魔女が使い魔   作:クマだよ

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魔女の泉を広めたい


魔女が使い魔

「お母様。おはよう」

 

アイールディが神殿長となり500年の月日が流れた。今ではアイールディの娘がその後継に就いている。

しかし周りの人が年老いて子孫に移り変わる中、寿命の概念がないアイールディは昔と変わらず綺麗な人形のようだった。

 

「おはよう。人形を取りに来たの?」

 

アイールディを訪ねた少女は、長く垂れた耳とアドリアンによく似た髪と笑顔が特徴的なアイールディの娘。

小さな頃からわんぱくで、イタズラ魔法なるものを開発しては、街の子ども達と一緒に大人をからかって遊んでいた。

 

そんな娘からお願いされた人形を空間倉庫から取り出す。

 

それは大きさでいうと私が昔作った岩石の様な身体のバードロックよりも大きい。

 

「この、がんだむは、何に使うの?」

 

白を基調とした人型の人形を見た娘は興奮してますとハッキリわかる程に目を爛々と輝かせていた。

その後がんだむという乗り物の説明をされるが、やはりよく分からなかったアイールディは危ない事に使わないことを約束した。

 

「ありがとうお母様!私だけのモビルスーツだ!」

 

もびるすぅつが何なのかわからないが、娘の喜ぶ顔を見れたアイールディはニコリと微笑んだ。

 

 

 

アイールディは一人になると今度は何をしようかと考える。新しい魔法、道具はこの500年で沢山作ってはきたが、まだまだ作れそうな気がする。

そのためには、この街を去り、遠くの大陸へ旅に出ることになる。

まだ神殿長として未熟な娘を、一人残して旅立つことなど考えられなかったアイールディだったが、もう一人でもやっていけるだろうと決心した。

 

「旅に出るね。アドリアン」

 

写真立てに入ったアドリアンとアイールディの写真にそういうと、アイールディは旅の準備を進めた。

 

白い戦闘服に着替え、今ではあまり使わない赤い木霊の杖を空間倉庫から取り出す。

 

「久しぶり……イノシシに会いに行こうかな」

 

何度も肉に変えようとも蘇るイノシシのことを思い出したアイールディ。

まだ霧の森で住んでいた頃、生命力とお肉を頂戴していたかつてのイノシシは今では霧の森の主と言われているのをアイールディは知らない。

 

パリン

 

何かガラスが割れる様な音が部屋の中を木霊する。

 

「……?」

 

突然、アイールディの目の前に「鏡」が現れた。

 

鏡は丁度アイールディの身長くらいあり、そこにはしっかりとアイールディの姿が写っていた。薄っすらと魔法陣が描かれたそれは、何処かの言語が書かれていた。

先程、空間倉庫から取り出した翻訳眼鏡を掛ければ、『汝、召喚に応えよ』と書かれていた。

 

「召喚?」

 

鏡の魔法陣に片手で触れてみるとゆっくりと片手が飲み込まれる様に鏡の中へ入って行く。

 

頭の上でピクピク動くフェイリアを見てもう一度鏡を見るとそこにフェイリアの姿は写っていない。

 

「鏡に写る対象のみを召喚?……残念だけどフェイリアはあの子のところに行ってあげて」

 

フェイリアを側にあった椅子に乗せる。

昔のフェイリアは一人で生命力が保てなく、アイールディが魔力を常に与えておかないと直ぐに動かなくなってしまう人形だったが、アイールディが神殿長となった頃には自立しても問題なかったのだが、古巣から離れることはなかった。

 

「ぴゅる〜ぴゅる〜」

 

ぴょんぴょん跳ねるフェイリアに別れを告げて自ら鏡の中へ入っていく。

 

 

 

_____________

 

 

 

 

トリステイン屈指の名門貴族であるヴァリエール公爵家の三女であるルイズは焦っていた。

 

今日は進級試験であるサモンサーバントの実践日であるのだが、ゼロのルイズと言われる自分の蔑称は魔法成功率を示しており、今行っているサモンサーバントも同じく魔法なのだ。

 

現にルイズは土煙を舞い上げるだけである。

 

「ミス・ヴァリエール。これが最後です」

 

「……はい」

 

周りの生徒からの野次が耳に入る中、これで成功しないといけないという気持ちがルイズにのしかかる。

 

__大丈夫、大丈夫よ。私なら、出来る!

 

ルイズは右手に持つ杖を天高く上げる。

 

「宇宙の果ての何処かにいる私の僕よ。

 

神聖で、美しく、強力な使い魔よ。

 

私は心より求め訴えるわ。

 

我が導きに答えなさい!」

 

 

詠唱を終えたルイズは右手に杖を上から下に振る。

 

《サモン・サーヴァント!》

 

 

 

地面が爆発した。

 

 

 

 

__ああ、また失敗か……

 

野次の声が大きくルイズに刺さる中、コルベール先生が「何かいますよ」と土煙の中を指差す。

 

土煙が捲き上る中、確かに何かが居る。

 

 

__やった!成功したわ!

 

胸中喜びでいっぱいのルイズは土煙を払おうと杖を振るう。

すると空中で爆発を起こし、結果的に土煙を払うことに成功した。

 

「え?」

 

土煙の中から出て来たのは、揺れる白い髪の間から赤い瞳を覗かせるひとりの少女。

その姿はどこか人間離れしていて、まるで人形の様な雰囲気を醸し出していた。

 

そして長く垂れた耳が彼女が人間ではないことを示していた。

 

 

 

______________

 

 

鏡の中を進むと何故か辺り一面土煙が舞っていた。杖で払おうとすると、突然上空から爆発音が響き、土煙が晴れていく。

 

突然の爆発音に反射的に杖を構えてシールドを展開し、戦闘態勢に入るアイールディ。

視界を確保出来るくらいに土煙が晴れていくと、ローブを着た少年少女が私を囲っている状況に冷や汗を流す。

 

__人間が魔力をもっている?

 

マナ量はそうでもないが魔力を持つということは、魔法を扱えるであろう人間の少年少女。今からでもワープして逃げようか考えていると、近くにいた他の子達より高い魔力とマナを持つピンク髪の少女がアイールディに近づく。

 

「あんた、誰?」

 

__それは私が聞きたい。

 

言語がわかることと相手に敵意がないとわかったアイールディは口を開く。

 

「私はアイールディ。あなたは?」

 

「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。あなた亜人よね?」

 

「亜人?私は魔女よ」

 

「魔女って、あなた魔法を使えるの!?」

 

ルイズという少女の言葉に回りの少年少女もざわざわと囁き始めた。

 

「ミス・アイールディでよろしいでしょうか?」

 

ルイズの近くでこちらを警戒していた男が話しかけてくる。

 

「あってるわ」

 

「私はコルベールと申します。

申し訳ないが、あなたにディテクトマジックで調べてもいいだろうか」

「……うん。いいよ」

 

ディテクトマジックという魔法名詞は聞き覚えが無かったが、調べると言っていたから探知系統の魔法だと思い了承する。

 

「感謝します…………なるほど。ミス・ヴァリエール。彼女はメイジで間違いありません」

 

コルベールという人がアイールディをメイジと確証すると周りの少年少女達が一層に騒めく。

 

「一ついい?」

 

コルベールに問いかける。

 

「はい。なんでしょうか」

 

「私はデルカル大陸のシューベトというところから、あなた達の誰かから召喚されたの。

私を召喚したのは誰?」

 

私の言葉でその場に居た全員が一斉にルイズという少女に視線を送る。

 

アイールディはルイズの側に寄る。背丈が合わないアイールディは少し屈むとルイズの視線に合わせる。

 

「あなたの召喚に呼ばれてきたわ。あなたは私に何を望むの?」

 

ルイズはアイールディは紅い瞳に覗かれながら、己の矜持を持って答える。

 

「わ、私の使い魔になりなさい!」

 

 

 

__強い瞳を持つ、少し傲慢な少女。

 

そんな感想を思いながらアイールディはニコリと微笑む。

 

 

「いいよルイズ。あなたの魔女になってあげる」

 

 

 

_______________

 

 

 

 

「まさか、キスされるなんて……」

 

コントラクト・サーヴァントという契約魔法がキスだったり、左手にルーンを刻まれ激痛が走ったりと散々な契約を果たし終えたアイールディは、今コルベールにルーンのメモを取られている。

 

「ふむ……もういいですよ。ありがとうございます」

 

メモを取り終えたコルベールの言葉に頷き、左手を下ろす。

 

「さあ、召喚の授業はここまでです。この後は自分たちの使い魔との交流の時間にしてください」

 

コルベールがそう言うと周りの少年少女が空を飛ぶのが見える。

 

「ゼロのルイズは使い魔に送ってもらえよ〜」

 

「うるさい!」

 

少年のヤジに反応するルイズを見る。

ルイズはまだ地面に足を付いたままだ。

 

「ルイズ。飛べないの?」

 

「っ……そうよ。飛べないのよ」

 

文句あるの? と睨み付けてくるルイズにアイールディは「そう」と言うと、ルイズの肩に触り、飛翔魔法をかける。

 

「え?な、なに?」

 

足が地面を離れ出したルイズは突然の浮遊感に慌てる。

 

「わ、わぁ!飛んでる!飛んでるわ!」

 

昔、アドリアンに初めて使った時も同じ反応だったことを思い出したアイールディは、ルイズの肩から掌に移る。

 

「今は私がマナを通して、ルイズの魔法行使を制御してるの。だから手を離したら制御はルイズ自身に戻る」

 

キョトンとしたルイズにアイールディは意地悪な笑みを見せ……

 

「魔法はイメージ。一人で飛んでみて」

 

その手を離した。

 

 

 

 

トリスティンの隣国であるゲルマニアの留学生であるキュルケ・ツェルプストーは親友であるタバサと共に学生寮に向かっていた。

 

「ルイズが召喚した子。メイジって言ってたけど……亜人ということは先住魔法かしらね」

 

「……かなり強い。あの場に居た誰よりも強いと思う」

 

「それって……タバサよりも?」

 

タバサは頷く。

 

「戦いにならない」

 

タバサの雰囲気が少し怯えているように見えたキュルケは、タバサに声をかけようとしたその時。

 

 

「きゃぁぁぁあああ!退いてぇぇええ!」

 

物凄いスピードで飛んでくるルイズが涙をながしたながらキュルケに向かってきた。

 

「え?ルイズ!?」

 

「無理無理無理!止めてぇぇええ!」

 

後ろに飛んでいた生徒を弾き飛ばしながら飛んでくるルイズに、さすがのキュルケも慌て出す。

 

「ちょっ、ぶつかる!止まりなさいよ!」

 

「止めてぇぇええ!」

 

急いでフライの魔法に意識を集中して速度を上げるが、ルイズはどんどん加速していくため、距離を離せない。

 

「アイールディ!止めてぇえ!」

 

ルイズの悲鳴が響くと疾走感が突然なくなり、その場で浮いているような感覚になる。

 

「ルイズ。魔法の制御下手ね」

 

ルイズの頭上にはクスクスとアイールディが笑っていた。

 

「くぅ〜……ご飯抜き!」

 

 

 

________________

 

 

 

 

ご飯抜きにされたアイールディは、ルイズからここがハルケギニア大陸を中心とした世界であること、ルイズが通っているここはトリスティン王国のトリスティン魔法学院であることを聞き、世界外召喚をしたと気がついていないルイズに半分呆れていた。

 

人間はみんな魔法を使えるのか聞くと

 

「魔法を使えるのは貴族だけよ。平民は精神力すら無いわ」

 

と言っていたので、魔法を使える人間はそこまで多くないとわかった。

 

「ルイズは使い魔って言ってたけど、私は何をすればいいの?」

 

「そうね……まずは、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ。つまり使い魔が見たものは主人も見えるようになるの……」

 

「私の見てる世界は魔力が肉眼で見えるくらいよ。普段から魔力やマナ……精神力を肉眼で見てない人間は、あまりおすすめはしないわね」

 

アイールディが人差し指で×を作ってそう言うと、ルイズはリンクするのを止めて、話を続ける。

 

「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」

 

「秘薬?ここの大陸の秘薬が何を示すのかわからないけど、材料と道具があれば一通り作れるわ」

 

そういうとアイールディは空間倉庫の中から色々な薬を取り出した。

 

「あんた、どこから取り出したの!ソレ!」

 

「ん?空間拡張領域魔法」

 

「はぁ……もうなんでもありね……これはなんていう薬なの?」

 

ルイズが手前の綺麗な瓶を掴む。

 

「それは、霊薬ね。人間達はエリクサーって呼んでた。生きていればどんな怪我、呪い、病、毒だろうと完全に治す薬よ」

 

ルイズの手から滑り落ちた霊薬を魔法で受け止める。

 

「な、なんて物を出してんのよ!」

 

「ルイズの知識にある秘薬と私の知識にある秘薬の認識の違いが知りたかったの。霊薬はこれからは出さない様にするわ」

 

「そうしてちょうだい……他にも何かあるの?」

 

「あるけど……他のは信頼できる人間にしか教えられない様な物ばかりだからダメよ」

 

「それはそれで少し納得いかないけど、って霊薬はいいのね……で、最後にこれが一番重要なこと。使い魔は主人を守る存在であるの。その能力で主人を敵から守る! これが一番大事な役目よ」

 

大事と強調するルイズにアイールディは訝しむ目で問う。

 

「ルイズは常に何かから狙われているの?」

 

「そういう訳じゃないけど、何かあった時に私を身を以て守ってみせないということよ……で、アイールディって強いの?」

 

「成竜の群れに囲まれる程度なら大丈夫」

 

「ほ、ほんと。なんでもありね……」

 

 

 

昼食の時間となり、食堂に向かうルイズの後を付いていくアイールディは途中で会ったキュルケという少女の使い魔であるサラマンダーに懐かれ、肩に抱きつかれていた。

 

「グルーグルルー」

 

「……すごい懐き様ね。火出てるけど熱くないの?」

 

「これくらいの火なら影響はないわ。精霊に近い存在には昔から懐かれやすい体質だから」

 

「誰かが後ろから見たら、何事か!ってなりそうね」

 

しばらく歩くと食堂に着き、サラマンダーを剥がすとアイールディはルイズの座る席の隣に座ろうとするが、どこも空きの席がなかった。

 

「アイールディ……実は私、人を召喚すると思ってなくて……次からはちゃんと隣の席を用意するから、今日は外のバルコニーで待っててもらえないかしら」

 

申し訳なさそうなルイズにアイールディは頷くと「外で待ってるわ」と一言残し、外へ出て行く。

 

 

外のテラスで空間倉庫からドラゴンの肉を取り出し、弱火でじっくりと魔法で焼いていると、周りにいる他の生徒の使い魔達が匂いに連れて群がってきた。

 

「ムー」「ウー」「グルー」「食べたいのね」

 

「ダメよ。あなた達の主人に貰った物だけで我慢しなさい」

 

「ムー!」「ウー!」「グルル!」

「欲しいのね!」

 

基本、主人以外の人が許可を無しに餌付けをするのはあまりよろしくないのだが、使い魔達の懇願に負けたアイールディは、こんがりと焼けたドラゴン肉を半分切ると群がる使い魔達に切り分ける。

 

「主人には内緒よ?」

 

満足気な使い魔達にそう言うと、先程から使い魔達の中で話しかけてくる青い髪の少女。

竜の姿から人間に変わったので、アンシエントドラゴン族の生き残りかと思ったがどうやら違うみたいだ。

 

「あなたも食べるの?」

 

ドラゴンの肉だよ?と言うが「食べるのね!」と涎を垂らしながら迫ってくるので半分にした肉を更に半分にする。

 

ドラゴンに戻った少女はその大きな口でドラゴンの肉を頬張る。そんな様子を眺めていると後ろから誰かが近づいてくる。

 

振り向くとルイズが両手にパンとスープが入った皿をプレートに乗せて、こちらへ落とさないように歩く姿が見えた。

 

「アイールディ?あんた何してるのよ」

 

「……餌付け?」

 

「餌付けって……あなた食べる物なんて持ってたの?」

 

そう言われアイールディは空間倉庫からひと塊りのドラゴンの肉を取り出す。

 

「な、何よそれ」

 

「ドラゴンの肉よ」

 

「ど、ドラゴン!?」

 

「うん。ドラゴンの素材を取るために、よくドラゴンロードで狩っていたから沢山あるの」

 

アイールディはそう言うとドラゴンの肉を持っていない手でもう一つドラゴンの肉を取り出す。

 

「ドラゴンの肉は特別な効果は無いけど、滋養効果、美容効果、スタミナ回復、免疫力アップ、etc……という効果があるから人間に良く売れたの」

 

ドラゴンの肉だけで中級貴族の稼ぎを出していたアイールディはルイズに食べるか聞くが、勢いよく横に首を振るルイズを見て首を傾けると、食べかけのドラゴンの肉を食べる。

 

 

 

ルイズからこの後の授業に参加してと言われ、着いていくアイールディは、少しワクワクしていた。人間の魔法はアイールディがいた世界では見たことも聞いたこともなかったからだ。

 

__どんな魔法なんだろう。久々ね、こんなにワクワクするの

 

教室に着くとアイールディはルイズの隣に木の椅子を魔法で作り座ると、人形の様に動かず先生が来るのを待っていた。

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

コモンマジックというメイジなら誰でも扱える魔法と、土・水・火・風の四系統に加え、伝説の系統として「虚無」が伝えられている。

正確には五系統魔法と呼ぶべきだが、虚無を扱える者は久しく存在しないので普通は数に含まない。そしてその様な人物を虚無の使い手と呼ばれていたらしい。

 

目の前の女史は「赤土」の二つ名を持つシュヴルーズという膨よかな婦人。魔法は土のトライアングルと三つの属性を操る優秀な先生らしい。

 

人間の魔法(ルーン)は杖という補助具がないとマナ(精神力)を現象にまで動かす事が出来ず、アイールディが使う魔法はエルフなどが使う先住魔法、精霊とラインを引いて使う精霊魔法の枠に入る。というのがシュヴルーズの見解らしい。

 

アイールディは体内の膨大なマナで現象を起こしているため、人間の魔法(ルーン)も扱うことが出来ると判り、ワクワクが止まらない。

 

 

シュヴルーズは錬金魔法で石を金の様な物に変える。トライアングルでは本物の金には出来ないが、四系統全てを足せるスクウェアは本物の金に変えられるらしい。

 

授業内容をノートに写していると、シュヴルーズがルイズを指名して実践するよう言ってくる。

 

それを聞いた他の生徒達が「ルイズは危険です!」「先生やめてください!」などと声を上げ、それをプライドの高いルイズが聞き流す訳もなく……

 

「先生やります!」

 

「はい。それではミス・ヴァリエール。杖を構えて」

 

生徒達が机の下に隠れる中、アイールディはルイズの側に近付き肩に手を触れる。

 

「補助だけよ」

 

そう言ったアイールディを見てルイズは石ころを金に変えるイメージをする。

 

《錬金》

 

結果、爆破は起こらず、石ころは綺麗な真珠となった。

 

 

 

 

授業が終わったルイズは寮の部屋に戻る廊下で、機嫌良く鼻歌を歌いながら歩いていた。

行く道では他生徒やメイドなどが奇妙な物を見る目でルイズを見ていたが、上機嫌なルイズはそれには一切気づいていなかった。

上機嫌なルイズとは打って変わって、アイールディは考え込んでいた。

なぜ金ではなく真珠、正確にはマナが宿った真珠となったのか。

 

 

__あの時、私はルイズのマナを現象するのに必要な分を流す行使しかしてない。

単純に属性が入っていない?だとしたらただの石のまま失敗してる。

ということは……

 

「ねぇ!アイールディってば!」

 

肩を揺らされ意識をルイズに戻したアイールディは、無視されて憤慨している様子のルイズの顔を見る。

 

「何?ルイズ」

 

「何じゃないわよ!さっきから魔法の制御の仕方を教えなさいって言っているでしょ!」

 

「うん。"まだ"ルイズには無理よ」

 

「なっ、なんでよ!」

 

「下手だから」

 

「ムキー!」

 

 

 

__"まだ"よ。虚無の使い手さん

 

 

アイールディは静かに微笑んだ。

 




※精神力=魔力としていましたが、精神力=マナとさせて頂きます。
同時に魔力はマナを現象に変える影響力という事にさせて頂きます。

アイールディが生徒達を見てマナ量はそうでもないと言う発言は、比べる対処が神族と魔物しか居なかったということです。

以上、訂正報告とさせて頂きます。
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