Another Beats!   作:影幻

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初めての読者様は初めまして、知っている読者様はお久しぶりです、幻影です。
幻影という名前にしようと思ったのですが、何故か出来ず反転させた名前で登録させて頂きました。

試験投稿と言いますか……、何と言いますか、投稿します。現在、スランプ中です。


第1話

「………?…私は…確か…………」

 

突然に目が覚めたらどういうことだろうか、石の階段に座っていて時間は大体夕暮れからして6時位であろう。

自分の両手を握り、開いたり、肩を回してみた。何とも無く、調子が良い。

何より自分は何故、制服を着ていたのか理解する事が出来ない以前に理解出来ない事実がある。

 

 

「…死んだ……んじゃ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Another Beats!

 

 

 

 

 

 

 

確かに死んだ。

死に方は自殺、他殺、銃殺、それぞれある。この少女は違う。単なる事故。頭に謎のとてつもない衝撃が襲い、赤黒い血溜まりが出来、段々と意識が遠のいていくのを感じ自分でも解る程心臓が弱まり止まったのを認識出来た。

 

「一体……?それに…肩が…治ってる?一度壊したら戻らないって……」

 

「よ…また新しいヤツが来たか……」

 

「?」

 

振り返ると詰め襟の制服を着た男が立っていた。

 

「……君は?」

 

「俺か?…俺は生徒会長。唐突に言うと、ここに来たと言う事はお前は死んだ」

 

「…やっぱり…死んだんだ私……」

 

「珍しいな自分が死んだって事を認めて大人しくしてるヤツ。大抵は喚いて死んだってこと証明しろよ、ってさ。お前みたいに大人しいヤツが来て良かったよ」

 

「大抵?私の他に来た人が居るってこと?」

 

「察しが良いな。そうだ、お前の他にいっぱい来ていた」

 

「いた…?」

 

「ああ、この世界からみんな去れた」

 

「去れた……?」

 

「みんな満足して去った。『満足して去る』、これがここの、死後の世界の条件。中には難しいヤツも居てな………」

 

「?」

 

「ここは死ねない世界であり、魂の休息場所だ。五感もしっかりあって生きていた時と変わらない。眠い時は睡眠も取れる、食べたいと――」

 

『キュー……』

 

少女が顔を生徒会長から背けた。それでもお腹が空いたという事には変わりはない。

 

「何か食うか?俺が奢るぞ」

 

「ひゃ……ひゃい…」

 

立ち上がり生徒会長の背中を追いかける。

改めて周りを見渡すと、グラウンドから向こう全てが森になっておりこれ以上行けないようにしているみたいだ。

そして何より建て替えたような校舎、まるで大学をそのまま移しているみたいだった。

 

「?どうした」

 

「……あ、ごめんね」

 

見とれていていつの間にか足を止めていた少女は生徒会長に声を掛けられるまで分からなかった。

再び、背中を追いかける。

 

「ところで、私って何でこの世界に来たの?」

 

「ここは青春を送れなかったヤツがここに来る。お前も未練があってここに来たんだろう?」

 

「そうなんだ……(私の未練……か)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

驚いた事はまず一つ、自分が死んだと言う事。

二つ目は、食堂に入りこんなにも人が死んだのかと言う事。それからこれでもか、と言う程食堂のでかさで、全生徒が入ってもまだまだ余裕で入りそうだ。

 

「説明し忘れたんだけどさ、必ずしも全員が死人じゃあないんだ」

 

「え?」

 

「“NPC”だ」

 

「えぬピーしー?何それ?会長さんが付けたの?」

 

「前にここに居た仲間が付けたんだ。通称『Non Player Character』、略して“NPC”。そいつらは初めから居て、感情も無くエキストラみたいな存在だ。話し掛ければ会話も成立するし、仲良くなれる」

 

「へー……」

 

少女は感心し、列になっている券売機に生徒会長と一緒に並ぶ。

 

「何かしらあの会長と一緒に仲良く話している子?」

 

「もしかして会長の彼女?もー、あたし会長狙っていたのに……」

 

そこら辺でNPCの女子がひそひそ話をしているみたいだが、生徒会長と少女の耳にしっかりと届いていた。

 

「本当にNPCって感情無いの?」

 

「まあ否定は出来ないが、人並みにある」

 

「モテモテですなー会長さん」

 

「そんな事は無い。それよりどれ食べるんだ?」

 

いつの間にか空いていたタッチパネル式の券売機を人指し指で操作をすると、あるものに目が止まった。それは生徒会長が選んだ麻婆豆腐だ。

 

「あ、私これ」

 

「お前、チャレンジャーだな。ホントにこれで良いのか?」

 

「そうやってさ、自分のお気に入りの食べ物を相手に取られたくないからってそんな事言って会長さん。食い意地悪いよー」

 

「後悔したって知らないぞ……お前…」

 

聞き分けの悪い少女のワガママに答え、仕方無しに注文し券を取る。

券を受付に出し数分後位にはもう出来上がり、麻婆豆腐を手に取る。

まず、第一の感想はこんなもの頼まなければ良かったと思ったこと。何故ならこんな禍々しい真っ赤な麻婆豆腐を見たことないからだ。

 

「会長さん、私のと代えて……って、おなじ食べ物だから仕方無いか…………」

 

「だから言ったろ?」

 

丁度、運が良く席が二つ空いていた。

二人は向かい合う様な形で座り、生徒会長が麻婆豆腐に手を付けた。

レンゲで掬(すく)われる真っ赤な麻婆豆腐。そして、難なく食べ飲み込み、また食べ飲み込む。その姿を見るからに少女は空腹のせいか滅茶(めっちゃ)美味しそうな気がしてきた。

 

(我慢できぬぅ!)

 

レンゲがいっぱいになる程に麻婆豆腐を掬い、勢い良く口に入れ、噛んだ瞬間――――

 

「ほぅああああっっっっ!!!!!」

 

周りが驚いているのに対し生徒会長は微動だにせず麻婆豆腐をレンゲで口に運び続けている。

 

「きゃりゃい!!きゃりゃいよーーーーー!!!」

 

生徒会長は呆れ顔になり、少女を見る。

 

「だから言ったのにな……」

 

「ぁ………でも、にゃんだろ……この優しく包み込んでくるこの旨み……¢¥$*★☆∋※(おいしい)よ」

 

「後半何言ってんだか……」

 

少女の姿を見て、最初は自分はこんな感じだったな、と懐かしんだ。

 

「※¥$*☆∋◎●〓〒〓▲едЮ(あ、私の住む所ってあるの)?」

 

「はい、水飲むか?」

 

こんな事もあろうかと予め多めに用意していた水を少女に提供した。女の子のたしなみだからだろうか、一つずつ水が入っているコップを両手でがっしり取り次々に飲んでいく。コップの中身を空にし続けて数分後、60杯目を飲んだ所でようやく声を出す。

 

「ぷはぁ……あ、で私のしゅみゅ所ってありゅ?」

 

「舌が回ってないぞ。職員室に行って聞いてくると良い。それから先生に頼めば奨学金を出してくれるから食事には困らないだろう」

 

「御丁にょいにありゃがとう。これからどうしゅっば良いきゃにゃ?」

 

わざとらしくネコ語を使っている訳ではない。辛すぎて舌が麻痺していて尚且つ、感覚が無いのだ。

 

「そうだな……お前がしたいようにすれば良い。かと言って殺人は駄目だからな」

 

「私はしょんにゃことしにゃいよ!」

 

「冗談冗談。あっはっはっは」

 

生徒会長はいつの間にか麻婆豆腐が綺麗に無くなっている皿をお盆の上に乗っけ立ち上がる。

 

「後はお前次第だ。何か迷うような事があったら生徒会室に来い。俺はそこで待っているから」

 

唇を絵の具の赤で塗り潰した様に腫らした少女を置いて皿を片付けに行ってしまった。

ここで問題がある。

 

「これ……どうしょう…」

 

麻婆豆腐。

職員室は何処にあるのか。かと言ってNPCに聞くのも少し抵抗感がある。

 

「麻婆豆腐食べないのか?」

 

「ひゃあ!?」

 

瞬間移動でもしたのか、生徒会長は後ろに現れた。

 

「驚かせて悪い。で、どうする、違うもの食べるか?俺がその麻婆豆腐を食べてやるよ」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて……って会長さん、辛いもの好きなの?」

 

驚かされたせいか、舌の麻痺状態がやっと切れた。

 

「いや、もう慣れた。それに、アイツとの思い出の食べ物だからな……」

 

最後に言ったことは残念ながら聞こえはしなかったが、代わりに表情が暗くなったようなのは気のせいかもしれない。

少女に900円程手渡すと、席に着いた。

 

「どうせお前のことだ職員室に行こうにも行けなく、場所をNPCに聞くのも嫌だったんだろう?」

 

「う…うん」

 

こうして少女の短い夕方(よる)は終わったのだった。

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