Lato:Mista
ネアポリスの港から出て1時間ばかし経ったが、このレンタルヨットはまだ目的地に着く様子はねぇ。
ブチャラティは何かを気にしてるようだが、一体何なんだ?
千歳に聞いても後でビックリすると思うから内緒です。ていうだけだし…。
これってもしかして反抗期って奴か?
いや、それはないな。
それにしてもうるせーなー、ナランチャ。
ヘッドフォンから音が漏れてんじゃあねーか!
聞くのは良いがせめて周りに気を使えよなぁ。
ちっくしょー…ご機嫌な顔で聞き惚れやがって……あったまきたぜ!
「おい!おーいッ!ナランチャよぉッ!」
「んあ?」
「お前さっき飲みモン買ってたよな?一本売ってくれねぇか?」
「えぇ〜〜?いつもそう言ってい払わないじゃん。エドもジュース代くらい払えって言ってたよ?」
「わーってるよ!いいからくれよ!ほれ!くれってッ!」
ったくこんな所で千歳の名前をだすんじゃあねーよ。
それにジュース代どころの騒ぎじゃあなくなるしな。
「ったく…コーラ?スプライト?」
「コーラ……あぁ、やっぱスプライトにしとくわ。透明だからよ」
おっと、つい本音が。
だがナランチャは気づいてねーようだな。
しめしめ。そんな音漏れする程の音量で聞いてるからだぜ?
「ほいよ」
「おー、わりぃな。ついでにこれ持ってくんね?開けるから」
そういって読んでいたファッション誌を渡してっと……このファッション誌はA5サイズだからな。衝立のようになって俺の手元は見えづらい。
おまけにナランチャは今音楽に夢中だ。余計に注意力が散漫になってる。
だから俺がスプライトの缶を開けて、ラジカセに向けて傾けてるなんざ、気づきもしてねー。
「グラッヂェ。グラッーヂェ。ナランチャ」
若干心が籠もってなさそーな感じだが、もう関係ねー。
本を受け取りつつも、俺のスプライトはすこーしばかりラジカセに掛かっちまったからな。
あー、こりゃ大変だなー。音量大きいままだとショートしちまうかもなー。
「んん!?あ、あれ?おかしいな?壊れたぞ!?買ったばかりなのに!?ちっくしょーこんな物売りつけやがって!あの電気屋のオヤジ!タダじゃあおかねー!!」
その電気屋のオヤジからしたら、スプライトかけられるお前の方がふざけんなって気持ちだろーよ。
それはそれとして…
「おーいブチャラティ!」
Lato:Bucciarati
ミスタに呼ばれ、俺は振り向いた。
フーゴやジョルノ。アバッキオや千歳もミスタの声に反応し、見ている。
「そろそろよぉー!この船が何処に向かっているのか教えてくんねーかよぉー?」
ミスタの疑問は当然だろう。
行き先は千歳を除き、俺以外知らない。
さっきからあたりを気にして入るが、とりあえずは大丈夫そうだしな。
「良いだろう。陸も遠くなったしな。だが行き先を話す前に、お前達に知らせて置かなければいけないことがある」
俺がそう前置きすると、チーム全員の顔に緊張が走る。
「今朝、幹部のポルポが…自殺したッ!」
「な……ッ!?」
「ポルポが…!?」
「自殺!?」
「確かなんですか!?ブチャラティ!」
ポルポの自殺に全員衝撃が走る。
そりゃあそうだろうな。
「エドは知ってたのか?」
「一足早くに知らせておいた。ポルポはエドの事も可愛がっていたからな」
「そうでしたか…」
個人的な趣向か、或いは単純に能力が優れているからなのか分からんが、とにかくポルポは、千歳の事を特に可愛がっていた。
千歳も、昨日ポルポに特注のピッツァを贈るほどに気を許していたし、ポルポの死には思うところもあるだろう。
先に知らせたのはそういった配慮だったが…無用だったな。
「なぜ自殺したのかは分からん。だが重要なのは死んだという事実だ。お前らは知っているかどうか分からないが、ポルポには隠し財産がある。そしてその居場所は俺しか知らない。俺が隠した!」
ポルポは恐らくジョルノの奴がなにかしたんだろう。
何も知らないはずなのに、他のメンバーのように動揺していないしな。
それに隠し財産の場所は千歳も知っている。
知っているが、念の為俺しか知らない事にしておいている。
もし俺が殺られても千歳が無事なら何とかなる。
「そう言えばそんな噂が流れていたな」
「まさか本当だったとは…」
「どこに隠したんですかブチャラティ!それに、噂だと50億リラだと…」
「いや50億じゃない。100億だッ!!こう言っちゃあなんだが、ポルポが死んだのは幸運だった!奴の隠し財産は俺達のものだ!!100億があれば幹部の座が手に入る!!」
全員が息を飲む。
そりゃあそうだ。俺も最初聞いたときは4億とか6億とかだったのに、実際に隠すことになったのが100億なんだからな。
「隠し場所はまだ言えないが、行き先位は教えておこう。この船の行き先はカプリ島だ……ッ!」
俺が行き先を告げて間もなく、ナランチャが後ろへと仰け反った。
船が大きく揺れたわけじゃない!もしや!!
「お、おい!?何かおかしいぞ!?どうしたッ!?ナランチャ!!」
「ブ……ブチャラティ……ッ!」
俺達が急いで駆け寄ったが…ナランチャは靴を残して何処かへと消えた!
「い、居ねぇぞ!?」
「何処へ行ったんだ!?」
「……」
「よこせジョルノ!」
一体…ナランチャは何処に…!?