Another Beats!   作:影幻

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使いやすいですね、ハーメルン。ここで浮気し(書き)たいです。


第2話

目覚めの良い朝だった。

ベッドはフカフカで、良く眠れて何の抵抗も無く起きれた。何よりも良かったのは一人部屋だったと言う事。やはり一人の方が落ち着き、人間の様で人間ではない『NPC』と一緒に住むという事態を避けられたのも良かった。

 

「死んだ後の世界にも朝があるんだ……」

 

現世と何ら変わらない世界。ただ変わっているのは死人の魂が数十(生徒会長によって卒業)位とその他、大半を『NPC』が占めているだけ。

少女はパジャマを脱ぐと、この世界に来た時から着ていた制服に着替える。

 

「ここの世界にもうちょっと小さい制服ないのかな?パジャマも少し大きいし……この制服もブレザーとブラウスで手が隠れちゃうし………」

 

制服が大き過ぎる為、仕方無くブレザーを着ずにブラウスの袖を丁度良い長さまでに折る。

そして、生徒会長が言っていたそのやりたい事をやる為に部屋を出た。

誰一人と居ない廊下はとても綺麗で用務員さんが掃除を念入りに行っているみたいだ。

その廊下を歩きながら少女は昔のことを思い出していた。

あの頃はとても楽しかった―――と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽に向かって咲いているひまわりは何と言うかたくましい、そんな事を思って生徒会長は花壇を手入れしていた。ここ、何年間かやってきて手がもう勝手に動いている。

草むしり、虫の駆除、水やりやら大変だがそれが楽しかった。

 

(きっと、こういう気持ちでやってきたんだな………)

 

ある程度ひまわりが咲き、何ヵ月かに一度は採って生徒会室に花瓶に飾るのが日課になった。それは前生徒会長の影響だろう。

 

「おやおや、かいちょーさん奇遇だね、こんな所で会うなんて」

 

気楽な声を掛けられ振り向くと、そこには昨日の少女が立っていた。

恐らく、この世界の探検ついでにここに来たのだろう。

 

「お前、授業はどした?」

 

「ん~サボタージュした」

 

「ちゃんと授業出ろよ……」

 

「そういう会長さんだってサボって人のこと言えないよ?生徒会長がサボっちゃって、生徒のお手本だよ?」

 

「俺は特別。そういうに世界に認められているし、俺の能力でもある。凄いだろ」

 

「へー、嘘っぱちだー。こんな世界に能力だーとかないでしょ」

 

「じゃあ、聞くが何故俺はお前を見付けられたと思う?」

 

そう言うと花壇の柵に座る。柵はレンガで積み上げられ、高さは低く座り心地はあまり良くない。

 

「?簡単だよ、たまたまだよ。偶然偶然、でしょ?」

 

「生徒があんなに居てか?大半は『NPC』だぞ。ましてや死んでここに来たヤツかどうか解らないんだぞ」

 

そう。

かつて居た仲間も『NPC』と思われていたが少女と同じく未練を抱いてここに来ていた。だが、それは偶然であり生徒会長の親友が発見しなければその仲間は卒業出来なかっただろう。

 

「んー……聞くけどさ、どうやって私を見付けたの?」

 

「『Angel Player』」

 

「はい?」

 

英語はメッキリ苦手な少女はもう一回聴く。

 

「『Angel Player』、それはこの世界を思うがままに出来るシステムだ。俺はそれを使って先生や生徒に俺が授業に出なくても良いように改変させた。ここに来たヤツらを早く見付ける為にも、俺自身にもプログラミングした」

 

「つまり……ここの世界ってゲーム!?誰がこんな事を!?」

 

「否定出来なくも無い。この世界に居る限り歳も取らないし、死にはしない。だが誰が、何の為にこんな事をしている?その説明が付かないし、黒い玉に呼び寄せられたワケでも無い」

 

「だとしたら……この世界は一体?」

 

「“神”」

 

「!」

 

「この世界での出来事、不可解な事態を何でも、万能的に全て“神”のせいに出来る。だが、それも違うんだ」

 

「ますます難しくなってきたね……」

 

「俺の仲間もその見えない“神”に抗ってきた。そしてその神の使いである、『天使』とも戦ってきた。だけどその『天使』も俺達と同じで、俺達と変わりはない『人』だったんだ」

 

「……解んないよー…」

 

「要約すると、この世界には“神、仏、天使なんてものは存在しない”と言う事だ。その天使は不器用でな、皆の誤解で長い間戦ってきたんだ」

 

「その天使は今どこ?」

 

「この世界から卒業した」

 

生徒会長は左ポケットに手を入れると、缶珈琲を取り出す。

プルタブを開け、中の珈琲を一口飲む。

 

「えーと……何だっけ?エンジェルプレイヤー?」

 

「ああ。どうかしたか?」

 

「うん。自分で自分をプログラミングしたんだよね?」

 

「まあ…」

 

「会長さんって機械で出来てるの?」

 

「面白い事を言うな……。機械じゃないが俺はお前と同じだけど、一つだけ違う所がある」

 

缶珈琲を手で揺すり、また一口飲む。

 

「何?」

 

「心臓が無い」

 

「は?」

 

「俺の心臓は、その『天使』に持って逝かれたってこと。心も」

 

「…………」

 

少女はどんなに頭を使っても解らなかった。

この世界は何の為にあるのか、

この生徒会長はどんな闘いをしてきたのか、

その仲間をどうやって卒業させたのか、

『天使』とは、『神』とは何なのか、

何故、生徒会長に心臓が無いのか。

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