源氏冒険譚 〜始まりの風〜   作:犬原もとき

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連日投稿しているように見えますが、予約機能使って書き溜めている分を投稿しているだけです_(:3」∠)_


episodio:Ⅳ 少年とイウス

Lato:Altro

食事を終えた二人は、食後の珈琲を飲んでいた。

エドはまだエスプレッソが飲めないのだが、背伸びをして頼んでしまい、若干後悔していた。

「さて、改めて自己紹介をしよう。俺の名前はブローノ・ブチャラティ。イタリアンギャング パッショーネの構成員だ。今はポルポという男の下で働いている」

「エド・コンスタンチァ・ミナモトです。先程は見事なお手並みでした。まだまだ私も未熟者である事を思い出しました」

「そんなに畏まらなくても構わない。それよりもっと大事な話があるからな」

「それはもしや先程のスタンド…というものに関わることですか?」

エドの疑問形に見せかけた確認を、ブチャラティは頷いて返す。

「そうだ。結論から言うと、エドには組織に入らなければ、お前もその周りも大変危険になる。その理由から説明させてもらおう」

そう言うと、ブチャラティは静かにスティッキーフィンガーズを、側に出現させる。

先程のこともあり、一瞬身体が動きかけたエドではあったが、今度は攻撃する意思が無いのは明白なので、姿勢を正した。

「…やはり良い反応をしている。本当に6歳の子どもなのか、疑ってしまいそうになる」

「恐縮です」

「さて、本来ならこんな所に、こんな人物が突然現れたのなら、大騒ぎになる。だが周りを見てほしい。誰か騒いでいるやつはいるか?」

そう言われ、エドは辺りを見回すが、ブチャラティのスタンドが現れたというのに、日が昇れば落ちる事の様に誰もその事に対して、気に止めている様子はなかった。

「誰も気づいてませんね。と言う事は…」

「そうだ。スタンドは本来、スタンド使いにしか見ることができない。だがお前ははっきりと、俺のスティッキーフィンガーズを確認できている。この事がもし俺達のボスにバレてしまったなら…」

「招かれるか…殺される…と?」

ブチャラティのセリフをエドは引き継ぎ、ブチャラティはそれに対して無言で頷いた。

ただスタンドが見える。それだけでまた追われなければいけないのか。

次第にエドの体は、再び恐怖を思い返し、震え始めた。

しかし、それはすぐに治まった。

ブチャラティがそっと手を重ね、握ってくれたからだ。

「エド」

「……」

「言ったはずだ。俺が守る。そしてその為に、俺はお前にこうして話したんだ」

エドはブチャラティを見た。

その瞳は真っ直ぐ自分を見ていた。

ミスタと違い、誰が見ても分かるほどの、情熱と気高さを兼ね備えた、言うなれば正義の瞳と言っていいだろう。

その瞳を見ていると、エドは、春一番に吹かれたような、強くも心地のいい気持ちになり、勇気が湧いてきた。

「落ち着いたようだな。さて、守るとはいったが、事はそんなに難しくはない。要はお前が組織の脅威にならなければいいんだ。その簡単な方法が、組織に入るということだ」

 

Lato:Chitose

私は考えをまとめさせて欲しいと一度断り、ブチャラティと別れた後、イウスと相談する事にした。

こんな事はミスタには相談できない。

「と言うわけなんです。私は受ける他無いと思うのですが、イウスはどう思いますか?」

「どうも何も私は自分の身は自分で守れる。あとは君次第だ」

「言うと思いましたよ。建前上は保護者なんですから、もうちょっと真面目に考えてくださいよ」

「そうはいうがね、そういった所で君は意見を曲げる気はないのだろう?君が心配しているのは私ではなく、グイード・ミスタだ。彼の安全を考えるなら、当然答えは二つに一つだ」

まぁ、そうですよね。

イウスならそう答えてくると思ってましたし、私も他に無いと思ってます。

なんだかんだ言って私は、このイタリアという国が好きになりましたし、ネアポリスは故郷も同然です。

次元移動とやらをすれば解決するのでしょうが、死ぬまでこのイタリアから離れたくないです。

組織のボスとやらが何者なのかは、組織にいる人間すら知らない。

そんな奴を相手取ろうだなんて、余程普段から不満を抱えてる奴くらいなものでしょう。

さて、じゃあ明日は刑務所で待ち合わせしてますし、さっさと寝ましょうか。

「あぁ、そうだ。もう一つ手がある」

「はい?」

もう寝ようと腰を上げるのと同時に、イウスが待ったをかける。

何なんですかもう。

6歳の僕はもう眠いんですけど。

だけど、この人を小馬鹿にしたような顔をしている時は、だいたい良からぬ事を考えているときだ。

ストリートの悪ガキ共を纏め上げれば、ストレス発散になる。とか吹き込んだ時みたいに。

「なに、そう難しいことではないさ。敵が巨大なら、自らも巨大になればいい。そう、組織のトップになるとか」

ほら、碌でもない。もう騙されませんよ。

「そもそも、君には人の上に立つ王の気質がある。まだ幼い故に自身の王の気質に気づかず、力技に出たがね」

「そーですか。それは残念でした」

「考えてもみたまえ。なぜ力で屈された悪ガキ共が、反抗の一つも起こさず、今日まで着いてきたと思う?」

「何言ってるんですか。あなたが裏から手を回したのでしょう?」

そりゃいくら私でも分かりますよ。

歯向かうよりも大きなメリットがあるなら、その方が良いでしょう。

そして私はそんな事をした覚えがない。

となれば焚き付けた張本人であるイウスの他にいないでしょう。

バカにしないでください。

「ふふふ……それは違うなぁ。我が王。彼らは自分の意志で、君に忠誠を誓っていたのだよ」

「……なんですかその我が王って」

「少し未来をね。まぁ、それはいいじゃないか。王にも色々ある。捻じ伏せる者。導く者。守られる者…どれか一つで王となる者もいれば、いくつかの要素をもって王となる者もいる」

椅子から離れ、私の周りをゆっくりと歩きながら、イウスは話しだした。

眠いんですけど。

「君は守られ捻じ伏せる王だ。敵となるものには一切の慈悲もなく、味方は君の危うさを補う者を選び抜く。君は危うい所がある。だが同時にそれは魅力でもある。そして君はそれを感覚的に使いこなすだろう。まぁ、今はまだそうではないようだがね」

そうですか。凄いんですね私は。

それはそれとして眠い。

「そうだとも。だからこそ私は君の事を王と呼ぶ。今は小さくまだ身近に来たものを留まらせる事しかできないが、やがて君という灯は、世界中のあらゆる存在を照らすだろう。その為には学ばなければいけない。その為には躓かなければいけない。これを試練だと言うものもいるが私は違う。必要なプロセスだ。君は王になる。なるべきだ。なぜならば……」

もうダメ。限界…。

「王になればもう誰からも追われない」

 

Lato:Yith

「寝たか。まぁ無理もない」

元より源千歳の就寝時間に合わせ、この話をしたのだから。

しかしスタンドか。本人が持つ精神エネルギーの具現化。と聞いたと言っていたな。

古くより彼らが魔術や魔法と分類していた、極稀に起こる非物理的干渉を行う為の、先祖返りと呼ぶべき現象だろう。

魔法も魔術も同類のものだが、彼らは何故か別の物と捉えたがる傾向がある。

元々源千歳には両親ともにそういう代物と直接的に縁がある。

母親である源義経はミ=ゴと、父親である粟田口藍は、ウボ=サスラから愛されてたり、ティンダロスの猟犬を飼いならしてたり。

あれで多少なりとも正気を保っているのだから、粟田口藍は人間の個体の中でも突出した精神の持ち主だろう。

まぁ、ウボ=サスラから愛されているという時点で、人間の言葉で言えば不運と呼ぶ他無いだろうが。

これらの要素から、源千歳が魔法魔術の著しい能力を有していても、別に驚くことではない。

寧ろ高確率で予想できる事だ。

だが今はまだ不完全だ。

私の方で手を加えてもいいが、それでは折角の楽しみが、予想のできるつまらない物になってしまう。

何かないものか…。

……………あぁ、そうだ。

これを使おう。

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