「…どうやら泣き疲れて寝たようだな」
あの後悟空はしばらく泣いていたが気付いたら泣き声は穏やかな寝息へと変わっていた。
スヤスヤと寝息を立てながら寝ているその寝顔は目が赤く腫れている。
「そうだよな、いくら主人公といってもまだ子供だ。今まで育ててくれていた育ての親が居なくなれば突然居なくなれば泣きもするか…」
取り敢えず左腕はポケットの中に入っていたホイポイカプセルの中にあった携帯式の医療道具セットを使って応急処置をしておいた。
余りにも前の世界と科学の発展がかけ離れすぎているので、こんな事が携帯式の物で出来るとは思ってもなかったから病院に行こうと思っていたのだが、1日程度なら携帯式のものでもなんとか出来るようだ。だから明日病院へ行こうと思っている。
だが一つ懸念がある。それはこのまま悟空を放っておいていいのか、という事だ。
原作では悟空が初めて出てきた頃には孫悟飯の死から立ち直っていたが、はたして立ち直るまでにどれほどの時間がかかったのかわからない。
ましてや、一人でこの山で暮らしているのだから励ましてくれる人間がいるわけでもなしに寧ろどうして立ち直れたのか思うほどだ。
「…やっぱり子供を放っておくのは違うよなぁ、いくら主人公だからとかいって原作壊れるのが嫌だから放っておくとかただの外道だよなぁ…」
…うん決めた取り敢えずしばらくの間はここに住もう。人が近くに居るだけでも心の傷は少しだけ和らぐ筈だ。
「取り敢えず布団に寝かせてやるか…よっと」
片手に悟空を抱えながら布団まで運び布団の上に乗せて毛布をかける。
「今はゆっくり眠れよ…テントを回収してくるか」
気づいたら夜も遅い為取り敢えずテントを早く回収してこよう。
翌朝
日差しが窓から差しているその横の布団で悟空の意識は目覚めた。
「…じいちゃんおはy…そうだじいちゃんはもう居ねぇんだ…」
昨日の事を思い出し悟空の目から涙が溢れる
「なんでだよぅ…なんで死んじまったんだ…」
その時不意に扉がノックされる。すぐさま悟空は飛び起きた、もしかしたら孫悟飯が帰ってきたのかもしれないと一瞬思ったがそれは違うようだ扉を開けるとそこにはアレッドが居た。
「…なんだアレッドか、なんか用でもあんのか?」
「あぁ…俺そこに住むことにしたからしばらくよろしく」
「⁉︎…ここに住むんか?でもなんで「お前が心配だからだ。」え?」
悟空はアレッドの顔を思わず見る。
「お前はまだ小さい子供だ。誰かが側にいてやらないといけない時期だと俺は思う。」
それに、育ての親が居なくなったばっかりで精神的にも参りかけているだろうからアレッドはここに住むことにしたのだ。
原作崩壊なんて知ったこっちゃない。確かにこのまま放っておいてもいずれは立ち直り原作のようにブルマと出会い冒険が始まるだろうが、今大切なのはこの少年の心の傷を治すことだ。先程の状態を外から聞いて放っておくなど出来る訳がない。
それから6年間悟空とアレッドは友人として仲を深めていった。たまに釣りをしたり、素潜りでどれだけ魚を沢山取れるかを競ったりして遊んでみたり。風呂に入ったことがない悟空を風呂に入れたり。悟空に勉強や常識を教えたり、最初は少し暗かった悟空も一年も経てば元気を取り戻して元気いっぱいに森の中を駆け回っていた。
そしてこの6年間はアレッドにとっても非常に有意義なものとなっていた。
当初の予定では亀仙人に教えてもらおうと思っていた気の放出のレベルが一気に上がっていったのだ。理由としては二つのものが挙げられる。一つとしては亀仙人に教えてもらえなくなったので、身体を鍛えるよりも気の練度を上げるために気の放出の練習を頻繁にしていたこと。そしてもう一つは
2人の人影が森の中で向かい合っている。1人は小柄な少年でもう1人は青年だ。
「だりゃりゃりゃりゃりゃ」
小柄な少年がラッシュを仕掛ける、それを青年は全て両手で防ぐ
「ふんっ‼︎」
お返しと言わんばかりに足へと蹴りを入れるが上へ跳んで避けられる。すかさず落下地点へ移動し落ちてくる少年へと左手で殴りかかるがその攻撃を予測していた少年に蹴りによって相殺される。
「へへっやるなぁ悟空」
「オメェもなアレッド」
そう、悟空との組手だ。サイヤ人との組手はアレッドの身体に予想以上の効果をもたらしていた。最初悟空と組手をした時は悟空はそれ程強くはなかったが、組手を繰り返すうちにどんどん差を縮められ今ではほぼ互角といってもいいほどの強さに悟空もなっていた。
また、互角の相手と修行することによってアレッドの技も必然的に磨かれ一種の相乗効果といってもいいものが生まれていた。
「そろそろ本気で行くぞ悟空」
「おうっ‼︎」
アレッドの姿がぶれて次の瞬間には悟空の目の前に現れて蹴りを放つ、咄嗟に悟空は腕でガードしたがそれでも尚吹き飛ばされる程の威力がその蹴りには込められていた。そして吹き飛ばされた悟空はすぐに地面へと脚をつけアレッドへと向かう
「だりゃっ‼︎」
悟空が拳を振るうがそれはアレッドをすり抜けその拳は地面へと沈む
「それは残像だ、はっ‼︎」
悟空の後ろへと現れたアレッドが蹴りを悟空へと放つが、それを悟空は予測していたのか即座にしゃがんで蹴りをかわしその下からアレッドを両の拳で続けて2発殴った。そのまま横にあった池にアレッドは沈んでいった。
「へっへー今回はオラの勝ちだもんね」
池の底からアレッドが上がってくる。
「ぷはぁっ、いてててて、今回は俺の負けかぁ…」
最初はアレッドが3回中3回は勝つような組手だったが気付けば5回中2回は悟空が勝つようになってきていた。
「(やっぱりサイヤ人の成長力は凄まじいな…すでに俺の強さに追いついてしまってる。)」
悟空の生え変わった尻尾を見ながらそんな事を考えていると
「…オラ腹減ったぞアレッド」
悟空の腹が減ったようだ。
「ん、じゃあついでにそこの下にある川で魚でも取ってくか、悟空はそっちの方でりんごでも取って来てくれ。」
「分かった‼︎」
そう言うと悟空は少し奥の森の方へ元気よく駆けて行った。その姿を見てアレッドは池の近くにある川へと潜っていく。
「(んーここら辺にでっかい魚がいたと思うんだけどなぁ…)」
アレッドはそんな事を考えつつ中くらいの魚を何匹か捕まえ水面まで上がり陸の上へ投げというのを繰り返す事2回、近くに巨大魚が現れた。
「(来た来た‼︎今日は大物だぞ‼︎)」
アレッドは巨大魚に一気に近づき頭を殴った。殴られた魚は何が起こったかもわからずにその意識をこの世から暗転させた。
そして魚の尾を持ち陸へ上がるとちょうど悟空がこちらへ戻って来てるところだった。
「悟空‼︎今日の飯はこいつがメインだぞ‼︎」
と言って手に持っていた巨大魚と陸の上に上げていた魚を見せる。
「ひゃあ〜、美味そうだな〜、オラもりんごや山菜を取ってきたぞ‼︎」
そういう悟空の手には両手でようやっと持てるほどの量のりんごや山菜があった。
悟空は野生児特有の勘とでもいうのか、ある程度危険なものを見分けることが出来る。
悟空が持ってきた山菜にはハズレがほとんどない。
…実際にはたまに毒持ちの山菜を採ってくるのだがこの2人の身体はその程度の毒ではビクともしないため気付いていないだけである。
「それじゃあ家に帰るか」
そう言って2人は歩き始める
「オラもう腹ぺこぺこだぞ〜」
「ははっ、じゃあ早く家に帰って飯を作らないとな。」
そう話しながら歩く2人は何も知らない人が見たら兄弟だと思うほどに仲が良さそうだ。
ブゥゥウウンと2人が歩いている道の向こう側から少しずつ何かが近づいてくる音が聞こえる。いつもなら2人もすぐその音に気付けたのだが組手をした後であり疲労しており、また会話に花を咲かせている2人はその音を発している物体が現れても反応が即座に出来ずに道の真ん中を歩いていた悟空が車に撥ねられてしまった。
「悟空‼︎大丈夫…だよな、うん」
撥ねられた悟空はけろっとしていて、初めて見る車に興味津々のようだ。というよりも原作とは違いかなり強くなっている為に、それ程車に対して脅威を感じてはいないようだ。
気付くのが遅れたとはいえ車を避けようとする素振りすらも見せなかったのがその証拠である。
「ひ…人を撥ねちゃった…ん、い、生きてる⁉︎」
車の中から声が聞こえる。
「やいやい‼︎、おめぇ一体何もんだ‼︎さてはオラ達の獲物を横取りするつもりだな‼︎オメェさては妖怪だな‼︎」
そう言って悟空が車へと向かっていこうとするがそれをアレッドが止める。
「いや、恐らくこんな所に人がいるとは思ってなかったから俺たちを見ても急には止まれなかったんだろう。それとあれは車だ。」
悟空には一般常識やある程度の勉強を腕を治しに近くの病院に行った時に絵本や教科書を買ってきて教えてある。
「へー、あれが車っちゅうやつか、オラ初めて見たぞ。ちゅうことは中に人間が入ってるんか?」
そんな事を話してると車の扉が開いて中からブルマが出てきた
「い…生きてる、かすり傷もないなんて」
悟空の身体を見て傷一つないことに驚いているようだ。
「当然だい‼︎オラの身体はそんな程度じゃ傷一つつかないくらい鍛えてるんだい‼︎」
その後は家に着くまでは銃で撃たれなかったこととブルマの車が無事なことくらいしか原作との差異はなかった。
取り敢えずブルマにご馳走を振る舞うことになったので今はアレッドの家で2人が料理をしている所だ。
この悟空、原作とは違いアレッドがいたことによりフライパンなどの料理道具が揃っているため、アレッドにより料理をする事を覚えさせられた。
言うなれば野生児と都会人のハイブリッドのようなものである。
そうして出来上がった料理を3人で食べながら話をする。
「それにしてもオメェなんでここに来たんだ?」
悟空が口いっぱいに魚を頬張りながら尋ねる
「それもそうだな、言っちゃ悪いがこんな所に来るやつなんて滅多にいないと思うぞ、強い奴じゃないとここら辺の獣達には勝てないからな。」
悟空に便乗してアレッドもそう言う
「私がここに来たのはこれを探してるからよ」
と言ってブルマは鞄の中からドラゴンボールを2つ取り出す
「あぁっ‼︎じいちゃんの形見とおんなじ奴だ‼︎」
「これが何処にあるか知ってるの⁉︎」
ドラゴンボールを見て悟空が言った言葉にブルマが反応する。その言葉にアレッドが答える。
「あぁ、悟空のじいちゃんが残した形見として、それと似たような物が悟空の家に置いてあるぞ。」
その言葉によって3人は悟空の家に移動する事にした。
悟空が扉を開けて中に入るとドラゴンボールがある。
「あっ‼︎ドラゴンボールに間違い無いわ‼︎」
そう言って家にあったドラゴンボールを持つブルマ
「コラ!じいちゃんの形見に触るんじゃねぇ‼︎」
悟空がそれを取り返す、するとドラゴンボールが淡い色を放ちながら光り始める
「ひゃあ、ピカピカ光ってなんか嬉しそうみたいだ、こんなの初めてだ。」
「しょうがない、教えてあげような〜」
そう言ってブルマがドラゴンボールを取り出して部屋に置いてある机に置く
「それはドラゴンボール同士が共鳴しあってるのよ、ほらそれも近くに置いてみなさいよ。」
「ん、あぁ」
悟空が机に四星球を置くとより一層強く共鳴し始めた。
「ほらね、このドラゴンボールは私の家の蔵の中にあったの。それでどんなものか調べてみたらすごいことがわかったの‼︎」
「「凄いこと?」」
2人が同時に声を出す
「なんと、7つ揃えると神龍が出てきてどんな願いでも叶えてくれるのよ‼︎」
「はえ〜どんな願いでも叶えてくれるんか‼︎」
悟空が驚きの声を上げる
「成る程、だからそいつを集めて願いを叶えようと思っているって訳か。」
アレッドの言葉にブルマが答える
「そうよ、ドラゴンボールから発せられる特殊な電波に反応してドラゴンボールを探し出せるこのドラゴンレーダーを使ってドラゴンボールを探しているの。この五星球は10日前に苦労して北の谷で探し出したのよ。」
悟空がブルマの願いについて聞く
「オメェはそれを集めてどんな願いを叶えるつもりなんだ?」
「んふふ、私の願いはもう決まってるわ。食べきれないほどのイチゴっていうのも素敵だけど、やっぱり素敵な恋人よね〜、という訳でそのドラゴンボール頂戴。」
その言葉に悟空は反対する。
「ダメダメダメ‼︎これはじいちゃんの形見だもんね‼︎」
「もう何よ〜ケチね…あっ‼︎そういうことか、もうおませさんなんだから。」
そう言ってブルマは自分のスカートをめくった。
「(わっ⁉︎ちょ、目逸らしとこ)」
咄嗟にアレッドは目をそらした。恋人いない歴前世と今世を合わせて39年の男には少々刺激が強いようだ。
「ちょっとくらいなら触ってもいいのよ?」
悟空は特になんともなんとも思っていないようだ。
「オラそんな汚いケツ触りたくねぇ」
「汚くなんかないわよ‼︎失礼ね‼︎…そうだ、あんた達私のボディガードとしてボール探しの旅について来なさいよ。男なら旅して修行した方がいいじゃないの。」
その言葉に悟空は目を輝かせて飛びついた。
「オラも修行をすればじいちゃんみたいに強くなれるかな?」
「あったりまえじゃない、あんたなんかこの山しか見たことないんでしょ、海なんか見たことないんじゃい?自分の見聞を広げて行くのも修行になるわよ。」
そのブルマの言葉につられて悟空は完全に行く気になったようだ。
「アレッドさんも当然来るわよね?」
「…まぁ悟空が行くなら行くか(よしよし来た来た‼︎これでようやく亀仙人の所に行ける‼︎)」
アレッドも当初の目的の亀仙人に教えを請う事が出来る機会なので当然ついて行くことにする。
ここから悟空達の冒険が始まって行くのだ。
書いてると気付いたら1時間過ぎてるとかっていうことがあるんですよね、やっぱり小説書くのは難しいですね。
ちなみに今回は約4時間程ですかね何回かに分けて書いたので大体の合計時間ですが。
やはり悟空やブルマを書くのが非常に難しいですね〜
主人公はスラスラセリフが出てくるんですけどブルマや悟空は初期の頃よりサイヤ人編とかの方のイメージが定着してるのでどうしても無印編は書きにくいんですよね早く物語を進めさせたい所。
〜戦闘力〜
アレッド 通常時80 戦闘時125 部分強化150〜200
悟空 常時80〜120(気のコントロールという概念をまだ知らない為戦闘時でもない時も120の戦闘力を発している。ある程度感情により左右される)