東方 幻武伝   作:幻想的クリスタル

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第7章「ネズミ」

___ゆっくりと目を覚ますメイド長、辺りが薄暗い、早朝に起きてしまったか?

 否、単に森に囲まれているので光がある程度遮られているだけであった、寝覚めが良くないまま即席の寝床から起き上がる、ふと腹の虫が鳴る、そう言えば昨日から何も食べていないことを思い出した、しかしお金はあっても人里に降りる事は出来ない、どうしたものかと考えているとふと手に何かが当たる、確認してみると包装された塩パンが置いてあった

 誰が置いていったのだろうか?

 毒でも入っているんじゃないか?

 などと考えていたが裏になにか書いてあることに気付き、裏を見ると「今はこれしか渡せませんがめげないで下さいね」とマジックで"鈴仙"と名前が書いてあった、安心して食べれる事を確認したメイド長は鈴仙に感謝しつつその塩パンを食べる、空腹を満たしたメイド長は早速文屋の所へ向かう、今の時間帯なら新聞を発行している所だろう、メイド長を狙う物が居ないことを確認して素早くかつ慎重に向かう__

 

 __「…これで、いいですね」文々。新聞の発行がちょうど終わり一息着く射命丸 文

 「とりあえずは、こうやって話題を逸らすしかないですかね…」

 そのように独り言をブツブツ呟いてる時だった、玄関の前で誰かが立って待っている、声をかけてこないが、射命丸は人影と匂いを確認すると"どうぞ"と告げる

 「失礼します」戸を開けて入ってきたのはメイド長、普通なら驚くはずだが射命丸は驚きもせず"やはり来たんですね"と伝える

 メイド長は顔色ひとつ変えずに文屋に近寄る

 しばし見合ったあとメイド長が口を開く

 「きっと違うんでしょうが一応聞いておきます、私を殺人鬼と流したのは貴女ですか?」

 その言葉を聞き射命丸は予想していたかのようにすぐさま返答する

 「いいえ、違いますよ、メイド長の貴女が簡単に人を殺すはずがありませんから、ただ…… 」

 途中で口篭る射命丸に、メイド長は"ただ…?"と問い詰める、その後再度口を開く射命丸

 「私は書いていませんが…私以外の誰かが書いたのかもしれません」

 書いたのは本人ではないと告げられるとメイド長は

 「…ネズミがいるってこと?」

 と、問いかける、射命丸は頷き"はい、それしかありません"と自信を持って伝える、ただネズミを探すにも時間がかかるだろう、何故なら何人か派遣として雇っていた人間数人達が異変発生とともに煙のように消えてしまったからだ、なのでとりあえずは別の記事を書き話題を逸らす事をしていた事を伝える

 「…しかし、仮に噂が過ぎ去っても貴女の濡れ衣が晴れるわけじゃありません、それにそんな悠長な時間はありません、最悪その内殺されてしまいます」

 「…そうでしょうね」

 ある程度の話を聞いたところでメイド長はそのまま後ろを振り向き支社から出て行こうとする

 「何処に行かれるんです?」

 まだ話は終わっていない、デスクから立ち上がりメイド長の後ろに着く

 「情報を集めに行きます」

 「ここらではもう情報は…」

 「地底や天空にでも行けば何かあるはずです」

 確かに射命丸は地底などには探しに向かっていない、しかし地底でも今は安全かは分からない、行くのは危険だと射命丸は止める、しかしメイド長は意志を曲げること無く行く事を決心する

 「……分かりました、そこまで言うのであれば」

 射命丸は止めるのを止め"くれぐれもお気をつけて"と見送りをする

 メイド長はそのまま戸を開け外に出る、するとその先には___

 

 ___大量の若い男性たちが待ち受けていた

 「……これは…?」

 「恐らくこちら側のネズミが仲間に伝えたんでしょう、それにこの人達は最近流れてきた悪事や平気で働く若者達です、多分ですが貴女を殺せとでも命令されたんでしょう」

 メイド長が出てきたのを確認した若者達は待ちわびたかのように喜んでいる、しかしその声には"俺が殺してやるよ!" "女を痛め付けれるなんて最高じゃねぇか!"など粋がっている台詞が飛び交う

 「どうしますか?何かで追っ払って__」

 「必要ありません」

 メイド長は助けは求めず若者達の方へ歩いていく

 「…咲夜さん」

 「こんな奴らに負けていてはお嬢様のメイドなんて務まりません、貴女は被害が出ないようにしていてください」

 メイド長は射命丸に下がるように伝える、射命丸は頷くと羽ばたいて避難していった

 「ははは!おいおい、助けて貰った方がいいんじゃねぇの?」

 1人の若者がメイド長に近寄り舐めた態度で話しかける

 「……」

 「はは!ビビったか?でも俺ら何しようが女とかガキとか痛めつけて殺すのが楽しみなんだよ!しかもあの有名なメイド長と来た!こりゃ全員でマワさねぇといけねぇかもな!」

 若者の言葉に集団はまたもゲラゲラと笑い出す

 「……気が済みましたか?」

 「あ?」

 「礼儀がなっていないようなので物理的に教育してあげましょう、まとめてかかって来て下さい」

 軽く地面を靴でつつく、一切顔色を変えず戦闘態勢を整えた合図だ

 「はっ!余裕ぶっこいてんじゃねぇよクソアマァ!」

 若者が手始めに腹パンを決めに向かう__

 

 __次の瞬間、若者は宙を舞った、顎が数センチズレて鼻から血を吹き出しながらドサッとその場に背中から落ちる、メイド長が体を横に変えつつ身を引くくし高く足を顎に向かって蹴りあげたのだ、顎が変形した若者は苦しむ暇もなく白目を向き気を失う

 他の若者は何が起きたか理解出来ず気絶してる若者とメイド長を交互に見ているだけ、しかしメイド長は足をゆっくりと戻すと"来ないんですか?"と手招きをして挑発をする

 「て、てめぇ!調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

 まんまと挑発に乗った若者達が一気に押し寄せてくる、メイド長はその1人に目を付け、一直線に向かってくる若者の股間を靴の先で蹴り上げる、金的を食らい激痛で足が止まり股間を両手で押さえて悶えて後ろがつっかえてくる、その間にメイド長は金的を当てた若者の顔面に回し蹴りを真正面からぶち当てる

 ぐしゃっ!と音がすると同時に衝撃に耐えきれず歯が折れて口から飛び出しつつ吹き飛んでいき、後ろにいた若者にぶつかる、ぶつかった若者はバランスを崩し数人が崖から落ちていき、また数人は滝の中へ落ちて流されていく

 数は減っていくがまだかなりの人数である、メイド長が構えていると後ろからバットを持った若者が殴りかかってくる、しっかり構えていたメイド長は振り向きざまに顔面に回し蹴りを入れる、若者はバットから手を離して吹き飛んでいき、壁に激突しそのまま気を失ってしまった、落ちてきたバットはメイド長の頭上に落ちてくる、が

 手を伸ばして持ち手を掴んでバットを自分のものに、その瞬間に右にいた若者の足を狙ってスイングする

 バキッ!と強い音がすると同時に若者を強制的に正座させる、若者は痛さのあまり両足を押さえて無抵抗に、その間にメイド長はバットをもう一度構えて若者の前へ"へ?"と声を出すと共に前から気配を感じた若者は顔を上げる、その目先にはバットが目の前に来ていた

 

 グシャァッ!

 と潰れるような音がするとバットで顔面を打たれた若者が衝撃に流されていき血を撒き散らしながら途中で止まる、両方から鼻血を出しつつぐったりした顔で気絶をしてしまい、殴った時に返り血が着いたバットを別の若者の前へ軽く投げ捨てる

 カランカランとバットの音がしつつ、文字通りボコボコにされているのを黙って見ていた若者は足を震わせつつ目の前に捨てられたバットを拾いガタガタ震えながら立ち直す、立ち直した瞬間、目の前にはメイド長が立っていた

 「ひ、ひいぃ!!!」怯えている若者はそのまま腰抜かして尻餅を着く

 尻餅を着いたのを同時に怯えてしまい戦意喪失した若者達は一目散に逃げ始める

 「うわああぁぁ!!」「こ、殺されるぅぅ!!!」

 先程までの余裕さとは180度変わり、我先にと互いに押し倒しつつ逃げ出していく

 「お、おい!置いていくなよ!!!」

 腰を抜かし、逃げ遅れていたバットを持った若者はもう一度メイド長の方を向き直し慌てて立ち上がる

 「く、くそおおお!!!舐めんなあああ!!!」

 我武者羅になった若者がバットを両手で握りその場で振り回しながら近付いてくる、しかし混乱してるのか横に振るだけで足元ががら空きである、メイド長は足が留守なのを見逃さずすかさず足払いをする、見事に足を掬われ空中に無防備に舞う若者、そこからメイド長は追加でその場で飛び上がり片足を伸ばして力を込め逆エビ反り状態になり若者の腹部に狙いを定める

 グジャァッ!とものすごい音と共に腹部を蹴り落とされ全身を地面に叩き付けられる若者、口から血を吐き出し何も言えずそのまま気絶する…

 

 辺りを見渡すと大勢の若者たちはいなくなっていた、怖気付いて逃げ出したらしい

 傷一つ負ってないメイド長は軽く服を叩き汚れを落とす

 「面倒なことになりました…」

 そう呟くとメイド長はネズミ探しに向かった……

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