源氏冒険譚 〜始まりの風〜   作:犬原もとき

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なぜ・・・なぜフーゴ・・・・すまん_(:3」∠)_


episodio:Ⅷ 少年とフーゴ

Lato:Altro

目が覚めたエドは、時間ギリギリながらも、何とか火を消さずに、ポルポの監房にたどり着いた。

その際、全くと言っていいほど邪魔も入らず、また普通なら絶対に消えているはずの火も、消えていなかったのは、ロードアルカナの力によるものだ。

「おめでとうエド君!君はどうやらスタンド使いとして選ばれたようだね」

「えぇ!?なぜそれを!?」

「ハハハ!単にカマをかけてみたのだよ。どうやらその様子だと再点火したようだね。驚いただろう?あれはブラックサバス。私のスタンドで、スタンド使いの素質がある者のスタンドを、覚醒させることができる。そのまま火を見守り続けられるなら、それはそれで構わないし、再点火してスタンド使いに成れればより良い。どちらに転んでも組織にとっては有用と言う訳だな。ブッフゥ〜」

それならそうと早く言って欲しかった。等と思いながらも、エドは、無事に組織のメンバーになることができた。

 

「おめでとうエド。どうやらスタンド使いになれたようだな」

刑務所の外に出ると、ブチャラティが出迎えてくれた。

「お祝いに近くのカフェテリアに行こう。朝ごはんもまだって顔をしてるしな」

「お願いします。もうお腹が空いて大変です」

「そういえば学校はどうしてる?」

「行ってないです。大体はイウスから習ってますから」

 

「やぁ、我が王。どうやら目覚めたようだね」

「イウス。朝の男は貴方の差し金ですね?」

「勿論。暇そうにしてたのでね。少し小遣いを握らせたら、快く引き受けてくれたよ」

その日の夜。尋ねられたイウスは、あっさりと白状した。

イウスからすれば別に隠す事でもないし、そもそも隠す気もなかったので、どうでもいい事だった。

エドも単に確認したかっただけなので、それ以上特に言うこともなく、普段どおりに食事を終えた。

「それはそうと我が王。君に渡したいものがある」

そう言うと、エドの返事も待つことなく、テーブルの上にあるものを二つ置いた。

それは、所謂巾着袋と呼ばれる物と当時まだ高価な代物であった、携帯電話だった。

携帯電話の方は、秘密にしておいた理由は分かる。単純に高価だからであろう。

巾着袋はエド、いや千歳にも馴染み深いものではあるが、なぜこのタイミングで出してくるのかが、分からなかった。

「お祝いだよ我が王。携帯電話は私から。この巾着袋は君の父親と母親の預かりものだ」

「父上と母上の?」

「君が大人になったらと言う約束でね。どんな形であれ働き出したのだから、君はもう大人だ。故に君に渡す」

千歳はもう一度置かれたものを…巾着袋を見、恐る恐る触れる。

懐かしい日本の香りが、気高く強かった母と、厳しくも優しかった父の顔を呼び起こした。

巾着袋をぎゅっと握りしめ、溢れ出る涙を止めること無く流した。

「その巾着袋は私と君の父親の合作でね。その中からは毎日1キログラムの金のインゴットが5本取り出せる。お金に困らないように、という配慮だそうだ」

「いやその発想はおかしい」

そしてその涙はすぐに止まった。

「私もやりすぎではないかと言ったんだがね」

「当たり前ですよ」

 

衝撃の日から翌日。

その日からエドのいつもの格好に、巾着袋が加わった。

腰から下げたそれは、一見すると無用心に見えるが、つけられたパッショーネのバッジが、こそ泥達への明確な警告となっていた。

そしてエドは、携帯電話を持った事をブチャラティに報告する為、いつものリストランテに入っていく。

「おはようございます。ブチャラティ」

「あぁ、おはよう。エド。ん?そのポーチは?昨日まではなかったと思うが…」

「父上と母上の形見です。ギャングとは言え働き出したのだから、お祝いにとイウスから」

「……そうか。大事にしないとな」

「はい」

食事を終え、暫く話し込んでいると、不意にブチャラティが、神妙な顔になる。

「エド。俺はお前に、組織に入ってくれといい、お前は見事にそれに応えてくれた。だから改めてここに約束しようと思う。お前のことは俺が守る。お前が成人するまで、キッチリとな」

「……」

「親代わりという訳ではないが俺も…」

「ブチャラティ」

「?」

「気負いすぎですよ。私には名義上とはいえ保護者がいますし、私生活では兄貴分もいます。貴方は私の上に立つ人間として、どっしり構えてて下さい」

ブチャラティは驚いていた。

経った3日で、不安定だった精神が、ここ迄シッカリしている。

男子三日会わざれば刮目して見よ。という言葉が日本にはある。

ブラックサバスによる、擬似的な死を乗り越えた千歳は、正にこの状態であった。

まだ死にたくないという気持ちが、彼の殻を破ったのだ。

「そうだな。いや、すまない。ところで気を悪くしないで欲しいんだが、エドのスタンドは…」

「すみませんブチャラティ。遅れました」

その時、リストランテにもう一人の訪問者が現れた。

 

Lato:Fugo

僕は昨日、イタリアンギャング パッショーネに入った。

僕の凶暴的な内面すらも、受け入れてやると言った、ブチャラティの言葉に賭けてみようと思ったからだ。

そしてもう一つ。

ある事情から、この年でパッショーネに入らざるを得なくなったという少年の為に。

店に入る前にチラッと確認したが…。

恐ろしい目だ。

視界の端に入ってきて、すぐ出ていったボールを見るような、ほんの僅かな除き見を彼は見逃さなかった。

僕の視線を確実に捉え、射殺す様な目で僕を見た。

それは今もだ!

リストランテに来たのに、動物園の猛獣の檻の中に来たような錯覚を感じてしまう!

「来たか。エド。紹介しよう。彼はパンナコッタ・フーゴ。昨日お前と同じ様に、ポルポの試験を受けて合格し、スタンド使いになった。フーゴ。彼がお前に話した例の少年。エドコ・ンスタンツァ・ミナモトだ。二人共仲良くな。これからはチームだ」

「エド・コンスタンツァ・ミナモトです。以後よしなに」

「パ、パンナコッタ・フーゴだ。よろしく」

う、美しい。

はっきり言って、今まで会ったどの人よりも綺麗だ。

もし彼が女性だったなら恋に落ちていたかも知れない!

「立ち話もなんだ。フーゴ、お前も座るといい。昼飯はどうした?まだなら今頼もう」

「あ、えぇ。大丈夫です。家で食べてきました」

僕が座るのと同時に、エスプレッソが運ばれてくる。

このリストランテ特製ブレンドコーヒーだ。

フルーティな香りとが鼻を楽しませてくれる。

砂糖をいれ、何時ものように一口飲む。

深煎りされたコーヒーの苦味と、砂糖の甘さが混ざり合い、一日の始まりを思い返し、身と心が引き締まる。

ん?なぜエドは僕を見て餌を食べてる最中のロバみたいに、口を開けているんだ?

「・・・そういえばエド。なぜコーヒーを飲むときに砂糖を入れないんだ?苦いだろう」

「え?・・・砂糖入れて良いんですか?」

「砂糖入れるために出されるんだ。今度からはちゃんと入れて飲め。味が違うぞ」

この子は今までどんな食生活を強いられていたんだ・・・!?

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