100回目がダメだからと言って101回目がダメとは限らない 作:レン
「結婚を前提に付き合ってください」
3月10日。世間では年度末であり、高校生である自分たちは一大イベントである卒業式を終えた。これからはそれぞれが選んだ進路に向かってバラバラになる。
それは、幼馴染である俺と麗華も例外ではない。俺は長年の夢を叶える為に教育学部、麗華は父親の後を継ぐため経済学部へ。
如何に小中高12年を共に過ごした幼馴染であっても、ここで別れてしまえば恐らく次に会うのは成人式のある2年後になるだろう。そう考えた時、これが最後になるだろうと思った。
「ダメね。全然ダメ。出直してきなさい直己」
こうして俺の、通算100回目となる告白は見事に玉砕した。
「・・・何よ、その目は。まだチャンスはあるじゃないの」
「ああ、そうだな。次は受けてくれるか?」
「分からないわ。アンタの態度次第ね」
麗華はそう言って微笑んだ。俺は恐らく、この笑顔に惚れたのだろう。そしてこんな風に話すのはこれで最後だろう。
「俺、これまで結構頑張ってきたと思うんだけどなぁ」
「アンタにしてはね。でもそれと私に釣り合うかは別問題よ。私、理想は高いの」
「それは知ってる。麗華自身の目標も高いからな。俺はそういうとこも含めて尊敬してるよ」
「あら、珍しく素直ね。なんだかしんみりしてきちゃうわ。一月もしないうちにまた同じ大学に通うっていうのに」
「・・・それもそうだな。これからも俺のこと見ててくれよ?」
「それもアンタの態度次第よ。せいぜい頑張りなさい?」
麗華は俺達が大学に行っても同じであると信じ込んでいる。何故なら、俺は実際に麗華と同じ大学を受けて合格を貰っているからだ。しかし自分はこれが良い機会であると思い予め別の大学を受けている。これまでの自分から変わるべく、一人立ちしようと麗華から離れる選択をするためだ。そしてこれで自分には麗華に未練がなくなった。
ここで俺は初めて物事の基準を麗華から外した。
そうする事で俺は新しい、今までとは違う自分になれる気がしたからだ。
こうして俺は地元を離れ、遠く名古屋にある大学に入学した。
麗華がいない生活はおろか、一人での暮らしなど経験があるはずもない。
これが自分の人生を変えると信じて疑わなかった俺は希望と不安に満ちた新生活を始め、その予想は大きく外れることはなかった。
良かったか、悪かったかは別としてだが。
こうして、100回目の告白にフラれた俺は人生で一番中身の濃い4年間を過ごすことが決まった。