機動戦士ガンダム外伝 アイオライトの宇宙へ... 作:谷中小豆
それは、まるで熊のような男だった。二メートルは優に越す身長に、がっしりとした体格。顔は文字通り熊のように毛深く、軍服の襟元には中佐の階級章が輝いている。三人は、反射的に踵を鳴らし敬礼を送った。
「構わんよ。...それよりどうだね、この船は?」
「素晴らしいであります!」
カルエルが目を輝かせる。
「この紡錘形のライン、そして艦体一体型のミサイル発射管!スマートなメガ粒子砲塔に充実の対空機銃!正しく機動巡洋艦の名に恥じぬ最高の艦と感じるであります!」
「ハハハ、ベタ褒めだな。...然し、だ」
声色を変える。
「なぜ本艦の艦種を知っている」
「へ?」
「本艦は五隻ある先行量産型、しかもこの艦の実情を知る人間はほんのひと握り。無論、内部情報も公にはしておらん。一体どういうことか」
「あ、いや、その」
「私が教えました、中佐」
「何」
兄弟の横の男が口を開く。
「貴様、何者だ」
「お忘れですか、私ですよ。第八戦闘機大隊の...」
瞬間、中佐の顔色が変わる。
「...馬鹿な、お前はルウム戦役で」
「じゃあ、私は何なんです?」
中佐は頭を抱え、男はニヤリと笑う。
「...ジャック、貴様――生きていたのか」
「ガトルの分離機能に助けられましてね。この通りです」
「そうか…だが、ここにはガトルは無いぞ。MSの操縦は出来るのか?」
怪訝な顔で訊ねる。
「…一応、私は士官学校上がりですが」
「MSの操縦適性検査で貴様をハネたのは私だぞ…だから不人気な戦闘機パイロット養成コースに」
「シミュレーターでは死ぬ程振り回しました。それに、療養中に実戦に出ましたから大丈夫ですよ」
「信用出来んな…まあいい。貴官らを我が艦、ザンジバル級テオーリアのMS部隊に任命する。全力で職務を果たしてくれたまえ」
「「「了解!!」」」
「……騒がしいな」
「ああ、そりゃあれですよ姐さん。MS乗りの連中です」
「……MS乗り?」
「珍しい連中ですよ。最初はガトル戦爆機乗りで、そこから転科訓練でMS乗りになったっていう…今週辺り来るって、言ってたじゃないですか」
「……聞いてないぞ」
「そりゃ姐さんは日に二十三時間はザクの整備してますからね、当然です。…今回のも大分弄ったので?」
「……機動性を上げた」
「そんなんじゃまた死人が出ますよ」
「……今更だろう、そんな事」
「そうですが」
「……乗りたい奴、使いたい奴だけ乗ればいい」
「そりゃロマンです姐さん」
「……待った」
「何です?」
「……元戦闘機、乗り?」
「…ああ、連中ですか?そうですよ。中々の腕利きだったそうで」
「……付いてこい」
「…何を」
「……推力を上げる、後十五パーセント」
「…ザクが保ちませんよ」
「……それでいい。戦闘機乗りなら、なおさら」
(…あの人達の生命が心配だ)