ダースモール「強いフォースを感じる」女武闘家「冷たい」   作:フダガミ

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プロローグ

男は困惑した。

 

村を滅ぼしたというゴブリンの探索、討伐依頼を受けた。

そうしてわずかに残した足跡をたどり、奴らの巣と思われる洞穴の場所を突き止めた。

そこまではよかった。

 

だが見張りにいるはずのゴブリンが既にくたばっていたのだ。

それもただの死に方ではない。

剣やこん棒といった武器による傷はない、それどころか目立った外傷がない。

 

首の骨だけ、折られている。

 

 

 

 

事は数日前にさかのぼる。

 

「―――ゴブリンだ。」

男はギルドでいつものようにゴブリン退治の依頼を受付嬢に尋ねた

その傍らには、彼の同行者である女神官もいる。

「あ、はい!ゴブリンスレイヤーさん。」

受付嬢は机に広がった書類を一枚手に取り、鎧に身を固めたゴブリンスレイヤーに向き直る。

「その、とりわけ厄介なのが一つあるんですが・・・」

「構わない」

ゴブリンスレイヤーはいつもの通り依頼の詳細を聞いた。

 

辺境の村が突如現れたゴブリンの集団に滅ぼされたという話があった。

そのゴブリン達の巣の探索、可能ならば討伐すべし。

ここまではよくある厄介な依頼であり、話だったが・・・

 

「え・・・そこ、って・・・」

 

滅ぼされた村について聞くと、同行者である地母神の女神官の表情が青ざめた。

その神官は以前、別の一党(パーティー)に所属していたのだが、神官と一人を除いて、ゴブリンに全滅させられた。

神官は自分の認識が誤りであってほしく、受付嬢に村について自分が知っている限りのことを確認した。

聞けば聞くだけ、後悔する事になったのは言うまでもない。

滅ぼされたのは心を折られ、故郷に戻った彼女のかつての仲間であり

ゴブリンスレイヤーが救助した女武闘家の村だったのは間違いなかった。

「・・・私、あの時彼女を見捨てて逃げてしまったんです。」

神官は顔を少しうつむけてつぶやく

あぁ、と頷いて、続きを促す。

「それから、会う勇気はなかったですけど、村の場所だけは聞きました。」

男は黙って、続きを促す。

「・・・いつか必ず、彼女に・・・あの時の事を・・・でも、もう・・・」

少し間をおいて、そうか。と返した。

神官がそうして胸の内を明かしていく内に肩は震え、表情は更に曇っていった。

 

「その、更に詳しい話ですが・・・」

 

嬢は場の空気を切り替えるべく、依頼の詳細を話す。

ゴブリンの巣があると思われるのは村近辺の山丘地帯

また、小鬼の規模は目撃者がいないため不明

村が襲われたのはいつかは分からないが、少なくとも二週間ほど前だそうだ。

「随分と前だな。なぜ村一つが消えておいて、そこまで発覚が遅れた?」

「辺境と言えど、国同士をつなげる道のいずれからも外れた田舎村でしたから・・・不運が重なったのだと思います」

「・・・そうか。」

「他に、聞きたいことはありますか?」

 

ゴブリンスレイヤーは少し間をおいて

「いや。すぐに向かう」

その二言で、依頼は引き受けた。これ以上根掘り葉掘り聞くよりもゴブリンスレイヤーは今は一秒でも時間が惜しかった。

村を滅ぼせるだけの集団ともなれば20や25はいるだろう。これ以上数を増やす前に手を打たなければならない。

 

「私も、行きます。」

女神官はそう言ったが、ゴブリンスレイヤーは止めた。

話を聞くに、恐らくその神官が目にするには過酷すぎる惨状しかないだろうからだ。

ゴブリンに襲われ壊滅させられた村にはまだ死体が残っているだろうし

取り分け女の末路など分かり切った結末しかない。

男は殺され、女はさらわれる。さらわれた女は群れの規模拡大のための孕み袋にし、心を徹底的に折り、飼殺される。

恐らく故郷に戻ったという彼女の元仲間は再びゴブリンに陵辱されているだろう。

場合によっては死んでいる可能性さえある。

 

彼女は一度仲間を滅ぼされ、心の傷も完全に癒えきってはいない。

立てつづけにそんなものを見せられては、今度こそ立ち直れなくなりかねない。

男はそう何度も忠告はしたのだが・・・

 

 

 

「・・・まるで暗殺者がやったみたいですね、ゴブリンスレイヤーさん。」

時は今に戻り、ゴブリンの死体の様子を観察している女神官はそうこぼした。

この通り、いつものようについてきたわけだ。

彼女にとっては凄惨な光景を前にして己の心がより深く傷つくよりも

今隣にいるゴブリンスレイヤー(命の恩人)を一人で危険な場所に向かわせる方が応えるのだ。

そんな彼女の心境を察す術もないゴブリンスレイヤーは

つくづく肝は据わっていると、鎧に身を固めた男は改めて女神官を評価した。

 

「そうだな。問題はこれを誰がやったかだ。」

女神官に返答し、男は思考を侍らせる。

ギルドで出された依頼を引き受けたのは自分、つまり他の冒険者という線はない。

たまたま通りがかった冒険者がやったという考えもあるが、基本無償でこんな危険な巣に向かう好戦者はいないだろう。

・・・白金等級の冒険者が憂さ晴らしをしたとかでもない限りは。

 

次はゴブリンとは別のより上位の魔物が襲撃した、という線だ

混沌に与するものならば、互いに相容れなければ同士打ちも十二分に考えられる

だが小鬼どもならば襲撃してきた魔物と対峙するよりも、従属する方を選ぶだろう

奴らは馬鹿だが間抜けではない。最低限の処世術ぐらいは身に着けている。

見張りに立った子鬼は見せしめのために縊り殺されたのだとも考えられるが

それならなぜ新しい見張りが立っていなかったのだ?

・・・恐らくこれもないだろうが、警戒するに越したことはない。

 

となると、腕の立つならず者がやったという線。

山賊など小鬼どものように略奪を生業としている人間が、拠点を構えるにあたって小鬼が邪魔になったので排除した。

これはありうる話だが、ゴブリンの死体の有り様を見るにそれも薄いと思った。

めだった外傷も無く首の骨を折っている。ゴブリンは低級の魔物だが、五感は並の人間より鋭敏だ。

やつらに感づかれないように近づき、ここまで的確に急所だけを狙えるものだろうか?

これほど技量が伴った腕利きを抱える一党がこの田舎にアジトを作るとは考え難い。

より大きな都市に近い村で、隠れ蓑にするに適した場所などいくらでもある。

何よりこの山は国に続く道のいずれからも遠く離れている、襲撃の拠点としても不向きだ。

わざわざここを選ぶ利点は低いが・・・ないとも言い切れない。

 

「・・・まともな立場にある者の所業ではないのは確かだ。警戒して進むぞ。」

「はい、ゴブリンスレイヤーさん。」

 

いずれにせよここで引くわけにはいかない事情もあった。

依頼の内容は状況の探索、可能な限りの脅威の排除。

ゴブリンが排除されているとしたなら、この洞穴の中に新たな脅威が潜んでいる。

その正体を確認もせずに帰ったとあらば、冒険者としての責務を果たしたことにはならない。

仮にも自分は銀等級の冒険者、引き際もわきまえている。覚悟を決めて、この中へ進んでいくことにした。

 

「恐らく中にいるのはゴブリンではないだろう。いつでも退けるように、聖光の奇跡を撃てるようにしておけ。」

「はい。」

 

女神官は錫杖を強く握りしめ、子鬼殺しは火を灯した松明を片手に二人は洞穴の中へ歩いて行った。

火で照らされた洞窟の中は思ったより広い。天井も高く、ゴブリンの巣穴という割には大きいほうだ。

横穴の類を探すのは少し骨が折れたが、それがないことを確認したゴブリンスレイヤーは、次にトーテムの類がないか目を凝らす

壁には何もなかったが、何か黒いものが床に落ちている。

 

「・・・炭?いや・・・」

ゴブリンスレイヤーが拾ったのは、見覚えのある形状をした木の燃えカスだった。

トーテムの残骸だろうか?となると少なくともシャーマンがいる事にはなるが、なぜ焼け落ちていたのだろう。

存在を隠ぺいするために壊したか、あるいはここで戦闘が起きたのか。

・・・案の定、戦闘が起きた証拠などそこら中にあった。

 

ここにはゴブリンが10体近く倒れている。

 

「どうなっている。」

死体の様子を確認している女神官に、そう問いかけた

「・・・全員、死んでいます。・・・この五匹は、首の骨は折れていませんが、窒息して死んでます。」

道の中央に扇状に倒れていた5匹の死体を指さし、神官は言葉を続ける。

「それと、壁に寄り掛かっているのはすごい力で叩きつけられたようです。内臓が破裂して、それで・・・。」

壁に寄り掛かり、口から血を吐いている4匹を指さしてそう伝えた。

おかしい。ゴブリンスレイヤーはそう思うほかなかった。ここの死体の様子もそうだが・・・

 

「・・・ここに向かう途中にも2匹いたな。あれとも様子が違いすぎる」

そう、入り口に入って間もない所にもゴブリンの死体が2つあったのだ。

そちらは一匹は見張りのように首の骨を折られ、もう一匹は文字通り肉体がはじけ飛んでいた。

殺され方の度合いが違いすぎる。

「一番奇妙なのはこの五匹ですよ、ゴブリンスレイヤーさん」

女神官の言葉にゴブリンスレイヤーは疑問を投げかける。

五匹とも首を締め上げるなど、いったいどうやったのか。

しかし神官の疑問は別のところにあった。

 

「・・・首のあたりに痕跡がありません。普通、窒息するほど首を絞めたなら手の跡などが残るはずなのですが・・・」

女神官の言葉にゴブリンスレイヤーは言葉を飲んだ。

まさか、そんなはずは、と。それを代弁するように、女神官は

 

「まるで・・・内側から締めあげたみたいです。」

 

この奇妙な窒息死の答えを出した。

普通の人間にこんなやり方ができるはずがない。

となれば、考えられるのは・・・

 

「・・・魔術の類か?」

「かも、しれません。」

そう、何かの魔法で窒息させた。ゴブリンスレイヤーも神官もその知識に疎いが

現状考えられるのはそれより他になかった。

「だとすれば想像もつかない脅威だ。奇怪な魔術に留まらず、馬鹿力と技量も備わっている。一人とは限らんが、複数だとすればなおの事だ。」

「・・・そう、ですね。あ、また新しい死体・・・――ッ!」

歩を進めた一行はまた死体を見つけた。またもや壁に寄り掛かるように4匹が事切れている

しかし女神官が言葉を飲んだのは死体の有様ではない。

「これは、壁に寄り掛かっていたのと同じだが・・・全身の骨が砕けているな。それに加えて・・・」

死体の様子を確認したゴブリンスレイヤーは、小鬼から少し離れたところに広がっていたものに目をおろした。

 

「地面に大きな亀裂か。よほど大暴れしたようだな。」

 

渇いた硬い地面が円状に広くえぐれ、亀裂が入っている

かなり強い衝撃がなければこうはならない。

「一体、何が潜んでいるのでしょう・・・」

 

ズシン

 

「ッ!」

 

女神官が不安げに言葉を出すと、辺りに地鳴りが響いた

錫杖を握り、周りを見渡す。

 

ズシン ズシン

 

地鳴りは少しずつ近づき、大きくなる。洞窟の奥からだ。

 

 

「わからん。だが人間の所業にしては豪快すぎる。より上位の魔物か、あるいは・・・」

そう返し、ゴブリンスレイヤーは立ち上がる。

松明に照らされた、地鳴りの主は――

 

「やはり、ゴブリンだったか。」

 

ゴブリンの中でも最大の体躯を実力を併せ持つ、小鬼英雄(ゴブリン・チャンピオン)だった

目の前の冒険者をにらみつけるそいつは、片手に巨大な棍棒を握り締め、もう片手に、誰かを握っている。

 

「あ―――」

 

女神官は青ざめる。髪を後ろに束ねたその女性は、とても見覚えのある顔を血で汚し

一糸まとわぬ穢された姿でチャンピオンの手にぐったりと握りしめられていた。

 

「武闘家さん!!」

 

「厄介だな。」

強敵の登場に兜の下で顔をしかめるゴブリンスレイヤーは、またもや奇妙に思った。

何故奴は人質など取っている?ゴブリンは姑息だが、チャンピオン程の個体ともなればそういう手は取りにくい。

自分たちをよほどの脅威とにらんでいるのか?

一つ確かなのは、こちらに不利な状況であるということだ。

 

「GORR...」

 

チャンピオンは笑い声ともとれる唸り声をあげ、こん棒をこちらに向け、人質を握り締めたまま動かない。

奴が何を企んでいるかは分からないが・・・さて、どうする。

 

チャンピオンがこちらに手出ししてこないうちに、ゴブリンスレイヤーは打開策を練る。

普通なら取るべき手は聖壁による圧殺だが、人質を取られてはそれはできない。

なにより、人質は女神官のかつての仲間だ。

 

普通に正面から戦うのは論外だ。

ゴブリンスレイヤーは銀等級かつ子鬼殺しの専門だが

大型の敵を相手に真っ向から討ち勝てる実力はない。

チャンピオンともなれば銀等級の中でも腕利きでなければ討伐は難しい、それほどの大物だ。

 

他にも目の前の一匹を仕留める手はある事にはある

深海につながるスクロール、燃える水。爆薬の類。

だがいずれも人質を切り捨てる選択でしかない。

 

となれば、今打てる手は・・・

 

「一旦退くぞ。俺が時間を稼ぐ。お前は目くらまし(ホーリー・ライト)の準備をしろ。」

「そんな、彼女を置いていくんですか!?」

女神官からすれば看過できない提案だった。

一度彼女を見捨てておいて、今二度見捨てろというのか。

それも、彼女の目の前で。

「言っただろう、過酷な現実しかないと。・・・覚悟を決めるのは今だ。」

「ッ・・・!!」

 

その通りだった。女武闘家の命運がどうであれ、想像はできたはずだ

ただ、最悪の状況に自分が居合わせてしまっただけに過ぎない。

女神官は唇を噛み、心を押し殺す。今ここで感情に揺り動かされ全滅してはならない。

そうなれば、彼女を助けるチャンスを永久に失うのだ。

「・・・はい・・・」

「行くぞ。」

ゴブリンスレイヤーはこの場を切り抜けるべく、チャンピオンに向き直り、抜刀する。

 

「――む?」

「OOR・・・G・・・?」

しかし、様子がおかしい。

先程まで不敵な笑みを浮かべ、いやらしい笑い声をあげこん棒を向けたチャンピオンだったが

脂汗を垂らし、口を開き、体が震えている。

手の力が抜けたのか、ごとりと大きな音をたて、こん棒が落ちた

・・・そして、周りの空気が変わった。

 

 

冷たい。

 

 

 

湿気のこもっていた生暖かい洞窟内が、冷気で満たされているような錯覚をその場の全員が覚えた。

反射的に息を吞み、全身が強張る威圧感。

まるで空気が魂をわしづかみしているような雰囲気。

 

・・・それら、全てが

 

「・・・・・・・・・・」

「・・・GORB・・・!!?」

 

意識を取り戻して、薄く目を開けた女武闘家から発せられていたのに気づくのは、そうかからなかった。

 

「・・・・・・」

「え?」

 

女武闘家は口を動かす。言葉になっていなかったが、しかし、神官にはこう聞こえた

 

 

 

()()()、と

 

 

ぐちゃり

 

 

「GUIIIIOOOOOOAAAAAAGGG!!!???」

 

何かが潰れる音が鈍く響き、チャンピオンは女武闘家を正面に放り出し、地面にその巨体を預け、苦悶の声を上げのたうち回り始めた。

両手で股間を抑えて、涙すら流している。

 

「え、えっ?」

女神官は何が起きたのかわからず、戸惑うしかできない。

しかし、ゴブリンスレイヤーはこの好機を逃さなかった。

すかさず転げまわっているチャンピオンに距離を詰め、抜いた武器を逆手に持ち替えた。

チャンピオンが起き上る前にその巨体に馬乗りになり、頭部めがけて短剣を突き立てる。

 

「GUIA!?」

短剣が肉に刺さる鈍い音が響く。

頭蓋を割り、脳まで突き刺さったことを確認し、ゴブリンスレイヤーは短剣をひねった。

「これで、18・・・!」

律儀にこれまでの死体の数も含め、ゴブリンスレイヤーはとどめを刺した。

チャンピオンは目を見開いたまま体を激しく痙攣させ、やがて動きを止める。

「・・・ちが、う」

かすれ声があがる

女神官のものではない、放り出された女武闘家のものだ。

 

「OGAOR GAROA...」

 

ゴブリンの声が響く。それにゴブリンスレイヤーは聞き覚えがあった。

シャーマンの呪文の詠唱だ。

「・・・あと、1・・・」

「ッ!!」

失念した!ゴブリンスレイヤーは油断を恥じた。

シャーマンの存在は確認していたはずなのに、何たる失態だろう。

いくらチャンピオンが脅威だったとはいえ、あれに気を取られすぎるとは。

そう、シャーマンは巨体を誇るチャンピオンの更に後ろで、眼前の冒険者から死角になるように隠れていたのだ。

そしてチャンピオンにこちらが手こずっている間に、松明の光が届かない場所の暗がりに潜んで呪文の詠唱を始めていた。

 

「い、いと慈悲深き地母神よ――!」

神官はそれを聞いて慌てて祈りの言葉を紡ぐが、聖壁(プロテクション)は間に合いそうにない、呪文の詠唱はあちらが早かった。

すぐさま迎撃の体制をとるべく、ゴブリンスレイヤーは馬乗りになっていたチャンピオンから飛び退いて離れる。

投擲用の短剣を抜き、シャーマンめがけて投擲しようと試みたが

 

「GROOB!!」

 

短剣を投げるより、シャーマンの詠唱の方が早かった

シャーマンの手に握られた杖から、閃光がゴブリンスレイヤー目掛けて一直線に走る。

 

「ゴブリンスレイヤーさんッ!!」

 

一筋の閃光がゴブリンスレイヤーの目前まで迫り―――

 

 

 

「・・・な・・・」

 

 

 

 

迫ったところで、信じられない光景が目の前に広がる

ゴブリンスレイヤーも思わず投擲の動作を止めて、それを見ているしかできなかった

・・・魔法の閃光が、鉄兜に当たる寸前の空中で静止している。

 

一体、何が起きている?

 

シャーマンの方を見ると、両手を後ろに回して、何かにおびえるように硬直していた。

いや、違う。

文字通り凍り付いたように動けないでいる。

 

「武闘家、さん・・・?」

 

その言葉を聞いて、ゴブリンスレイヤーは後ろを振り返った

女武闘家は顔を上げ、少し体を起こしていた

右手をシャーマンに向けかざして、怒り露にして歯をむき出し

黒かったはずの目が妖しく黄色に光っているのが見えた。

 

「・・・苦しめ・・・!」

「GUIA...!?」

 

女武闘家は広げた手をゆっくりと握りしめる。

シャーマンは宙に浮かび、首をおさえもがき苦しみ始めた。

彼女は何をして・・・いや 考えるのは後だ。今は目の前の小鬼を仕留める。

ゴブリンスレイヤーは思考を切り替え、まずは眼前で静止した魔法の射線から飛び退く。

すかさず、空に浮かんだシャーマンの胴体目掛けてナイフを投擲した。

 

「GI・・・ッ!??」

 

痛みに声を上げようとしたシャーマンだったが、なにかに喉を締め上げられて声が出ない。

 

ごきり

 

その後すぐ、骨が折れる音が響き宙に浮かんだままシャーマンは腕をだらりと下げ脱力した。

ゴブリンスレイヤーは女武闘家の方に再び目を向ける。

彼女は手を完全に握りしめていた。

「これで、19。」

「・・・・・・全、員・・・よ・・・」

女武闘家はそこで力尽きたのか掲げた手から力が抜け、地面に再び倒れ伏した。

その直後だった。シャーマンが地面に落ち、ドン、と轟音が響いたのは

「きゃっ!?」

神官は思わず耳をふさいでうずくまる

シャーマンの放った魔法が動き出し、神官のすぐ近くにあった岩石を粉砕した。

魔法が動き出したのは女武闘家が気を失ったからだろう。

そう。今ので確信に至った

 

「全て、こいつがやったのか」

 

洞穴にいたゴブリンはこの女武闘家が仕留めたのだ。

見張りのゴブリンの首をひねり、締め上げ、剛力で五臓六腑を弾き飛ばし

無数のゴブリンを壁にたたきつけ、仕留めた人物。

しかしシャーマンとチャンピオンを前に力尽き、今目の前でその二つを仕留めた。

・・・自分たちの手助けもあったとはいえ、ほぼ独力で、だ。

 

「武闘家さん・・・」

 

女神官は気を失った武闘家に駆け寄り、様子を確認する。

その肢体にはまだゴブリンの汚液がこびりついていた。

顔から血を流して返り血も浴びており、全身含めて、背中に取り分けひどい打撲根もある。

 

「一体、あなたに何が起きたんですか・・・?」

 

女神官はかつての仲間にそう言うしかなかった。

あの力はどこで身に着けたのか、故郷に戻って、その後どうしていたのか。

そして何より

 

ゴブリンに向けられたあの身の凍り付くような殺気と憎悪が

かつて自分を身を挺して逃がしてくれた人から発せられたとは、とても信じられなかった。

 

 

 

こうして幕は開かれる。

 

遠い昔、遥か彼方の銀河から、四方世界に白羽の矢を立てた騎士(ジェダイ)暗黒卿(シス)たちの

 

フォースに導かれた女武闘家の、復讐の物語。

 




ここまで読んでいただき感謝の言葉もありません
続きはいつになるか期待はしないでください

遅筆且つプロットも最後まで書きあげていないので、あげるとしたらかなり後になると思います。
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