仮面ライダーSCIP   作:蒼かえる

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報告書3-6 降臨

「そっかぁ、じゃあその便利そうな力も根こそぎ貰おうかな!」

 

『ギュ・イーン!』

 

バグスター転生者はバグヴァイザーをチェーンソーモードに切り替えて突撃してくる。蒼兎の持つシンボルブレードにはまだウォッチから放出されたエネルギーを纏っている。一撃でもその斬撃を喰らえばバグスターでもただでは済まない。

 

カウンターを決めるつもりで突撃してくるバグスター転生者に構えていた蒼兎だが2人の間に割って入るように銃撃の嵐が起きた。即座に2人はその場から後退し撃ってきた相手を目線で追う。上空にはASTの隊員達がレーザー銃を構えた状態で滞空していた。

 

追撃で更に銃撃が2人の間で起こるが蒼兎はブレードを振り上げて纏ったエネルギーで相殺する。バグスター転生者は自身をデータ化して転移することで回避した。

 

「おっと、邪魔が入ったみたいだ。」

 

蒼兎はシンボルブレードにまだ残っているエネルギーを斬撃としてASTに向けて放出して距離を取らせる。

 

「この程度の横槍があるだけで撤退するつもりですか?」

 

蒼兎はバグスター転生者を逃がすつもりは全くなくブレードを相手に向けて構える。

 

「このまま続けるにはちょっと戦力不足かな、悪いけど今日のところはお開きにしよう。大丈夫、次会う時には全力を出すからさ?」

 

蒼兎は上空と目の前の獲物を交互に見てどうするか考える。

 

「(今ここで仕留めればこの世界での使命は終わって次の世界に行ける。この世界にいる面倒な住人を相手しなくて済むんだが……相手の方は既に撤退する気だし、ASTの相手をしながら戦うのも不可能ではないが正直なところ面倒だな……)」

 

「(……だが面倒なだけだ)」

 

「貴方は罪を犯した転生者です、見逃す訳には行きません、今ここで殺します。」

 

「んふふ、じゃあしょうがないね……!」

 

バグヴァイザーの銃口を空高く向けてバクスターウィルスを放出する。ウィルス達は集まっていき巨大な人型を形成していく。現れたのは頭のない目の付いた胴体、両腕らしきリボルバー式の巨大な大砲が付いた巨人『バクスターユニオン』だった。

 

召喚した当人は空間転移でこの場を去ってしまったようで、蒼兎もそれを探すために動きたいもののこの場に残ったバグスターユニオンを放っておくことはできないため、ASTの相手をしながらもユニオンを倒すために動き出す。

 

「(面倒な相手を残していきやがって……!)」

 

巨大な大砲を蒼兎に向けて放つユニオン。蒼兎はシンボルブレードで巨大な球を両断し直撃を防ぐ。ドライバーのレバーを開閉させて足へエネルギーを溜めて纏う。

 

『ビヨンドザタイム!』

『SCIPエクスプロージョン!』

 

今まではブレードと足などでエネルギーを分散させて使っていた必殺技を今度は全て足に向ける。バクスターユニオンも大砲は無駄と判断したのか蒼兎に向かって突貫していく。

 

蒼兎もユニオンへ向けて走り出し、互いに距離を詰めていく。ユニオンは腕に当たる大砲を突き出す。

 

蒼兎はジャンプと同時に突き出された大砲を足場にして更に跳躍する。重力に従って落下し、足を突き出してライダーキックを放つ。

 

防御の姿勢をとるが一瞬の拮抗もなくユニオンの腕は砕ける。胴体をも蹴り抜かれ蒼兎が着地した瞬間に爆炎を上げて消滅した。

 

しかし蒼兎には次の問題が待っていた。空間転移や瞬間移動といった技を使えない状況の蒼兎はASTを撒く必要があった。既に何度もやってきたことだが手間取ることは変わりなかった。

 

 

 

 

 

「ふぅ……。」

 

30分程かけてASTからの追跡を逃れた蒼兎は次の戦いがこの世界で最後になると考えていた。

 

「(奴は次合う時は全力を出すと言っていた、こちらも何かしら策を考えるか……。)」

 

その言葉から数週間の時が経ったが、その間は蒼兎もバクスターの転生者も両者全く動きは無かった。不自然な静けさにASTもラタトスクも混乱を極めていた。

 

特にラタトスクはその間に『時崎 狂三(ときさき くるみ)』通称ナイトメアと呼ばれる精霊が士道の学校に転校してきた際にかなりの一悶着がありその影響で士道の妹である琴里が精霊イフリートの力を持った人間であることが分かってしまった。

 

更にイフリートの力を琴里が使えば制御できなくなるという。ナイトメアとの一悶着の際に暴走してしまった琴里の力を封印するために士道は義理の妹ではあるが、封印のためにデートすることになった。

 

現在の蒼兎は士道と琴里の遊園地デートを見守りつつ、周辺にバグスターがいないか探していた。

 

「(外面が明らかにストーカーのそれなんだよな……もし他人に見られたら誤解されそうだ……実際もうされてるが。)」

 

突如、状況は一変した。2人のデート中に琴里が精霊だと知った鳶一折紙がASTの強力な試作装備を持ち出して攻撃を仕掛けてきた。

 

ミサイル、エネルギー弾、攻撃の数々がデート中であった2人と遊園地に来ていた客達を見境なく襲う。しかしその攻撃は突如現れたバグスターユニオンの出現によって阻まれた。

 

「アハッ!間一髪だったなぁ!」

 

そんなことを言いつつ危機感を感じているようには全く見えない様子で現れたのはバグスター転生者であった。

 

「ほら、五河士道?さっさと封印しちゃいなよ、あの女の子の攻撃は止まらないぜ?」

 

「なっ、何言ってるんだ!?」

 

悪魔の囁きのように唆す転生者。しかし転生者が言っているように鳶一折紙の攻撃は止まらない。それでも士道は無理やり自身の妹に封印のためのキスを行うことが出来なかった。

 

「おいおい、俺は親切で言ってやってるのに……悲しいなぁ?」

 

そう言って腕に取り付けたバグヴァイザーの銃口を2人に向ける。

 

「まぁいいよ、気絶させて2人から無理やり取るから」

 

士道が琴里を庇い転生者が行動しようとした直後に士道達とバグスター転生者の間にエネルギー弾が通り過ぎる。

 

「そろそろやめにしましょうか?」

 

SCIPマグナムを向けたまま向かってくる蒼兎。その様子をいい加減飽きたと言うような表情を浮かべるバグスター転生者。

 

「相変わらず最悪のタイミングで来るね、転生者狩りさん?」

 

「貴方を消すためですよ。観念してください。」

 

「はぁぁー……何回も消す消すって!聞き飽きたんだよ!」

 

「私もいい加減、仕事を終わらせたいです」

 

蒼兎はビヨンドライバーを腰に装着し、SCIPミライドウォッチを起動する。流れるように装着したドライバーにウォッチを取り付ける。

 

『SCIP!』

『アクション!』

 

ウォッチのカバーを開き蒼兎の背後に浮かぶ電子時計と光の線がバグヴァイザーから放たれたエネルギー弾を防ぐ。

 

「変身」

 

『投影!』

『フューチャータイム!』

『確保!収容!保護!』

『仮面ライダーSCIP!SCIP!』

 

全身を光が包み、変身を完了させた蒼兎はSCIPマグナムとシンボルブレードを両手に持ち、バグスター転生者と対峙する。

 

「いい加減、ボクも君の相手をするのはうんざりだよ……。」

 

「でも実はいい機会だとも思ってるんだ。ボクの進化後の実験台としてはさ!」

 

バグスター転生者はバグヴァイザーから大量のウィルスを撒き散らして蒼兎の周辺に黒いスーツを着た特徴的な頭を持った兵達を召喚した。

 

それぞれのバグスターの兵達が剣や銃、槍や斧などといった武器を有しており、立ち姿からもただの雑魚ではないと感じさせるものがあった。

 

蒼兎はSCIPマグナムにJPキーを装填して「120」を打ち込む。

 

『Euclid!』

 

マグナムのトリガーを引いて黒褐色のカニ型巨大生物を出現させる。2本のハサミを振り回し武器を持ったバグスター兵達を一斉に屠る。ただ動くだけでかなりの数を召喚されていた筈のバグスター兵達も、もう数体しか残っていない。

 

しかし蒼兎が対応するその間にバグスター転生者は既に目的を果たしていた。不敵な笑みを浮かべるバグスター転生者の足元には倒れた士道と琴里がいた。

 

バグスター兵達が倒されたことに気づくもバグスター転生者は不敵な笑みを崩さない。

 

「もう終わった?やっぱり雑魚じゃこんくらいだよね?」

 

「次は貴方ですよ」

 

マグナムをバグスター転生者に向けて遠慮なく撃つ蒼兎。バグスター転生者の方はバグヴァイザーから1体のバグスター兵を召喚してエネルギー弾を防いだ。

 

消えていく兵をバグヴァイザーで回収しながらもバグスター転生者は笑みを崩さない。まるで既に勝利をしていると誇っているような表情に蒼兎は違和感を抱き、バグスター転生者に問いかける。

 

「なにがそんなにおかしいのですか?」

 

「いやいや、この世界の精霊という存在に対するデータ採集が終わってね。ようやく俺は次のステージに進化ができるんだ。」

 

「そうなればもう、なにも恐れることは無い。」

 

そういってバグスター転生者はバグヴァイザーの銃口を自身の胸に突き刺しなんらかのデータを自身に出力した。

 

「グゥッ、ウゥゥッ!!」

 

出力している間にはバグスター転生者がもがき苦しみながらもバグヴァイザーの画面に様々な図面やキャラクターが表示され、それらは全てバグスター転生者へと出力された。

 

「ハァ…ハァ……ハハ!」

 

バグスター転生者が項垂れていた頭を上げてその手に表したのは蒼兎がISの世界で見たゲーマドライバーと1つのガシャットだった。

 

ガシャットはISの世界で最後に戦った転生者が持っていた内の1つと酷似していたが、色は金ではなく紫だった。

 

バグスター転生者はゲーマドライバーを装着し、その手に持っていた『ゴッドマキシマムマイティXガシャット』を起動する。

 

『ゴッドマキシマムマイティX!』

 

壮大な起動音と共にバグスター転生者の背後にゲームのスタート画面が表示され、周辺にゲームエリアを展開していく。

 

「レベルビリオン、変身」

『マキシマムガシャット!』

 

ガシャットをゲーマドライバーにセットしてピンク色のレバーを開く。

 

『ガッチャーン!』

『不ー滅ー!』

『最上級の神の才能!バグスター!バグルアップ!』

『最上級の神の才能!バグスター!バグルアップ!』

 

壮大な待機音と口上が繰り返し流れ、バグスター転生者の姿が代わり、ゲームスタート画面から巨大な顔が現れる。

 

バグスター転生者は黒を基調としたスーツに紫の軽量アーマーを身に纏う、ISの世界で見たエグゼイドと似て非なる戦士『仮面ライダーゲンム』に変身し、その頭上にある顔はゲンムの仮面と全く一緒だった。

 

バグスター転生者がドライバーにセットされたガシャットにあるゲンムの顔が造形されているスイッチを押し込み、壮大な待機音が止まる。

 

『ゴッドマキシマムX!』

 

ゆっくりと空中浮遊をしたゲンムは顔型の巨体に包まれ、そこから太い腕と足が飛び出し、顔型の巨大ロボアーマーに変形した。

 

少しエコーがかかった声でバグスター転生者は名乗り上げた。

 

「仮面ライダーゲンム……レベルビリオン……。」

次に行く世界がラストです。

  • この素晴らしい世界に祝福を!
  • 異世界はスマートフォンとともに
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