Another Beats!   作:影幻

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第4話

少女には一度やってみたいことがあった。

まず一つは、授業に出ない事。

二つ目は叶わなかったが、会長の言葉に満足した為、良しとした。

 

「お前はお前……か」

 

学習棟の屋上の柵に小さい右手をかけ、空いている左手でサンドイッチを頬張りながら景色を見ていた。

相変わらず綺麗だ。ここには工場の煙や排気ガスが無い分、空気が澄んでいる。仕組まれている世界でも生物は居る。生きている。NPCは感情を持っていないと言っていたが、人並みにはあると言う生徒会長、少女が頭で理解するには少し難しい。

 

「ふはぁ………あーあ……」

 

自然と溜め息が出た。

綺麗は綺麗だが、飽きてしまう。サンドイッチも食べた事だし、暇になり何もすることが無くなってしまった。

すると、屋上の入り口が開いた。

 

「またお前か……」

 

「会長さんと縁があるみたいだね」

 

生徒会長が額に手を当てて呆れる。

ここ数日間、ずっと少女に会っている。

 

「はー……あ、それでその『Angel Player』なんだが――」

 

「もう良いよ会長さん。会長さんの一言で何か気が楽になってきたよ」

 

「そうなのか?それだったら…もう、良いのか?思い残すことは――」

 

「私は早々卒業出来ないよ?まだやること一杯あるし」

 

「そうか。で、やりたい事は何だ?」

 

「じゃあ、この制服」

 

即答だった。

改めて少女を見ると確かに違和感があった。身長に合わないブラウスにスカート。最早、小さい子どもが父親のブレザーを着て遊んでいる様なものだ。非常に合っていない。

 

「それで卒業出来るか?」

 

「ううん」

 

「そっか……。分かった、まずは目の前の事から片付けていこうか」

 

「うん」

 

笑顔で少女が答えると、生徒会長が付いて来い、と言い少女はその背中に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付いて行き、着いた所は何故か校長室。

 

「こーちょー室?」

 

「ああ、まあ入れ。特別だ」

 

ドアを開けるとそこにはソファー、机、当たり前だが、物が散乱している。

犬の人形、少女には解らない斧の柄がかなり長い武器、パソコン、何かの機械、何かの缶が積み上げられている。

そして、校章の真ん中にはでかく『SSS』と書かれている旗があった。

 

「ここは?」

 

「俺達、仲間の前線基地『SSS』。“死んだ世界戦線”だ」

 

「なんか……スゴいね…。あれ?ここ、校長室だよね?校長先生は?」

 

普通なら校長室は校長先生が居る。

だが、それが普通“なら”。

 

「悪いが校長室に校長先生には入れなくしている。『Angel Player』を使ってな」

 

この世界を思い通りにすることが出来るマテリアル、『Angel Plaer』。生徒会長はプログラミングし、NPCにも入室させることを出来なくさせたのだ。

 

「そのえんじぇるぷれいやーって凄いんだね……」

 

「まあな。……話は変わるが、お前の身長は?」

 

「えーっと……140……位かな?」

 

少女は自分の身体をぺたぺたと触り答えた。

生徒会長は部屋へ入ってすぐ右の少し新しいタンスに行き、開くとそこにはずらりと自分が着ている制服とは違うものが並んでいた。

この学園の制服とは大違いだ。

 

「それは?」

 

「余りだ。……えーっと………あった。アイツら……ここまで作っていたなんてな………」

 

生徒会長が手に取った制服はセーラー服みたいで、デザインが派手過ぎず、地味過ぎず、丁度良い。

 

「こんなの着て良いの?先生達が怒ったりしないの?」

 

「まあ、大丈夫だ、気にする事は無い。俺は部屋を出る。着替え終わったら教えてくれ」

 

そう言い残すと校長室を出ていき、ドアを閉めた。生徒会長を待たせる訳にはいかないと思い、すぐに今着ている制服を脱ぎ、手渡されたセーラー服を着る。

着心地が良かった。それから丈も丁度良い。

着てみてまず、目に止まったのが旗と同じ腕章。

『SSS』と大きく書かれたその下辺り、英語は解らない少女は、その英文を残念ながら日本語に翻訳することが出来なかった。

ただ、一つだけ訳せるのは、『god』、“神”と。

 

「着替えたよー会長さん」

 

「随分と早いな……似合ってるぞ」

 

その言葉には嘘なんていうものは一切無い、そう少女は思った。

なんか、いつもより悲しい瞳(め)――――

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