仮面ライダーゲンム レベルビリオンへ変身したバグスター転生者は腕を上げて掌を蒼兎へ向ける。その挙動だけで蒼兎の仮面ライダーSCIPの装甲にヒビを入れるほどの衝撃波を放った。
勢いよく吹っ飛んでいった蒼兎はジェットコースターのレールを支える支柱と何本も激突しながらようやく止まった。
仮面がヒビ割れ、胸アーマーは円のような窪みからヒビが入り、まるで弾丸を受け止めた強化ガラスのようであった。吹っ飛ばされた蒼兎の元にバグスター転生者が瞬間移動で現れる。
「おいおい、ボクを消すって息巻いてたあの頃の君はどこにいったのかな?」
蒼兎を持ち上げて顔を近づけるバグスター転生者。心底勝ち誇ったような声で蒼兎を投げ飛ばそうとしてSCIPマグナムを頭に向けられていることに気づく。
今更どんな攻撃も通用しないと考えていたバグスター転生者は余興のようなつもりでその攻撃を受けることにした。蒼兎の持つSCIPマグナムには「3001」の番号が入力されていた。
『Euclid!』
マグナムの引き金を引いてもエネルギー弾が撃ち出されることは無かった。代わりに起こったのはバグスター転生者を囲うように穴が現れた。
バグスター転生者を飲み込んだ穴はそのまま閉じるように消えた。蒼兎を掴んでいた巨大な腕ごと吸い込まれたため蒼兎は地面に倒れる。
「(くぅ……予想外だ……まさかゴッドマキシマムに変身するとはな……)」
「(クソッタレなあの空間に送った程度じゃ倒されねぇだろうが時間稼ぎにはなってくれよ……)」
バグスター転生者が居ないうちに蒼兎はSCIPマグナムであらゆる異常物品を召喚することにした。
先程穴の中へと消えたバグスター転生者がいた場所、空間から亀裂が走る。次第に亀裂は大きくなり黒い腕が亀裂を殴り壊した。
「ふぅ……なんとか戻って来れたよ!」
ため息をつきながら現れたのは巨大なロボアーマーを失ったバグスター転生者。
「まさかゴッドマキシマムのアーマーを失うことになるとは……まぁいいよ、いいインスピレーションになった!」
バグスター転生者が体験した空間は財団のある世界では人間が入れば語るも恐ろしい結末になる空間だった。財団世界においてヒューム値と呼ばれるものが存在する。ヒューム値の高いものは低いものを塗りつぶせる。
財団における現実改変の能力を持つ者はヒューム値が高いので現実世界を改変できる。蒼兎がバグスター転生者を送り込んだ空間はヒューム値が極度に低く、あまりに低すぎるため自身という現実が
バグスター転生者はアーマーを失う代わりに現実世界へ戻ってきた。目の前に広がる光景は本当に現実なのか疑う光景であった。
先程バグスター兵を屠った巨大な蟹。自身の顔を覆う人型をした化け物。ワニのような姿の、しかし明らかに普通の生物ではない爬虫類。不気味な顔をした石像。石棺に収められた20代後半の嫌らしい目つきで睨む悪魔のような顔の形の刺青がある男。
全てを蒼兎が召喚したのであろうSCPオブジェクト達。それはバグスター転生者の方を向き一斉に襲いだした。物理的な攻撃で反撃の暇なく攻撃を加えられていくバグスター転生者。
もはや誰が自身を攻撃しているのか分からない状態だった。
「ぐはっ!なんっ!だよこれ!!」
打撃、斬撃、その繰り返しはしかしバグスター転生者に対する決定打にはなり得なかった。しかし攻撃の手は増えていた。いつの間にか現れていたのはペストマスクを付けた人型の者とその周囲にいるゾンビ達。
他の化け物に巻き込まれながらもしかし、バグスター転生者の攻撃を始めた。段々と恐怖を感じ始めたバグスター転生者は掌を頭上に向けて、すぐに振り下ろした。その合図とともに空から大量の隕石が降り注ぐ。
バグスター転生者が変身する仮面ライダーゲンム、ゴッドマキシマムマイティXは自身が想像したゲームを即座に現実にすることができ、隕石を落とすこの現象もバグスター転生者が考えた独自のゲームの能力である。
しかし降り注ぐ隕石は、まるで外からの圧力を掛けられたようにして粉々にされた。
「なんで!?」
「ッ!?」
魑魅魍魎の攻撃の手が再開し、またもや攻撃を受けるバグスター転生者だがチラリと目撃した先には鉤爪のようなアーマーを装着した蒼兎が立っていた。
鉤爪の能力で隕石を圧縮して破壊した蒼兎はISの世界においてエグゼイドのムテキゲーマーにすら通じた最後の一手を打つ。SCIPマグナムに打ち込む数字は「106」。
「クソ!クソッ!」
バグスター転生者は恐怖のあまりに反撃に出ることが出来ない。目の前の化け物達にはどんな手も通用する気がしなかった。どんなに攻撃して倒したと思っても即座に再生して襲いかかってくる爬虫類。そして再生した状態でまた石棺から現れる異空間から剣を取り出す男。
どんなに攻撃を加えても一向に止まる気配のない顔を覆っていた人型の化け物と攻撃が通じている様子のない巨大な蟹。
比較的倒すことができるのにいくらでも湧いてくるゾンビを使役するペストマスクを付けた人型の医師。更に気づかない内に背後へと回り込み、普通の人間なら簡単に首の骨を折ることができる打撃を打ち込んでくる石像。
どれもこれもバグスター転生者の理解を超えた化け物だった。逃げ出したかったがしかしバグスター転生者はどこがで安心していた。このレベルビリオンとなった仮面ライダーゲンムを変身解除まで追い込むことができる存在はいないと。
追い詰められているが死にはしないとタカをくくっていたバグスター転生者。しかしその希望は打ち砕かれることとなった。足元から推しに縋り付くように現れたのは全身が腐敗した男の化け物。化け物の腰あたりにはワープホールのようなものが見られた。
しかしバグスター転生者はそんな分析をする余裕がなくなった。ゲーマドライバーに触れていた化け物。黒い粘液が付着しそこからゲーマドライバーはどんどんと腐食して言った。
「ッ!!?」
すぐに化け物を振り払い、蹴り飛ばす。しかしドライバーの腐食はどんどんと進行する。バグスター転生者の焦りは止まらなかった。
「マズイ!待て!ダメだ!止まれ!!」
「嫌だ!!止まれ!!止まって!!」
バグスター転生者の悲痛な叫びを上げるがドライバーの腐食はそのまま続き、完全に広がった時点でバグスター転生者の変身は解かれた。そしてバグスター転生者に迫るのは先程まで襲いかかってきていた全ての化け物達であった。
「ウ゛ワ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」
「……あまり気分のいいものではありませんね。」
変身を解除したことで周辺に召喚していたSCPオブジェクト達は最初から居なかったように消えていた。
そしてバグスター転生者は見るに堪えない状態になっていた。人間では無いため血が流れるといったことはなかったが四肢は無くなり辛うじて胴体と頭が繋がっている状態だった。そんな状態であったがすぐにチリのように霧散して消えた。残っていたのはバグヴァイザーだけであった。
任務を完了した蒼兎は次の世界へ向かうべくその場から離れる。
「ちょっと待って!!」
しかしそれを呼び止めたのは五河士道だった。
「なにか?」
「アナタは一体……何者なんだ!?」
「精霊と同じ反応なのに十香や四糸乃もと違う……」
「だから教えてくれ!アナタは一体……」
士道からの質問に蒼兎は少し考えて答えた。
「私は特典……強力な力を持つ悪事を働いた転生者から霊とその特典を回収するために来ただけの者です。」
「転生者……?特典……?」
「この世界は修正され、貴方達の記憶も修正されるでしょう。」
「何を言って……!?」
「ですからここで起きたことは夢だと思って忘れることをおすすめしますよ。」
蒼兎は再度、この場を離れるために歩き出した。次なる転生者の特典と魂を回収するために。
ほぼ1年ぶりの投稿になって失踪していた自分にガッカリですが次の世界のプロットは固めてあるのですぐに書けるようにしてあります!!
待っていた方は大変申し訳ありませんでした!!!
次に行く世界がラストです。
-
この素晴らしい世界に祝福を!
-
異世界はスマートフォンとともに
-
ソードアート・オンライン