官舎に戻ると、向こうの廊下から歩いてきた職員が敬礼をしてくる。
「司令、お疲れさまです」
「うむ、ご苦労」
挨拶を返し、弦十郎は鷹揚に歩く。
組織の幹部たるもの、いかなる場合でも急ぎ早足は厳禁だ。
トップが浮き足立てばそれは部下たちにたちまち伝播し、全体の瓦解に繋がる。
しかし、内心では今すぐ全力疾走で自宅へと戻りたい。
弦十郎は、分厚い胸板の下の包みを大事そうに抱えなおす。
近所の量販店の袋に入ったそれは、本日発売のアクション大作映画のBlu-rayソフトだ。
一刻も早く観たかったが、鉄の意志でどうにか抑え込んでいる。
それでも、気もそぞろになりがちだ。
そういえば、さっきすれ違った職員は何やら怪訝そうな目で見てきたが、きっと気のせいだろう…。
エレベーターの速度すらもどかしく、最上階のフロアに着く。
正面の通路を曲がり、真っ直ぐ進めばそこが弦十郎の自宅だ。
「!?」
弦十郎は目を見張る。
自宅のドアの前に、大きなキャリーバックと仏壇が置いてあったのだ。
その間に挟まるようにして膝を抱えて座りこんでいるのは。
「…クリスくんッ!?」
どうしてここに? という言葉をギリギリのところで弦十郎は飲みこむ。
そうだ。そういえば先日、友里と話をしていた。
クリスと結婚するにあたり、『まずはとりあえず一緒に住んでみてください』と言われたのだ。
偽装であるからそれはいいのでは? と弦十郎がいうと、間髪入れず『体裁が大事なのです』とのこと。
弦十郎は即座に納得。
おそらく結婚の情報を聞きつけて、英国のエージェントが確認に来るだろう。
なのにその体裁が整えられていなければ目も当てられぬ。
まさに本末転倒になるところだった。
もっともクリスにも都合があるだろう。いきなり明日から二人で一緒に暮らせと言われても困るはず。
そんなわけでゆったりと構えていた弦十郎だったが、まさか昨日の今日でやってくるとは予想外である。
「あ、おかえり…」
クリスはぎこちなく顔を上げ、そう言う。
「ひょっとして随分と待たせてしまったのではないか?」
クリスの格好はリディアンの制服姿のままだ。
学校から直行したのか自宅経由かは分からねど、放課後からはずいぶん時間が経ってしまっている。
「いや、そんなに待ってないぜ」
「しかし、仏壇まで持ってくるとは大変だったろう」
「ここまでカートに乗っけて来て、ここでは職員の人にも手伝ってもらった」
「そうか」
弦十郎は自宅のドアをカードキーで開けると、クリスを招じ入れる。
「どうした? 入ってくれ」
「お、お邪魔します…」
おずおずと靴をそろえ、クリスは廊下を歩いてきた。
きょろきょろと周囲を見回して、
「お、男ヤモメにウジが沸くっていうけど、案外、綺麗にしているんだなッ」
などと上擦った声で言う。
「そうか?」
弦十郎としては苦笑する意外の選択肢がない。
2LDKのマンションは、本音を言えば持て余し気味だ。
なにより作戦行動中などはS.O.N.G.本部で寝泊まりすることが圧倒的に多い。
広さに反して物が少なく片付いて見えることに加え、週に何回かはハウスキーパーに掃除を依頼している。
種を明かしてしまえばどうということはない話だ。
弦十郎は遊ばせてある和室へとクリスを案内する。部屋の隅に抱えたキャリーバックと仏壇を降ろして言った。
「取りあえずこの座敷はクリスくんの好きに使ってくれ」
「う、うん…」
頷くクリスに頷き返し、弦十郎は自宅の案内をすることにした。
「こちらがトイレで、ここが脱衣所兼洗面所になっている。風呂もここだな」
他にも、色々な性能があるのに全く使いこなせていないシステムキッチンや冷蔵庫の説明をしていると、我がことながら少し可笑しくなってきた。
「そしてここがリビングだ」
クリスが目を見張るのが分かる。
正面に、50インチ以上ある巨大な液晶テレビ。その脇には、ハイスペックなサラウンドシステムが組まれている。
弦十郎の職責と収入に対し、ささやかな贅沢を注入しているのがこのリビングだった。
それらの機材を見回したあと、クリスは壁一面を埋めるDVD棚の前に立っている。
いくつかのDVDを手に取って見ているのは、コレクションの中にいくらか興味をそそられるタイトルがあったのか。
その様子はとても微笑ましい。
「このリビングから続きの部屋が、まあ俺の寝室だな」
親指で横を指し示してそう言うと、スルッとクリスの手に持っていたディスクが床に落ちて転がった。
「ご、ごめん…ッ」
慌てて拾い上げている。
「それよりクリスくん。腹は減っていないか?」
弦十郎は尋ねた。
「あ、晩飯ならもう食べて…」
きゅーっとお腹の音が鳴る。
たちまち顔を真っ赤にするクリスに、弦十郎は遠慮なく笑った。
「よし、少し待っていてくれ」
キッチンへと向かう。
冷蔵庫を開ければ、先日の食べ損じた冷ご飯に、活きの下がった生卵がある。
鉄鍋をカンカンに焼いている間にネギを刻んだ。
油を敷いた鉄なべで三つを混ぜ合わせ、中華だしも入れて炒める。
塩と胡椒で味を調えれば出来上がりだ。男の料理はこれくらい簡単で豪快に作れるもので丁度良い。
大皿に卵チャーハンを盛り付けて、さすがにこれだけでは寂しいのでインスタントのわかめスープをつける。
「さあ、出来たぞ、食べよう」
「…い、意外と料理出来るんだな…」
「こんなもの、料理というのには抵抗があるがな」
キッチンのテーブルで差し向かい。
ふと思い至り、弦十郎は席と立つ。
冷蔵庫を開け、牛乳パックを取り出すと二人のグラスに注ぐ。
「良かったら飲んでくれ。牛乳が嫌だったらミネラルウォーターも冷蔵庫にある」
というか、弦十郎の家の冷蔵庫には、牛乳とミネラルウォーターしか入っていない。職務上酒も飲まないようにしている弦十郎が他に飲むのは生卵くらいだ。
「…頂きます」
「うむ、頂きます」
クリスは大口でチャーハンを頬張ると、
「…美味しい」
と笑みをこぼす。
「口にあってなによりだ」
その微笑ましい様子に弦十郎も笑った。
こうやって差し向かいでゆっくりと食事を摂るのは初めてだな、とも思う。
そのまま眺めていると、弦十郎の視線に気づいたクリスは顔を伏せ、凄い勢いで残りのチャーハンを掻き込んでいく。最後にスープも牛乳もほとんど一気飲み。
「クリスくん、ほっぺたにご飯粒がついてるぞ」
指摘すると慌てて頬っぺたを探っている。赤い顔に恨みがましい目で見られながら、弦十郎も自分の食事を平らげた。
食後にお茶で一服する風習も準備も弦十郎宅にはない。
なんとなくの流れで、二人でリビングへと河岸を変える。
ソファーに座らず、弦十郎が直接カーペットの上に正座すると、向いにクリスも正座をして座った。
「クリスくん」
弦十郎は声に力を込める。
「…はい」
クリスも背筋を伸ばして聞いている。
「今回の件に関して、これだけは言わせてくれ」
「はい」
「俺は、おまえの敵になるものがいたら全て倒す。
おまえに害を成すもの全てから守ろう。
望むことがあるなら全力で支援するし、おまえが幸せになることを誰よりも望んでいる。
おまえが幸せになることが、俺の幸せだ」
これが今回、望まぬ婚姻を強いたことに対する弦十郎のケジメだった。
晒せるだけの誠意を並べながら、その実、弦十郎は不本意で仕方ない。
組織の、国の不始末なのに、個人でしか報いることを確約できないもどかしさ。
突き詰めれば日本国が不利益を被らないよう、クリス自身に身を呈してもらっている状況なのだ。
なのに国も組織も明確に報いることはできない。
だいの大人が雁首をそろえて、情けない以外の形容のしようがあるものか…!!
「………」
対して、クリスはというと顔が真っ赤だった。
それこそ燃えるほど赤く見える顔を伏せ、ゆっくりと三つ指をつくと、弦十郎へ向かって頭を下げてくる。
「
その挨拶に、弦十郎は僅かに面食らう。そして内心で苦笑した。
学校の成績も優秀で、難しい日本語の言い回しも駆使する彼女だが、やはりさすがに海外暮らしが長かったからだろう。間違っている。
丁寧なあいさつを返そうとした努力は認めるが、それではまるで嫁入りしようとする娘の台詞ではないか。
「さて、とりあえず風呂にでも入るか」
「はい……って、うぇええええっ!?」
「どうしたクリスくん。俺より先に入るか?」
「…お先にどうぞ」
クリスはどうも感情の起伏が激しいよう。
まあ、こんな男といきなり一緒に暮らせといわれたのだから戸惑うのも無理ないか。
一人納得し、弦十郎は抜かりなく着換えを持って浴室へと向かう。
今までは下着一つで室内をうろついたものだが、今日からは配慮が必要だろう。
全身にボディソープを泡立て、ついでに髪も洗い、シャワーで流すのに十五分もかからない。
その途中でふと思いつき、浴槽にお湯を溜める。
弦十郎自身は滅多に自宅の浴槽に浸かることはないので、これは次に入るクリスのためだ。
脱衣場で身体を拭き、髪を軽く乾かして手櫛で髪型は完璧に決まる。
使ったタオルを籠に放り込んで脱衣所を出る寸前、クリスのために新品のタオル一式を引っ張り出して目立つところに置いた。
このくらい気遣えるほどの甲斐性はあるのだ。
「お風呂は空いたぞ、クリスくん」
「は、はひッ!」
リビングのソファーでぼーっとしていたらしいクリスに声をかけると、そんな素っ頓狂な返事をした。
立ち上がり、パタパタとリビングを飛び出していく様に弦十郎は首を傾げてしまう。
そんなに風呂に入りたかったのか? だったら先を譲るべきだったか。
弦十郎自身、ソファーに腰を降ろし一休み。
キッチンに立ち寄って持ってきたペットボトルの冷たいミネラルウォーターが、火照った身体に心地よい。
テレビのリモコンを手にスイッチオン。そのままザッピング。
本当は、今日購入したアクション作品が一刻も早く観たかった。
だが、せっかくクリスもいるのだから、風呂を上がってきたら一緒に見るために待つことにする。
見るともなしにニュース番組を眺めながら30分が経過した。
…女性は長風呂というからな。弦十郎にして、それくらいの俗説的な知識はある。
それでも一時間が過ぎれば、我慢の限界だった。
パッケージを破り、新品のディスクを再生機へと放り込む。
防音仕様にしたリビングでは、多少音を高くしても隣室からの抗議はない。
この仕事に就いてから様々な不利益を被ってきたが、弦十郎が一番不満に思うのは映画館に行けないことだろう。
いつ緊急の呼び出しがかかるかも知れない状況で、連絡機器の電源を切ることを義務付けられた映画館は利用できない。
だからといって電源を入れっぱなしでは、他の利用者への迷惑や、いつ呼び出しがかかるかも知れないと気が気でなく集中できぬ。
ゆえに弦十郎は、学生時代からはや十数年、映画館で鑑賞した記憶がなかった。
その反動がこのリビングに集約されているわけだが、およそ個人で鑑賞する分には、これほど整った環境は存在しないほど拘っている。
そのせいだろうか。
すぐそばにほっこりとした感触。
仄かに香る甘い匂い。
視覚以外に訴えてきたものが、弦十郎を映像の世界から引き戻す。
横を見れば風呂上りらしく、頬を上気させたクリスがちょこんとソファーの隣に腰を降ろしている。
「す、すまん。クリスくんが風呂から上がってくるまで待とうと思ったのだが、結局待ちきれず…」
「え? あ、ああ、うん」
どうにも精彩を欠いて見える。
弦十郎は素早く壁の時計に視線を走らせた。
映画が始まってから早30分以上が経過している。
つまり、クリスは一時間半以上風呂に入っていたということか?
するとこの反応。もしかしてのぼせたのか。
「大丈夫か? 冷たい水でも飲んだほうがいいのでは」
気遣う弦十郎にクリスは首を振って、
「ううん、大丈夫」
ソファーの上で膝を抱えた。甘い匂いが一層香る。
今さらながら彼女がストライプ柄のトレーナーのようなパジャマを着ていることに弦十郎は気づいた。
なかなかに可愛い格好だ。
心の中の感想に留め、弦十郎は大型画面に向き直る。
映画が終わると、NG集の流れるエンドロールを眺めながら、隣のクリスに声をかけた。
「どうだった、クリスくん?」
「…え? あ、うん、なかなか面白かったよ」
そうは答えるものの、表情はどこかぼんやりとしている。
弦十郎もして、鑑賞中、ちらちらと横顔に視線が当たってきたのを思い出した。
どうやら映画はクリスの嗜好に合わなかったよう。こちらを見てきたのは無言の抗議だったか。
弦十郎は一人満足して鑑賞していたことを恥じる。
嗜好は人それぞれと言えど、今後しばらくは一緒に生活するのだ。一度、テレビのチャンネル権や使用権について話しあった方がいいかも知れないな。
もちろんクリスの部屋にテレビを設置するのも
「おっと、もうこんな時間か」
いつの間にか時刻は日付が変わる寸前になっている。
「明日も学校があるだろう? もう寝るとしよう」
弦十郎はソファーから立ち上がり、クリス用とした和室へと向かう。
クリスはぎこちなく付いてくる。
座敷の押入れを開け、来客用の布団一式を引っ張り出す。
それを部屋の真ん中あたりに丁寧に敷き、弦十郎はクリスに声をかけた。
「寒いと思ったら、押入れに予備の毛布も入れてあるからな」
「………」
クリスは無言で立っている。
「それじゃあ、おやすみ」
言い置いて、さっさと弦十郎は部屋を出た。
寝る前に何をするかは知らねど、むさい男に見守られては、はいそうですか、とクリスも布団には入りづらいだろう
廊下の電気は点けたままリビングへと戻る。
リビングの電気を落とし、隣の寝室へと入った。
弦十郎の寝室は10畳ほどとかなり広い。
しかし、そこにある家具はキングサイズのベッドが一つきり。
文字通りの寝室としか使っていない弦十郎である。
室内の電気を消し、枕元の常夜灯をつけ、ベッドに横になる。
仰臥し、胸の前で手を組むと、間もなく眠気がやってきた。
平常心を保ち、無念無想に徹することによって、どこでも、どんな状況でも睡眠がとれる。
大人になって身に着けた術の一つだった。
どれくらい眠っただろうか。
ふと気配を感じ、弦十郎は覚醒した。
次いで、暖かいぬくもりが身体の横に滑り込んでくるのを感じる。
殺気はなかった。もっとも危険な気配を察した瞬間には跳ね起きるよう肉体が出来ている。
ふわりと嗅いだ事がある甘い匂いに、そうかクリスくんがいたのだな、と弦十郎は思い出す。
常夜灯の明りでみれば、やはりベッドにもぐりこんできたのはクリスだった。
「おい、クリスくん」
小声で声をかける。反応はない。目は閉じたまま。
よくよく見れば、顔を真っ赤にし唇を噛みしめている。心なしか全身がぴくぴくと震えているよう。
…眠っているのだろうか?
再度声をかけるも反応なし。
すると、やはり眠っているのだろう。
肩を揺すって起こそうと思い、弦十郎は考え直す。
そっとクリスを横抱きにし、ベッドから持ち上げた。
そのまま振動を与えないような歩法で、クリスを座敷まで運ぶ。
もぬけの布団にクリスを横たえると、丁寧に毛布をかけ、弦十郎は自室へと引き上げた。
何事もなかったかのようにベッドに横たわり目を閉じる。
間もなく眠りに落ちた。
そして、覚醒。
隣のぬくもりを見やれば、やはりクリスがいる。
「おいおい、クリスくん…」
少しだけ声を高ぶらせようとして、弦十郎はとあることに気づく。
続いて、うんうんと一人納得したように頷いてベッドから出た。
やはり目と口を固く閉ざしプルプルと震えるクリスに、自分の使っていた毛布を丁寧にかけると、弦十郎は寝室を出た。
入れ替わりにクリス用の座敷へ戻り、その布団で眠る。
予想通り、もうクリスは潜りこんでこなかった。
弦十郎は朝6時には覚醒するクセがついている。
今日も目を覚ました直後、自分の寝ている場所に戸惑ったが、一瞬で状況を理解した。
そうだ、クリスくんはもう起きているだろうか。
布団で寝たのは久しぶりだな、などと思いながら和室を出ると、キッチンで人の気配がする。
行くと、制服にエプロン姿のクリスが、コンロの鍋に向かいあっていた。
「おう、クリスくん、おはよう」
「…ああ、おはようさん」
そういうクリスは酷く精彩を欠いていた。どんよりとした顔つきでこちらを一瞥しただけで、また鍋に戻ってしまう。
おそらく良く眠れなかったのだろうな。
そう分析しつつ、弦十郎はテーブルの上を見た。
二組の食器とフォークが用意してある。どうやらクリスは朝食の準備の真っ最中のよう。
昨日の夕食は俺が作ったから、お返しのつもりか? 全く義理堅い娘だ。
苦笑しながら弦十郎は洗面所で顔を洗う。
かるく髭もあたってキッチンへ戻ると、座るよう促された。
メニューはトーストに目玉焼き、それとコーンスープ。
熱々のスープを小鉢に入れ、盆に載せたクリスがやってくる。
「それにしても、ずいぶん早起きだな」
リディアンは、ともあれば以前にクリスが住んでいたマンションより近いくらいだ。
「ああ、ちょっとばかし眠れなくてなッ」
小鉢を置きながらクリスは言った。なぜか声が刺々しく感じる。
「そうか…。やはりベッドが変わると眠れないのだろう?」
「…ッ。そ、そんなことはないよッ」
お盆で顔の下半分を覆うようにしてクリス。
「無理するな。今日の放課後、さっそく新しいものを見繕いに行こう。なんならクリスくんの以前に使っていたベッドを運んできても良い」
「………」
心の底から気遣ったつもりだが、お盆の上から覗くクリスの目はどうにも濁っていた。むしろ咎めるような色さえある。
ああ、これはあれだ。
まるで楽しみにしていた映画が全く期待外れだったかのような目だ。
もちろんそう感じただけで、何も根拠はないが。
ともあれ、そんな目をする理由は、寝不足に由来するウエイトが大きいだろう。
人間誰しも睡眠不足だと機嫌が悪くなるものだ。
「しかし、夕べのクリスくんは、寝ぼけて二回も俺のベッドに転がりこんできたぞ。やはり、まだまだ子供だな」
多少でもささくれだった神経を宥めようと、敢えて冗談めかして弦十郎は口にした。
「~~~~ッ!!!!」
お盆の角で思い切り頭を殴られた。