咲夜と美鈴は、久しぶりの両者ともオフの日に人里に降りて晩酌を楽しんでいた
翌日、2人の元へ用心棒の依頼が届く、働きもしないで親に迷惑ばかりかけている病気の息子に説教をするために入った咲夜、しかし目の前にあったのは息子らしき死体であった、美鈴に医者を呼ぶように伝え1人になった咲夜は運が悪く依頼人である湯田に発見され殺人犯と勘違いされてしまう
慌てて館に戻った咲夜は主に伝えて部屋に戻るが、その部屋は爆発を起こし粉々になり、後ろにいたのは主と用心棒だった、主にも見放されたかと思いきや、ここにいては危険だと判断した主がある程度追っ手の数を減らすためのできる限りの助けだった、それを理解した咲夜は、敵を蹴散らすと紅魔館を飛び出し、間接的にメイドを辞めることとなった
__「くそっ!どこ行きやがった!」
「まだ近くにいるだろ!探すぞ!」
木陰の奥から男達の声が聞こえる、メイド長は足が早く身を隠すのも早かった、追っ手を振り切ったメイド長は今後の生活をどうするかを考え出す
昨日の飲み会ではトラブルを解決してお金は少し浮いている、数日程度の食事などは確保できるだろう 、財布を開いて財布と相談したメイド長、問題は寝床である、ホテルなんてものは存在しない、人里の宿にはまずは行けないだろうし近寄るのも不可能である、仮に顔を隠したとしてもバレるのは時間の問題である、ならば博麗神社に向かうか?
それも不可能であろう、恐らく村人達が相談に行っているはずだ、行ったところで退治しないにしても協力は望めない、地底にでも逃げ込むか?
さとり妖怪なら心を読んでくれるだろうが疑り深い、あまり協力的にはならないだろう
次々とあてが無くなって行きメイド長はため息をつく
なぜこんな事に?
なぜあの息子は殺されたのか?
誰が殺したのか?
目的はなんなのか?
様々な疑問が過ぎる中、メイド長の肩を誰かが叩いた
「っ!!」
油断していたメイド長はすぐさま振り向き戦闘態勢を取る
「ちょちょちょっと!わ、私ですよ!!」
月のブレザーを着た長い耳を持つ女性、鈴仙が目の前に立っていた
「…なぜ貴女が?」
「えーっと…それは私の台詞でもあるんですが…」
苦笑い混じりに鈴仙は門番に言われるがままに連れてこられ、急に置いていかれ紅魔館まで向かう途中でメイド長を見つけた事を話した
「…ということで、今度はそちらの番です、そんなに師匠を呼ぶ程何かあったんですか?」
鈴仙は門番から一切事情を聞いていない、そのためメイド長に聞くしかない、メイド長は一旦落ち着くためにも鈴仙に今まであったことを話す
依頼人の息子が殺されていたこと
自身が殺人犯として追われていること
館には戻ることが出来なくなったこと
様々なことを聞いた鈴仙は腕を組んで悩んでいる
「うーん…そうなると寝泊まりすら確保できてないのでは?」
鈴仙の問いかけにメイド長はゆっくりと頷く
「……なら、うちに泊まりますか?」
鈴仙の気遣いに、メイド長はすぐに首を横に振る
「…私は追われています、もし見つかれば貴女達にも迷惑が及びます」
「そんな事は気にしなくても…」
「私がいるせいで爆発が起きるかもしれませんが?」
ここまで返された鈴仙は言葉を詰まらせる、多分いくら説得しても首を縦には振らないだろう
「…でも、ならどこへ…?」
寝床も無いのならどこに行くのか、それが気になる鈴仙は問いかける
メイド長は当てがあるわけでは無いので黙り込んでしまった
「……あるわけないですよね」
鈴仙は呟くように話すと、メイド長は"どちらにせよ、迷惑をかけれません"と伝えて歩き出す、どこに向かうのかと尋ねる鈴仙に
「私に濡れ衣を着せた者を虱潰しに探します」
と伝える、まずは号外にもしてあるだろう、鴉天狗の所へ
……と思ったが既に暗い、ここから鴉天狗の元まで行くには妖怪の山をかなり登らなくてはいけない、追っ手から逃げてばかりのメイド長にはかなり酷だろう、今日は諦めるしかないか…そう思いどこか寝床を探すことに、すると鈴仙が手を差し出し、その手には薬があった
「……せめてこれだけは、私ができるのはこれだけです」
鈴仙も自分の帰るところに帰らなくてはいけない、泊まる気が無いなら何かしらのサポートをする気でいる鈴仙は、できる限りの手助けをする
「……しかし…」
「正直、貴女が人殺しするなんて考えられません、私は貴女を信じてるので」
鈴仙はしっかりとした姿勢でメイド長に伝える、メイド長はしばしの沈黙の後、頭を下げつつその薬を受け取る、薬を渡した鈴仙は一礼すると森から一足先に去っていく
忘れかけたが寝床の確保だ、森なら幸い見つかりにくいはず、だが地面にそのまま寝るのは抵抗があるのか、寝床代わりになるものを探す、そこには捨ててあるダンボールや竹の柵の1部などが落ちてあった、何も無いよりマシかと思ったメイド長は、そのゴミを持ち近くの岩場へ、岩や木に囲まれた場所に先程の竹の柵を置きダンボールを敷く、こんな惨めな生活をしたのは何時ぶりだろうか、そんな事を考えつつ明日は鴉天狗の元へ行くことを考える、そのうち疲れていたメイド長は深く眠りに落ちていった……