憑依出来なかった憑依主人公   作:GIZEN

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正直、自分でも書いててどうしてこうなったと思う。
ただ、クロノ君がゲームをしてる所書きたかったのが本音だけど。



子供二人①

クロノ少年は本当に仲間に恵まれたと思う。

やっぱ、彼は彼でなのはとは違う何処か人を惹きつける魅力の持ち主らしい。

俗に言う兄貴属性とか、いい人止まりの人とか。

 

「随分失礼だな君は」

 

そう言うクロノ少年の今の格好は普段の黒一色ではなく、ちょっとだけ他の色を含めた黒い私服姿となっていた。

手綱の先の狼娘は仔犬モードなる姿でぽてぽてと先を歩く。

何故、こんな姿で出歩いているかと言うと……今日は彼の休暇なのだ。

何故か仲間となったフェイトのお陰で多少の時間的余裕が出来たクロノ陣営は探索のローテーションを作った。

その際の会話は…

 

「あの……クロノ。このローテーション間違えてない?」

 

「ん?ああ、済まない。少し休みが少なかったか。分かったもう少し調整しよう」

 

「あんたね……本当に分かってるのかい?」

 

「ああ、君達は遊びざかりだろう。済まない、配慮が足りなかっ…」

 

「違うって言ってるだろ黒スケ!ああ、もう!何であんたとユーノの予定だけ真っ黒なのさ!!」

 

「え……?ぼくは責任があるから当然だし…」

 

「僕は局員として当たり前のことを…」

 

「黙れこのワーカーホリックズ!!」

 

と言う事があり、フェイトとユーノ、クロノとアルフで休みは上手く分配された。

有難う狼娘!君のおかげでクロノ少年と自動的に同じシフトになる俺は救われた!!

 

「また、シロノって奴がうるさいのかい?あたし達からしたら本当に一人芝居してるようにしか見えないよ」

 

「……ああ、分かってはいるのだが。こいつと僕の間では念話が出来ないらしいから、会話をするなら声に出さなければならないし、正直、常に喋り続けてる奴だから偶に返答しないと頭が如何にかなる気がしてね」

 

いや、常に喋ってる訳じゃないよ?

頭で考えてることがクロノ少年に自動的に流れてるんだよ。

ああ、本当……早く体が欲しいな…。

 

「ああ、僕も早く君を追い出して今までために溜めている家賃を全て払って貰いたいね」

 

酷い!好きで住んでる訳じゃないのにお金取る気!?

貴様、それでも人間か!分割払い出来ますか!!

 

「僕は人間だよ。分割払いは可能だ」

 

「なんか面白そうだね……」

 

ああ、なんか楽しい。

これなら何時迄も飽きそうにない。こうやって、公園の散歩だけするのも悪くない休日かもしれないな。

 

 

 

 

 

 

飽きた。

 

「数時間前に飽きないと言っていたのは誰だ」

 

うっさい!

何で若い男女あつまってひたすら公園散歩オンリーなんだよ!!

この数時間、他にやったのは鯛焼き食っただけじゃないか!

もっと遊ぼうよ!ほら、あそこのゲーセンとか行こうよ!!

 

「……はぁ。アルフ、僕の中にいる万年ニートが散歩に飽きたらしい」

 

「わかったよ。それで何処か人のいる所に入るんだろ?」

 

そう言うと狼娘は茂みの方に歩いて行って人型に戻ってきた。

そうそう。さあ、早く行こう!

ゲームが俺を待っている!!

 

「ゲームか。僕はやった事がないから自信がないな」

 

「ゲームって……あの煩そうな所にいくのかい?ちょっとあたしは遠慮するよ」

 

そう言う狼娘にクロノ少年は財布から三千円を抜き出した。

多分、ここからは別行動と言う事だろう。

まあ、確かに狼娘がフェイト嬢を見捨てて鬼ババアのとこに行くとも思えないし……別にいいのか?

 

 

 

 

 

 

更に数時間後。

俺の目はおかしくなったのかと疑う光景があった。

ゲームと言うゲームの一位に輝くKURの名前。

最初こそ確かに初心者丸出しだった彼は数回ゲームをプレイするとこんな言葉を口にしたのだ。

 

「うん、憶えた」

 

後はこの光景。

今まで一位だったNANさんと僅差でありながらも記録を抜き続けるクロノ少年。

きっとNANさんも草葉の陰で泣いている……。

 

「さて、次はあの格闘ゲームでもやってみるかな」

 

まあ、見てる分には面白いから言いけどさ。

て、あれ……運命の格ゲー!

嘘だろう!まさかこの世界にも存在してたなんて!!

 

「……確か、君が前に僕に似てるというキャラクターが出るやつか。やってみるかな」

 

そう言ってクロノ少年は席につく。

どうやら、この世界の運命はカードを作る事で自分の戦歴やコスチューム追加が行えるらしい。

クロノ少年は躊躇なくカードを購入した。ゲームにはまったな?

 

「さて、これが君の言う弓兵か」

 

名前の欄はやはりKUR。

先程からの勇姿のせいか自然に集まるギャラリー。

 

「頑張れ〜天才小学生!」

 

「白い天使の記録を打ち破って行く姿に痺れる憧れる!」

 

「なんだろう、あの子を見てるとイライラするような……気のせい?」

 

「俺も俺も!なんか、KY野郎って叫びたいよね」

 

「小学生相手に何言ってんだよ。リアルにやったら絶交だからな」

 

……クロノ少年気付いてないけど物凄く物騒なのがいた気がする。

ついでに、小学生だと勘違いしてるのもいるんですが。

でもまあ、やはりと言うか……強いなクロノ少年。

弓兵って使いにくいキャラなのにコンボつなげるのも上手いし。

2.3ステージクリアで既に使いこなして、今では乱入者相手に無双してるし。

 

「お前は……諦めたのか?」

 

おお、主人公来た。

プレイヤー名はNANだと!?

凄え、これ最強決定戦だよ!!

 

「正義の味方など!」

 

ここに来てはじめてクロノ少年は苦戦した。

剣を振るえば拳で弾かれ、剣を投擲すれば同じ剣が迎撃する。

ならば と距離をとり弓を構えれば同じ弓で迎撃され懐に踏み込まれる。

 

「こいつ……強い!」

 

クロノ少年は絞り出すようにそう漏らす。

弓を破棄した弓兵は新たに剣を手にして主人公へと立ちはだかる。

と言うか、ギャラリーがやばい事になってるし。

まあ、もう格ゲーのそれを超越した何かが画面で展開されてるしね。

あ、弓兵のほんの少しの隙に主人公の拳が決まった。

後はもう格ゲーらしくコンボの餌食。弓兵は一度目の苦杯を舐める事になった。

 

「ねえ、私が勝ったらお話……聞かせてくれる?」

 

「なっ……」

 

……悪魔っこ?

え?何で?ちょっとクロノ少年……何で気づかなかったの?

というか、悪魔っこってこんなゲーム強かったの?

ゲーマー?嘘……マジ?

世界中のなのはファンがこの姿みたら驚くよ!!

 

「……君が僕に勝てるのならね」

 

あれ?クロノ少年?

何でそんなに熱くなってるの?

え?え?え?

君は仕事に忠実でこういう時は普通に離脱するだろう?

なんでゲームで熱くなってるの?

 

「うん、絶対に勝つよ……」

 

御免、意味が分からないよ。

鏡をみればなんかピンクと青の焔を纏った子供がゲーム画面直視してる幻視するし……。

 

「凄え!俺、あの黒い小学生から青い炎がほとばしってるように見える!」

 

「私は白い女の子からピンクの炎が見えるわ!!」

 

「幻想が壊れた。俺帰る」

 

「世界はいつだって……」

 

……なんで?

どうしてこうなった?

ああ、公園最高……最高だから誰か助けて。


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