルグの使い手であるアルスターの英雄「クーフーリン」

 

 

計5名が藤丸立香くんのサーヴァントだ

 

 

で、問題は俺だが

英霊召喚を試みた瞬間、突然召喚部屋が真っ暗になった

 

最初誰もが停電かと思われたが実際は違ったそれは物理的な"暗闇"だった

サーヴァント達は藤丸立香くんを下がらせ、臨戦態勢をとっていた戦士としての直感かそれがただの暗闇ではないことにいち早く気づいたようだ

 

 

暗闇は英霊召喚システムに吸いこまれるように入って行った、そして暗い霧が噴出した瞬間、そいつは召喚されて現れた

 

 

「青色の作業服」に「白塗りのマスク」を着用したそいつの右手に握られているのは出刃包丁

 

 

そんな異様な姿をしたこいつが俺の人生初のサーヴァントなんて

 

 

「泣けるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」ズズズッ

 

「・・・」

 

 

俺の英霊召喚事件から数日

 

食堂でいつもの朝の珈琲を飲むのが俺の日課だ

そんないつもの日課に俺の隣で永遠に出刃包丁を片手に何も無い机の上を凝視する異様な存在を放つ謎のサーヴァント

 

とりあえず分かっている事は彼?のクラスは「アサシン」である事

そして英雄とは呼び難い特殊な人間という事だけ、今はレオナルドとDr.ロマンがこのサーヴァントの情報を解析している所だ

 

こんなハロウィンに居そうな白塗りマスク被った奴が英雄だったら世界の半分の英雄は変人だろうな

 

とりあえず近くにいて分かる事はこいつは一切喋ろうとはせずコミュニケーションはしない事と人間を見ると凝視する癖がある

しかもマスターである俺には何故か片時も離れようとはせず、つねに一定の距離を保ちながらついてくるのだ

 

その為就寝時にはベットに横たわる俺をすぐ近くで立ち尽くしながら凝視するのにはさすがに最初は居心地がくそ悪かった

しかし、こちらの言うことは分かるのか「見ててもいいから出来ればそこの椅子まで離れろ、あと座ってろ」と言ったらそれ以降は部屋にある俺の椅子に座って遠くから見てくるようにはなった

 

どうやら完全に意思疎通が出来ない訳じゃないようだが、それでも基本誰の言うことは聞かないようだ

マスターである俺でも完全に言うことをきかせれるわけではない、事によっては令呪を使わなければならないことも考えてはある

 

 

「おはようございます先輩」

 

「お早い起床ですなマスターの先輩殿」

 

「・・・おはよう藤丸くんと佐々木小次郎」

 

 

食堂にやってきたのは藤丸立香くんと新参サーヴァントの佐々木小次郎だった

いつも傍らにいるはずのマシュ・キリエライトの姿がないのは少し珍しい

 

 

「えーと、僕の事は立香でいいと言ったと思うんですけど」

 

「藤丸君が先輩呼びをやめてくれたら考えようとは言ったはずだよ。俺は先輩と言える程立派な存在じゃないんでね」

 

「あ、あはは・・・」

 

 

苦笑いをしながら頬を掻く藤丸立香くんは朝食を持って俺の対面席に着く

 

俺はもう一口珈琲を飲みながら、口を開く

 

 

「そういえばマシュ嬢はどうしたかな?いつも君の傍にいたのに今日は居ないとは珍しい」

 

「えっと、マシュはちょっとドクターに呼ばれてて今居ないんです」

 

「今日は某がマスターの付き添い係という奴でござる、まぁ今日のマイルームサーヴァント、とやらの日でもござったからなぁ」

 

 

ふぅ、やれやれと言わんばかりに笑みを見せながら暖かい緑茶を口にする佐々木小次郎

通常サーヴァントは食事などの食べる、飲むという行為は無意味らしいのだが、まぁ小さい事は気にしてはいない。仮に俺がサーヴァントの立場だったとして食事は無意味であってもこの日課の珈琲は止める気はないだろう

 

ちなみにマイルームサーヴァントとは、まぁ簡単にいえばマイルーム内でのマスター護衛と言うやつだ

ぐっすり眠っている所をグッサリなんて事が無いようにとのことらしいが、まぁ藤丸立香くんはそこまで考えてはいない、あくまで自身が契約したサーヴァントと話して交流を持つための制度みたいなやつだ

 

まぁ、俺のサーヴァントのせいでマスター護衛という意味ではあながち間違っちゃいないだろうな

なんせ見た目が見た目だ、話すこともせず片手つねに出刃包丁持ってたら誰だって警戒する、俺もそうする

 

 

「それで、この謎のアサシンについてはどうでござるかな?」

 

「・・・未だに分からない事だらけさ。あちらはコミュニケーションを取ろうとはしないし名前も分からない、そのせいでカルデアスタッフたちは皆こいつを見ただけで警戒する始末だ。おちおちカルデア内を歩くのも一苦労だ」

 

「なかなか大変そうですね」

 

「逆にレオナルド嬢は謎のサーヴァントって事で結構興味津々らしいがな。あそこまで食いついてくるのもなかなか珍しかったよ。ところで今日の予定は?」

 

「あ、はい。今日は種火集めに行く予定です」

 

「やれやれ、サーヴァントの強化の為とはいえあまり無茶はしない事だ。休める時はちゃんと休めよ、まぁ今日から俺からも参加することになるがな」

 

「え、そうなんですか?」

 

「いくら危険で謎とはいえ、こいつはサーヴァントであり俺はマスターだ。次のレインシフトでは俺も戦力として君とマシュ嬢と同行するんだ、いざ実戦で弱くて戦力になりませんでしたじゃ話にならんしな」

 

「はははっ、マスターは大変でござるなぁ」

 

「ふん、せめて足でまといにはならんようにするさ・・・ところで佐々木小次郎」

 

「なんでごさるか?」

 

「お前から見てこいつはどう思う?アサシンとしてでもいいし、君の直感でも構わない」

 

「拙者は騎士王のようなスキルは所持してないためなんとも言えぬが・・・ふむ」

 

 

佐々木小次郎は俺の隣に立つサーヴァントを見る。そしたらこいつも見られていることに気づいたのか顔をあげて佐々木小次郎を見始める

 

 

「ふむ、なるほど」

 

「なにか分かったの?」

 

「いや、分からん」

 

「へ?」

 

「・・・分からないって事が分かった、てか?」

 

「左様、こやつに関しては拙者ではまるでわからんなぁ」

 

 

はははっと笑いながらそんな答えにため息を吐きながら「ごめんなさい」という藤丸立香くんに対して気にするなと答えた

 

 

(しかし、こやつの奥底にはよからぬ物がおるようだな。例えるならば"辻斬り"に似たような)

 

「・・・」スッ

 

(やれやれ、せめて敵にならんことを願うばかりよ)

 

 

そう思いながらまた緑茶を口にする佐々木小次郎

 

そんな時もう1人のサーヴァントが食堂に来客してきた

 

 

「先輩、やはりこちらにいましたか。あっ・・・」

 

「やぁ、マシュ。おはよう 」

 

「おはようマシュ殿」

 

「おはよう」

 

「・・・」

 

「お、おはようございます皆さん」

 

 

俺の顔を見て挨拶を済ませたマシュの表情は固くなる

 

 

「さて、俺はルームに戻って準備をしてこよう。時間になったら向かうよ」

 

「あ、あの、待ってください!」

 

「?」

 

 

食堂を出ようとする俺に声をかけて呼び止めたマシュ

 

俺と彼女はそこまで仲が良いかと言われれば、そうでないと言う方が正しい

何せ同じカルデアにいるが俺と彼女は全然あったことも無ければ話した事もない、彼女は俺という存在が居るというくらいしか知らず逆に俺は今回の件でやっと彼女の存在を知ったくらいだ

 

 

「こちらの書類なんですが、ダヴィンチさんからでどうやらあちらのアサシンのサーヴァントの調査が終わったようなのでご確認をと」

 

「そうかわざわざすまない」

 

 

彼女から手渡された書類を手に食堂を後にする

そしていつものようにアサシンは俺の後をついてくる様に歩きだす

 

 

「さて、お前が何者か教えて貰うぜ」

 

「・・・」

 

 

そう言いながらマイルームへと戻り、椅子に座って書類に目を通す俺をあいつは出入口のドア付近で立ち尽くしながら凝視する

 

 

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