蒼兎が隠れながら学校の中へ入り、廊下で目的の教室の前まで来ると話し声が聞こえる。既に誰かいるようだった。ドアを少し開けて中を確認するとここの学校の制服を着た男子生徒と紫のドレスと鎧が合わさったような格好の少女がいた。
蒼兎は2人の素性を知っていた。男子生徒の方は五河士道。都立来禅高校二年四組の少年でありこの世界の主要人物、主人公である。心を開いた精霊の力を口づけすることで封印する能力を知らぬ間に有していた。
現在はその能力を使うために相対している精霊と会話し心を開いてくれるようにしている。順調に話は進み精霊は士道に自身の名前を名付けてくれと言う。
士道は精霊に十香と名付け2人は会話を続けた。しばらく経つと精霊の存在を感知したASTが現れる。十香は攻撃してくるASTからバリアを貼り士道と会話を続けようとする。
しかし蒼兎の時と同じように銀髪の少女が急接近してきた。銀髪の少女 鳶一折紙はレーザーブレードで切りかかる。十香は大剣で防ぎ互いに距離が開く。
精霊は空間震の原因であるとされているが精霊自体も高い戦闘能力を有している。十香は自身の半身である大剣を用いて切りかかる折紙の斬撃を防ぐ。
しかし士道がいることに驚き気を取られてしまう。十香はその内に消えてしまい。ASTも撤退していくようである。折紙がAST隊員であることに驚く士道だが、折紙にこのことは秘密にしておいて欲しいと言われ、折紙も撤退していった。
ことの顛末を見届けた蒼兎はその場を離れ、転生者が現れなかったことに安堵と疑問を抱く。
「(原作を知ってるクソッタレ転生者なら十香は俺のものだとか行って割り込んでくるものだと踏んでいたが……現れないとなると今回は来ないのか?)」
転生者か来ないことを不審に思いつつも士道と十香の次の接触の際に現れる可能性も危惧して蒼兎はその日までこの世界にいる転生者を探ることに注力した。
翌日、士道と十香の接触のその日まで転生者を探ると考えていながら2人の接触は思ったよりも早く来ていた。
「(会って翌日なんだけど……全然転生者のこと調べてないんだけど……。)」
そんなことを考えつつ、蒼兎は2人の様子を見ている。十香が現れる際、空間震が発生していたがこの日は何も起こらずに出現した。さらにそこへ士道も現れる。2人は何かを話し合っており十香の紫のドレスのような鎧であった姿は士道の学校の女子制服に変わる。
「(あれ楽でいいなぁ……。)」
2人は街の方へと向かっていった。その後、2人の様子を見ていたが特に何も無く十香が現代の食べ物を堪能しているだけだった。
「(何も起こらない?転生者はこの世界にいないのか?)」
「そこの貴女」
唐突に声をかけられた蒼兎は後ろに振り返る。そこにいたのはASTの隊員、鳶一折紙だった。
「(ちょくちょく影が見えてたけど気づいてたのか……ていうか忘れてた。)」
「なんで士道をつけていたの、精霊である貴女が……?」
「精霊?なんのことです?」
「とぼけないで!」
十香の戦った際のレーザーブレードよりも刀身が短いレーザーナイフを突きつけてくる。服装は普段着なため緊急時のための装備であることが伺える。
「そんなものを突きつけて、一体なんなんですか?」
「やっぱり、貴女は精霊。こんなものを突きつけられて動揺しないはずがない。」
「………。」
「………。」
しばらく無言でいると折紙は耳につけている無線機から何かを聞いている。
「はい、了解しました……。」
「急用ができたから今ここでは見逃すけど、次は逃がさない。」
そういってどこかへ立ち去ってしまう。今の自分が完全にストーカーであること、そしてそんなつもりは無いと思っていても言い訳にしか聞こえないことに項垂れつつも2人の後をつけていった。
日が落ち始めた頃、2人は公園で夕日を眺めていた。クレーンゲームで彼女が初めてこの世で食べたきなこパンのぬいぐるみを抱えながら2人は話し合っている。
「(なんの音沙汰もなし……どうしたもんかな。)」
そこへ突然、士道が十香を押し退けた。突然の行為に怒る十香だが士道の体は穴ができ、そして倒れた。誰かに狙撃されたと理解した時、顔を俯けた。
「士道がいてくれたらもしかしたらと思った。でもだめだった、世界は私を否定した!!」
震える声でそう言って紫のドレスのような鎧を展開し、周辺に斬撃を飛ばしていった。辺り一面を破壊し狙撃手であるAST隊員を見つける。狙撃手だったのは折紙だった。
「そこか!!」
怒号を飛ばし、大剣が収納されていた玉座が細分化され大剣と一体化した。遠くから見ても明らかに膨大なエネルギーを帯びているそれは、狙撃手である折紙に向けられようとしていた。
折紙は近くにいたASTの隊長である人物に避難を促しているが士道を狙撃してしまったショックで全く動けない。
「(アレどうするんだ……?)」
エネルギーが放たれようとしたその時、士道が上から降ってきた。それを受け止めた十香は訳が分からず困惑していた。
「シドー!?」
訳が分からないままの十香に士道は先程の十香の言葉に対して答えた。
「他の奴らがお前を否定するなら俺はそれよりずっと強くお前を肯定する!!」
その言葉に十香は涙を浮かべる。しかし臨界状態に突入している自身の剣はもう制御が効かないようだった。
「十香!これを止めてくれ!」
「む、ムリだ!もう止めることはできない!」
「どうすれば……!?」
士道は耳に付けられた無線機から何か指示を受けて十香に提案する。
「十香、それを止められるかもしれない方法があるんだが……」
「本当か!?何をすればいい!?」
「えぇっと……キスをするんだが……!」
「キスとはなんだ!?」
「えっと……唇と唇を合わせるんだが……!」
「分かった!」
そう言った直後、2人は口づけをする。瞬間エネルギーは霧散し、十香の紫のドレスを思わせる鎧も消滅した。空を飛んでいた2人は中を浮くように着地し、裸になってしまった十香に対し士道は自身の上着を着せた。
「(なるほど……アレが封印か……。)」
そんな2人に対して近づいてくる。人影が現れた。
「いやぁ、士道くん。お見事お見事、凄いね封印、てかホントにキスして封印するのかぁ!」
「君は……?」
士道よりも幼く見えるその少年は2人に対して拍手を送りながら近づく。へたり込む十香と膝をつく士道に近づいてやがてしゃがんで2人と同じ目線になる。
「いやぁ士道くん、ありがとう、封印してくれて……おかげでボクは……君から力を抽出できる。」
赤い銃口と紫のチェーンソーが付いたゲームパッド、そのパッドの赤い銃口がついた方を士道の肩に当て、何かを吸い出していく。
「う、ぐぁあ!!」
「シドー!?」
全てを吸い出したのか少年は2人から下がってパッドに表示された画面を見て満足そうに頷く。
「うんうん、君が封印した後に能力を抽出しなくちゃいけないのが厄介だけど、まぁデータが得られるならなんでもいいや!」
「そういう事でしたか。」
少年の目的を聞き出したところで蒼兎が現れる。
「……だれ?」
「転生省特典犯罪制圧課、白神蒼兎です。この世界を乱す貴方の特典と魂を回収します。」
「えぇ……今更来たの?」
「なんですって?」
「もう既に滅ぼした世界なんていくつもあるのに、今更この世界でボクを殺そうっての?遅すぎだよ。」
そう言って少年はゲームパッドの銃口を地面に向けてオレンジの粒子を放つ。
「ボクはこの精霊のデータを早く見てみたいからコイツの相手でもしてて!」
そう言って放たれたオレンジの粒子は徐々に人の形を形成していき真っ黒な鎧に身を包んだ黒い仮面を顔につけている金髪の騎士だった。鎧と同じく真っ黒に染った剣を携えている。
「セイバーオルタ、やっちゃって。」
少年の指示を受けたセイバーオルタは無言で剣を構えて蒼兎へ向かってきた。
今回まで出てきたSCIP達の能力解説NO.3
SCP-143 刃桜
外見はソメイヨシノに似通っているがこのSCIPの異常性は花弁である。花弁は淡紅色でなめらかなガラスの質感を持っており、縁はかみそりのように鋭く、取り扱いを誤れば容易に肉を切り裂く。仮面ライダーSCIPは周辺に1~3本の143を発生させ、風を巻き起こし相手に花弁を送り付ける。
SCP-2501
人間の手と前腕に適合するように設計された機械的なガントレットでその異常性は、使用者がソケットに腕を挿入し内部から鉤爪状機構を駆動させた時に発生する。使用者の顔の前に保持されている間、SCP-2501は鉤爪状機構の動きに連動して使用者の視界内の物体に極度の圧力を加えることができる。仮面ライダーSCIPは自身の左腕に軽量化、簡略化されたSCP-2501を装着し、選んだ対象に一定の圧力を加える能力を与える。
次に行く世界がラストです。
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この素晴らしい世界に祝福を!
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異世界はスマートフォンとともに
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