ワイバーンの襲撃から間一髪逃れた俺たちはアーシアの召喚した邪龍にてその場を離れ、森の中にて現状況の整理をしていた
「皆さんありがとうございました。ゆっくり休んでください」
アーシアが呼び出した邪龍たちは光と共に消え、その場からいなくなる
そして俺とハンクは突如現れ、加勢してくれた人物と話をしていた
「まず一言、あんたが助けに来てくれて助かった。あのままだったらマイケルはジリ貧でやられていただろう」
「礼には及ばねぇ、俺だって早くあんた達を見つけたが最初は竜の魔女の手下なんじゃないかと思ってた。だが、あんたらはあのワイバーン共と戦ってた所を見るに違うって思ったんだ。それに女の子を身を呈して守ろうとしたあんたの姿を見て放っておけなくなった」
「そうか、苦しいいい訳にも聞こえるが俺たちは竜の魔女の仲間じゃない。少なくとも、あの黒い竜たちを従えているのはアーシアだが彼女は優しい子だ、あの子だけは責めないでやってくれ」
「もちろん。あんたの言葉を信じさせてもらう」
「・・・それで貴様は何者だ?その姿から見て15世紀の人間の姿ではないな」
ハンクの指摘は最もだ
あいにく15世紀のフランスのファッションなど知らないが、どう見ても彼の格好はどちらかと言えば現代よりだ
そして先程、ワイバーンを倒して見せた時に現れた謎の中世騎士のような何か・・・まず普通の人間じゃないのは確かだ
「まぁ、最も指摘だな。だが時代は違くともこの国は俺の故郷なのは確かだ」
「・・・なるほど、その縁で呼び出されたというわけか。お前の名は?」
「ポルナレフ・・・名のらしていただこう、クラス『セイバー』J・P・ポルナレフ」
キメ顔と共に名乗り終えたポルナレフは自身のクラスがセイバーであると告げる
どうやら自分の身がサーヴァントとして召喚されていると理解してはいるようだ
「俺は『人理継続保障機関』カルデアから来た、人類に残されたたった2人のマスターの一人だ。俺たちは焼却された人理修復の為にやってきた」
「・・・なるほど。聖杯からの知識ってやつから聖杯戦争の事は知っていたが、どうやら俺が呼び出されたのはその人理修復に関係がありそうだな」
「Mr.ポルナレフ。お前は今まで一人でこのフランスに居たのか?お前以外にもサーヴァントは?」
「いや、実は俺も此処に召喚されてからある女のサーヴァントに世話になった時がある。そいつとは離れちまったが恐らく今もどこかの町を竜の魔女のワイバーン共の脅威から民間人を守ってるかもな」
「どうするemployer、そのサーヴァントにあってみるか?」
「あっては見たいが、まずは藤丸立香くん達と合流したいんだがな」
ポルナレフから聞いた情報を元に、これからの方針を決めようとする三人
その時、壊れていたと思っていた通信機から音が流れ出す
『ザー・・・こちら、ロマ二!ねぇー!聞こえてるかい?!』
「Dr.ロマン、バッチリ聞こえるぞ」
『はぁ、良かった・・・何度も通信をしたのに、繋がらなくて心配してたよ』
「すまない、こっちも通信を試みたんだが何故か繋がらなくてな。しかも途中でワイバーンの群れに襲われて対処してた」
『そうか、ていう事は龍の魔女の話は?』
「現地の人間から聞いた、ワイバーンに襲われたらしく見つけた時にはもう虫の息だったがな」
『そうか、それじゃあ立香くんたちと合流した方がいいね。そっちの座標を調べたけど、合流には1日は掛かるかな。合流地点の座標を送っておくね』
「助かる」
Dr.ロマンから送られた合流地点の座標を開き、ハンクたちに説明する
「なるほど、1日はかかるがこれで仲間と合流か」
「あぁ、とりあえずは合流してから互いに情報交換してこれからの方針を決めるだろうな。ところであんたはどうするポルナレフ?」
「ここで会ったのも何かの縁だ。俺もあんたたちと共にいくぜ」
「じゃあ、仮ではあるがサーヴァント契約を」
「あぁ、これで仮ではあるがあんたは俺のマスターってやつなんだな。よろしくな!」
新たに仲間サーヴァントを増やした俺たちは、藤丸立香くんたちとの合流地点を徒歩で目指すことにした
怪しい場所はポルナレフとハンクで偵察を行い、何度か戦闘もあったが何とか歩を進めていた
夕方
「今日はここで野宿だな」
「あぁ、これ以上の進行は危険だろう」
「よし、じゃあ薪を集めてくるぜ」
「あ、ポルナレフさん。私も手伝います」
「あぁ、ありがとよ嬢ちゃん。だが、無理はすんなよ」
ポルナレフとアーシアは薪を集めに向かった
ハンクは周囲を散策しにいき、野宿場には俺とマイケルだけが残っている
マイケルは普段通り、包丁片手に俺から一定の距離を保っている
(一応、マスターである俺を守ってはくれたんだよな・・・それとも、アーシアちゃんかな〜見てて保護欲湧いてくるよなーあの子は)
内心苦笑いしながら、俺はそんなことを考えてからマイケルに言葉を発した
「マイケル、ワイバーンに襲われた時はありがとな」
「・・・」スッ
「もしお前があの時、身を呈してワイバーンを食い止めてなかったらポルナレフの援護は間に合わず、俺は喰われてたかもな・・・理解できてるかは分からないがとりあえず感謝はしとく、それだけだ」
「・・・」スッ
マイケルは1度顔を上げ、話を聞いてくれたのかは分からないが話を終えた後、彼はまた視線を下に戻す
「・・・ふっ」
とりあえず俺は沈みかける太陽のひかりを見ながら、皆が戻ってくるのを待っていた