第1話
どれくらい前だろうか、彼女と出会ったのは……3年前?違う、5年前?違う……きっと、数え切れないほどの時の流れの中で出会ったのだと思う……最初に出会ったのは僕が中学三年生の頃、帰り道にいつも寄る公園。僕は1人寂しくブランコに揺られていた。その時の僕は、心に余裕が無くて……何をやっても上手くいかなくて……悩んでいた時期だった。そんな中、彼女に会ったんだ。
〜以下回想〜
???『隣、いい?』
『う、うん……』
???『何かあったの?』
彼女は、僕にそう問い掛けてきた。見ず知らずの……しかも今初めて会った僕に、まるで昔からの幼馴染みたいな感覚で。優しい声で、僕に問い掛けてきた。
『いや、別に……何も無いよ……』
僕は、そう答える。この人は僕を心配してくれてるのに……人付き合いが苦手な僕は、とても無愛想な態度を取ることしか出来なかった。でも、彼女はそんな事では引き下がらなかった。
???『今君が思ってる事。当ててみようか?』
無理だ。今会ったばかりの人の思考を的確に当てることなんて出来るわけが無い……
???『んーとっね……大方、勉強も私生活も上手くいかなくてそれで黄昏てるんじゃないかな?』
でも、彼女は的確に当ててきた……
『……なんで分かったの?』
『んー?顔を見れば分かるよー。だって、君凄く悲壮に満ちた顔してるもん。』
そんな風に見えるんだ……でも、何故か否定はできなかった。
『うん……』
『ふーん、そっか……たったそれだけか……』
『たったそれだけって何だよ……!君にはそんな事かもしれないけど……僕は本気で悩んでるんだぞ……!』
???『ふーん、だったらさ。なんで行動に移さないの?』
『……っ!』
???『男ならさ、うじうじしてないで行動に移してみようよ。君にはそれが出来る力があるって!』
『…………貴方の名前は?』
僕は、恐る恐る名前を聞いてみた。答えてくれるはずは無いのに……
???『アタシの名前は今井リサ!君の名前は?』
『僕の名前は……空木 優希』
『そっか……いい名前じゃん!それじゃ、君も元気になったみたいだし、アタシはもう行くね』
『あ!君の学校は!?』
『私は君の通ってる中学と一緒だよ!それじゃね!』
そう言うと彼女……今井リサは足早に公園を去って行った。嵐みたいな人だったな……でも……悪い人ではないみたいだ……
『勉強のやり方……変えてみようかな……』
〜回想終了〜
そんな僕も今は高校1年。家から電車で30分の所にある私立羽丘高校に通っている。
???『優希〜!』
今日も来たか……
「な、何だよリサ姉……」
「ひどいよー……今日は一緒に行こうねって約束したじゃん!」
「だって……遅いリサ姉が悪いじゃんか……」
「もう!アタシが朝弱いのは知ってるでしょ!待っててくれたっていいじゃない!」
「はいはい……ごめんごめん。明日から待つからさ」
「ほんとぉ……?」
「ほ、ほんとだから……」
お願いだから上目遣いは辞めて……
「それじゃ、行こっか!」
そう言うとリサ姉はまるで恋人のように腕を絡めてくる……すると周りからの視線が熱い……
僕は……何時もこんな感じで学校へと通っている……
自然とリサ姉との歩幅も同じようになってきて……
――――僕は、リサ姉の事が好きなのかもしれない……
でも、今はまだ言うべきではない……だから……
『この気持ちをいつか伝えられるようになるまで……待ってて欲しい……』