源氏冒険譚 〜始まりの風〜   作:犬原もとき

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ジョジョのスタンドって大抵初見殺しな気がする_(:3」∠)_


episodio:Ⅵ 本当の試験

 

Lato:Yith

源千歳が眠りについた後、彼が目を覚まさないよう、昏睡の魔術を施し、朝彼が見せてきたライターを手に取る。

ガスが漏れ出ているそれを持ち出し、外に出る。

当然だが深夜のこの時間は辺りは暗い。

だが関係ない。私が興味があるのはこのライターに着いているスタンドの能力だ。

恐らくは選定の能力があり、トリガーが発動する事により、選定が始まる。この場合はライターの再点火が、そのトリガーなのだろう。

既にその能力は解析済み且つ取得済みだ。

いつかこの腕時計に模した装置は渡すつもりだが、蓄積データ第一号が選定とはな。

後はこれを源千歳が居ない内に交渉しておいた奴に渡し、最初の試練を超えてもらうとしよう。

まぁ、試練というよりは切っ掛けに過ぎないがな。

 

Lato:Chitose

今私は朝早いネアポリスの路地裏を全力で走っている。

昼間は陽気で温かいとはいえ、まだ日も登りかけの朝は程よく寒く、人によっては涼しいと感じる筈だ。

今はそれを楽しむ余裕は全くないが!

「止まれドロボー!!そのライター返せコノヤロー!」

「ひぃ!なんだって俺がこんな目に!!??」

「人の物握って逃げてるからだろーが!止まれ!止まらないとその脚斬り落とすぞ!」

ホームレスの男は、昨日ポルポさんから預かったライターを握りしめ、逃走している。

朝早くイウスに叩き起こされ、無くなっていた代物だ。

やっぱりガスの充満を避ける為とはいえ、個人宅でも家の外に置いたのはマズかったか。

ライターでシケモクとやらをしようとしているこの男を見つけ、追うこと数分。いい加減疲れてきた。

ホームレスも疲れてきたのか、足取りが重くなってきている。

そしてまだ誰もいない公園についた頃、漸く観念したのか、それとも単に体力が無くなったのか、ホームレスは足を止め、身体を大きく上下させ、息を整えている。

私もちょっと肩で息をしている。

「さぁ、もう観念しろ。ライターを返せばそれでいい。タバコを吸いたいなら、一本火を点けるくらいなら許してやる。だからさっさと返せ」

「ぜぇー…ぜぇー…あ、あぁ…分かったよ……タバコ一本なら許してくれるんだな?」

「あぁ。だからさっさと火をつけて返せ」

「ぜぇー…せ、急かすなよ……ふぅ、それじゃあ一服」

そう言って、男がライターを再点火した。

ガスが漏れていた事もあり、一瞬だけだが、物凄く火が点いたが、すぐに治まった。

そして男がタバコに火を……ん!?

「おいオッサン…アンタに仲間がいたのか?」

「あっ?いるわけ無いだろ。ただのホームレスだぜ俺は」

そうだ。その筈だ…第一仲間がいるならとっくに襲われている筈だ。じゃあいま見えたのは……!

いま見えた黒い影は…!

「今すぐそのライターを寄越せ!オッサーーン!!!」

『再点火したな!!』

ホームレスの影から、仮面舞踏会にでも居そうな黒い人型が現れた!

その人型は、ホームレスの影を掴むと、そこから半透明のホームレスを作り上げた。

「お、おい…なんだ…身体が…動かねぇぞ?」

あのホームレスはもうダメだ。

完全に捕まってしまっている。

別に顔の知らないホームレスが死のうがどうでも良いけれど、あいつの手の中にあるライターだけは回収しなくては。

となれば方法は一つ! 

『貴様にチャンスをやろう!』

「ら、ライターを取ったことは謝るよ。だ、だが俺は…」

『チャンスとは…2つの道。一つは選ばれ、生き残る道。もう一つは……』

「俺は…」

『向かうべき死の道だ!』

ホームレスが何か言おうとしたが、人型の口から出てきた矢に、男の影が貫かれた瞬間、頭から大量の血が流れた。

男の影から出ているそれは、現実なら出血死していても、可笑しくない量だ。

つまり人型から投げ捨てられた男が、指先一つ動かないのは、そういう事なのだろう。

良し。どうやら事は終わったようだ。なら後はライターを回収して…

『お前も再点火をしたな?』

えっ?

『再点火をしたのならば、お前にもチャンスをやろう!』

後ろに!?

こ、こいついつの間に!?

つうか私は再点火なんてしてないぞ!?

選ばれるものとそうでない者の区別が分からない以上、今コイツから攻撃されるのはマズい!離れなくては!

……え?脚が、身体が動かない?

まさか…まさかもう……!

『チャンスをやろう!選ばれるべき者の道か!死ぬべき道か!』

矢が!僕の影に…いや魂に!

『受けてもらうぞ!』

イヤ!イヤイヤイヤイヤイヤ!!

『試練を!!』

死にたくない!!

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